469 / 619
第10章 Freedom国、経済の中心へ!
16話 行き詰まり
しおりを挟む
ケンジ達は、7階層のボス部屋の魔法陣から地上へ帰る事となった。それを見ていたダンジョンマスターはホッと安堵してその場に崩れ落ちたのだ。
「ご主人様!あの侵入者が帰っていきました!」
「あっ、ああ……まさか、あそこで帰っていくとは思わなかったな……」
「ご主人様!これからどうするつもりですか?」
「このダンジョンのコアをコピーし移住することにする!また一から、力を蓄え戦略を練り直すとする!エンジェルお前と、竜王と獣王は私についてきてほしい」
「わかりました!」
ダンジョンマスターは、ケンジの存在を知り、今のままではとてもじゃないが地上を征服することはできないと判断した。
そして、極級ダンジョンを引き払い、違うダンジョンへと移動したのである。これはケンジにとってまさかの出来事だった。その昔暴れまくっていた魔王が、勇者に封印されたことで慎重な人物へと変わってしまった。
変わってしまったというより、元々慎重だった人物だったのかもしれない。ただ、地上では魔物を操るダンジョンマスターを、魔王と呼んでいただけなのかもしれなかった。
「この屈辱いつか晴らしてみせる!それまでせいぜい生を楽しむが良い!」
ダンジョンマスターは、悔し紛れのセリフを吐きエンジェルと竜王と獣王の3人だけで、この極級ダンジョンを脱出したのだ。竜王と獣王は人化スキルで人のようになりダンジョンマスターに付き従っていた。
そして、ダンジョンの入り口付近に魔法陣が現れて、そこからケンジ達が脱出してきた。それに驚いた騎士団達の面々は、急いでケンジのもとへと駆け寄ったのだ。
「ケ、ケンジ殿!まさかダンジョンを攻略したのですか?」
「いや……7階層で帰って来た!」
「え⁉たった7階層とは、どういう事でしょうか?」
この極級ダンジョンでは、どちら側の魔法陣が中ボスか最終階層のボスの魔法陣が証明されていない為、攻略出来たのかもわからないのだ。
そして、騎士団の言ったたった7階層と言う言葉もしょうがなかった。このダンジョンが、どのくらいの階層があり、ケンジ達が潜る前には、鳳凰騎士団でさえ10階層は行けるだろうと言っていたためだ。
「ケンジ様!この後はどうするおつもりですか?」
「まあ、待ちなよ。ここは司祭様や侯爵と話し合うつもりだ。ここにきているんだろ?」
「はい!それにFreedom国のアルバン様も、ここの陣頭指揮を取っていただいています」
「そっか!ありがとな!それで、魔物は何匹か外に出ていたか?」
「はい!一日一回と多くなってきておりましたが、今日はまだ一匹も出てきてはおりません!」
「そうか!ご苦労だった」
「いえ!ケンジ様こそご苦労様です!」
ケンジは、騎士団達に引き続きここの守りを気を引き締めさせた。そして、作戦本部にそのまま、マイと共に入っていった。
「ギル達は、一緒に作戦本部に!ロイとツバキ達は、鳳凰騎士団の兵舎に行ってランスロット達の業務を手伝ってくれ!」
「「「「「はい!」」」」」
ケンジはそのように指示を出し作戦本部にはいった。すると、そこには3国の重鎮達が話し合いをして、軍の食事や物資の相談をしていたのだ。
「ケ、ケンジ様!こんな早くダンジョンから出てきたのですか?」
司祭や侯爵もまた、ケンジが言っていた期間よりずっと早い事に驚き椅子を引き立ち上がり驚いた。
「みんな、すまない!思ったよりこのダンジョンは強力な魔物がいっぱい生息くしていて、7階層のボスで帰って来たんだ……」
「ケンジ様が7階層で⁉」
「しかし、このダンジョンは他のダンジョンと違うところがたくさんあったのも事実だ!」
「「「他のダンジョンと違うところ?」」」
アルバンと司祭と侯爵が見事にハモったのである。ケンジは7階層までの事を詳しく説明した。
「そんな事があり得るのか?」
「そうだ!普通は10階層ごとにボスの部屋があるのに、1階層ごとにボスなんて……」
「そして、普通のエンカウントでボス級の魔物だなんて……」
「だがこれは事実なんだよ……しかし、5階層でフィールドエリアが出現したのは一緒だったかな?」
「しかし、ケンジ様これからどうしたら?」
「そうだな……」
「あなた!これから、繰り返しこのダンジョンに潜るのでしょ?」
「マイの言う様にそれしかないよな?」
「ケンジ様?国の事はどうするのですか?」
「そうです!王国も聖教国も主要部隊がここに集結しているのです!国の方も守らないといけないし、長期間になるとここの防衛費が底をつき、他の所にシワ寄せをくらうことに!」
