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第2章 役に立つスキル

10話 援軍到着

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 高ランク冒険者達は、現状を陣営にいるギルドマスターに報告して、次の手がなければ撤退を申告していた。

「マスター!このままではこちらの体力がもちません」

「しかし、このまま撤退したのではオークの集落は溢れる事になる。そうなれば、もっと被害が拡大する事に・・・・・・」

「じゃあ!このまま俺達が犠牲になればいいというのかよ!」

「誰もそんな事は言っておらん!」

 そんな事を言っていても、現状を打破できる手段がなかった。無限に沸き出すオークに高ランク冒険者の体力が削られていくだけだったからだ。
 その時、陣営に一報が届いた。その姿に陣営の中は歓声が上がった。

「皆の者、待たせてすまない」

 リーランの町を警備する騎士達が、応援に駆けつけたのだ。騎士達は、王国から派遣されている1部隊だ。騎士達のレベルはSランクに匹敵して、スキルもAランク以上のエリートだけが入隊が可能である。
 そんなエリート集団が応援に駆けつけたのだから冒険者達が歓喜に震えたのは無理はなかった。

「応援、感謝いたします」

「現状を説明してくれ!」

 ギルドマスターは、オークがあり得ない数で上異種まで届かない事を説明した。すでに前線では騎士達も参戦していたが、オークの数が全然減らなかった。

「どうなっているんだ?」

「隊長!このままでは我々騎士団ももちません!」

「皆の者、一旦引け!そして、隊列を整えろ!もう少しの辛抱だ!」

「「「「「はっ!」」」」」

 王国騎士団は隊長の指示の元、高ランク冒険者達と協力して、オークの突進を食い止めていた。

「何をやってやがるあいつらは!」

「ブリュゲン!まだくたばってなくてよかったよ。待たせたね」

「ナディア何をやってた?遅いんだよ!」

 王国騎士団隊長ブリュゲンは、妖艶の雰囲気を持つ女性を怒鳴っていた。

「早く、こいつらを一掃してくれ!」

「わかっている。お前達頼んだわよ!」

「「「「「「はっ!」」」」」」

 ナディアと呼ばれた女性は、騎士団とは違う自分の部隊を引き連れていた。その部隊は、ローブに身を包み全員が詠唱を唱え始めた。

「助かった!」
「王国魔法師団も来てくれた!」
「「「「「「「おおおおお!」」」」」」」

 冒険者達の士気が一気に上がったのだ。王国騎士団は剣術(A)以上を持つエリートだ。また、王国魔法師団は属性魔法(A)以上を持つエリート魔法使いである。
 
「薙ぎ払え!」

 ナディアの指示で、魔法師団の攻撃魔法が炸裂した。魔法師団の魔法はオークの後方に着弾し、押し寄せるオークの勢いが止まったのだ。

「た、助かった!」
「さすが、魔法師団の攻撃だ」
「冷や冷やしたぜ」

「お前達!オークを迎え撃て!」

「「「「「「「おおおおお!」」」」」」」

 ブリュゲンの号令で隊列を組み、騎士団と冒険者達はオークを殲滅し出した。この様子を見て、ギルドマスターは安堵したのだった。

 しかし、オークの勢いが治まるかと思ったのだか治まる雰囲気がなかった。

「どうなってやがる・・・・・・あいつらはまだなのか?」

「ブリュゲン!どうなっているのよ?このままでは魔法師団のMPがもたないわ!」
 
 その時、ブリュゲンの側に人間が現れた。

「ブリュゲン、待たせてすまん!」

「ランバル、このオークの数はどうなっている?原因は掴んだか?」

 ランバルと呼ばれた男は、王国斥候部隊である。当然全員がAランクスキル以上を持つエリート集団だ。

「ああ!不味い状況だ。集落の奥に崖がそびえ立つのは見えるな?」

「ああ!見たらわかる」

「その崖には、洞窟があるみたいでその洞窟から、オークが這い出してきているんだ」

「なんだと!じゃあ、この集落はやつらの一部なのか?」

「ああ・・・・・・洞窟内は入れそうにないが、あの洞窟はダンジョンの可能性が高い」

「はぁあ?つまり、ダンジョンのスタンピードなのか?」

「ああ!このままでは本当にヤバイことになるぞ」

「たしかに中の様子がわからんのでは消耗戦だ!この事を陣営に伝えてきてくれ」

「もう伝えている。陣営では、撤退の準備をしているはずだ」
 
「そうか!」

 ブリュゲンは、騎士団達に指示を出して、ABランクの冒険者を撤退させて、残りを殿をつとめさせた。そして、この場を離れる決断をしたのだった。

「魔法師団は、まだ魔法は撃てるか?」

「まだ大丈夫よ」

 王国騎士団と魔法師団は、オークの勢いを止めながら徐々にこの場を撤退した。その頃、陣営では王国斥候部隊が、オークの集落の奥にダンジョンが出来ている事を説明し、ギルドマスターは愕然としていた。
 この想定外の出来事に冒険者達全員があわてふためき逃げる決断をした。

「みんな!すまない・・・・・・作戦は失敗した。全軍撤退する」

「マスター、ちょっと待って下さい!」

「ナーパ、なんだ?」

「このまま撤退してどうするというのですか?」

 ギルドマスターに、意見をしたのはAランク冒険者のナーパだった。マルクとシオンをパーティーに誘っていた冒険者だった。

「今は、撤退し冒険者の安全確保が先だ」

「これはスタンピードです!撤退しても安全等ありません!迎撃するべきだ」

「ナーパの言う通りだ!」

「「「「「そうだ!」」」」」

 血気盛んな冒険者達は、撤退案を否定した。陣営まで、オークを引き連れて勢いを殺し、冒険者全員で攻撃をした方がいいというものだった。
 今の段階では、Cランクまでの冒険者は攻撃に参加していない事を上げた。

 オーク中には、前線を突破したのもいた。その突破したオークを、Cランクの冒険者が始末していた感じだった。

「つまり、背水の陣で全員で攻撃するという事か」

「ああ!」

「その背水の陣の成功率は?」

「俺は100%だと思っている!」

「なんだと!その根拠は!いい加減なことを言うと承知せんぞ!」

 ナーパの意見に、陣営にいる冒険者達が白い目でナーパを見ていた。

「マルク!マルクはいねぇか?」

「はい!ここにいます」

 マルクは、観念したようすで返事をした。 

「マルクだと?いや、確かにお前達は低レベルでダンジョンのそこから帰還したのだったな?」

「そうだ!マルクは得たいの知れない力を持っていると俺はにらんで、俺のパーティーに誘ったんだ。断られちまったけどな」

「ナーパさん、いつから気づいてたんですか?」

「俺を欺こうなんて100万年早いわ!お前を観察していて、簡単な依頼ばっか受けていたからな。」

「そんな事で?」

「お前は、Cランクパーティーの風牙を呆気なく倒した男だぜ。なのに、力を他人に見せないように簡単な依頼ばっか受けて、その力を隠してただろ?」

「そんなとこでばれるとは思いもしませんでした。お見それいたしました」

「俺をなめんじねぇよ!」

「マルク、ナーパの言う事は本当なのか?」

 ギルドマスターは、マルクに確かめるように聞いたのだった。

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