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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

144話 別れ

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 ジンタンは、数ヶ月間この娼館に通い続けていた。ジンタンはメイドのいう事には耳を貸さず、その日暮らしを謳歌していたのだ。

「支配人、今日も来てやったぞ」

 支配人は、ジンタンの顔を見るとすぐに飛んできて笑顔で揉み手で出迎えたのだった。

「これはジンタン様。いつもありがとうございます」

「ジューンはいるか?」

「はい。ですが、今客の対応をしておりますので、少しお待ちになっていただけますか?」

「なんだと?俺に待ていうのか?」

「申し訳ございません!し、しかし……」

「支配人冗談だよ。そんな焦るんじゃない」

「ジンタン様……ご冗談はおやめください……」

「悪い悪い。あはははは!」

 ジンタンは、いたずらをしてニヤニヤ笑っていたのだ。元貴族にしては少し違う感じであり、支配人は冗談だと言われホッとしたのである。 

「ジンタン様?待ち時間もある事だし、今日は他の女性と遊んでみませんか?」

「いや、俺はジューンがいいな」

「ですが、今お客が入ったばかりなので2時間は待つことになりますし、もし延長という事になれば3時間以上待つことになりますよ?」

「そ、そんなにか?」

「ええ、それにジューンが相手をしている客はいつも、延長をするお客様でして……」

「そ、そうか……時間はあるが、そんなにも待てはしないな……わかった、他の女性を紹介してくれ」

「わかりました!」

 支配人は、笑顔で他の女性を紹介したのだった。支配人にしたら、ジンタンはお得意さまであり他の女性を紹介したら、ジューンよりお気に入りの娼婦が見つかるかもしれないとおもったからだ。ジューンより、お気に入りの女性が見つかれば購入してくれるかもと思っていた。

「今日はよろしくお願いします」

「ああ!よろしくな」

 ジンタンは、2時間娼館で遊んだのだった。今回支配人が紹介した女性も、ここで生まれた女性でまだ若かったのだ。

「ジンタン様、今回の女はいかがでしたか?」

「ああ!よかったよ。次からは違う女性とも遊んでみたくなったよ」

「そうですか。わたくしとしても良かったと思います。またのお越しをお待ちしております」

 ジンタンは、その日も満足して帰っていくのだった。





 それから1時間経って、ジューンと遊んでいた人間が満足したように支配人を呼んだのだった。

「支配人!ちょっといいか?」

「何でございましょうか?」

「あの女、ここで生まれた女だという事は購入は可能か?」

「えっ⁉ジューンの事が気に入ったのですか?」

「ああ!俺の責めに耐えきったのが気に入った。俺の奴隷にしたい」

「えぇえぇ!よろしいでございますよ。これでジューンもここを出ることが出来ますし、ジューンも幸せでしょう」

 支配人は、ジューンが売れたことが嬉しかった。他の女性達も笑顔になったのは言うまでもなかった。ジューンを購入したのは、冒険者のエディンであった。

「ジューン、これからお前の主人はエディン様だ。わかったな?」

「ハアハアハア……」

 ジューンは、エディンに3時間ぶっ通しで責め続けられて、意識が朦朧としていた。

「ジューン、ほら早く立ちなさい。奴隷契約をしなきゃいけないだろ?」

「ちょ、ちょっと待って……はあはあ……足腰が立ちません……」

「何を言っているんだ!」

「支配人、この女は俺に抱かれて気絶してないだけ立派だよ。ちょっとぐらい待つからいいぞ」

「エディン様のご配慮ありがとうございます。ジューンも幸せ者ですよ」

 しかし、ジューンにとっての不幸は始まったばかりだった。そして、ジューンはそのまま、エディンが購入してしまったのだった。




 数日後、娼館にジンタンが遊びにやってきたのだった。

「これはこれはジンタン様、いらっしゃいませ。今日はこの女性なんかいかがでしょうか?」

「あ~いや、今日はジューンにする。ジューンを紹介してほしい」

「えっ?ですがこの間は他の女性もいいなあとおっしゃっていたでは……」

「いいなとは言ったが、この間はジューンと遊べなかったからな。今日はジューンにするよ」

「も、申し訳ございません……ジューンはもういないのです」

「はぁあ?どういう事だ?」

「ジューンはさるお方に気に入られて、奴隷として購入されたのでございます。だから、ここにはもういないのでございます」

「な、なんでだよ!ジューンが購入された?何で売る事が出来るんだよ?」

「ひょっとして、ジンタン様は知らなかったのですか?」

「何をだ!」

「娼館で働く女性達は、2種類いまして犯罪奴隷としてここに来た人間と、犯罪奴隷と客としてきた人の子供の2種類います」

「それは知っている!」

「それで、その子供は犯罪奴隷ではない為、購入することが可能なのですよ」

「そんな事一言も聞いてないぞ?言ってくれれば俺がジューンを購入していた。なぜ言ってくれなかったんだ」

「それはですね。こちらからそれは言えない事が暗黙のルールなのですよ」

「なんでだ?」

「奴隷を売るのは奴隷商と決まっています。ここは娼館であって販売目的の場所ではないからでございます」

「だが、購入していっただろ?」

「ここで生まれた女性の救済処置の一つでありまして、犯罪奴隷でもないのにここで一生を終えるのは可哀想というものでして、それらの女性が気に入ったなら客の方から購入したいと言って頂ければ、購入できるのですよ」

「……だからといって!」

「だから、私はジンタン様にジューンがお気に入りですかと最初聞いたのですよ。しかし、ジンタン様はそんな事より早く案内してくれと申しましたので、だからジューンと遊びたいだけなのかと思ったのです」

 ジンタンは、ここにきて2回目の時に言われた事を思いだした。

「で、では、ジューンを購入した人間を教えてもらえるか?」

「それは無理でございます。こちらとしても信用問題となりますから、絶対にお教えできません」

 支配人は、いくら何でもそんな事は無理だと断ったのだった。

「それに、ジューンは個人の財産となったのです。今更、そのお方が手放すとは思いません。ジンタン様も、ジューンとは縁がなかったと思い、諦めたほうが幸せかと思います」

「……」

「ここには、ジューンだけでなく色んな女性がいます。その女と遊んでみたらいかがですか?ジューンより気に入る女が見つかるかもしれませんし」

「今日は帰る!」

「そ、そうでございますか?」

「たぶん、ここにはもう来ない。今までお世話になったな!」

「そ、そんな……ジンタン様お待ちください!」

 ジンタンは、支配人の手を払い娼館を出たのだった。


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