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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

125話 確保

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 鳳凰騎士団は、水面下で突入の準備をしていた。鳳凰騎士団が町に入ると町の人間が歓声を上げる為、秘密裏に行動をしないと、マリアンヌや子供達に危険が及ぶからである。

「斥侯部隊は精鋭で組み、子供達を守ってくれ!」

「「「「「はっ!」」」」」

「部隊長はローゼリアが頼むぞ!」

「わ、私ですか?」

「当たり前だ!お前が持ってきた情報だ!責任は最後まで取ってもらうのが当たり前だろうが!」

「はい!ありがとうございます!」

 ローゼリアは、ケンジの采配に感謝した。てっきり先行員として、自分の役目は終わったものとばかり思い込んでいたが、子供の安全を守るという最重要な役目を与えてくれたからだ。

「そして、グドン側は第3部隊だ!」

「「「「「はっ!」」」」」

「グレーマン犯罪組織は、第1第2部隊よろしく頼むぞ!」

「必ずや、ご期待にそえる形にしてみせましょう!」

「魔道部隊は結界を張るようによろしく頼むぞ!」

「はい!誰も逃げる事は出来ません!任せておいてください!」

「イチカ達は、マリアンヌと奴隷の確保だ!わかったな?」

「はい!任せておいてください!」

「主!俺達は?」

「マードック達の出撃は今回はないよ?」

「何でだよ!」

「俺が出ないのに、何でお前達が出撃しないといけないんだ?」

「何でって、こんな大掛かりの作戦で俺達がいないなんて今までなかっただろ?」

「マードック、お前は自分の役割を間違ったらダメだぞ?」

「どういうことだよ?」

「システィナ達も出撃するつもりだったのか?」

「当たり前じゃないですか!」

「じゃあ、聞くけどお前達の役割は何だ?」

「そりゃ、ケンジ様の役に立つ事だよ。なあギル?」

「ギルも、そう思っているのか?」

「私は違います」

「ギル!なんでだよ?」

「マードック!お前はもっとちゃんと考えて行動しないといけない。俺達は主の護衛が役目だ!主が出ないのに、俺達が持ち場を離れてどうする?」

「「「「あっ……」」」」

 ギルとセイラは、ちゃんとわかっていたようだった。

「そういうことだ!それに、鳳凰騎士団であるランスロットに任せて問題はない!」

「主君のご期待に応えてみせます!」

「ああ!頼んだぞ!」

 そして、鳳凰騎士団は兵士の恰好で、ムンシャートの町に向かったのだった。

 先に潜入を開始していた斥侯部隊は、次の取引を掴んでいて3日後の5時以降に、マリアンヌが納品を決行すると報告をした。

 その日まで、マリアンヌは耐える日々を送っていた。まさか、マリアンヌは3日後にFreedom国が動くとも思っておらず、生気のない目で日々を頑張っていたのだ。




 3日後、マリアンヌはグドンに、納品を言いつけられた。

「旦那様!私はもう嫌です!これは立派な犯罪です。私はもう耐えられません!」

「何言っていやがる!言う通りにしないと、お前も前の女のようになっても知らんぞ?」

「前の女……?」

「ああ!お前の前にも、納品をしていた女がいたが、お前のように拒否をした。その女どうなったと思う?」

「どうって……」

「ガルドランの親分に、大麻漬けにされて中毒になって死んじまったよ!まあ、俺は直接見た訳じゃないが、お前も同じ目に遭い、子供とはお別れになるのが関の山だな」

「そ、そんな!」

「まあ、子供の事は安心して死んで良いぞ。俺が責任を持って、子供達は育ててやるよ。どう育つかはわからんけどな!ははははははは!」

 グドンは、マリアンヌの不安な顔を見て笑い飛ばしたのである。そして、自分が死んでしまったら、マイクとマリンが不幸になってしまうと思い、絶対に死ねないと思ったのだ。

「ううううう……」

「で、どうする?お前の代わりはいくらでもいるんだ。運び屋を拒否するならそれはそれで構わんよ」

「だ、旦那様……申し訳ございません……わたしに運び屋をさせてください」

「はははは!そうかそうか!やってくれるか?」

「は、はい……」

「次はないぞ?」

 グドンは目つきが鋭くなり、最終忠告をしたのである。



 マリアンヌは、夕方5時になり荷物を受け取り、いつも通りの道順でボロ屋に来たのである。

 取引場であるボロ屋には、ガルドランの奴隷が一人待っていた。

「これが今日の分です!」

「わ、分かりました……すいませんが、今日も一緒に来てください」

 奴隷がそう行った時、ボロ屋の周りにイチカ達が潜んでいて、荷物を受け渡した瞬間、自分達の周りに衛兵が取り囲み大声がしたのだ。

「大麻草の密輸の容疑で逮捕する!皆の者確保!」

「「えっ⁉」」

 その言葉に、奴隷とマリアンヌは顔から血の気が引き、その場から動けなくなったのである。このボロ屋の敷地には結界が張られて、誰も出れなくなっていたのだ。

「な、なに!これは親分に報せないと!」

 闇に潜んで奴隷を見張っていた人間が慌てて、グレーマンのアジトに戻ろうと逃げようとしたが、敷地から出ることが出来なかった。

「な、なにいい!この結界はなんだ?」

 周りに3人の見張りが潜んでいたようだが、誰も逃げることが出来なかった。

「あ奴等も確保だ!」

 この場にいる人間を全員確保したその瞬間、魔道部隊の人間が空中に向けて魔法を放った。

「ファイヤーボール!」

 ファイヤーボールは天高く上がり、空中で爆発し花火のようにあがったのだ。ど~~~~~~~~ん!という爆発音は町中に響き、町の人達は何が起こったのかびっくりしたのだった。

「な、なんだ?今の音は?」
「わからねえ?」
「今の音、何よ?」
「何か向こうの方で火の玉が上がったぞ?」
「何かあったのかしら?
「わからねえ?」

 町の人間が近寄らない外れの地域で、火の玉が上がったと噂が拡がっていたが、町の人間が近寄らない地域は小さい町であっても、治安が悪くて町の人間は気になっても絶対に近寄らないのである。

「そ、そんな……何でここに衛兵が?」

「……」

 マリアンヌは、衛兵がこんなところにいるとは思わなかったので、ただこの現状に意識が追い付かなかったのだ。
 ガルドランの奴隷は、すでに覚悟をしているというか、これで楽になれるといった雰囲気であった。奴隷のまま生きているより処刑された方がいいといった感じだった。



 しかし、マリアンヌは自分が捕まったら子供達がどうなるか?ただ、それだけが心配だったのだ。

「は、はなして!わたしが捕まったら!」

「暴れるな!公務執行妨害で罪が重くなるぞ!」

「い、いやぁ~~~~~~!離して!こ、子供達が!」

 マリアンヌは、涙を流し必死で抵抗したのだった。

「落ち着きなさい!」

「い、いやああああ!わたしが!わたしがいなくなったら、子供達が!」

 マリアンヌは、イチカの言葉が耳に入っていなかった。自分が逮捕されれば子供達はグドンに都合の良いように育てられ、犯罪者になってしまうと必死に抵抗したのだった。

「すまん!」

「うっ!」

 イチカは、悪いと思いながらマリアンヌの腹を殴り気絶させたのである。

「グドンと言う人間、絶対に許さんぞ!」

 母が子供を想う気持ちを利用し、犯罪行為を無理やりやらせていたグドンに、イチカは怒りをあらわにしていた。







 そして、あのファイヤーボールが合図となり、一斉にグドンの店と屋敷、グレーマンのアジトに鳳凰騎士団が一斉に流れ込み、突入を開始したのである。


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