今ここの防衛には各国予算をだいぶん多く取っているのだ。それほどまでに、このダンジョンは危険なものとされていて、他のダンジョンより予算を多くとり兵士を派遣していた。
だが、今回スタンピードが起こるかもしれないと聞き、いつもの倍の兵士達がこの場所に集まっているのだ。単純計算で倍の予算を組み直さなければ守ることが出来なくなる。その為、ここにいる2人は顔を引きつらせる事となった。
「司祭様と侯爵様、聞いていただきたい事があるのだがいいか?」
「「なにか妙案が?」」
「ああ!今回、スタンピードが起こるかもしれないと言う事で、兵士達をここに集結させているんだろ?」
「ええ!そうです」
「だから、予算がこのままでは……」
「それは今のままだったらだろ?」
「どういう事でしょうか?」
「これから俺達がここに通う事になる!だったらもう、倍の兵士をここに派遣しなくてもいいんじゃないのか?今まで通りで十分だろ?」
「な、なるほど!それなら今まで通りの……」
「ケンジ様、それはちょっとお待ちください‼もし、万が一スタンピードが起こった場合、通常の人数で防げると思いか?」
「今まで、それでここを守って来たんだろ?」
「しかし、ここ数日毎日のように魔物が一匹地上に這い出ているのです。こんな事は今までになく、いつか大量に這い出てきたら、兵士達は無駄死にするのですぞ?」
「だが、さっき聞いたがそれは俺達が潜ってからの事で、今日はまだ這い出てきていないと言うじゃないか?」
「そんな予想で言われても、もし溢れた場合真っ先に被害が合うのは王都なのですぞ。もっと、確実性が欲しいのです!」
「じゃあ、聞くがその確実性の安全って、今まであったのかい?」
「それを言われては何も言い返す事はできませんが、スタンピードが起こりかけていたんです!少しでも安全材料を求めるのは、当たり前だと思うのですが!」
「だから、その安全材料が俺達がここに通うと言うのは駄目なのか?少なくとも、今までは兵士達が1階層の魔物だけを間引いていたのだろ?」
「た、確かに……」
「少なくとも今の現状は、今までにない魔物が間引かれているはずだぞ?」
「では、何故……毎日一匹の魔物が這い出ていたのでしょうか?」
「それは俺にもわからんよ……」
司祭と侯爵は頭を抱え込んでしまった。兵士をここに駐留させ続けると、予算が本当に出なくなるのは明らかだった。しかし、安全のためには兵士を多く駐留させない事にはいけないのだ。
「なあ、少し提案があるのだがいいか?」
「「なんでしょうか?」」
「鳳凰騎士団を一部隊、ここの守りに加えることはできないか?」
「あなた、それは無理じゃないかしら?」
マイが、ケンジの意見に反論してきたのだ。
「なんでだ?」
「そんなの決まっているじゃない!あたし達がここに入るときの事を忘れたの?」
司祭も侯爵もまた、困ったような顔をしていた。確かに、鳳凰騎士団の戦力があれば今まで通りの予算で組めるのだが、鳳凰騎士団は力があっても奴隷の騎士団なのだ。これがネックになり、騎士団同士の連携がうまくいかないのである。
「あ……そういう事か」
「そういう事よ!騎士達が奴隷と連携を取るなんてあり得ないわ!」
「どうしても無理なのか?」
ケンジは、司祭と侯爵に聞き返した。しかし、二人は渋い顔をして首を縦に振った。二人もここ、数日で鳳凰騎士団の戦力は認めていた。しかし、騎士達のプライドが邪魔をして反対に連携が取れなくなっていた。
その為、交代制でここを守っていたのだが、鳳凰騎士団と連携を組むときのやる気が全然違うのである。
この話し合いで、ケンジ達はもちろん、アルバンも司祭と侯爵も頭を悩ませるのだった。
「ご主人様!あの侵入者が帰っていきました!」
「あっ、ああ……まさか、あそこで帰っていくとは思わなかったな……」
「ご主人様!これからどうするつもりですか?」
「このダンジョンのコアをコピーし移住することにする!また一から、力を蓄え戦略を練り直すとする!エンジェルお前と、竜王と獣王は私についてきてほしい」
「わかりました!」
ダンジョンマスターは、ケンジの存在を知り、今のままではとてもじゃないが地上を征服することはできないと判断した。
そして、極級ダンジョンを引き払い、違うダンジョンへと移動したのである。これはケンジにとってまさかの出来事だった。その昔暴れまくっていた魔王が、勇者に封印されたことで慎重な人物へと変わってしまった。
変わってしまったというより、元々慎重だった人物だったのかもしれない。ただ、地上では魔物を操るダンジョンマスターを、魔王と呼んでいただけなのかもしれなかった。
「この屈辱いつか晴らしてみせる!それまでせいぜい生を楽しむが良い!」
ダンジョンマスターは、悔し紛れのセリフを吐きエンジェルと竜王と獣王の3人だけで、この極級ダンジョンを脱出したのだ。竜王と獣王は人化スキルで人のようになりダンジョンマスターに付き従っていた。
そして、ダンジョンの入り口付近に魔法陣が現れて、そこからケンジ達が脱出してきた。それに驚いた騎士団達の面々は、急いでケンジのもとへと駆け寄ったのだ。
「ケ、ケンジ殿!まさかダンジョンを攻略したのですか?」
「いや……7階層で帰って来た!」
「え⁉たった7階層とは、どういう事でしょうか?」
この極級ダンジョンでは、どちら側の魔法陣が中ボスか最終階層のボスの魔法陣が証明されていない為、攻略出来たのかもわからないのだ。
そして、騎士団の言ったたった7階層と言う言葉もしょうがなかった。このダンジョンが、どのくらいの階層があり、ケンジ達が潜る前には、鳳凰騎士団でさえ10階層は行けるだろうと言っていたためだ。
「ケンジ様!この後はどうするおつもりですか?」
「まあ、待ちなよ。ここは司祭様や侯爵と話し合うつもりだ。ここにきているんだろ?」
「はい!それにFreedom国のアルバン様も、ここの陣頭指揮を取っていただいています」
「そっか!ありがとな!それで、魔物は何匹か外に出ていたか?」
「はい!一日一回と多くなってきておりましたが、今日はまだ一匹も出てきてはおりません!」
「そうか!ご苦労だった」
「いえ!ケンジ様こそご苦労様です!」
ケンジは、騎士団達に引き続きここの守りを気を引き締めさせた。そして、作戦本部にそのまま、マイと共に入っていった。
「ギル達は、一緒に作戦本部に!ロイとツバキ達は、鳳凰騎士団の兵舎に行ってランスロット達の業務を手伝ってくれ!」
「「「「「はい!」」」」」
ケンジはそのように指示を出し作戦本部にはいった。すると、そこには3国の重鎮達が話し合いをして、軍の食事や物資の相談をしていたのだ。
「ケ、ケンジ様!こんな早くダンジョンから出てきたのですか?」
司祭や侯爵もまた、ケンジが言っていた期間よりずっと早い事に驚き椅子を引き立ち上がり驚いた。
「みんな、すまない!思ったよりこのダンジョンは強力な魔物がいっぱい生息くしていて、7階層のボスで帰って来たんだ……」
「ケンジ様が7階層で⁉」
「しかし、このダンジョンは他のダンジョンと違うところがたくさんあったのも事実だ!」
「「「他のダンジョンと違うところ?」」」
アルバンと司祭と侯爵が見事にハモったのである。ケンジは7階層までの事を詳しく説明した。
「そんな事があり得るのか?」
「そうだ!普通は10階層ごとにボスの部屋があるのに、1階層ごとにボスなんて……」
「そして、普通のエンカウントでボス級の魔物だなんて……」
「だがこれは事実なんだよ……しかし、5階層でフィールドエリアが出現したのは一緒だったかな?」
「しかし、ケンジ様これからどうしたら?」
「そうだな……」
「あなた!これから、繰り返しこのダンジョンに潜るのでしょ?」
「マイの言う様にそれしかないよな?」
「ケンジ様?国の事はどうするのですか?」
「そうです!王国も聖教国も主要部隊がここに集結しているのです!国の方も守らないといけないし、長期間になるとここの防衛費が底をつき、他の所にシワ寄せをくらうことに!」
今ここの防衛には各国予算をだいぶん多く取っているのだ。それほどまでに、このダンジョンは危険なものとされていて、他のダンジョンより予算を多くとり兵士を派遣していた。
だが、今回スタンピードが起こるかもしれないと聞き、いつもの倍の兵士達がこの場所に集まっているのだ。単純計算で倍の予算を組み直さなければ守ることが出来なくなる。その為、ここにいる2人は顔を引きつらせる事となった。
「司祭様と侯爵様、聞いていただきたい事があるのだがいいか?」
「「なにか妙案が?」」
「ああ!今回、スタンピードが起こるかもしれないと言う事で、兵士達をここに集結させているんだろ?」
「ええ!そうです」
「だから、予算がこのままでは……」
「それは今のままだったらだろ?」
「どういう事でしょうか?」
「これから俺達がここに通う事になる!だったらもう、倍の兵士をここに派遣しなくてもいいんじゃないのか?今まで通りで十分だろ?」
「な、なるほど!それなら今まで通りの……」
「ケンジ様、それはちょっとお待ちください‼もし、万が一スタンピードが起こった場合、通常の人数で防げると思いか?」
「今まで、それでここを守って来たんだろ?」
「しかし、ここ数日毎日のように魔物が一匹地上に這い出ているのです。こんな事は今までになく、いつか大量に這い出てきたら、兵士達は無駄死にするのですぞ?」
「だが、さっき聞いたがそれは俺達が潜ってからの事で、今日はまだ這い出てきていないと言うじゃないか?」
「そんな予想で言われても、もし溢れた場合真っ先に被害が合うのは王都なのですぞ。もっと、確実性が欲しいのです!」
「じゃあ、聞くがその確実性の安全って、今まであったのかい?」
「それを言われては何も言い返す事はできませんが、スタンピードが起こりかけていたんです!少しでも安全材料を求めるのは、当たり前だと思うのですが!」
「だから、その安全材料が俺達がここに通うと言うのは駄目なのか?少なくとも、今までは兵士達が1階層の魔物だけを間引いていたのだろ?」
「た、確かに……」
「少なくとも今の現状は、今までにない魔物が間引かれているはずだぞ?」
「では、何故……毎日一匹の魔物が這い出ていたのでしょうか?」
「それは俺にもわからんよ……」
司祭と侯爵は頭を抱え込んでしまった。兵士をここに駐留させ続けると、予算が本当に出なくなるのは明らかだった。しかし、安全のためには兵士を多く駐留させない事にはいけないのだ。
「なあ、少し提案があるのだがいいか?」
「「なんでしょうか?」」
「鳳凰騎士団を一部隊、ここの守りに加えることはできないか?」
「あなた、それは無理じゃないかしら?」
マイが、ケンジの意見に反論してきたのだ。
「なんでだ?」
「そんなの決まっているじゃない!あたし達がここに入るときの事を忘れたの?」
司祭も侯爵もまた、困ったような顔をしていた。確かに、鳳凰騎士団の戦力があれば今まで通りの予算で組めるのだが、鳳凰騎士団は力があっても奴隷の騎士団なのだ。これがネックになり、騎士団同士の連携がうまくいかないのである。
「あ……そういう事か」
「そういう事よ!騎士達が奴隷と連携を取るなんてあり得ないわ!」
「どうしても無理なのか?」
ケンジは、司祭と侯爵に聞き返した。しかし、二人は渋い顔をして首を縦に振った。二人もここ、数日で鳳凰騎士団の戦力は認めていた。しかし、騎士達のプライドが邪魔をして反対に連携が取れなくなっていた。
その為、交代制でここを守っていたのだが、鳳凰騎士団と連携を組むときのやる気が全然違うのである。
この話し合いで、ケンジ達はもちろん、アルバンも司祭と侯爵も頭を悩ませるのだった。
0
お気に入りに追加
2,450
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです
矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。
それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。
本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。
しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。
『シャロンと申します、お姉様』
彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。
家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。
自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。
『……今更見つかるなんて……』
ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。
これ以上、傷つくのは嫌だから……。
けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。
――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。
◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです(_ _)
※感想欄のネタバレ配慮はありません。
※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっておりますm(_ _;)m
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる