上 下
544 / 619
第10章 Freedom国、経済の中心へ!

91話 Freedom、遂に統一国家へ

しおりを挟む
「ちょっと待ってください!ケンジ様、王国を助けるつもりですか?」

 ランガスは、ケンジの言葉に驚き思わず大きな声を出した。

「いいや、助けるつもりはこれっぽちもないよ」

「ですが今……」

「キース王には究極の選択であって、王国が助かる訳じゃないよ」

「ケ、ケンジ殿!頼む……王国を……」

「キース国王、選択をしてくれ。王国をFreedomに吸収させ、王国の滅亡か?それとも、このまま引き下がり自分達で王国を復活させるか?どうする?」

「どちらにせよ、王国は滅亡するではないか!」

「なんだ?まだグランパス王国が助かると思っていたのか?今選択するのは貴方達自身の事なんだぞ?」

「わし達自身だと?」

「何だよ……察しが悪いな?」

「どういう事だ!」

「いいかい?分かりやすく説明してあげるよ。もしこのまま、貴方達が王国をFreedom国に吸収させると決断する」

「馬鹿な事を!」

「まあ、最後まで聞きなよ?今から言う話は仮の話だよ」

「むっむううう……」

「吸収した場合、Freedomは元王国領の30からの町は、Freedom国領の町として復興、立て直しを再開させる。それ故、後の心配は貴方達はする必要が無くなるという事だよ」

「何で、王国を滅亡させるような事を!」

「まあまあ、そして一方このまま吸収と言う選択をせず、自分達だけで復興建て直しをした場合、この後1年間はFreedomは一切王国の為には動かないと言うより動けない状況で、貴方達は頑張らないといけない」

「な、なんでだ?」

「そりゃそうさ!先ほども言った通り、NFGには元ギルド職員が数多く働いている。今まで、身を粉にして働いてきたが王国が原因で、今までの苦労が水の泡と消えたのに、Freedom国が率先して王国の為にギルドを進出させたら、NFGは内部分裂を起こすとも限らないからな」

「……」

「だが、このまま引き下がった場合、国民達からの不満は暴動へと変わる。貴方達がしっかり、政策していかないと自分達の命にかかわるという選択だ」

「なっ……ワシ達の命が尽きると申すのか?」

「あなた方次第だろうな?国が持ち直せば暴動など起きないが、さっきも言った通り死に物狂いで、政策に取り掛からないと……」

「何とかならぬのか?」

「何とかしなきゃいけないのはあんた達だよ。俺達Freedom国に頼られても困る。もし、頼るのなら前者である、Freedom国にグランパス王国が吸収すればいいだけの話だ」

「ムぐぐぐ……どうしたら、ワシの国を残せるのだ……」

「どうしたら残せるのかって、そんなの簡単だよ!」

「簡単ってどうしたら?」

「死に物狂いで、国民の為に働くんだよ」

「何を言っておる!死に物狂いで働くのは平民の方だ!なぜ貴族が平民の為に!平民は、王国の領地に住まわせてやっているであろう!魔物からの危険を守ってやる代わりに、平民は貴族の為に働かねばいかんのだ」

「いかんのだって、王国に対して国民はもう信頼されていないじゃないか?」

「なんだと?」

「だって、そうだろ?そんな王国を国民達は見限り出国されて、王国の人口は減っているじゃないか。今残っているのは、何らかの要因があって出国出来ない人間ばかりだろ?」

「うぐっ」 

「つまりだな……王族が王国領に、平民を住まわせてやっていると思っている事自体おかしいことなんだよ」

「……」

「国を建て直そうと思うのなら、どうか私の土地に平民の皆様住んでくださいと思わなきゃいけないって事だ!」

「ば、馬鹿な事を言うな!それでは、我らが下の立場じゃないか!」

「ああ、そうだな。だがそうしないと貴方達自身では国を建て直す事は無理だろう?」

「そんなバカな事があって……」

「もっと自分の立場を自覚しなよ。仮に国民が王国領に戻ったとして、魔物からの脅威はそのまま国の税金は高い、王族や貴族はその税金を国の為には使わず贅沢をする」

「ゥぐぐぐ……」

「俺だったら、そんな国なんか住みたくもないよ。そんなのだったら、暴動もいたしかたないだろう?」

 ケンジの言葉に、キース王は心が折れたのだった。ここまで言われて、キース王は自分の教えられてきたものは間違いだったと気づいたのだ。
 Freedom国が出現した地点で、その考えを見直し、もっと寄り添わないといけなかったのだ。だが、ここまで王国はガタガタになっていて、今更建て直すというのなら、ケンジの言う通りしないと、貴族達の命は暴動により失ってしまう事がわかったのだった。

「ケ、ケンジ殿……」

「なんだ?」

「王国を頼み申す……我らのような考えでは王国を建て直すのは、本当にもう無理なのだ……」

「「「「「国王!何を言っているのですか?」」」」」

 キース国王が、絞り出すように吐いた言葉に、宰相達が慌てたのだった。1000年続いたグランパス王国がこのままでは、ポッと出のFreedom国に吸収される事は、貴族達のプライドが許さなかったのだ。

「国王!何を弱気になられているのですか?」

「お前達はまだそんなことを……現実を見れないのか?」

「国王こそ何を言っておられる。グランパス王国は!」

「黙れ!こうなったのも我らが、世の中の情勢を把握できなかったことにあるのが分からないのか?」

 キース国王の迫力に、宰相達は口ごもってしまった。

「いいですか?キース国王……このまま、Freedom国に吸収されればどうなるかわからないのですか?」

「何を言っておる」

「吸収されればあなたがどこかに幽閉され、もう日の当たる生活はできなくなるのですぞ?」

「あっ、宰相さん!」

「何だ!今大事な話をしている最中じゃ!」

「まあ、聞いてくれよ!もしFreedomに吸収されても、貴方達要人は好きに生活してくれていいよ。キース国王も幽閉なんかするつもりは一切ないからさ」

「口ではなんとでも言えるわ!」

「そんなことないって!その証拠に、皇帝や聖女をFreedom国は幽閉などしてないからな?」

「はっ?なぜしてないんじゃ?普通は吸収した国のトップがよからぬことを考えないようにするのが普通じゃろ?」

「こういっては何だが、Freedomは落ちぶれた貴族に興味など無いよ。国の事をもう考えたくないと言い、Freedomに押し付けた貴族達は余生をゆっくり暮らしてもらった方がいいからな」

「落ちぶれたじゃと!」

「まあ、言葉は悪いかもしれんが、古い考えの貴族がいても役には立たんからな。そんな人間が、よからぬことを考えた所で烏合の衆だ!それなら、そんな考えを起こさないように自由にしてもらっていた方がいいからな」

「そんなバカな考えをして後悔せぬのか?」

「この国に対して、仮にそんな行動したら後悔するのはあんた達の方だと思うよ」

 ケンジの笑顔に、宰相達は愕然となった。そんな事を正面切って言われた事で、Freedom国の巨大な実力が見えたからだ。
 王国領を吸収し、火の国(ドワーフ国)の国境から魔の国(魔人国)の国境までを全てを統治する巨大国家となったFreedom統一国家となった。そればかりか、大陸一巨大な組織ギルドもその手中に収めた事で、他国にも多大な影響力を持つ事になったのだ。

 宰相達は、ケンジの言葉をきき、若干25歳の若造が巨大な姿に見えて圧倒されていた。そして、この先どんな国が、このFreedom統一国家に太刀打ちできるのかと思いなおしたのだった。

 そして、ケンジの圧力に負け、どのくらいの時間が経ったのだろうか……宰相達には永遠ともとれるような時間がったっていたが、その間30秒ほどだった。

 そんな空気が、固まった空間を破ったのがキース国王だった。

「ケ、ケンジ殿……わしはもう王国の事は諦めた」

「本当に諦めるのですか?」

「このまま、引き下がって王国だけで建て直すのは無理だという事が分かった……このままでは、我らは暴動に巻き込まれるだけだ。頼む、我らを助けてほしい……」

 キース王がケンジに頭を下げたのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)

三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。 各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。 第?章は前知識不要。 基本的にエロエロ。 本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。 一旦中断!詳細は近況を!

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~

蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。 嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。 だから、仲の良い同期のままでいたい。 そう思っているのに。 今までと違う甘い視線で見つめられて、 “女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。 全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。 「勘違いじゃないから」 告白したい御曹司と 告白されたくない小ボケ女子 ラブバトル開始

二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです

矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。 それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。 本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。 しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。 『シャロンと申します、お姉様』 彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。 家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。 自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。 『……今更見つかるなんて……』 ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。  これ以上、傷つくのは嫌だから……。 けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。 ――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。 ◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです(_ _) ※感想欄のネタバレ配慮はありません。 ※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっておりますm(_ _;)m

妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った

ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。 昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。 しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。 両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。 「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」 父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。 だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。

拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな
恋愛
 子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。 公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。  クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。  クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。 「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」 「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」 「ファンティーヌが」 「ファンティーヌが」  だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。 「私のことはお気になさらず」

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

処理中です...