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16話 ソフィア・ルナ死す
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モーレンの村では、昼過ぎになってようやくマサル達がいない事に気づき、捜索が行われていて大騒ぎになっていた。
「どうじゃ?見つかったか?」
「村長……マサル達は村の中にはもう……」
「ど、どうするのじゃ!このままでは、モーレンの村は領主様になにを言われるかわからんぞ?」
「い、今、ルーデンス達が村の外に捜索しています。時機にいい知らせが……」
「何を呑気な事を!この事が領主様にばれたら、わしは何を言われるか……それだけじゃない。マサルが、領主様の所に行く事であげられる利益がなくなるんだぞ?」
「それって……」
「そうだ。その利益が無くなる責任を取らされる事になるかもしれんのだ!」
村長からの言葉で村人たちは顔が青ざめた。そんな事になれば、村には重税が課せられてもおかしくないのだ。こういった、理不尽な事が起こるのもこの世界には当たり前の事だった。その為、村人はマサル達がいるはずもない村の中を懸命に探し回った。
その頃、ルーデンス達は森の中を捜索していた。
「ま、まさか、マサル達に俺達の考えていることがばれるなんて思いもしなかった……」
「ルーデンス……誰かがばらしたとかないのか?」
「誰がそんな事をするんだ?そんな事をすれば村は廃れていくのが分かっているんだぞ?」
「だが、村の中にはマサルに感謝している人間はたくさんいる。俺も含めてだが……」
「まさか、お前が?」
「いや、自分でそんな事を言うわけないだろ?マサルには悪いが、領主様の所に行って貰わないと……しかし、俺も含めてだが子供が熱を出してうなされた時、病気を治すキュアウーンズのポーションを貰った。これは子を持つ親としては、感謝してもしきれないのは確かな事だよ」
「そ、それは……そうかもしれんが、このままでは村は存続できなくなるかもしれんのだぞ?」
「ああ!分かっている……俺も息子の命を救ってくれた恩人だが、こうして捜索に参加しているんだ……」
村人達は、貴族には逆らえないとばかりに苦渋の選択をして、マサルとソフィアとルナの3名を必死で探していたのだった。
マサルは、とっくに大樹の下にきて姿を現していた。時おり、ウルフやボアがマサルを見つけて襲いかかってきていたが、マサルは魔法で対処して保管庫に収納していた。
「2人共遅いなあ……」
「「ご主人様!」」
「ソフィア、ルナ無事に脱出できたみたいだな」
二人の姿を見て、マサルは二人に抱きつき喜んだ。
「「ちょ、ちょっと……ご主人様」」
「いきなりどうしたのですか?」
「ご、ごめん……2人が無事だったからつい……」
2人は、マサルの気遣いを嬉しく思った。奴隷になって気落ちしたが、マサルに購入してもらい普通の生活をさせてもらい本当に幸せだった。そんな主が、二人は本当にお仕えしないとと言う気持ちが高まったのだ。
「ご主人様、みんな揃った事だし早くこの場を去りましょう!」
「ああ!今度の村では、もっとポーションの効果を落として目立たなくしないとな……」
「ご主人様は優秀ですからね……まさか、村にいてこんなに目立つとは思いもしなかったです」
「本当に悪いね……」
「まあ、ソフィアもそんなこと言わずに、もっと気を楽にしていこうよ。あたし達は、ご主人様と一緒ならどこでもいいでしょ?」
「確かにルナの言う通りね」
ソフィアがニッコリ笑顔を見せたとき、ルナがいきなりソフィアを突きとばしたのだ。
「ソフィア、あぶな!」
「きゃっ!」
「ゥぐっ……」
ソフィアが立っていた場所にルナが立っていたが胸に矢が刺さっていた。
「ルナぁ~~~~~~~!」
それに気づいたマサルは、ルナに駆け寄り抱きしめていた。
「ご、ご主人様……ソフィアと早く逃げて……」
「な、何を言って……」
遠くの方で、村の狩人達がマサルを見つけて矢を放ってきていた。
「いたぞ!マサル達だ!」
「早く、包囲するんだ!」
「奴隷の一人をやった!もう一人の奴隷も用はないからマサルだけ生け捕りにするんだ!」
そんな言葉が聞こえてきて、マサルは頭に血が上ったのだった。なんで、こんなに人の命を簡単に奪えるのかわからなかったのだ。
「ルナぁ~~~~~!何で私を庇ったのよ!」
「ソ、ソフィア……ご、ご主人様をおね……が……」
「「ルナぁ~~~~~!」」
ルナは心臓に矢が刺さり致命傷を負った。ルナはマサルを、ソフィアに託し事切れたのだった。
「ご主人様!早くポーションを飲んで!」
ソフィアは、涙を流しながら予備のインビジビリティーポーションを飲めと、指示を出したのだった。しかし、マサルはルナの事で頭がいっぱいで行動が出来なかったのだ。
これは無理もない事で、マサルは人が殺される所を目の当たりにしたのは初めてだった。
女神エストから、この世界は地球と違って命が軽い世界とは聞いていたが、こんなにも簡単に命を奪われるとは思ってもいなかったのだ。
「ご、ご主人様!いいからこれを飲みなさい!」
ソフィアは、強引にマサルの胸ぐらをつかんで、予備のポーションをマサルに飲ませたのだった。すぐに、マサルの姿は消えて、ソフィアはホッとして笑顔になった。
「ご主人様、わたしの事は気にせず逃げてください」
それだけ言った瞬間、ソフィアのこめかみに矢が刺さった。そして、ソフィアはその場に崩れ落ちたのだった。
