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30話 新たな仲間
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カグヤは、ダンジョン前に置き去りになっていたテントや雑貨を、バンパイア達にダンジョンの入り口に放置する様に指示を出し、マサルのいる最深部の部屋に戻ってきた。
「カグヤ、ご苦労様。よく頑張ったね」
「主様、勿体ないお言葉です」
「いや、そんなかしこまらなくてもいいよ。もっと普通にしてよ」
「そんなことできるわけありません。わたしも、主様の駒の一つとして扱ってくれたらいいのです」
「何言ってんだよ。カグヤはこうして話し合えるんだよ。それにここにいる魔物だってダンジョンを守ってくれる。僕に取ったら大事な仲間だよ」
「ありがとうございます」
「徐々にでいいから、もっとうちとけてくれると嬉しい」
「わかりました。善処させていただきます。話は変わりますがよろしいですか?」
「なにかあった?」
「冒険者達の事です。今回、表に残っていたのは役に立たなそうな人間ばかりで、返品した冒険者はあの者達を残して撤退していました」
「うんうん。それでいいんだよ」
「ですが、全滅させた方が情報は外に出なかったのでは?」
「そういう考え方もあるとは思うけど、戦意喪失した者まで命を取らなくともいいと思うんだ」
「ほんと、主様はお優しい方なんですね」
「いや……ただ臆病なだけだよ……」
「「そんな事ないです!」」
真っ先に否定したのは、ソフィアとルナだった。
「いや、そんなことあるよ。命を狙われそうになったけど、僕は逃げているだけなのは事実だし、今回もカグヤに守ってもらっていただろ?」
「それは違います!ご主人様がいるからこそ、カグヤも率先して動いてくれるのです。ご主人様が、ダンジョンマスターにならなければ、カグヤもこの世に生まれていないのですよ?」
「ソフィアの言う通りですよ。ご主人様がいなかったら、あたしだって今頃は奴隷商店にいたままだったかもしれないのですよ?」
「そうです。ルナの言う通り、わたし達は今だ奴隷商人の所にいたのかもしれません。それに、ご主人様はわたし達を蘇生してくれたのです。こんな事は、こんな事は他の誰も真似のできない事なんです」
「まあ、錬金術師だからな。戦えないから、そういう事だけでも役に立たないとな……」
「ご主人様、他の誰も出来ない事を、そんな事と言うのはおかしいです。それに、ご主人様はダンジョンマスターなんですよ?」
「それがどうかしたのか?」
「ダンジョンマスターは、普通矢面に立って戦うものじゃないですよ。だから、ご主人様の行動は普通の事であって臆病とかではないんです。戦闘は魔物やわたし達に任せてくれたらいいんですよ」
「そうです、主様。これは適材適所というものです」
「みんな、ありがとね。じゃあ、僕はその適材適所をがんばるとするよ」
マサルは、みんなが自分の事をフォローしてくれた事が嬉しかった。その様子を見た3人はマサルの気持ちが前向きになった事が嬉しくて微笑むのだった。
そして、マサルはガチャで引いたAランクの魔物の2匹を目の前にして、合成をしてもいいかと承諾を得ていた。
その魔物は、ウィングタイガーで羽の生えた虎型のモンスターと風の精霊だった。
「申し訳ないが、君達を合成してもいいかな?」
ウィングタイガーと風の精霊は、マサルの言う事に頷き頭を垂れた。
「マスター?なぜ、その2体を合成するのですか?その2体は単体でも、かなり強い仲間ですよ?」
「多分、この二人を合成することで頼りになる仲間が生まれると思うよ」
「カグヤのような魔物が生まれるというのですか?」
「ああ!間違いなくカグヤのような仲間が生まれると思うよ」
「わ、わかりました。マスターがそう言うのなら……」
マサルは、ウィングタイガーと風の精霊の合成を行った。すると、オーブの中に入った2体は光に包まれ、虹色に輝いたのだった。
「ど、どういう事……」
オーブは、カグヤの時も驚いたのだった。合成をするたびに虹色に輝くからだ。普通はそんな風に輝かないから、オーブは今回も何か違う魔物が生まれると思った。
生まれたのは、またもや女性と言うより女の子が、その場所に現れたのだった。しかし、今回は虎獣人なのは見てわかった。
「き、君は?」
「あたしか?あたしはなんだ?よくわからないが、なんでここにいるんだ?」
「君は僕が生み出した魔物のはずだったんだが、何で喋れるんだ?オーブ、この合成ってシステムはこれが普通なのか?」
「いえ、これは多分マスターが行っているせいで、普通とは何かが違います」
「はぁ?僕のせいで何が違う?」
「はい……カグヤの時もそうだったのですが、普通は合成時にあのように虹色に輝いたりはしないのです」
「ま、まじか……」
「はい……それで私なりに考えたのですが、ひょっとしたら錬金術が作用しているのではないのかと?」
「どういう事?」
「錬金術とは、物と物を掛け合わす事で、別のアイテムを生み出す技術があると思いますが、その作用がこの合成でも働いているのかと……」
「そうなのか?」
「いえ……あくまでも、わたしの想像の事であり、確信があるわけではありません」
「そ、そうか……」
「じゃあ、君」
「なんだ?」
「君が何者か調べたいから、鑑定をさせてもらってもいいかな?」
「いいよ。あんたがあたしを生み出したのなら、あたしはあんたに従うよ」
「そ、そっか。ありがとう」
マサルはその女の子を鑑定した。カグヤの時は吸血姫と出たが、今回はSSSランク王琥と出たのだ。
「王琥ってなんだ?」
「あたしだって知らない」
「マスター……ちょっとよろしいですか?」
「何か知っているのか?」
「多分なのですが、精霊神聖獣じゃないかと……」
「それってどういったものなの?」
「風の精霊獣……白虎ですよ」
「それってどういった魔物なんだ?」
「いやいやいや!魔物とかの次元じゃありませんよ!神聖獣と言って、風の大精霊シルフに仕える精霊の門番と言われる精霊獣です」
「まさか?この女の子がそんな凄い神聖獣というのか?」
「ですが、マスターは合成した魔物の事を思い出してください。風属性のウィングタイガーと風の精霊を合成したではありませんか」
「だけど、風の精霊界を守る門番を生み出したというのか?そういうのって唯一無二の存在とかじゃないの?」
「それはそうかもしれませんが、実際鑑定でSSSランクと出ているではありませんか?」
王琥は、きょとんとした表情でマサルを見ていた。そして、マサルの顔を見て、ニコニコ笑ったのだった。
「ねえ、お兄ちゃん。お腹減ったんだけど何か食べるものないの?」
王琥は、マサルに食べ物をねだってきたのだった。王琥の見た目は、中学一年生ぐらいで、ショートカットに小さな耳がぴょこぴょこ動き、髪の色も真っ白でところどころ黒のメッシュが入った、可愛らしい女の子だった。
「お腹減ったのか?」
「うん。何でもいいから食べさせてよ」
「ソフィア、何でもいいからこの子に料理を作ってあげてくれないか?」
「は、はい!わかりました」
「ねえ!」
「うん?なんだい?」
「あたしも!」
「あたしもって何?」
「うううううう!」
「あたしも!」
王琥は、なにやら地団駄踏んで、マサルに何かを訴えていた。
「ひょっとして……」
「カグヤ何かわかるのか?」
「主様、その子は名前が欲しいんじゃないでしょうか?」
「そ、それ!」
王琥は、カグヤの言葉に反応して指をさしたのだった。
「確かに、これから一緒なのに君じゃ寂しいよな……」
「あんたはなんて言うの?」
「僕は、マサルと言うんだ。よろしくね」
「よろしく」
王琥は、手を差し出して握手を求めてきた。マサルはその手を握り、考え込んで一言いった。
「ビャクヤ、これからよろしくね」
「ビャクヤ……」
「ああ!君の髪の色は真っ白で綺麗だから。そして、カグヤの妹のような存在であるようにビャクヤでどうかな?」
ビャクヤは、マサルにそう呼ばれてニコーっと笑みをうがべ、マサルに抱きついたのだった。
「ビャクヤ!気に入った。あたしはこれからビャクヤ!」
そういうと、ビャクヤの身体は光り輝き、マサルの眷族となりSSSランクからEXランクへと昇華した。
「カグヤ、ご苦労様。よく頑張ったね」
「主様、勿体ないお言葉です」
「いや、そんなかしこまらなくてもいいよ。もっと普通にしてよ」
「そんなことできるわけありません。わたしも、主様の駒の一つとして扱ってくれたらいいのです」
「何言ってんだよ。カグヤはこうして話し合えるんだよ。それにここにいる魔物だってダンジョンを守ってくれる。僕に取ったら大事な仲間だよ」
「ありがとうございます」
「徐々にでいいから、もっとうちとけてくれると嬉しい」
「わかりました。善処させていただきます。話は変わりますがよろしいですか?」
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「ですが、全滅させた方が情報は外に出なかったのでは?」
「そういう考え方もあるとは思うけど、戦意喪失した者まで命を取らなくともいいと思うんだ」
「ほんと、主様はお優しい方なんですね」
「いや……ただ臆病なだけだよ……」
「「そんな事ないです!」」
真っ先に否定したのは、ソフィアとルナだった。
「いや、そんなことあるよ。命を狙われそうになったけど、僕は逃げているだけなのは事実だし、今回もカグヤに守ってもらっていただろ?」
「それは違います!ご主人様がいるからこそ、カグヤも率先して動いてくれるのです。ご主人様が、ダンジョンマスターにならなければ、カグヤもこの世に生まれていないのですよ?」
「ソフィアの言う通りですよ。ご主人様がいなかったら、あたしだって今頃は奴隷商店にいたままだったかもしれないのですよ?」
「そうです。ルナの言う通り、わたし達は今だ奴隷商人の所にいたのかもしれません。それに、ご主人様はわたし達を蘇生してくれたのです。こんな事は、こんな事は他の誰も真似のできない事なんです」
「まあ、錬金術師だからな。戦えないから、そういう事だけでも役に立たないとな……」
「ご主人様、他の誰も出来ない事を、そんな事と言うのはおかしいです。それに、ご主人様はダンジョンマスターなんですよ?」
「それがどうかしたのか?」
「ダンジョンマスターは、普通矢面に立って戦うものじゃないですよ。だから、ご主人様の行動は普通の事であって臆病とかではないんです。戦闘は魔物やわたし達に任せてくれたらいいんですよ」
「そうです、主様。これは適材適所というものです」
「みんな、ありがとね。じゃあ、僕はその適材適所をがんばるとするよ」
マサルは、みんなが自分の事をフォローしてくれた事が嬉しかった。その様子を見た3人はマサルの気持ちが前向きになった事が嬉しくて微笑むのだった。
そして、マサルはガチャで引いたAランクの魔物の2匹を目の前にして、合成をしてもいいかと承諾を得ていた。
その魔物は、ウィングタイガーで羽の生えた虎型のモンスターと風の精霊だった。
「申し訳ないが、君達を合成してもいいかな?」
ウィングタイガーと風の精霊は、マサルの言う事に頷き頭を垂れた。
「マスター?なぜ、その2体を合成するのですか?その2体は単体でも、かなり強い仲間ですよ?」
「多分、この二人を合成することで頼りになる仲間が生まれると思うよ」
「カグヤのような魔物が生まれるというのですか?」
「ああ!間違いなくカグヤのような仲間が生まれると思うよ」
「わ、わかりました。マスターがそう言うのなら……」
マサルは、ウィングタイガーと風の精霊の合成を行った。すると、オーブの中に入った2体は光に包まれ、虹色に輝いたのだった。
「ど、どういう事……」
オーブは、カグヤの時も驚いたのだった。合成をするたびに虹色に輝くからだ。普通はそんな風に輝かないから、オーブは今回も何か違う魔物が生まれると思った。
生まれたのは、またもや女性と言うより女の子が、その場所に現れたのだった。しかし、今回は虎獣人なのは見てわかった。
「き、君は?」
「あたしか?あたしはなんだ?よくわからないが、なんでここにいるんだ?」
「君は僕が生み出した魔物のはずだったんだが、何で喋れるんだ?オーブ、この合成ってシステムはこれが普通なのか?」
「いえ、これは多分マスターが行っているせいで、普通とは何かが違います」
「はぁ?僕のせいで何が違う?」
「はい……カグヤの時もそうだったのですが、普通は合成時にあのように虹色に輝いたりはしないのです」
「ま、まじか……」
「はい……それで私なりに考えたのですが、ひょっとしたら錬金術が作用しているのではないのかと?」
「どういう事?」
「錬金術とは、物と物を掛け合わす事で、別のアイテムを生み出す技術があると思いますが、その作用がこの合成でも働いているのかと……」
「そうなのか?」
「いえ……あくまでも、わたしの想像の事であり、確信があるわけではありません」
「そ、そうか……」
「じゃあ、君」
「なんだ?」
「君が何者か調べたいから、鑑定をさせてもらってもいいかな?」
「いいよ。あんたがあたしを生み出したのなら、あたしはあんたに従うよ」
「そ、そっか。ありがとう」
マサルはその女の子を鑑定した。カグヤの時は吸血姫と出たが、今回はSSSランク王琥と出たのだ。
「王琥ってなんだ?」
「あたしだって知らない」
「マスター……ちょっとよろしいですか?」
「何か知っているのか?」
「多分なのですが、精霊神聖獣じゃないかと……」
「それってどういったものなの?」
「風の精霊獣……白虎ですよ」
「それってどういった魔物なんだ?」
「いやいやいや!魔物とかの次元じゃありませんよ!神聖獣と言って、風の大精霊シルフに仕える精霊の門番と言われる精霊獣です」
「まさか?この女の子がそんな凄い神聖獣というのか?」
「ですが、マスターは合成した魔物の事を思い出してください。風属性のウィングタイガーと風の精霊を合成したではありませんか」
「だけど、風の精霊界を守る門番を生み出したというのか?そういうのって唯一無二の存在とかじゃないの?」
「それはそうかもしれませんが、実際鑑定でSSSランクと出ているではありませんか?」
王琥は、きょとんとした表情でマサルを見ていた。そして、マサルの顔を見て、ニコニコ笑ったのだった。
「ねえ、お兄ちゃん。お腹減ったんだけど何か食べるものないの?」
王琥は、マサルに食べ物をねだってきたのだった。王琥の見た目は、中学一年生ぐらいで、ショートカットに小さな耳がぴょこぴょこ動き、髪の色も真っ白でところどころ黒のメッシュが入った、可愛らしい女の子だった。
「お腹減ったのか?」
「うん。何でもいいから食べさせてよ」
「ソフィア、何でもいいからこの子に料理を作ってあげてくれないか?」
「は、はい!わかりました」
「ねえ!」
「うん?なんだい?」
「あたしも!」
「あたしもって何?」
「うううううう!」
「あたしも!」
王琥は、なにやら地団駄踏んで、マサルに何かを訴えていた。
「ひょっとして……」
「カグヤ何かわかるのか?」
「主様、その子は名前が欲しいんじゃないでしょうか?」
「そ、それ!」
王琥は、カグヤの言葉に反応して指をさしたのだった。
「確かに、これから一緒なのに君じゃ寂しいよな……」
「あんたはなんて言うの?」
「僕は、マサルと言うんだ。よろしくね」
「よろしく」
王琥は、手を差し出して握手を求めてきた。マサルはその手を握り、考え込んで一言いった。
「ビャクヤ、これからよろしくね」
「ビャクヤ……」
「ああ!君の髪の色は真っ白で綺麗だから。そして、カグヤの妹のような存在であるようにビャクヤでどうかな?」
ビャクヤは、マサルにそう呼ばれてニコーっと笑みをうがべ、マサルに抱きついたのだった。
「ビャクヤ!気に入った。あたしはこれからビャクヤ!」
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