409 / 619
第9章 Freedom国の発展!
74話 Freedomの発展
しおりを挟む
ケンジは、その日から奴隷の名前を覚えると共に、錬金術のスキルを伸ばしていくのだった。そして、それから遂に120.00になったのである。
「ご主人様!錬金術がレジェンダリーになったって本当ですか?」
「ああ!結構時間がかかったな……あれから8か月もかかってしまったよ」
「8ヵ月もって……それを言うなら8ヵ月しかかからなかったですよ!」
「ああ……そうとも言うかもな。だけど、その間に聖教国では3店舗も支店が増えたしな。順調にいかないのは錬金術だけだよ……」
Freedomでは、この8ヶ月の間に聖教国内に、3店舗支店を増やしていたのである。
そして、ケンジの言った錬金術が順調にいっていないと言う理由は、今だにパワースクロールのゴッズが出ていない事にあったのである。
「順調にいっていないって……レジェンダリーになったのでしょ?凄い事ではないですか?」
ダリアは、ケンジの言葉に呆れていたのだった。
「オイオイ……俺の計画では、蘇生方法を見つけようとしているのに、足止めを食らっているんだから順調にいっていないのと一緒じゃないか」
「それはそうなのかもしれませんが、10ヶ月程度で生産職のスキルがレジェンダリーになったのでしょ?」
「まあ、それに関しては普通じゃないかもしれないんだけどな……」
「ですよね?」
「だが、肝心のアイテムが出ないんじゃしょうがないからな」
「ご主人様!あまり痕を詰めるのはお勧めしませんよ。錬金術と薬学は生産の中でも、大変とされているスキルなのですから、久しぶりにリフレッシュで休憩してもいいのではありませんか?」
ケンジとダリアが話しているところに、ハインと言う名前の男性の錬金術士が話してきたのであった。この男性は当然ケンジの奴隷であり、前回ケンジに名前を憶えてほしいと言った人物である。
「ハイン、ありがとな!」
「Freedomの町も、この8ヵ月でいろんな店が建ち、人気のレストランが建ったと言う事ですよ。奥様のマイマール様を誘ってみてはいかがですか?」
「なるほど!それもいいかもな……ちょっとマイと話してくるよ!」
ケンジは、ハインに言われて早速マイの所に行くのだった。
「マイ!今ちょっといいか?」
「どうしたの?」
「今な、ハインに聞いたんだがFreedomの町に、有名なレストランが建ったと聞いたんだが、そこが美味しい店らしいんだよ。一緒に出掛けないか?」
「ホントに!嬉しい!すぐ準備してくるわ!」
マイは嬉しそうに、バタバタ早足で自分の部屋に入っていき、準備するのだった。ケンジはセバスに、今日の晩御飯はいらないと伝えるのだった。
「セバス!ちょっと出かけてくるから今日はご飯いらないからな」
「ちょ、ちょっといきなりどこに行くのですか?」
「ちょっと町まで出てくるよ」
「でしたら、誰か護衛を!マードック丁度いいところに!」
「なにかあったのか?」
「ご主人様が町に出かけると言うから護衛……」
「ちょ、ちょっと待てって!護衛は今日はいらないよ!」
「主!それは駄目だって何回言えば!」
「いや……久しぶりにマイと、二人で食事に行くから、遠慮してほしいと思ったんだよ」
「「あっ……」」
「そういう事でございましたか……」
「それじゃ、俺達は行かないほうがいいよな……」
「ああ!察してくれてありがとな」
ケンジとマイは、久しぶりに二人きりで出かける事となったのである。すると、そこに噂を聞きつけたツバキや裁縫工房で働く女性達が、新しい服のコーディネイトし始めたのだった。
「ご主人様!これを着てみてください!」
「エレナ?これってすごい上品なデザインの服だな?」
「これは、ツバキの糸で編んだ服でマジカルツールで作ったのですよ!」
「じゃあマジック効果があるのか?」
ケンジはその服を鑑定すると、※①【マジカルシャツ】と鑑定結果が出て疲労軽減+20%アップ、幸運+100と出たのである。
エレナの説明によれば、ゴッドオーダーを自分の休みの日にやった時に、※②【マジカルツール+1】が出たらしいのである。
