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第9章 Freedom国の発展!

92話 ギルドの新商品

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 ギルド内では、長い時間をかけ現場の人間達の意見を聞き、アンケートを取り続けたのである。その結果、ケンジの言う通りギルドがまとめた意見は、馬車の改良だったのである。

「ギルドマスター、集計が終わりました!」

「それでどうなった?」

「いろんな意見をまとめた結果、流通の活性化をするのがベストでした」

「そうか……で、その方法は?」

「馬車を改良し、スピードをあげても壊れないようにし、それに伴い振動を抑える事です」

「ふむ!わかった!馬車の乗り心地をよくすることで、町と町の物資の輸送の時間を短縮するという事だな?」

「はい!その通りです。輸送時間を短縮する事で行商人の危険性を減らし、今まで別の地域の特産品を大陸中に広める事で、色んな業種の活性化を図りたいと思います」

「わかった!ギルドを上げてのプロジェクトとする!」

 ギルドマスターは幹部達の意見を聞き、これが成功すれば必ずギルドは民集になくてなならない組織と、又思いなおしてもらえると確信したのである。馬車の改良の費用は、水飴の売り上げで今は資産も充分であった。

 その日から、ギルドは大工職人に馬車の製作をやらせたのである。世間一般の馬車は全部木製である。その為、馬車の製作は大工職人が手を掛けていたのである。
 ケンジのように鋼鉄で作るような発想がなかったのである。もし、鋼鉄で作ったとしても相当な重量となり、馬では引くことが出来なかったのである。

 大工職人達は、今の馬車のスピードの2倍まで耐えれるギリギリの強度を見極め、車輪やシャフトを製作し荷台の軽減化を突き詰めるのであった。

「ギルドマスター!最新式の馬車が完成しました!」

「本当か⁉」

 ギルドマスターが、プロジェクトを発信してから3ヵ月の時間が経っていたのだった。

 ギルドマスターのオッシは、首を長くして馬車の完成を待っていたのである。馬2頭でひける馬車で、今までより2倍のスピードで移動できる事で、輸送物資や行商人が魔物から逃げ切ることが出来るかもしてないのだ。
 それも、盗賊から待ち伏せをされたとしても、2倍のスピードなら駆け抜ける事さえできるかもしれないのだ。

 オッシは、ワクワクしながら試乗を見学したのである。すると馭者は馬に鞭を振るったとたん、馬車はどんどんスピードを上げ、ギルド訓練場を周回し始めるのだった。

「ギルドマスター!」

「この馬車は、こんなスピードが出るのか?」

 オッシと幹部達は笑顔となり、馬車の完成を歓喜したのである。すると、訓練場の地面の凸凹に車輪が差し掛かった時、車輪の軸となるシャフトが大きな音を立てて真っ二つに折れてしまったのである。
 3か月かけて製作した馬車は、ものの10分走行しただけで壊れてしまったのである。そして、馭者は馬車から投げ出されてしまい、大怪我を負ってしまったのである。

 その状況を見て、地面のくぼみ程度でシャフトが折れてしまうようでは商品化はできないのは当然であり、後の調査ではシャフトの部分が固定された部分に耐えきれなくて、10分ほどの走行で細くなっていた事が判明したのである。

「どういう事だ?10分程度でシャフトが摩耗してしまっていたら、意味がないではないか?こんな馬車では旅など出来ぬぞ!」

 馬車は軽量化に成功した代償に、車輪を支える部分とシャフトの設置部分の摩擦に耐えれなくなり、真っ二つに折れてしまったのだった。

 それらの経験を活かし、その3ヵ月後今度は土台部分を、ケンジの馬車と同じく鉄で作ったのである。ダンジョン産の木材で検討をしたのだが、材木一本持ち帰るだけで相当貴重である木材で作ると完全に予算オーバーとなり、そんな馬車を購入できるのは王族や貴族ぐらいで、町馬車や行商人が購入することが出来なくなり、とてもじゃないがダンジョン産の木材を使う事は却下となったのである。

 ダンジョン産の木材なら、軽くで強度が十分あったのだが製作しても売れないのでは意味がないのである。
 その為、出来るだけ軽くする為土台部分だけ鉄で作ったのである。完成した馬車は当然だが馬2頭で引いた場合、最初の馬車よりスピードが落ちたのである。
 そして、他にも問題がいくつもあり、乗車している人物への衝撃である。乗合馬車にソファーのような椅子が設置している訳ではなく、スピードがあがった事によりとてもじゃないが乗っていられないのだ。

 座布団のようなクッションでは、普通の速度ならいざ知らず、ギルドが求めるような速度で走行した場合、30分も走ればお尻がとんでもない事となり、輸送している荷物は売れる物ではなくなると予想されたのである。

「アーチェよ……こんなスピードだけ、重視しても使い物にならんな」

「はい……申し訳ございません……」

「じゃあ、作り直しだ!」

 金属で作った事により耐久度は増したが重くなりスピードが犠牲になった事も、ギルドマスターは不満であった。土台部分をミスリルで製作してみたらと案も出たが、金額がとんでもない事になるので当然却下となるのであった。
 ミスリルなら、鉄よりも軽く頑丈なので最適なのだが、そんな材料で作ったら本当に平民では手が届かない品物となるのである。

「ギルドマスター!これ以上は強度を下げれません……」

「だが、金属をもっと減らさないと重量が……」

「ですが、これ以上細くしたらシャフトは荷台の重量に負けて曲がってしまうのですよ」

「やっぱり、木材で土台部分も作らなくては駄目なのか?」

「ギルドマスター!ちょっと待ってくれ……車輪部分もも木材で製作するとなるとスピードを抑えないと、摩耗してしまい長時間の旅には耐えられないぜ!」

「じゃあ、車輪部分の設計を見直して、作り直しにしないといけないな……」

 ギルドの作った馬車の車輪は、当然だがケンジの馬車のようにベアリングなど入っていなくて、車輪とシャフトが固定されている物であった。その為車輪が回るとシャフトも一緒に回転する為、荷台との接続部分が摩擦で折れやすくなってしまうのである。

「ギルドマスター!ちょっと待ってくれよ……これから作り直せって、また一から発案するって事か?」

「ああ!よろしく頼む。これはギルドをかけてのプロジェクトなんだ!この馬車を完成させて、町の人の役に立たせたいんだ」

 ギルドマスターのオッシは、鍛冶士達に頭を下げるのである。この態度に鍛冶士達は、また気合を入れ直すのだった。

「ギルドは、本当に変わろうとしているんだな……」
「ああ!まさかギルマスがあんなに何回も頭を下げるだなんてな」
「それに、さっきの聞いたか?」
「ああ……」
「ギルドの利益じゃなく、町の役に立てたいと……」
「俺達もその心意気に答えなきゃいかんな!」
「「「「おう!」」」」

 ギルドマスターのオッシを司令塔に、幹部達と現場の人間が一つにまとまり、本当の組織となった瞬間であった。
 しかし良かったのはここまでであった。どうしてもシャフトの摩耗、荷台の衝撃、馬車のスピードがバランスよく製作できなかったのである。

 そして、それから半年の月日をかけて5代目の馬車を製作したが、荷台との接続部分を太くし折れない様にしたのだが、太くしたことで荷台が高くなり、スピードを出すとちょっとの地面の窪みですら、バランスが崩れ馬車が転倒してしまうのである。

「ギルドマスター、お話があるのですが、よろしいでしょうか?」

「お主は、受付嬢のレーラだったか?」

「はい!馬車の事なのですが……これ以上はもう……」

「まて、何を言うつもりだ!馬車を諦めることはせぬぞ!ここで諦めたら、本当にギルドはおしまいだからな!」

「いえ……そうではありません!わたしを、Freedomに行かせてもらえないでしょうか?」

「お主は何を言っておる!Freedomでは働く事は出来ぬぞ?あの国の従業員は奴隷ばかりではないか!」

「いえ、派遣ではなく交渉人として派遣して欲しいのです。昔、ケンジ様の製作した馬車に乗せてもらったことがあります。その製図を教えてもらいに交渉させてほしいのです」

「どういうことだ?」

「昔、ここ本部に送り届けてもらった時、テンペからここまで馬車の道のりを一週間で、送ってもらったことがあるのです」

「馬鹿な!馬車でその距離を一週間など無理に決まっておるだろうが!もし、それが可能ならFreedomでその馬車がとっくに販売されておるであろう!」

「それがケンジ様が言っていたのですが、この馬車はバトルホースがいて初めて成り立つものだから、売ることはできないと……」

「バトルホースってあのハヤテという従魔の事か?」

「その通りです。そのハヤテの馬力で引かせるから動くと言っておりました」

「だったら、そんな作製図を教えてもらっても意味がないではないか?」

「いえ、わたしが注目しているのはそこではありません!」

「どういう事だ?」

「そんなスピードで走っても馬車は倒れることなく、耐久度もあるというところです。それに、その馬車に乗った感想なのですが、確かに揺れはあるのですが走っている馬車の中で、仮眠が出来ていたという程振動がなかったという事実なのです」

 レーラの説明に、オッシは言葉を失ったのである。Freedomではそんな馬車の技術があるのかとおもい、顔が真っ青となったのである。

「そ、そんなバカな……馬車の中で睡眠だと!」

「ええ!馬車の中で仮眠がとれるほどに安定していたのです。その技術を教えてもらえれば、ギルドの馬車も!」

「だ、駄目だ……」

「なぜですか?もうギルドだけでは、八方ふさがりではないじゃないですか?」

「ワシもその技術は欲しい……だがその技術料として今度は7割を渡さねばならぬだろう……それでは水飴の時と一緒ではないか。いや、もっと売り上げは落ちる事となる……それでは意味がないのだ!」

 レーラは、オッシの言う事が痛いほどわかるのであった。ギルドだけの技術で、町の役に立てたいと思うのは当然だったのだ。
 この馬車を完成させて、町の人間からの信頼を勝ち取りたくて、現場の人間から意見を取りみんなの協力を募ってこの一年近く頑張っていたからである。

「ですが、このままではいつまでたっても……」

「何を言っておる!まだ一年しかたっていないではないか。まだ、ギルドは頑張れる!諦めるのが早すぎるのだ!」

「で、ですが……」

「魔道具を開発している訳じゃないだろ?これぐらいで、現場の人間の経験を信じられなくてどうするのだ?」

「わ、分かりました……」

 レーラは、ギルドマスターがケンジのように、下の人間を信じようとしているのがわかり、身を引いたのである。
 ギルドマスターの心意気は、レーラとの会話を聞いていた幹部達の心に響いたのである。幹部達は、設計を現場の人間だけに任せず積極的に口を出すようにしたのである。

 そして、衝撃吸収の為に台座を上下に分け、弓をヒントにしたようなサスペンションを作り、衝撃をなくしたのである。これにより、揺れる事はあるが衝撃が減ったのである

「みんなよくやった!衝撃はだいぶん少なくなったな!この調子で耐久面とスピードの方も頑張ってくれ!」

「「「「「はい!」」」」」」

 ギルドは、まだまだ諦めず馬車の製作に取り掛かるのだった。

  
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