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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

111話 無事に帰還

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 ロイ達は、悪魔の群狼のアジトをくまなく捜索した。どこかに、盗賊の残りが隠れていないか見つけ出そうとしたが、全員を討伐したようだった。

 このアジトには、盗賊達が奪った宝物もいっぱい保管されていた。これらは全部、雷神のメンバーの物になるのだが、雷神のメンバーはケンジの奴隷であるため、このお宝は全部ケンジの物となる。

 そして、今のFreedomでは借金奴隷ならばこの臨時収入は借金返済の金となり、奴隷からの解放の近道にもなるのである。
 本来なら、雷神のメンバーは5人であり、この宝物は5人で割り借金返済の金となるが、雷神のメンバーも奴隷からの解放は拒否している為、この宝物はケンジの物となるのである。

 ロイは全部片づいたので、ハイドとパメラを盗賊のアジトに呼び寄せたのだ。そして、捕虜となっていた女性達に話し始めた。

「貴方達には悪いが、2、3日ここで待機してもらいたい」

「「「「「な、なんでですか?」」」」」

「それは、まだここに帰って来る盗賊達がいるかもしれないからだ!2、3日したら、ここを出発することにするからそれまで我慢して欲しい」

「あの……ざっと100人ほどいるのですが、食事はどうするおつもりですか?」

「大丈夫だ!俺達はマジックバックを持っているから食料も大量に持っているし、100人程度ならここで一ヵ月過ごせるくらいの食料はあるからな!」

「で、ですが……」

「頼む!我慢してくれねえか?盗賊を残したらまた犠牲者が増えるかもしれねえ……それに、もう残りはそんなにいやしねえと思うんだよ」

 女性達は、盗賊達を残す事で自分達のような犠牲者が増えると聞き、ここでの滞在を承諾した。デイニーは盗賊達の死体を焼き払って処分したのである。ただ、ゴンズイーマの首を身分証明として残し、唯一一人だけ盗賊を縛り上げていたのである。

「お前だけは、約束だからな殺さないでいてやる!」

「ありがてえ!」

「その代わり、町に着いたら衛兵にはちゃんと説明をしてもらうからな」

「ああ!それ位なんぼでも証言してやるから安心しな!」

 盗賊は、殺されないだけありがたいと思っていたが、ロイ達はこの盗賊の運命は処刑だと分かっていた。この盗賊団はあまりに酷い集団だったので見つけ次第討伐対象だったのだ。
 つまり、生け捕りで逮捕したところで一切の言い訳は聞かれず、張り付けでされ処刑される運命だったからだ。

「ああ!よろしく頼むぜ」

 そして、ロイ達は残りの盗賊達を退治する為、この洞窟に3泊することになった。そして、その3泊の間に帰って来た盗賊達はロイ達の予想を遥かに超え、3集団で60人にも上った。

 その3集団はやはり、行商人を襲ったのか女子供をさらってきていた。戻って来た盗賊達を退治し、捕虜となっていた人間は150名をゆうに超えたことになった。

「いったいどういう事よ!これ……」

「それほどまでに、この悪魔の群狼の被害が大きかったってことだな」

「ああ!だが、これで悪魔の群狼は壊滅した事だし、この辺りの安全は確保できたんじゃないか?」

「そう思わないとやってられないわ!」

 ロイ達は、そんな話をしながら、女性達を引き連れて町へと帰還したのだった。

 そして、町に帰ると盗賊の一人を衛兵に引き渡し、悪魔の群狼の壊滅を報告。それを聞いた町の人達は喜んだのだった。
 そして、NFGにおもむき悪魔の群狼の統率者は、ゴンズイーマだったと報告したら凄く驚かれたのだった。証拠の首もあり、盗賊の証言もあってとんでもないほどの懸賞金が雷神に手渡されたのである。

 そして、捕虜となっていた女性達は、NFGの窓口に相談したらすぐに就職先を紹介してもらえることになった。
身寄りのない子供達は当然、孤児院への入所手続きが済まされたのである。




 そして、採取士達はロイに話しかけたのである。

「あなた方には、本当になんとお礼を言ったらいいか分かりません……本当にありがとうございます!」

「いいってことよ!俺達は、主の任務を遂行しただけだからさ。あんた達は運が良かっただけだよ」

「いいえ、貴方達がいなかったら、私達はどうなっていたか……」

「まあ、運が良かっただけだよ。それで、話はそれだけじゃないんだろ?」

「はい……私達の話を聞いていただけないでしょうか?」

「まあ、俺達もこの町で滞在しているからな。繊維関係の不足の事は耳にするよ。だが、それは俺達にする話ではないよ」

 ロイの言葉に、採取士達は唖然としてしまった。

「そんな事を言わず話だけでも!」

「待てって!そんな事俺達に言ってもどうしようもないよ。俺達はケンジ様の奴隷だ」

「ですが!」

「最後まで話を聞けって、俺達が君達の雇い主マーレン氏だったよな?その人と、ケンジ様の話し合いの場を用意してもらう。だから、今からマーレン氏と会わせてもらえないか?」

 それを聞き、採取士の女性達はパアっと笑顔になった。そして、もう一人暗く沈んだ女性がいた。この採取士達を護衛していて、唯一生き残った女戦士である。

「えーっと、君はどうする?」

「あの……あたしを雷神のメンバーに加えてもらえないでしょうか?」

「それは無理だ!俺達の任務は今回みたいな事がいや、今回はまだ楽な方だったんだよ。そんな任務に、君のような娘を連れて行っても足手まといになるからな」

「あたし頑張ります!だから……」

「確かに、君のパーティーは君以外全滅してしまったし、頼れるところが無いのはわかる。だがよく考えてくれ」

「あたしどんなこともします!だから……」

「いや……そういう事じゃないんだ!君は忘れているかもしれないが、俺達はケンジ様の奴隷だ。そんなパーティに一般国民の君が入れるわけないだろ?」

「だったら!あたしケンジ様の奴隷になります。だったらいいですよね?」

 そのセリフに、デイニーが怒鳴ったのだった。

「馬鹿な事言ってんじゃないわよ!」

「ひっ!」

「デイニーそんないきなり怒るな!」

「だって……」

「えーっと、君の名前は?」

 ロイ達は、捕虜になっていた女性とあまり係わらないようにしていた。こういう仕事をしていた場合、身寄りを無くした者が雷神に依存して付き纏う傾向がよくあるからだ。

「シェスターです」

「シェスターよく聞いてほしい!俺達は、本当に過酷なミッションを請け負うんだ」

「だから、あたしもがんばります!」

「いや、君が考えているより過酷なんだよ」

「それでも!」

「ロイ!はっきり言ってあげなきゃわかんないわよ!こういう甘ちゃんにはね」

「でも!」

「貴女?護衛やっていた時のパーティーは護衛のないとき何をやっていたの?」

 デイニーは、シェスターにパーティーの内容を聞いた。

「護衛のないときは、中級ダンジョンに向かい20階層で訓練をしていました」

 シェスターは、自慢げにそれを申告してきたのである。

「全然だめね!それじゃ悪魔の群狼に全滅するはずだわ!」

「なっ!」

「私達の訓練場は極級ダンジョンよ!あなたも知っているでしょ?ジーフマウンのふもとにあり、魔の森をこのメンバーだけで訓練しに行くのよ?」

「「「「「そんな!」」」」」」

 これには採取士達も声を出して驚いたのだった。

「わかる?ロイの言った今回は楽な方だと言ったわけが?もし貴女が雷神のメンバーになってもすぐ犠牲になるわ。悪い事は言わないから、そんな無謀な事やめなさい!」

 デイニーは口が悪くて高飛車だが、シェスターの事を想っての事だった。シェスターはどう考えても極級に行けるほどの実力がなかった。頑張ると言っても、どう考えても頑張るの次元が違い過ぎている為、諦めるしかなかったのである。

「分かりました……無理を言って申し訳ありませんでした。そして、今回助けてもらい本当にありがとうございました」

「ああ!」

 ロイ達は、シェスターが納得してくれたことに安堵したのである。そしてシェスターがこの場を離れようとしたの意で、ロイは引き止めてマーレン氏の店へ一緒に行くように忠告したのである。

「さてと!ハイドは、今回の事を主に報告をしてきてくれ」

「わかった!」

「俺達は、マーレン氏の店に行き、主に紹介するぞ」

「ロイ?伝言を頼んできてもらったらいいんじゃないの?」

「デイニー……お前何言ってんだよ?」

「なにって、あたし達もハイドと一緒に本国に帰って、この女性達に任せたらいいじゃないの?」

「ホント、お前はどこか抜けてんだな?」

「何よロイ!そんないいかたしなくたって‼」

「いいか?よく聞けよ?今回繊維が無くなった事は、絶対裏があると考えなきゃいけない」

「だったら、このまま採取士の女性達を単独行動にしちゃいけないんだよ?」

「なんでよ?」
「「「「「なんでですか?」」」」」

 これには、採取士達も驚いた。

「いいか?今回、裏で糸を引いている人物は、君達が町の外に出てから暗殺を企てているはずだ!」

「「「「「えっ⁉」」」」」」

「ただ、今回暗殺をする前に君達が、悪魔の群狼に埒をされたにすぎないと考えるべきだ!」

「「「「「それは本当ですか?」」」」」

「まあ、あくまでも俺の推論に過ぎないけどな!」

「何だ?ロイ!貴方の妄想って訳ね」

「妄想?馬鹿な事を言うなよ!もっと周りに警戒して見ろよ。あっ、貴方達はキョロキョロすんなよ!相手に怪しまれるからな」

 デイニー達、雷神のメンバーは喧騒としている町の中に意識を広げると、たしかに、自分達を監視する視線を感じ取れたのである。

「こ、これって……まさか本当に⁉」

「やっとわかったようだな!まあ、ハイドはさすがと言ったところだな」

「俺を誰だと思っているんだ。雷神の斥侯役だぜ。とっくに気づいていたよ。じゃあ、後は任せたから俺は主にこの事を報告してくるよ」

 ハイドは、そう言い残しスッと姿を消したのである。ロイは、笑顔で女性達をマーレン氏に送り届けるのだった。
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