そして、日頃お世話になっているケンジにお洒落な服を作りたいと思っていたので、そのツールを使って作ったそうなのだ。
「いつも、ご主人様に感謝しております!これを裁縫工房みんなから日頃の感謝の気持ちです。どうか貰っていただけますか?」
「ああ!ありがとな。凄い気に入ったよ!着やすくてデザインも最高だ!」
ケンジがそういうと、エレナ達は笑顔となり頭を下げたのである。
「ご主人様……」
「ツバキ、どうしたんだ?」
ツバキは、ケンジに寂しそうな顔をして話しかけてくるのだった。
「あまり、無理はしないでください……」
ツバキは、ケンジがキキョウの事を何とかしようとして、日頃から無理をしているのを気に病んでいたのである。
この事は、ツバキだけではなくFreedomにいる全員の意思だったのである。本当に死者蘇生など、出来るものなのか?という不安もあり、ケンジには無理をしてほしくなかったのである。
「ああ!大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。今日はこの服を着て、マイとゆっくりさせていただくよ!」
その言葉に、ツバキ達も笑顔を見せるのだった。
「ケンちゃん!準備できたけどもう大丈夫?」
「ああ!こっちも大丈夫だ!」
ケンジとマイは、久しぶりのデートに出かけるのだった。すると、本当にFreedomの町は、様変わりしていて、正面城門前から伸びる大通りは人が溢れていて活気が凄かったのである。
そして、今はもうテンペの町から移住してきた人間達への配給は、もうやらなくてもいいぐらいに、町での経済がまわっていたのである。
市場の方では、新鮮な野菜や果物、調味料である塩や胡椒、砂糖まで売り出されていたのである。砂糖は本当に貴重であり、平民が買い求めるには高くて手が出ないのだが、ここFreedomでは行商人がここなら売れるのではないかと持ち込んだものであった。
だが、ここは出来たばかりの町で、貴族がいる訳でもなく当てが外れて売れ残っていたのである。
「甘味は必要だが、あんなに高くては売れないだろうな……」
「ケンちゃん何か言った?」
「ああ……こうして久しぶりに買い物するのもいいなと思ってな!」
「ケンちゃん、ずっと引き篭もってたもんね……」
「でも、砂糖ってなんであんなに高いんだ?」
「そりゃ!ここまで運ぶのに苦労するからよ。サトウキビから、精製されるのはケンちゃんも知っているでしょ?」
「ああ!それぐらいは知っているよ」
「そのサトウキビは、ドワーフ国の火の国と言われる場所でしか採取されていないのよ!」
「火の国って事は九州か?」
「それも、沖縄ね!そこに自生するサトウキビを採取するのよ!ここガイアースでは栽培しているって聞かないわ」
「なるほどな……地球のようにはいかないって事か……海を渡って運輸するんだから高価になるのは当たり前か」
ケンジ達は町の変わりようを見て、驚きながら評判のレストランに着いてまた驚いたのである。評判だけあって恋人達の行列で賑わっていたのである。
ケンジ達も、その行列に並ぶのであった。
「もっと早く来ても良かったな……」
「うん……でも、どんな料理が出るんだろうね!むっちゃ楽しみ!」
そんな話しをしながら、ケンジ達は行列に並んでいると、ケンジのすぐ後ろのカップルが大きな声を出したのである。
「おい!オッサンなに順番抜かししてんだよ!」
「そうよ!後ろに並んでよね!」
そう言われた、おじさんは何やらブツブツ言っていたのである。
「おい!オッサン聞いてんのかよ!」
カップルの男性が、おじさんの肩をつかみ列から出そうとした瞬間、大声を出したのだった。
「うわぁ!オッサン何持ってんだよ!」
「お前……さえ……ブツブツ……」
「なんで、お前が……」
ケンジも、何やら後ろが騒がしいなと思い、振り返ろうとした瞬間一瞬、早くそのおじさんがケンジに突っ込んだのであった。
「ぐふっ……」
「えっ⁉」
「お、お前が悪いんだ!調子に乗るお前がな!がははははは!」
おじさんの、その手には刃物が握られていて、ケンジはいきなりの事にその場に膝をついたのである。
「い、いやぁ~~~~~!」
マイはケンジが刺されたと思い、大きな悲鳴を上げたのである。
「だ、誰か衛兵を呼べ!殺人だ!」
その有名店の周りは騒然となり、パニック状態に陥ったのである。そして、その中年のおじさんは周りの人間に、取り押さえられたのである。
「俺が悪いんじゃない!そいつが調子に!」
その中年のおじさんは、何やら訳の分からない事をわめき散らしていたのだ。そして、駆けつけたのはイチカであった。
「いやぁ~~~~~!ケンちゃん!死んじゃいやぁ~~~~~!」
泣き叫ぶマイを見て、イチカは全てを悟ったのである。
「まさか刺されたのは……ご、ご主人様⁉」
周りにいた人間も、衛兵のイチカの事をよく知っていて、イチカがご主人様と呼ぶのは、まさかこのFreedom国の王様のケンジだという事に気づいたのである。
「マイマール様!早くこのポーションをご主人様に!」
イチカが差し出したのは、衛兵に支給されているグレーターヒールポーションだった。周りには心配そうに見ていた民衆達が集まり、神に無事を祈っていたのである。
「ぷはっ!危なかった……来るとき、この新しい服じゃなかったら本当に刺されていたかも!」
ケンジは、ポーションでびしょぬれになりながら、傷一つついていなかったのだ。
「馬鹿な!俺は確かにこの刃物で……」
衛兵に捕らえられながらも、ケンジの無事を見たその男は、ショックを隠せなかったのである。
「わあ~~~~ん!」
ケンジの無事を見て、マイは大声で泣きケンジに抱きつき、周りで見ていた民集はケンジの無事に歓声が上がったのである。ケンジの足元には、男の持っていた刃物が折れ転がっていたのである。
ケンジの新しい服は、ツバキの糸で編みこんであり、他国の衛兵の鎧より防御力のある装備であり、素人の扱う刃物では絶対傷などつけれないような逸品である。もしこの服が無くとも、ケンジには物理攻撃は効かないのである。痛覚はあるが魔法の※③【ストーンスキン】という魔法が常にかかっているため、不意打ちにはめっぽう強いのである。
だが、ケンジは振り向いた瞬間、刃物をいきなりみぞおちに突き立てられた為、息が出来なくなりうずくまってしまったのである。
「マイ!そんなに泣くな。ほら俺は大丈夫だから」
「だって、ケンちゃんさっきまで動かなかったもの!」
「俺が、不意打ちでダメージを受けるわけないだろ?ほら!血の一滴さえ流れてないだろ?」
「うん……」
「それより、イチカ!あの男の身元を吐かせるんだ!」
「はい!分かっております!」
「たぶん、ギルドの関係者だと思うが!」
「はい!わたしもそう思います!」
イチカは、ケンジの指示を受け、兵舎の方に帰っていくのだった。そして周りを見ると、平民達がケンジとマイの心配をしていたのだった。
「みんな騒がしてすまない!この通り俺は大丈夫だ!」
その言葉を聞き、またしても歓声が上がるのであった。そして店の店長も出てきて、ケンジ達が来店していた事に気づき、順番を早めてくれようとしたのだが、ケンジはそれを断り元居た順番に並び直したのだった。
「ケンジ様!お席を準備したのでどうぞお入りください」
「それは駄目だな。ちゃんとみんな一緒のルールで順番を守るよ」
周りの人達も、なんか気まずい雰囲気を感じて、先に順番を譲ろうとしたのである。
「ケンジ様、私達は良いので先にお食事をしてください!」
「そうですよ」
「この国の王様より先に店に入るなんて……」
「いや、俺はFreedom店のお客様に、日頃から順番を守らないといけないと言っているのに、ここで順番を守らなかったら不公平じゃないか!」
それを聞いていた、周りにいた民衆達は、笑顔となったのである。
「さすがケンジ様は他の国の貴族と違う!」
「やっぱこの国に来てよかった!」
「本当にこの国は差別とかないんだ……」
ケンジにとって当たり前の事だが、こういった事件をも逆手に取って、民衆達からの支持をあげたのである。
*-----*-----*-----*-----*
この話で出てきた魔法アイテム一覧
※①【マジカルシャツ】
必要STR 1
防御 55
幸運+100
疲労軽減 20%
耐久度 耐久度値 85/総耐久度値 85
相場価格 200万ドゴン~230万ドゴン
備考
ツバキ(ダークアラクネ)の糸を使ったシャツ。マジカルツールで製作し
マジカル効果の付いたシャツ
※②【マジカルツール+1】
裁縫のゴッドオーダーの受注を受ける事で入手可能のマジカルアイテムが
作れる裁縫キット。
+1とついているので一着だけマジカルアイテムを作ると、壊れてしまう
消費アイテム。どういったマジカル効果がつくのかはランダム。
※③【ストーンスキン】
土属性魔法 5階位
消費MP 60
詠唱速度 5.75秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間 剥がれるまで永久
効果対象 術者のみ
効果範囲 なし
必要秘薬 紫水晶 虹パール 各50個
備考欄
術者のみに物理攻撃を完全に防ぐ魔法。非常に強力で不意打ちには
とても有効的。効果はレベル半分回数分の攻撃を防ぐ。
魔道士職業レベル50と魔法スキル95以上で使用可能
「ご主人様!錬金術がレジェンダリーになったって本当ですか?」
「ああ!結構時間がかかったな……あれから8か月もかかってしまったよ」
「8ヵ月もって……それを言うなら8ヵ月しかかからなかったですよ!」
「ああ……そうとも言うかもな。だけど、その間に聖教国では3店舗も支店が増えたしな。順調にいかないのは錬金術だけだよ……」
Freedomでは、この8ヶ月の間に聖教国内に、3店舗支店を増やしていたのである。
そして、ケンジの言った錬金術が順調にいっていないと言う理由は、今だにパワースクロールのゴッズが出ていない事にあったのである。
「順調にいっていないって……レジェンダリーになったのでしょ?凄い事ではないですか?」
ダリアは、ケンジの言葉に呆れていたのだった。
「オイオイ……俺の計画では、蘇生方法を見つけようとしているのに、足止めを食らっているんだから順調にいっていないのと一緒じゃないか」
「それはそうなのかもしれませんが、10ヶ月程度で生産職のスキルがレジェンダリーになったのでしょ?」
「まあ、それに関しては普通じゃないかもしれないんだけどな……」
「ですよね?」
「だが、肝心のアイテムが出ないんじゃしょうがないからな」
「ご主人様!あまり痕を詰めるのはお勧めしませんよ。錬金術と薬学は生産の中でも、大変とされているスキルなのですから、久しぶりにリフレッシュで休憩してもいいのではありませんか?」
ケンジとダリアが話しているところに、ハインと言う名前の男性の錬金術士が話してきたのであった。この男性は当然ケンジの奴隷であり、前回ケンジに名前を憶えてほしいと言った人物である。
「ハイン、ありがとな!」
「Freedomの町も、この8ヵ月でいろんな店が建ち、人気のレストランが建ったと言う事ですよ。奥様のマイマール様を誘ってみてはいかがですか?」
「なるほど!それもいいかもな……ちょっとマイと話してくるよ!」
ケンジは、ハインに言われて早速マイの所に行くのだった。
「マイ!今ちょっといいか?」
「どうしたの?」
「今な、ハインに聞いたんだがFreedomの町に、有名なレストランが建ったと聞いたんだが、そこが美味しい店らしいんだよ。一緒に出掛けないか?」
「ホントに!嬉しい!すぐ準備してくるわ!」
マイは嬉しそうに、バタバタ早足で自分の部屋に入っていき、準備するのだった。ケンジはセバスに、今日の晩御飯はいらないと伝えるのだった。
「セバス!ちょっと出かけてくるから今日はご飯いらないからな」
「ちょ、ちょっといきなりどこに行くのですか?」
「ちょっと町まで出てくるよ」
「でしたら、誰か護衛を!マードック丁度いいところに!」
「なにかあったのか?」
「ご主人様が町に出かけると言うから護衛……」
「ちょ、ちょっと待てって!護衛は今日はいらないよ!」
「主!それは駄目だって何回言えば!」
「いや……久しぶりにマイと、二人で食事に行くから、遠慮してほしいと思ったんだよ」
「「あっ……」」
「そういう事でございましたか……」
「それじゃ、俺達は行かないほうがいいよな……」
「ああ!察してくれてありがとな」
ケンジとマイは、久しぶりに二人きりで出かける事となったのである。すると、そこに噂を聞きつけたツバキや裁縫工房で働く女性達が、新しい服のコーディネイトし始めたのだった。
「ご主人様!これを着てみてください!」
「エレナ?これってすごい上品なデザインの服だな?」
「これは、ツバキの糸で編んだ服でマジカルツールで作ったのですよ!」
「じゃあマジック効果があるのか?」
ケンジはその服を鑑定すると、※①【マジカルシャツ】と鑑定結果が出て疲労軽減+20%アップ、幸運+100と出たのである。
エレナの説明によれば、ゴッドオーダーを自分の休みの日にやった時に、※②【マジカルツール+1】が出たらしいのである。
そして、日頃お世話になっているケンジにお洒落な服を作りたいと思っていたので、そのツールを使って作ったそうなのだ。
「いつも、ご主人様に感謝しております!これを裁縫工房みんなから日頃の感謝の気持ちです。どうか貰っていただけますか?」
「ああ!ありがとな。凄い気に入ったよ!着やすくてデザインも最高だ!」
ケンジがそういうと、エレナ達は笑顔となり頭を下げたのである。
「ご主人様……」
「ツバキ、どうしたんだ?」
ツバキは、ケンジに寂しそうな顔をして話しかけてくるのだった。
「あまり、無理はしないでください……」
ツバキは、ケンジがキキョウの事を何とかしようとして、日頃から無理をしているのを気に病んでいたのである。
この事は、ツバキだけではなくFreedomにいる全員の意思だったのである。本当に死者蘇生など、出来るものなのか?という不安もあり、ケンジには無理をしてほしくなかったのである。
「ああ!大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。今日はこの服を着て、マイとゆっくりさせていただくよ!」
その言葉に、ツバキ達も笑顔を見せるのだった。
「ケンちゃん!準備できたけどもう大丈夫?」
「ああ!こっちも大丈夫だ!」
ケンジとマイは、久しぶりのデートに出かけるのだった。すると、本当にFreedomの町は、様変わりしていて、正面城門前から伸びる大通りは人が溢れていて活気が凄かったのである。
そして、今はもうテンペの町から移住してきた人間達への配給は、もうやらなくてもいいぐらいに、町での経済がまわっていたのである。
市場の方では、新鮮な野菜や果物、調味料である塩や胡椒、砂糖まで売り出されていたのである。砂糖は本当に貴重であり、平民が買い求めるには高くて手が出ないのだが、ここFreedomでは行商人がここなら売れるのではないかと持ち込んだものであった。
だが、ここは出来たばかりの町で、貴族がいる訳でもなく当てが外れて売れ残っていたのである。
「甘味は必要だが、あんなに高くては売れないだろうな……」
「ケンちゃん何か言った?」
「ああ……こうして久しぶりに買い物するのもいいなと思ってな!」
「ケンちゃん、ずっと引き篭もってたもんね……」
「でも、砂糖ってなんであんなに高いんだ?」
「そりゃ!ここまで運ぶのに苦労するからよ。サトウキビから、精製されるのはケンちゃんも知っているでしょ?」
「ああ!それぐらいは知っているよ」
「そのサトウキビは、ドワーフ国の火の国と言われる場所でしか採取されていないのよ!」
「火の国って事は九州か?」
「それも、沖縄ね!そこに自生するサトウキビを採取するのよ!ここガイアースでは栽培しているって聞かないわ」
「なるほどな……地球のようにはいかないって事か……海を渡って運輸するんだから高価になるのは当たり前か」
ケンジ達は町の変わりようを見て、驚きながら評判のレストランに着いてまた驚いたのである。評判だけあって恋人達の行列で賑わっていたのである。
ケンジ達も、その行列に並ぶのであった。
「もっと早く来ても良かったな……」
「うん……でも、どんな料理が出るんだろうね!むっちゃ楽しみ!」
