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31話 女神の話
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ギルドの幹部達を、その場に残して急いで帰った冒険者達は救護班と共に、モーレンの村に帰ってきていた。
「どうだった?」
「ルーデンス!あのダンジョンは一体なんなのだ?どうだったも何も、あのダンジョンはどうにもならん!」
「どういうことだ?」
「Sランクの冒険者が半分近く帰ってこなかった……」
「何だと……」
「俺達は、ただ単に運が良かっただけだ……2階層に到達できなかっただけで、到達出来ていたらドラゴンの咆哮みたいに……」
「ドラゴンの咆哮が犠牲になったのか?」
「それだけじゃない!有名どころは全てあのダンジョンの犠牲に……」
「2階層で全滅したというのか?」
「ああ……あの女が言っていた」
「あの女?」
「バンパイアクイーンだ……」
「バンパイアクイーンだと?そんな魔物が出現したというのか?」
「だが、あの女は自分はそんな下等種族では無いと言ったんだ……」
「どういう事だ?」
「たしかに、バンパイアを部下のように扱っていたのに、自分はそんな下等種族じゃないと言ったんだ。それにおかしい事もあった」
「なにがあったんだ?」
「魔物なのに会話をするという事さ……バンパイアクイーンと言うのは会話が出来るのか?俺は、そんな魔物を見たことがねえ。お前なら長い間冒険者をやってきていただろ?そんな魔物に会ったことはないか?」
「たしかに、そんな魔物は俺もあった事が無いな……しかし、災害級のドラゴン等は人の言葉をしゃべるというのを聞いたことがある」
「とにかく、俺達ではあのダンジョンは無理というのが結論だ。俺達は、明日の朝いちばんでローディスの町へ、この事を報告しに帰還する」
「今度は騎士団がやって来るという事なのか?」
「ああ……今回、Sランクの冒険者が犠牲になったとなれば、ここのダンジョンはSランクと認定されるだろう。そうなれば騎士団の駐屯地がダンジョン前に設置されるはずだ」
「そ、そんな……」
「お前も覚悟しておいた方がいいぞ?この村とローディスの町は、騎士団管轄になるはずだからな。いやだったら、この村から出る事をお勧めする。俺達はこの事を報告しないといけないからな」
ルーデンスは、引退後に余生をこの村でのんびり過ごす為に、引退前から色んな準備をしてきて生活をしていたのに、それがあのようなダンジョンが出来たことで全てが狂ってしまったのだ。
そして、騎士団がここに来るとなったら、騎士団の為の村になり今までのような、のんびりした生活ではなくなり色んな物資を運んだり、食料を騎士団の分も作っていかなくなるのである。
自分達の生活は後回しにしてでも、ダンジョンの警護する騎士団を第一に考えなくてはいかなくなるのである。
次の日、冒険者達はローディスの町へと帰っていった。そして、それと同じようにルーデンスも、この村から姿を消したのだった。
そして、この事を重く見たギルドは、ようやく国への申告を決めたのだった。ローディスの町の冒険者ギルドのギルドマスターは、現場の報告を軽視した為、Sランク冒険者に多大な犠牲者を出したことの責任を取らされ、ギルド
から損害賠償を請求され借金奴隷に落とされる事になった。
そして、1ヶ月後には国はその報告を受けて、モーレンの村に騎士団を派遣することになった。
そのころ、マサルは女神からの交信があった。ようやく、女神達に神気が回復したのである。
「マサルさん!マサルさん、起きてください!」
「んっ……」
目覚めたマサルの前には、女神3柱が立っていた。
「マサルさん起きましたね」
「えっ?また神界に来たのか?」
「いえ、夢の中にいます。今回は、マサルさんに少し警告をしに来ました。この二人は、わたしの妹のマリンとシルビアと言います」
「「初めまして!」」
「シルビアと言います」
「マリンと言います」
「それはご丁寧にありがとうございます。それで忠告と言うのは、どういう意味でしょうか?やっぱりダンジョンマスターになったのはまずかったのでしょうか?」
「そんなに慌てないでください!ダンジョンマスターになった事を咎めに来たわけじゃありません」
それを聞き、マサルはホッとため息をついたのだった。
「それではなんでまた、僕に会いに来たのですか?」