「ソフィアぁ~~~~~~~!」
マサルは大声を出したが、帰ってくる言葉はなかった。
「どうじゃ?見つかったか?」
「村長……マサル達は村の中にはもう……」
「ど、どうするのじゃ!このままでは、モーレンの村は領主様になにを言われるかわからんぞ?」
「い、今、ルーデンス達が村の外に捜索しています。時機にいい知らせが……」
「何を呑気な事を!この事が領主様にばれたら、わしは何を言われるか……それだけじゃない。マサルが、領主様の所に行く事であげられる利益がなくなるんだぞ?」
「それって……」
「そうだ。その利益が無くなる責任を取らされる事になるかもしれんのだ!」
村長からの言葉で村人たちは顔が青ざめた。そんな事になれば、村には重税が課せられてもおかしくないのだ。こういった、理不尽な事が起こるのもこの世界には当たり前の事だった。その為、村人はマサル達がいるはずもない村の中を懸命に探し回った。
その頃、ルーデンス達は森の中を捜索していた。
「ま、まさか、マサル達に俺達の考えていることがばれるなんて思いもしなかった……」
「ルーデンス……誰かがばらしたとかないのか?」
「誰がそんな事をするんだ?そんな事をすれば村は廃れていくのが分かっているんだぞ?」
「だが、村の中にはマサルに感謝している人間はたくさんいる。俺も含めてだが……」
「まさか、お前が?」
「いや、自分でそんな事を言うわけないだろ?マサルには悪いが、領主様の所に行って貰わないと……しかし、俺も含めてだが子供が熱を出してうなされた時、病気を治すキュアウーンズのポーションを貰った。これは子を持つ親としては、感謝してもしきれないのは確かな事だよ」
「そ、それは……そうかもしれんが、このままでは村は存続できなくなるかもしれんのだぞ?」
「ああ!分かっている……俺も息子の命を救ってくれた恩人だが、こうして捜索に参加しているんだ……」
村人達は、貴族には逆らえないとばかりに苦渋の選択をして、マサルとソフィアとルナの3名を必死で探していたのだった。
マサルは、とっくに大樹の下にきて姿を現していた。時おり、ウルフやボアがマサルを見つけて襲いかかってきていたが、マサルは魔法で対処して保管庫に収納していた。
「2人共遅いなあ……」
「「ご主人様!」」
「ソフィア、ルナ無事に脱出できたみたいだな」
二人の姿を見て、マサルは二人に抱きつき喜んだ。
「「ちょ、ちょっと……ご主人様」」
「いきなりどうしたのですか?」
「ご、ごめん……2人が無事だったからつい……」
2人は、マサルの気遣いを嬉しく思った。奴隷になって気落ちしたが、マサルに購入してもらい普通の生活をさせてもらい本当に幸せだった。そんな主が、二人は本当にお仕えしないとと言う気持ちが高まったのだ。
「ご主人様、みんな揃った事だし早くこの場を去りましょう!」
「ああ!今度の村では、もっとポーションの効果を落として目立たなくしないとな……」
「ご主人様は優秀ですからね……まさか、村にいてこんなに目立つとは思いもしなかったです」
「本当に悪いね……」
「まあ、ソフィアもそんなこと言わずに、もっと気を楽にしていこうよ。あたし達は、ご主人様と一緒ならどこでもいいでしょ?」
「確かにルナの言う通りね」
ソフィアがニッコリ笑顔を見せたとき、ルナがいきなりソフィアを突きとばしたのだ。
「ソフィア、あぶな!」
「きゃっ!」
「ゥぐっ……」
ソフィアが立っていた場所にルナが立っていたが胸に矢が刺さっていた。
「ルナぁ~~~~~~~!」
それに気づいたマサルは、ルナに駆け寄り抱きしめていた。
「ご、ご主人様……ソフィアと早く逃げて……」
「な、何を言って……」
遠くの方で、村の狩人達がマサルを見つけて矢を放ってきていた。
「いたぞ!マサル達だ!」
「早く、包囲するんだ!」
「奴隷の一人をやった!もう一人の奴隷も用はないからマサルだけ生け捕りにするんだ!」
そんな言葉が聞こえてきて、マサルは頭に血が上ったのだった。なんで、こんなに人の命を簡単に奪えるのかわからなかったのだ。
「ルナぁ~~~~~!何で私を庇ったのよ!」
「ソ、ソフィア……ご、ご主人様をおね……が……」
「「ルナぁ~~~~~!」」
ルナは心臓に矢が刺さり致命傷を負った。ルナはマサルを、ソフィアに託し事切れたのだった。
「ご主人様!早くポーションを飲んで!」
ソフィアは、涙を流しながら予備のインビジビリティーポーションを飲めと、指示を出したのだった。しかし、マサルはルナの事で頭がいっぱいで行動が出来なかったのだ。
これは無理もない事で、マサルは人が殺される所を目の当たりにしたのは初めてだった。
女神エストから、この世界は地球と違って命が軽い世界とは聞いていたが、こんなにも簡単に命を奪われるとは思ってもいなかったのだ。
「ご、ご主人様!いいからこれを飲みなさい!」
ソフィアは、強引にマサルの胸ぐらをつかんで、予備のポーションをマサルに飲ませたのだった。すぐに、マサルの姿は消えて、ソフィアはホッとして笑顔になった。
「ご主人様、わたしの事は気にせず逃げてください」
それだけ言った瞬間、ソフィアのこめかみに矢が刺さった。そして、ソフィアはその場に崩れ落ちたのだった。
「ソフィアぁ~~~~~~~!」
マサルは大声を出したが、帰ってくる言葉はなかった。
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