そんな話しをしながら、ケンジ達は行列に並んでいると、ケンジのすぐ後ろのカップルが大きな声を出したのである。
「おい!オッサンなに順番抜かししてんだよ!」
「そうよ!後ろに並んでよね!」
そう言われた、おじさんは何やらブツブツ言っていたのである。
「おい!オッサン聞いてんのかよ!」
カップルの男性が、おじさんの肩をつかみ列から出そうとした瞬間、大声を出したのだった。
「うわぁ!オッサン何持ってんだよ!」
「お前……さえ……ブツブツ……」
「なんで、お前が……」
ケンジも、何やら後ろが騒がしいなと思い、振り返ろうとした瞬間一瞬、早くそのおじさんがケンジに突っ込んだのであった。
「ぐふっ……」
「えっ⁉」
「お、お前が悪いんだ!調子に乗るお前がな!がははははは!」
おじさんの、その手には刃物が握られていて、ケンジはいきなりの事にその場に膝をついたのである。
「い、いやぁ~~~~~!」
マイはケンジが刺されたと思い、大きな悲鳴を上げたのである。
「だ、誰か衛兵を呼べ!殺人だ!」
その有名店の周りは騒然となり、パニック状態に陥ったのである。そして、その中年のおじさんは周りの人間に、取り押さえられたのである。
「俺が悪いんじゃない!そいつが調子に!」
その中年のおじさんは、何やら訳の分からない事をわめき散らしていたのだ。そして、駆けつけたのはイチカであった。
「いやぁ~~~~~!ケンちゃん!死んじゃいやぁ~~~~~!」
泣き叫ぶマイを見て、イチカは全てを悟ったのである。
「まさか刺されたのは……ご、ご主人様⁉」
周りにいた人間も、衛兵のイチカの事をよく知っていて、イチカがご主人様と呼ぶのは、まさかこのFreedom国の王様のケンジだという事に気づいたのである。
「マイマール様!早くこのポーションをご主人様に!」
イチカが差し出したのは、衛兵に支給されているグレーターヒールポーションだった。周りには心配そうに見ていた民衆達が集まり、神に無事を祈っていたのである。
「ぷはっ!危なかった……来るとき、この新しい服じゃなかったら本当に刺されていたかも!」
ケンジは、ポーションでびしょぬれになりながら、傷一つついていなかったのだ。
「馬鹿な!俺は確かにこの刃物で……」
衛兵に捕らえられながらも、ケンジの無事を見たその男は、ショックを隠せなかったのである。
「わあ~~~~ん!」
ケンジの無事を見て、マイは大声で泣きケンジに抱きつき、周りで見ていた民集はケンジの無事に歓声が上がったのである。ケンジの足元には、男の持っていた刃物が折れ転がっていたのである。
ケンジの新しい服は、ツバキの糸で編みこんであり、他国の衛兵の鎧より防御力のある装備であり、素人の扱う刃物では絶対傷などつけれないような逸品である。もしこの服が無くとも、ケンジには物理攻撃は効かないのである。痛覚はあるが魔法の※③【ストーンスキン】という魔法が常にかかっているため、不意打ちにはめっぽう強いのである。
だが、ケンジは振り向いた瞬間、刃物をいきなりみぞおちに突き立てられた為、息が出来なくなりうずくまってしまったのである。
「マイ!そんなに泣くな。ほら俺は大丈夫だから」
「だって、ケンちゃんさっきまで動かなかったもの!」
「俺が、不意打ちでダメージを受けるわけないだろ?ほら!血の一滴さえ流れてないだろ?」
「うん……」
「それより、イチカ!あの男の身元を吐かせるんだ!」
「はい!分かっております!」
「たぶん、ギルドの関係者だと思うが!」
「はい!わたしもそう思います!」
イチカは、ケンジの指示を受け、兵舎の方に帰っていくのだった。そして周りを見ると、平民達がケンジとマイの心配をしていたのだった。
「みんな騒がしてすまない!この通り俺は大丈夫だ!」
その言葉を聞き、またしても歓声が上がるのであった。そして店の店長も出てきて、ケンジ達が来店していた事に気づき、順番を早めてくれようとしたのだが、ケンジはそれを断り元居た順番に並び直したのだった。
「ケンジ様!お席を準備したのでどうぞお入りください」
「それは駄目だな。ちゃんとみんな一緒のルールで順番を守るよ」
周りの人達も、なんか気まずい雰囲気を感じて、先に順番を譲ろうとしたのである。
「ケンジ様、私達は良いので先にお食事をしてください!」
「そうですよ」
「この国の王様より先に店に入るなんて……」
「いや、俺はFreedom店のお客様に、日頃から順番を守らないといけないと言っているのに、ここで順番を守らなかったら不公平じゃないか!」
それを聞いていた、周りにいた民衆達は、笑顔となったのである。
「さすがケンジ様は他の国の貴族と違う!」
「やっぱこの国に来てよかった!」
「本当にこの国は差別とかないんだ……」
ケンジにとって当たり前の事だが、こういった事件をも逆手に取って、民衆達からの支持をあげたのである。
*-----*-----*-----*-----*
この話で出てきた魔法アイテム一覧
※①【マジカルシャツ】
必要STR 1
防御 55
幸運+100
疲労軽減 20%
耐久度 耐久度値 85/総耐久度値 85
相場価格 200万ドゴン~230万ドゴン
備考
ツバキ(ダークアラクネ)の糸を使ったシャツ。マジカルツールで製作し
マジカル効果の付いたシャツ
※②【マジカルツール+1】
裁縫のゴッドオーダーの受注を受ける事で入手可能のマジカルアイテムが
作れる裁縫キット。
+1とついているので一着だけマジカルアイテムを作ると、壊れてしまう
消費アイテム。どういったマジカル効果がつくのかはランダム。
※③【ストーンスキン】
土属性魔法 5階位
消費MP 60
詠唱速度 5.75秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間 剥がれるまで永久
効果対象 術者のみ
効果範囲 なし
必要秘薬 紫水晶 虹パール 各50個
備考欄
術者のみに物理攻撃を完全に防ぐ魔法。非常に強力で不意打ちには
とても有効的。効果はレベル半分回数分の攻撃を防ぐ。
魔道士職業レベル50と魔法スキル95以上で使用可能
0
お気に入りに追加
2,450
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです
矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。
それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。
本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。
しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。
『シャロンと申します、お姉様』
彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。
家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。
自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。
『……今更見つかるなんて……』
ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。
これ以上、傷つくのは嫌だから……。
けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。
――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。
◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです(_ _)
※感想欄のネタバレ配慮はありません。
※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっておりますm(_ _;)m
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる