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22話 眷族

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 マサルは、月光草と陽光草をすり潰し成分を抽出した。そして、その成分をパーフェクトヒールポーションに混ぜ合わしたのだ。

「マスター?その製法は難しいのでは?」

「そうみたいだね。誰でも出来る物じゃないみたいだよ」

「そうでしょうね……ヒールポーションとして一度出来上がっているものに、もう一度手を加えるだなんて想像もしていませんでした」

「まあ、これが製造方法だからしょうがないよ」

 マサルは、そう言いながら神の涙を作り上げたのだった。そして、神の涙をソフィアとルナに、振りかけたのだった。
 すると2人の遺体は光り輝き矢の傷が塞がり、光が収まると二人はゆっくりと目覚めた。

「んっ……」
「んん……」

「よかった!二人とも!」

 蘇生した二人を見て、マサルはニッコリ笑顔で迎えたのだった。

「えっ!あたしは確か……」

「わたしもあの時……」

「「ご主人様、いったい何をしたのですか?」」

「君達は一回村の狩人達に殺されてしまったんだよ」

「じゃあ、何であたし達は生き返っているんですか?」

「そんなの、僕のポーションで生き返ったに決まっているじゃないか」

「ご主人様は、死者蘇生のポーションが作れるのですか?」

「まあね!」

 マサルは二人からの怒涛の質問に答えていくのだった。

「ご主人様って本当に規格外な存在ですね。蘇生できるなんて、世の中の貴族に知られたら本当に大変な事になりますよ」

「でも、もう大丈夫だよ。生活拠点は確保したからさ。これからは安全に、3人で暮らして行きたいんだけどどうかな?」

「「そういえば、ここはどこなんです?」」

「うん……あれからいろいろあってね。僕もモーレンの人間に追い詰められてね……ここに逃げ込んだんだよ」

「ここはひょっとしてダンジョンの中ですか?」

「うん。そして僕は、ダンジョンマスターになったんだよ」

「「ダ、ダンジョンマスター?ご主人様が?」」

「うん……だけど、僕は何も変わっていないよ?」

「いえ……それは大丈夫です。私達を蘇生してくれただけで、これからもお仕えさせていただきたくおもいます」

「あたしも!ご主人様とこうして又会えたことが嬉しいです」

「そういってくれると僕も嬉しいよ」

「で、ここはどこですか?」

「ダンジョンの最奥にあるダンジョンマスターの部屋だよ」

「それで、ここで生活は出来るのですか?」

「ああ、それは大丈夫だよ」

 マサルは、ソフィアとルナにモーレンの村の近くにできたダンジョンだと説明し、DPさえあれば食材や日用雑貨等手に入らない物はないと説明したのだった。
 今までは、ルナたちが護衛をかって出てくれていたが、ここでは魔物がダンジョンの守りを固めてくれるので、他の町で生活するより断然快適だと説明をしたのだった。

「マスター。ちょっとよろしいですか?」

「「な、何この声は?」」

「二人とも落ち着いて、ダンジョンオーブでここの事を色々サポートしてくれる新しい仲間だよ」

「「ダンジョンオーブって会話できるのですか?」」

「普通は出来ないの?」

「そんな事ないですよ。ダンジョンマスターがいれば会話は出来ます。貴方達は、ダンジョンマスターがいない状態での情報なのでしょうね」

「なるほど……」

「ダンジョンマスターは討伐されて、オーブだけがその場所に封印されて、ダンジョンから生み出される資材だけを産出させるのが地上の人間のやる事ですから……」

 ダンジョン攻略とは、ダンジョンマスターを討伐することを指す。そして、ダンジョンオーブを最下層に封印し、魔物や宝箱ミスリルのような鉱石を、ダンジョン内に生み出させるだけにするのである。
 オーブを封印することで、新たなダンジョンマスターを生み出させない様にするのが目的である。

「話は変わりますが、その二人はそのまま奴隷のままにしておくのは危険と思われます!」

「なっ!わたし達はご主人様を裏切る事などしません!」
「そ、そうよ!この恩は生涯をかけて返すつもりです!」

「オーブ、何でそんな事を?」

「申し訳ありません……言葉足らずでした。そうではなく、もし2人が冒険者の攻撃にあった場合の事を言っています。もし、死んでしまった場合ダンジョンに吸収されると二度と蘇生できなくなってしまうと言っているのです」

「そういう事か……でも、ダンジョン内で死んでしまった場合助かる方法があるというのか?」

「はい。二人には奴隷を辞めてもらい、マスターの眷族になってもらった方が良いと思われます」

「眷族?」

「はい!眷族になる事でソフィアとルナは、ダンジョン内では祝福を受ける事になるのです」

「「祝福ってどういう事?」」

「マスターが生きている限り、ダンジョン内では死ななくなります。しかし、マスターが死んだとき一緒にその寿命が尽きます」

「つまり、ご主人様が生きている限り、ずっとお仕え出来るって事ですか?」

「そういう事になります」

「なります!わたしはご主人様と生きて一緒に死ねるなら本望です!」
「あたしも!殺された時、あんな絶望に思ったことはなかったわ!」

「眷族を勧めたのは私ですが、貴方達は時間の鎖に縛られる事になりますが、本当によろしいですか?」

「時間の鎖ってどういう事なんだ?」

「マスターは、ダンジョンマスターになった事で不老になっています」

「はっ⁉不老って僕は年を取らないのか?」

「ええ!マスターは他人から殺されなければ、永遠ともいえる時間の中で生きることになります。自殺する事も出来ません」

「「ご主人様凄いです!」」

「つまり、眷族となったソフィアとルナも同じように、マスターが死なないかぎり永遠の時間を生きていくことになるのです。そして、祝福をうけた眷族は、もし殺されてもダンジョンには吸収されず、この部屋にテレポートされます」

「それって、生き返るって事?」

「はい!2人には最強の眷族になっていただきたいです」

「オーブ。最強の眷族って、どういうことなんだ?」

「つまり、死なない護衛となるという事です。この祝福は死ななくなるだけではなく、マスターの祝福を受ける事でレベルアップします」

 オーブは3人に分かりやすく説明をした。ルナは元冒険者であり、今までの経験で30レベルある。平均的なレベルだが眷族になる事で、マサルのレベルの50%が上乗せされるという事になるのだ。
 マサルのレベルは302レベルでありその50%、つまり151レベルが上乗せされ、ルナのレベルは181レベルになるのだ。ソフィアもまた、レベルは低いモノの161レベルとなる。

「「そんな事ができるなんて!」」
「あたしなります!」
「わたしも絶対になります」

 ソフィアとルナは、マサルの忠誠心が高い為、断る事など頭になかった。そして、マサルの眷族となったのだ。



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