上 下
546 / 619
第10章 Freedom国、経済の中心へ!

93話 Freedom統一国家始動

しおりを挟む
 ケンジは、Freedomを統一国家とした瞬間、貴族位を無くし全員を国民とし身分の差を無くす事を、国中に発表した。
 これにより、元貴族は今までのような横暴な事をしたら罰せられ、また元平民は調子に乗らないように、他人を思いやれる人間になるようにと説明した。
 ケンジはあくまでも貴族位というシステムがあった為、貴族達は好き勝手出来たと考えていた為、貴族位を無くした今ほとんどの貴族は自重すると考えていた。

 実際の所、今まで横暴に振る舞っていた元貴族の人間は、この国の生活水準の高さに驚き、横暴に振る舞い国外追放になるほうがデメリットが高いと思って、国の方針に従う人間の方が多かったぐらいだ。

 そして、貴族を毛嫌いしていた人間も少なくはなかったが、貴族の横暴な振る舞いが無くなってくるや否や、元平民の人間も安心してきたのだった。

 ただ、貴族達もまた生活があるので、内政の仕事しか今までやってきていなかった為、連日ケンジに貴族ギルドを設立して欲しいという要望がきていたのだ。

 貴族ギルドと言うのは、貴族の人間しか所属できなかったギルドだが、国から貴族ギルドに公共の仕事の依頼が発注され、その依頼を冒険者ギルドや生産ギルドから、冒険者に受注するシステムである。
 依頼内容は、城壁や大通りの整備公衆便所など多岐にわたる依頼だったが、Freedomではギルドに発注し、貴族ギルドのようなものはいらないと何度も説明していた。

「又、要望書がこんなに……」

「ケンジ様、なぜ貴族ギルドのようなものを設立しないのですか?」

「ムシュダルクさんはいると思うのか?」

「貴族ギルドは、中間マージンを取るような施設ですしね。予算は抑えれるかもしれませんね」

「かもしれませんねって……そんな事するなら、初めから依頼料を抑えたらいいし、そんな事したら冒険者や生産者達から不満が出るぞ?」

「そりゃそうでしょうね」

「今、Freedom国の情勢は、色んな場所の建て直しで確かに厳しいかもしれないが、なんとも出来ないわけじゃないだろ?」

「えぇ!鳳凰騎士団が極級ダンジョンの、魔物の間引きと採掘士達が頑張ってくれています」

「そっか!それは良かった」

「それと、ティアナとフィアナのおかげで薬草の栽培が成功し、生産者達はよりやる気になっているようですね」

「どういうことだ?」

「奴隷からの解放を望まなかった者達が、ゴッドオーダーを真剣にこなしているようです。そして、ゴッズなどは出ていない様子ですが、個人的に110や115のパワースクロールを出して、Freedom店の売り上げに貢献しているのですよ」

「な、なるほど!」

「そして、もう一つ大発見がありまして、大工の棟梁のゲンゴなんですが……」

「棟梁がどうかしたのか?」

「ゲンゴなんですが、初心に戻ると言って伐採士を極めると言って、ダンジョン産の木材を使ってゴッドオーダーをしたらしいのです」

「で、なにか起こったのか?」

「出てきたアイテムで伐採の斧と言うアイテムが出たらしいのです。その斧で伐採したら、低確率で材木がレア素材に変化したらしいのですよ」

「なっ⁉そんなアイテムが出たのか?それでレア素材って?」

「なんでもファイアーボードと言う材木で、火に耐性のある材木が取れたらしいのです」

「それって、どういう使い道があるんだ?」

「なんでも、その材木で家を建てる事で、燃える事のない家が建築できるみたいです」

「そいつは凄いな!」

「その材木に火を炙っても、表面が黒く変色するだけで燃えることは無かったそうです」

「へえ!棟梁の奴やるなあ!」

「しかし、ファイアーボードが伐採できる確率は1%ほどなんですが……」

「木を100本伐採して1本の確率か……」

「それはそうなのですが、凄い事なのですよ?」

「あっ、いや馬鹿にしている訳じゃないよ」

「わかってますよ。ケンジ様が、そんな事言うわけないのは分かっております。話は戻りますが、棟梁を見て大工職人がゴッドオーダーの重要性に気づき、伐採の斧を出す事に成功し出しているのです」

「それは凄いな!」

「まだちょっと数は少ないのですが、ドワーフ国にこの木材が重宝されだしているのですよ」

「数も少ないから、高価で取引されているという事だな?」

「そういうことです」

「じゃあ、棟梁には引き続きゴッドオーダーをやってくれと言っておいて?」

「え?棟梁は伐採の斧を出したから、別の者が重点的にやったほうがいいのでは?」

「いや、棟梁には伐採のパワースクロールを出して貰う事を、最重要課題と言っておいてくれ!」

「どういう事ですか?」

「材木にレア素材が出たと言っていただろ?」

「はい!これは大発見ですよ」

「だから、今女神様の知識を引き出してみたんだよ」

「女神様の知識って、どういう事ですか⁉」

「俺が、元々この世界じゃなくこの世界に転移された事は知っているだろ?」

「はい……これは最重要機密事項として伺っています」

「10年ほど前にティアさんに、俺はこの世界の知識を教えてもらったんだよ」

「そ、それって……ケンジ様は知らない事がないという事ですか?」

「まあ、そういうことだな」

「それは凄い!でも、だったらケンジ様が最初からアドバイスをしてくれたら、もっと色んな事が分かるのでは?」

「ただ、これにはちょっと厄介な事があって、俺もこういうヒントがあった時、頭にある知識を引っ張り出す必要があるんだよ」

「えーっと、どういう事でしょうか?」

「難しいかもしれないが、俺の頭の中には膨大な知識量があって、それを調べるために知識を引っ張り出すという事だ」

「つまり、仮に私が伐採という事柄が分からなかった場合、辞書で伐採の事を調べるという事ですか?」

「そういう事だ!興味がないものって人は疑問に思わないだろ?」

「そうですね」

「だから、今回のように新しい事柄が発見されたから、頭の中で調べてみたんだよ?」

「結構ややこしいモノですね……」

「ティアさんが言うには、そうしないと世界の知識が常に頭の中にあると、俺自身精神に支障をきたす恐れがあるらしいんだ」

「なるほど……確かに、世界の知識が常に頭の中にあったら、精神がおかしくなってもしょうがないですね」

「ああ!俺も10年前にティアさんから、知識を頭の中に埋め込まれた時、物凄い頭痛にのたうちまわったからな」

「なるほど……それで、伐採にはどんな知識があるのですか?」

「当然、ファイヤーボードだけじゃなくアイアンボードやフロストボード等、他のレア素材が存在しているって事だよ」

「何ですか⁉それ?」

「要は、伐採のパワースクロールの120以上出して、スキルを育てるとそういう素材が取れるって事だよ」

「その中でもアイアンボードは鉄のように硬い材木だが加工しやすい材料だし、フロストボードは冷気に耐性があるみたいだな。ひょっとしたら、夏でもひんやりしているのかもしれないな?」

「それはすごい!」

「だから、棟梁には引き続き、ゴッドオーダーを頑張るように説明してくれ!」

「わ、わかりました!」

「それと、みんながこうして頑張ってくれているから、国の予算に心配は無いから、貴族ギルドの代わりになるギルドは必要はないと、元貴族の人間には説明しておいてくれ!」

「ですが、このまま引き下がるとは思えないのですが?」

「貴族ギルドがあった時、予算をごまかしていた貴族はたくさんいただろ?」

「は、はい……国から出た依頼料をごまかして、ギルドに少なく依頼して、その差額を横領なんて日常茶飯事でしたね」

「そんな事になるから、貴族ギルドはいらないと説明してくれ!」

「わかりました!」

 ケンジは、Freedom国が統一国家になり、貴族達や平民達が同じ立場になった事で、色んな障害が出てきた事や色んな部署の建て直しに奮闘して、目の回る忙しさだった。
 その中でも、今回のような棟梁が新しい発見や、ティアナやフィアナのように、スキルを伸ばし癒し草等の薬草の栽培を成功させたことを嬉しく思っていたのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

Rich&Lich ~不死の王になれなかった僕は『英霊使役』と『金運』でスローライフを満喫する~

八神 凪
ファンタジー
 僕は残念ながら十六歳という若さでこの世を去ることになった。  もともと小さいころから身体が弱かったので入院していることが多く、その延長で負担がかかった心臓病の手術に耐えられなかったから仕方ない。  両親は酷く悲しんでくれたし、愛されている自覚もあった。  後は弟にその愛情を全部注いでくれたらと、思う。  この話はここで終わり。僕の人生に幕が下りただけ……そう思っていたんだけど――  『抽選の結果あなたを別世界へ移送します♪』  ――ゆるふわ系の女神と名乗る女性によりどうやら僕はラノベやアニメでよくある異世界転生をすることになるらしい。    今度の人生は簡単に死なない身体が欲しいと僕はひとつだけ叶えてくれる願いを決める。  「僕をリッチにして欲しい」  『はあい、わかりましたぁ♪』  そして僕は異世界へ降り立つのだった――

無限魔力のゴーレム使い ~無力な奴隷から最強への一歩は逆転の発想から~

喰寝丸太
ファンタジー
この世界の魔力は見えない。 だから、その為に魔力を使うスキルの取得は完全に運任せ。 フィルは十歳の頃にスキルがゴーレム使役の一つしかなく奴隷に売られた。 成人までなんとかやってきたんだけど、今日でお終いのようだ。 魔獣の群れに馬車は囲まれ、風前の灯。 俺に取り憑いていた幽霊の提案を呑んでみたんだが、禁忌を踏んで自爆しやがった。 魔力が見えるという力を得られたのが不幸中の幸いだ。 見えるのなら、魔力を材料にしなくてどうすると、ゴーレムを作り出した。 魔力の着ぐるみゴーレムを身に纏い、普通ならゴーレムに魔力を送るところを逆転の発想で吸い出してやった。 無限魔力の完成だ。 規格外の万能ゴーレムを使い成り上がりを目指す物語です。

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

処理中です...