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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

95話 祝福

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 ムシュダルクは、ケンジに祭典の報告をするのだった。その報告はケンジにとって寝耳に水であり驚く事だった。

「えっ?祭典ってなに?」

「ケンジ様は知らないとは思いますが、今年Freedom国は帝国と王国を吸収し、大陸一の人口を治める領土となりました」

「ああ!そうだな……」

「つまり、来年度からグランパス王国歴1085年から、Freedom統一国家歴元年となるのです!その為の祭典を開催したいと思います」

「はぁあ⁉」

「その昔、グランパス王国に勇者が降臨し、極級ダンジョンに魔王を封印して世の中を救ったとあります」

「ああ!それは聞いたよ」

「その時から、王国には人が集まり大陸一安全な国とされ領土が爆発的に増えたことで人が集まり、その年から王国歴元年とされています」

「ほう!」

「そして、その王国が滅んだ今、Freedom国がそれを名のる事を許されるでしょう」

「だが……そんな余裕がFreedomにあるのか?」

「そこはあれですよ!国民達も賛同してくれるはずです」

「だが、何をするのがベストなんだ?」

「祭典と言っても、要はお祭りですよ。国が来年度にFreedom元年と宣言し、パレードをする感じでいいかと思います。そうすれば国民達は出店など開き、Freedom国を祝福する雰囲気になるかと思います」

「なるほどな……それなら、いう程予算もかからないか」

「そういう事です!」

 Freedomは統一国家となり、国中が祝福ムードになっていた。国民達は、今までにない生活が出来ていたからだ。

「おら、こんな町の賑わい初めてだ!」
「お前はどこの町から来たんだ?」
「おらは帝国領の名もない村からだよ……」
「へえ!俺は王国領のミーズの町からだけどよ。そこも小さな町だったから俺もたまげたわ!」
「あたしも、初めて町の中がこんな清々しいと思ったわよ!」
「確かに全然臭くないよな!」
「おらが驚いたのは井戸の水が凄い楽だ!」
「俺は酒があんな冷えて売られていたのにびっくりしたぜ」

 国民達は、各地域から大きな町に移り住み、生活水準がとんでもない高い事に驚いていたのである。田舎では農業をしていた人間は水の確保で驚き、冒険者達は酒場でのビールやワインが冷えて出てきたことに、目を見開き驚いたのである。
 そして、女性達は銭湯で使う石鹸や下着に驚き、一番ありがたいと思ったのは生理用品だった。そして、移住してきた国民達は難民として、生活援助金を申請し3ヶ月の間に仕事を決めたり農家を始めたりと、生活基盤を整えていった。

 そんな中、Freedom国は統一国家として、来年度のダイヤの月(4月)の1ヶ月間、Freedom国歴元年と宣言したのである。これには国民達は、当然とばかりに国中が盛り上がったのだった。

「ケンジ様、これで国民達はお祝いモードとなり、国を盛り立ててくれると思います」

「確かにそうだな!」

 ここにきてFreedom国は、祝福ムードが高まり町中が活気に盛り上がっていたところに、さらにうれしい事が続いたのだった。
 ケンジとムシュダルク達が、会議をしてい最中にマイがいきなり席を立ち水場に駆けて行くのだった。ケンジは慌てて、マイの後を追い嗚咽するマイの背中をさすったのだった。

「マイ!大丈夫か?調子悪いのなら今日は休め。部屋でゆっくり……」

「だい、大丈夫よ。ちょっと今朝食べたものが……」

 二人は何も気づいていなかったのだ。しかし、ミナレスとミイナは、それに気づき満面の笑顔になっていた。

「「ご主人様!マイ様!おめでとうございます」」

「「はっ?」」
「二人とも何言ってんだ?」

 ミナレスとミイナは、顔を見合わせて更に笑顔になってケンジ達に説明した。そこに心配になって、会議室にいたメンバーもケンジ達の側にやってきたのだった。

「何を言っているのですか!マイ様は多分おめでたですよ」

「へっ?」
「あっ!」

 ケンジは、2人の言葉に変な声がもれた。そして、マイはこの症状は確かにつわりの症状だと思ったのだった。

「マイ?本当に?」

「た、たぶん……」

「本当に俺達の子供かぁ!やったああ~~~!マイありがとな!」

 ケンジは嬉しくて、マイを抱きしめたのだった。マイは、ケンジに抱きしめられて涙を浮かべていた。

 マイは、ケンジを追いこの世界までやってきて、やっと念願叶ったのだった。今までは恋人から夫婦になり、幸せな時間を過ごしていたが、やはりケンジの子供が欲しかったのだが、なかなか授かることが出来なかった。

 これは、ケンジの種族がハイヒューマンだと思っていたから、なかなか授かりにくいのかと思っていた。ケンジもまた、マイの気持ちは分かっていたので、クローティアに聞いたりしていたのだった。
 クローティアの説明では、ハイヒューマンは長命種族の為、確かに子供が授かりにくいと聞いていたのだった。しかし、マイにつわりの症状があることで、二人の子供が授かった事には変わりはなかった。