「マサルさんが、ダンジョンマスターとなり何をするつもりなのか聞きに来たのですよ。事によっては、マサルさんの行動を止めないといけなくなるのです」
「どういう事ですか?」
女神エステは、少し考えこんだような感じで、マサルに尋ねた。
「マサルさんは、地上征服とかするつもりはないですよね?」
「そんな事するわけないじゃないですか!」
マサルは、女神が何でそんな事言うのか理解できなかった。
「そ、そうですか……それならよかったです」
女神たちは、ホッとしたような表情になり、マサルに笑顔を見せたのだった。
「反対に聞きますが、何でそう思ったのですか?」
「当たり前じゃないですか。ソフィアやルナを殺されたうえに、ダンジョンマスターとなってあんなとんでのなく強力な魔物を生み出したのですから、地上をどのようにするのか不安になったのですよ」
「ですが、僕は殺されかけたのですよ?」
「ですから、それを自衛することについては何の問題はないという事です。ですが、それを仕返しと言って国を滅ぼすとなれば、話は違ってきます」
「僕もそんなことは考えませんよ。だけど、今度は王国の騎士団が僕の生活を壊しに来るんです」
「ええ!分かっています。だから、それを自衛することに関してはマサルさんの自由ですよ」
「と言う事は、もし仮にそれが続く事になっても、僕は王国には手出ししてはいけないという事でしょうか?」
「それは、マサルさんの判断に任せます。何事もやりすぎは反感を買うという事を、わたしは言っているのですよ」
「それはどういう事でしょうか?」
「つまりですね。騎士団が動いたからと言って、マサルさんが王都に攻め込んだ場合、罪のない平民達まで滅ぼすなと言っているのです」
「そ、それは……」
「王族や貴族だけを滅ぼすのなら、違う土地に移り住んで人間社会は継続していきます。ですが、そんなことは無理でしょ?」
「それは無理ですね……」
「そうなるとマサルさんは国を滅ぼす事になります。そうなるとどうなると思いますか?」
「ひょっとして女神様が何かするおつもりですか?」
「私達は何もしません。と言うより何もできません」
「えっ?だったら何でこうして、僕に会いに来たのですか?」
「だから、言っているではありませんか。忠告を入れに来たと……」
「言っている意味が分からないなあ……」
「つまりですね。マサルさんが、やり過ぎると必ずと言って対抗勢力が生まれると言う事です。この世界は均衡する様に創造されているのです。マサルさんも地球でどう感じていましたか?」
「地球でですか?」
「数万年前、白亜紀とされた時代、地球ではどのような生物が絶滅しましたか?また、マサルさんが生きていた地球では、人類は温暖化という問題でどうなっていましたか?」
「あっ……」
「そうです均衡と言うものが働き、一強と言う者が絶滅してきたといえます。当然ですが、この世界エルドニアにもそれと似たような事が起こります」
「それっていったい……」
「マサルさんが、地上の征服をしようというものなら、それはマサルさんが魔王となり、それを阻止する者が誕生するという事です」
「まさか勇者とか言うんじゃ……」
「はい。その通りです。だから、ちゃんとダンジョンの管理はしてもらいたいのです」
「ダンジョンの管理?」
「スタンピードを起こらない様にしていただきたいのですよ。大抵は、ダンジョンマスターを討伐してしまったダンジョンが引き起こす現象なんです」
「だったら人間達は、自分で自分の首を絞めている事なんじゃ……」
「そのとおりです。なかにはダンジョンマスターが、この世界には人類はいらない存在だと思い込んでしまって、人間を絶滅させようと魔王になってしまった事例もあるのですが、そうなると勇者が誕生しダンジョンマスターが討伐されることになるのです」
「それって……このシステム自体が破たんしているんじゃ……」
「しかし、ダンジョンが無ければ人間はものすごいスピードで繁殖をして、頂点に立つことになるでしょう」
「なるほどなあ……」
「納得して頂けましたか?」
「まあ、分かりました。女神様はその辺を心配してくれて、僕に会いに来てくれたのですね。僕はこういう性格ですし、まず余程の事が無い限り、地上を滅ぼそうという発想は出ませんから安心してください」
「それを聞けて良かったです」
マサルは、女神の言われたようにダンジョンを管理して、スタンピードを起こさせない様に頑張ろうと思った。これはマサル性格だから、女神の話はスムーズに受け入れられたのだろう。
「それじゃ時間が来ましたので失礼します」
「わかったよ。女神様もお元気で」
マサルがそう言うと、女神の姿スーッと消えて行き、マサルは目を覚ます事になった。
「マスターおはようございます」
「ああ!おはよう。オーブちょっといいか?」
「なんでしょうか?」
「さっき女神様が夢の中に現れたよ」
「えっ?それでなんと?」
「女神様はこれから人間達がここに押し寄せてくると言っていたよ。僕がダンジョンマスターになって悪かったな。謝罪するよ……」
「何を言っているのですか?確かに最初、わたしはマスターこの部屋に入る事を拒みましたが、今は感謝しているぐらいですよ」
「だが、錬金術師の僕がここに逃げ込んだことで、このダンジョンは人間達から要注意ダンジョンとして認定されてしまった……」
「それは謝罪する意味がありませんよ。本来ダンジョンは種族一強にならない為のものです。マスターがダンジョンマスターにならなくても、ダンジョンは人間達の間では厄介なものですからね」
「だけど、僕がダンジョンマスターになった事で、こんなに早く目をつけられてしまっただろ?」
「だけど、マスターがダンジョンに来てくれたおかげで、こんなにも強固なダンジョンへと成長しました。これで私は封印される事もないし、ダンジョンとしての役目を全うできるのです。だから、マスターが謝罪する必要はどこにもないのですよ」
「ああ、その辺も女神様から聞いたよ。そのことで、ダンジョンをもうちょっと変更しようと思う」
「どういうことですか?」
「このままではこのダンジョンには、多分人がこなくなるだろう!そうなれば、魔物を討伐する人間が来なくなるという事だ」
「なるほど」
「つまり、僕達は一階層を見直さなければいけないと思う。今まで追われる立場だけを考えたんだが、迎え撃つ形にしないといけない事になる」
「ふむふむ」
「つまり、3階層ぐらいまでは緩いダンジョンにしようと思う」
「そんな事をすれば!人間達が……」
「だから、人間達が来るようにしなくてはいけないんだよ。そして、階層を10階層まで増やし、4階層から難しくするつもりだ」
「なるほど!」
マサルは、女神の言う様にダンジョン内を変えていき、3階層のボス部屋までは、普通の冒険者でも行動できるように変革していくのだった。
「どうだった?」
「ルーデンス!あのダンジョンは一体なんなのだ?どうだったも何も、あのダンジョンはどうにもならん!」
「どういうことだ?」
「Sランクの冒険者が半分近く帰ってこなかった……」
「何だと……」
「俺達は、ただ単に運が良かっただけだ……2階層に到達できなかっただけで、到達出来ていたらドラゴンの咆哮みたいに……」
「ドラゴンの咆哮が犠牲になったのか?」
「それだけじゃない!有名どころは全てあのダンジョンの犠牲に……」
「2階層で全滅したというのか?」
「ああ……あの女が言っていた」
「あの女?」
「バンパイアクイーンだ……」
「バンパイアクイーンだと?そんな魔物が出現したというのか?」
「だが、あの女は自分はそんな下等種族では無いと言ったんだ……」
「どういう事だ?」
「たしかに、バンパイアを部下のように扱っていたのに、自分はそんな下等種族じゃないと言ったんだ。それにおかしい事もあった」
「なにがあったんだ?」
「魔物なのに会話をするという事さ……バンパイアクイーンと言うのは会話が出来るのか?俺は、そんな魔物を見たことがねえ。お前なら長い間冒険者をやってきていただろ?そんな魔物に会ったことはないか?」
「たしかに、そんな魔物は俺もあった事が無いな……しかし、災害級のドラゴン等は人の言葉をしゃべるというのを聞いたことがある」
「とにかく、俺達ではあのダンジョンは無理というのが結論だ。俺達は、明日の朝いちばんでローディスの町へ、この事を報告しに帰還する」
「今度は騎士団がやって来るという事なのか?」
「ああ……今回、Sランクの冒険者が犠牲になったとなれば、ここのダンジョンはSランクと認定されるだろう。そうなれば騎士団の駐屯地がダンジョン前に設置されるはずだ」
「そ、そんな……」
「お前も覚悟しておいた方がいいぞ?この村とローディスの町は、騎士団管轄になるはずだからな。いやだったら、この村から出る事をお勧めする。俺達はこの事を報告しないといけないからな」
ルーデンスは、引退後に余生をこの村でのんびり過ごす為に、引退前から色んな準備をしてきて生活をしていたのに、それがあのようなダンジョンが出来たことで全てが狂ってしまったのだ。
そして、騎士団がここに来るとなったら、騎士団の為の村になり今までのような、のんびりした生活ではなくなり色んな物資を運んだり、食料を騎士団の分も作っていかなくなるのである。
自分達の生活は後回しにしてでも、ダンジョンの警護する騎士団を第一に考えなくてはいかなくなるのである。
次の日、冒険者達はローディスの町へと帰っていった。そして、それと同じようにルーデンスも、この村から姿を消したのだった。
そして、この事を重く見たギルドは、ようやく国への申告を決めたのだった。ローディスの町の冒険者ギルドのギルドマスターは、現場の報告を軽視した為、Sランク冒険者に多大な犠牲者を出したことの責任を取らされ、ギルド
から損害賠償を請求され借金奴隷に落とされる事になった。
そして、1ヶ月後には国はその報告を受けて、モーレンの村に騎士団を派遣することになった。
そのころ、マサルは女神からの交信があった。ようやく、女神達に神気が回復したのである。
「マサルさん!マサルさん、起きてください!」
「んっ……」
目覚めたマサルの前には、女神3柱が立っていた。
「マサルさん起きましたね」
「えっ?また神界に来たのか?」
「いえ、夢の中にいます。今回は、マサルさんに少し警告をしに来ました。この二人は、わたしの妹のマリンとシルビアと言います」
「「初めまして!」」
「シルビアと言います」
「マリンと言います」
「それはご丁寧にありがとうございます。それで忠告と言うのは、どういう意味でしょうか?やっぱりダンジョンマスターになったのはまずかったのでしょうか?」
「そんなに慌てないでください!ダンジョンマスターになった事を咎めに来たわけじゃありません」
それを聞き、マサルはホッとため息をついたのだった。
「それではなんでまた、僕に会いに来たのですか?」
「マサルさんが、ダンジョンマスターとなり何をするつもりなのか聞きに来たのですよ。事によっては、マサルさんの行動を止めないといけなくなるのです」
「どういう事ですか?」
女神エステは、少し考えこんだような感じで、マサルに尋ねた。
「マサルさんは、地上征服とかするつもりはないですよね?」
「そんな事するわけないじゃないですか!」
マサルは、女神が何でそんな事言うのか理解できなかった。
「そ、そうですか……それならよかったです」
女神たちは、ホッとしたような表情になり、マサルに笑顔を見せたのだった。
「反対に聞きますが、何でそう思ったのですか?」
「当たり前じゃないですか。ソフィアやルナを殺されたうえに、ダンジョンマスターとなってあんなとんでのなく強力な魔物を生み出したのですから、地上をどのようにするのか不安になったのですよ」
「ですが、僕は殺されかけたのですよ?」
「ですから、それを自衛することについては何の問題はないという事です。ですが、それを仕返しと言って国を滅ぼすとなれば、話は違ってきます」
「僕もそんなことは考えませんよ。だけど、今度は王国の騎士団が僕の生活を壊しに来るんです」
「ええ!分かっています。だから、それを自衛することに関してはマサルさんの自由ですよ」
「と言う事は、もし仮にそれが続く事になっても、僕は王国には手出ししてはいけないという事でしょうか?」
「それは、マサルさんの判断に任せます。何事もやりすぎは反感を買うという事を、わたしは言っているのですよ」
「それはどういう事でしょうか?」
「つまりですね。騎士団が動いたからと言って、マサルさんが王都に攻め込んだ場合、罪のない平民達まで滅ぼすなと言っているのです」
「そ、それは……」
「王族や貴族だけを滅ぼすのなら、違う土地に移り住んで人間社会は継続していきます。ですが、そんなことは無理でしょ?」
「それは無理ですね……」
「そうなるとマサルさんは国を滅ぼす事になります。そうなるとどうなると思いますか?」
「ひょっとして女神様が何かするおつもりですか?」
「私達は何もしません。と言うより何もできません」
「えっ?だったら何でこうして、僕に会いに来たのですか?」
「だから、言っているではありませんか。忠告を入れに来たと……」
「言っている意味が分からないなあ……」
「つまりですね。マサルさんが、やり過ぎると必ずと言って対抗勢力が生まれると言う事です。この世界は均衡する様に創造されているのです。マサルさんも地球でどう感じていましたか?」
「地球でですか?」
「数万年前、白亜紀とされた時代、地球ではどのような生物が絶滅しましたか?また、マサルさんが生きていた地球では、人類は温暖化という問題でどうなっていましたか?」
「あっ……」
「そうです均衡と言うものが働き、一強と言う者が絶滅してきたといえます。当然ですが、この世界エルドニアにもそれと似たような事が起こります」
「それっていったい……」
「マサルさんが、地上の征服をしようというものなら、それはマサルさんが魔王となり、それを阻止する者が誕生するという事です」
「まさか勇者とか言うんじゃ……」
「はい。その通りです。だから、ちゃんとダンジョンの管理はしてもらいたいのです」
「ダンジョンの管理?」
「スタンピードを起こらない様にしていただきたいのですよ。大抵は、ダンジョンマスターを討伐してしまったダンジョンが引き起こす現象なんです」
「だったら人間達は、自分で自分の首を絞めている事なんじゃ……」
「そのとおりです。なかにはダンジョンマスターが、この世界には人類はいらない存在だと思い込んでしまって、人間を絶滅させようと魔王になってしまった事例もあるのですが、そうなると勇者が誕生しダンジョンマスターが討伐されることになるのです」
「それって……このシステム自体が破たんしているんじゃ……」
「しかし、ダンジョンが無ければ人間はものすごいスピードで繁殖をして、頂点に立つことになるでしょう」
「なるほどなあ……」
「納得して頂けましたか?」
「まあ、分かりました。女神様はその辺を心配してくれて、僕に会いに来てくれたのですね。僕はこういう性格ですし、まず余程の事が無い限り、地上を滅ぼそうという発想は出ませんから安心してください」
「それを聞けて良かったです」
マサルは、女神の言われたようにダンジョンを管理して、スタンピードを起こさせない様に頑張ろうと思った。これはマサル性格だから、女神の話はスムーズに受け入れられたのだろう。
「それじゃ時間が来ましたので失礼します」
「わかったよ。女神様もお元気で」
マサルがそう言うと、女神の姿スーッと消えて行き、マサルは目を覚ます事になった。
「マスターおはようございます」
「ああ!おはよう。オーブちょっといいか?」
「なんでしょうか?」
「さっき女神様が夢の中に現れたよ」
「えっ?それでなんと?」
「女神様はこれから人間達がここに押し寄せてくると言っていたよ。僕がダンジョンマスターになって悪かったな。謝罪するよ……」
「何を言っているのですか?確かに最初、わたしはマスターこの部屋に入る事を拒みましたが、今は感謝しているぐらいですよ」
「だが、錬金術師の僕がここに逃げ込んだことで、このダンジョンは人間達から要注意ダンジョンとして認定されてしまった……」
「それは謝罪する意味がありませんよ。本来ダンジョンは種族一強にならない為のものです。マスターがダンジョンマスターにならなくても、ダンジョンは人間達の間では厄介なものですからね」
「だけど、僕がダンジョンマスターになった事で、こんなに早く目をつけられてしまっただろ?」
「だけど、マスターがダンジョンに来てくれたおかげで、こんなにも強固なダンジョンへと成長しました。これで私は封印される事もないし、ダンジョンとしての役目を全うできるのです。だから、マスターが謝罪する必要はどこにもないのですよ」
「ああ、その辺も女神様から聞いたよ。そのことで、ダンジョンをもうちょっと変更しようと思う」
「どういうことですか?」
「このままではこのダンジョンには、多分人がこなくなるだろう!そうなれば、魔物を討伐する人間が来なくなるという事だ」
「なるほど」
「つまり、僕達は一階層を見直さなければいけないと思う。今まで追われる立場だけを考えたんだが、迎え撃つ形にしないといけない事になる」
「ふむふむ」
「つまり、3階層ぐらいまでは緩いダンジョンにしようと思う」
「そんな事をすれば!人間達が……」
「だから、人間達が来るようにしなくてはいけないんだよ。そして、階層を10階層まで増やし、4階層から難しくするつもりだ」
「なるほど!」
マサルは、女神の言う様にダンジョン内を変えていき、3階層のボス部屋までは、普通の冒険者でも行動できるように変革していくのだった。
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