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第1章 役に立たないスキル

閑話① 元エターナル

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 時は遡り、マルクとシオンが名もない村でアイアンウルフを討伐をした時に戻る。
 名もない村では、ハンスが村の入り口で警護に励んでいた。そこには、行商人のおじさんが話に入って村の人間と盛り上がっていた。

「でも、ハンスよ。お前のおかげで本当に助かったよ」

「お前達、ギルドの判決が出てからそればっかだな」

「「「「「だってよぅ」」」」」
「本当に嬉しかっただぜ」

「まぁ、俺もよかったけどな」

「だろ?」

「確かにあのままじゃ、この村は消滅してただろうしな。そうなれば、老後をこの村で過ごそうとしていた、俺の計画はなくなっていたから本当に助かった」

「俺達行商人も助かったぜ。この村に品物を運ぶ事で生活ができているからな」

「そうだよな。これもあの二人が冒険者ギルドに証言してくれたからだな」

「本当にそうだな。冒険者ギルドにああいう若い冒険者が育ってくれて嬉しいよ」

 名もない村では、おじさん特有の同じ話を何回もする形で盛り上がっていた。

「そういや、俺達の恩人のあの二人のパーティー何だったかな?暁の・・・・・・」

「明星だろ?恩人のパーティーの名前ぐらいちゃんと覚えておけよ」

「そうそう、その暁の明星だ。あのパーティーリーダーのマルク!」

「そのマルクがどうしたんだ?」

「ハンスお前のゆかりのある冒険者らしいぞ」

「はっ?俺に子供はいないぞ」

「そんな事知っているよ。お前堅物すぎて女からモテねぇからな」

「ぐっ・・・・・・いらん事言うな!」

 ハンスは、おじさんの頭を小突いた。

「痛っ」

「それで、俺にゆかりがあるって?」

「ふん!すぐ暴力を振るうんだからな。教えてほしかったら情報料」

 おじさんは、ハンスの顔見て親指と人差し指を丸くして、お金を出せと言うジェスチャーをしてニヤニヤしていた。

「じゃあ!教えてくれなくていい」

 ハンスは目をつむって、村の警備をし始めた。

「冗談だよ。そんな拗ねんなよ」

「何が冗談だ。早く教えろ」

「わかったよ。ハンスお前エターナルのパーティーだろ?」

「ああ。なつかしいな」

「ハンス。お前の仲間のデビットとステラの子供がマルクなんだぞ」

「それは本当か?」

「嘘なんか言う訳ないだろ?」

「そ、そっか・・・・・・あいつらの子供だったのか。あいつらのには現役の頃から世話になったが、あいつらの子供にも救われたか」

 ハンスは、行商人のおじさんの話を聞いて感動していた。そして、ハンスはマルクにお礼の手紙を冒険者ギルドに送ったのだった。

 そして、ハンスは十数年ぶりにデビットとステラにも、手紙を送り近況報告と共にマルクとシオンの事を書いてお礼を言ったのだ。



「懐かしい人から手紙が来たわね。まさか、ハンスが手紙を書くなんて、何の心境の変化かしら」

「ステラ、何を笑ってるんだ?」

「あなた、懐かしい人から手紙が来たわよ」

「俺達に手紙ってマルクからか?もう、一年以上も会ってないが、手紙が来るって事はまだ生きているって事か」

「あなた!」

「ごめんごめん!だけど、マルクがここを出た時にマルクの事は覚悟したはずだろ?」

「でも、わざわざそんな事言う事ないでしょ」

「それはそうだけど」

 マルクの両親は、マルクが村を出た時にいつ死んでも覚悟して送り出していた。そして、いつもこういう事になっていた。しかし、デビットもステラも覚悟したといっても、いつもマルクの事を心配していた。

「そうじゃなくて手紙の事よ!」

「ああ、そうだったな?それで誰からなんだ?」

「なんとハンスからよ」

「ハンスから?あの堅物が手紙ってどういう心境の変化だ?」

「本当に懐かしいわね」

「本当久しぶりに会いたいな。それでなんて書いてあるんだ?」

「ちょっと待ってね。今読んでみるわ」

 二人は、ハンスからの手紙を読んで目から涙が止まらなくなった。あの何も出来なかったマルクが活躍してハンスの村を救ったと書いてあったからだ。

 その夜は、手紙を読んでデビットもステラも機嫌が良く笑顔で過ごしたのだ。

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