「ケンジ様!おめでとうございます!マイ様御懐妊おめでとうございます!」

「「ムシュダルクさんありがとう!」」

「「「「「ご主人様!おめでとうございます」」」」」

「みんなもありがとな!」

 セバスやギル達もまた、笑顔で祝福したのだった。

「それにしてもめでたい!Freedom国歴元年に、二人の御子息が誕生なさる!」

 セバスの言葉に、みんな確かにと頷いた。このまま順調に子供が育てば生まれるのは来年になるからだ。そして、マイはミナレス達に安静にするようにと、部屋に連れて行かれたのだった。

「ちょっと、まだ会議の途中で……」

「「ダメでございます!」」
「これからはメイドが就くので、何かあったらメイドに言いつけてください!」

 マイも又、こういった待遇には慣れていなくて、自分の事はなるべく自分でしていたが、子供が授かったのなら話は別になって来る。周りの人間が、Freedom国の後継ぎに何かあったら大変だと思うのは当然の事だった。

 この出来事は、あっという間に国中に拡がったのだった。統一歴元年に、2人の御子息が誕生になり、この国は安泰だとさらに町中活気にあふれたのだ。




 この知らせを聞き、真っ先に二人を祝福に来たのが、メイガン商会会長職を引退したガンスだった。

「がはははは!坊主!よくやったな!本当にめでたい」

「ガンスさんも相変わらず元気ですね」

「当たり前だわい!坊主には世話になりっぱなしだしな。特に貴族達を一掃してくれて、面倒なしがらみがなくなって清々したわい!」

 ガンスは、根っからの行商人で貴族位のおかげで商会は大きくなったが、もっとのびのび商売をしたかったみたいだ。今では、引退し孫との楽しい日々を過ごしているが、いつまでも元気そうでケンジは嬉しそうだった。

「そういえば、学校だがあれは本当に素晴らしいものだな?」

「いきなりどうしたのですか?」

「いやな……今年、孤児院の子供達の何人かは、ムシュダルク殿の下に就いて働いているんだろ?」

「えぇ!そうですね」

「わしはあれを見て、感動したんだよ。まさか孤児院出身の子供が、内政に携わる仕事に就くなんて革命だとな!」

「確かに、今までの常識からして普通じゃないとは思いますけど、子供達の可能性は計り知れないですよ」

「ああ!確かにそうだな……孫のメイも学校に通えるようになったら、本当に将来は商人だけじゃない未来が待っていると思うとワクワクしてな」

「たしかにそうですね。でも、商会の後は継がせないのですか?」

「息子のメイガンも言っておるのだが、メイが他の何かになりたいというのなら、そっちの道に行かせたいと言っておってな。わしとしては少し寂しい気がしておるが、可能性があるのなら好きにさせたいからな」

 ガンスやメイガンも、学校の存在が無ければ商会を継がせるのが普通だと思っていたが、内政に携わることが出来る教育を目にしたため、学校に通わせてることで、メイの無限の可能性を嬉しそうに語っていたのだった。

「確かに、メイちゃんなら色んな可能性があると思いますよ」

 ガンスは、ケンジの言葉を聞き嬉しそうに笑顔となった。

「それはそうと、あの学校だが……」

「学校がどうかしましたか?」

「今はまだ、商人達が目をつけてはいないが、そろそろ勘のいい奴は手を出そうしてくる奴がいると思うぞ」

「どういう事でしょうか?」

「学校があるのは今はまだ、フリーの町だけだろ?」

「ええ!そうですね……まさか?」

「そう!そのまさかだよ」

 ガンスが言うには、他の町で商売として学校を建てる商人が出てくるいうのだ。

「そんなに上手く行くとは?」

「何を言っておる!ここに実績があるじゃないか。親は子供に教育を受けさせたいと思っておる。多少無理をしてもだ」

「た、確かに……」

「しかし、坊主が経営しているのなら心配はないが、世の中には色んな奴がいるから注意しておいた方がいいぞ」

  ガンスは、お祝いを言いに来た事と、そのことをケンジに伝えてきたのだった。 これは、ガンスの持っている商売の勘であり、長年培った嗅覚のようなモノだった。
 この事はムシュダルクに、すぐ報告が行き検討される事になった。ガンスが言うには、学校に入学させたはいいが金はとられ満足のいく教育が受けれなかった場合、その家族は詐欺にあうから形になると言われたのだ。

 そして、フリーの町にある学校は、Freedom国が公認の学校として校章が作られたのだった。これらの校章は、アイリ達細工士が手掛けたものである。細工スキルが120以上の持ち主が手掛けている為、一般の細工士には真似のできない細かな細工が施してあった。
 この校章には防犯ブザーの機能もあり、子供の誘拐に対しての防犯グッズになっていた。

 この事は、国中に報せが入り、いずれ色んな町に国営として学校経営がはじまるとしたのである。その際、Freedom国公認の学校は、校章がありギルドカードのような証明書が発行されるとなったのだ。

 国民達は、その報せを聞き他の経営する学校が出てきても、自己責任という事を知ったのである。ガンスの助言は本当に助かったと、ケンジはガンスにお礼を言ったのだった。実際にもう、他の町に学校らしき建設物が出来ていたのである。その町の人間は、遂にこの町にも学校が出来ると思っていたらしく、心待ちにしていたのだった。

 そこに、国からの報告があり、学校はまだ建てる事が出来ないとあったので、これはおかしいとなったのである。国営の学校は公認バッチがあり、すぐにわかるようになっていたので、怪しいと思った子供の親は、入学の予約をキャンセルしたのは当然の事であった。


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