異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします！

第９章 Ｆｒｅｅｄｏｍ国の発展！

７２話 ギルド風前の灯火

　聖教国は、ケンジのアドバイスをもらいギルドを封じ込めてしまったのである。これには聖女も、今までの鬱憤が晴れたようでスカッとしたのである。

「これで、マルルドの町の衛生面はなんとかなりそうですね」

「聖女様！本当に良かったです」

　聖女と、側近である司教達は喜んでいたのである。言ってみたら教会は何もしなくとも、メイガン商会が口コミで宣伝してくれて、平民達は便器や冷蔵庫を買い求めてくれるのである。
　水道も買い求めて、ドンドン平民の生活水準が上がっていき、町の中に漂っていた嫌な匂いも無くなっていくのである。

　その様子を見て、聖女達はマルルドの町の司祭やシスター神父達を、他の町に出張させる事が出来るようになったのである。
　そして、他の町の汚水処理をして、少しでも改善することが出来るようになったのである。
　それにマルルドの町に、Ｆｒｅｅｄｏｍが進出した事により、聖教国に住むマルルド以外の町から、貴族や豪商達が便器や冷蔵庫を買いに来る事が出来て、一部でも生活が改善される事となったのである。

　これにより、あっという間にギルド総本部が窮地に立たされるのである。

「どうしてこんな事になったのだ？」

　ギルド総本部の、ギルドマスターのホーメインは頭を抱えてしまうのである。その幹部も、又何も言えない状態で無口になっていたのである。

　そして、ギルドマスター達は今更ながらＦｒｅｅｄｏｍに、許しを請う為に面会を求めたのである。その面会は、ケンジ達に断られるかと思ったのだが、そんなことは無くすんなり通ったのである。

「ケンジ様……このたびは、面会を受けていただきありがとうございます」

「それで、今日は何か用ですか？大事な用件があると言われたから、ギルドとの面会を受けたのですが、どのような事でしょうか？」

「ケンジ様、私達ギルドをＦｒｅｅｄｏｍの町に進出させてもらえないでしょうか？」

　ケンジは、ホーメインの申し出に少し黙って、目を鋭く見つめるのだった。ケンジは、ギルドの申し出に呆れ果てるのである。　

「それに対してのメリットは？」

「はっ⁉」

「うん？」

「それはどういう事ですか？」

「Ｆｒｅｅｄｏｍ国には、独自のギルドが存在しているのはわかっているよな？その上で、今まであった組織とはいえ、同じ役割のギルドが存在するメリットだよ」

「それは……」

「それに貴方達は、俺達が聖教国に進出する時に、俺達ではなく聖教国に圧力をかけてまで阻止しようとしたのですが、その相手をＦｒｅｅｄｏｍ国に受け入れる理由ですよ」

　ホーメイン達は、何も答える事が出来なかったのである。それもそのはずで、ギルド業務を経済の中心になりつつあるＦｒｅｅｄｏｍに移住する事で、経営の安定化をはかるつもりだった為、Ｆｒｅｅｄｏｍにとってのメリットがまったくなかったのである。

「黙ってちゃ分かりませんよ！それに、先の戦争の事をＦｒｅｅｄｏｍは忘れませんよ！俺はギルドに書簡を送ったと思いますが、それをなかった事にして、よくここに顔を出せたものですね」

「申し訳なかった！」

　ここまで言われてようやく、ホーメイン達はケンジに頭を下げたのである。

「俺は、あんた達を絶対に許さないよ！」

　そのように言われたホーメイン達は、顔をゆっくりあげたのだった。そして、ケンジの目を見た時、ホーメイン達はケンジに喧嘩を売った事を後悔したのだった。

「あの時は、ワシ達はあなたに嫉妬していてどうかしていたのです……」

　ケンジは、ホーメイン達を睨みつけ黙っていたのだった。

「あの、どうしたら許していただけますか？」

「貴方はさっき言った俺の言葉を聞いていなかったのか？」

「えっ？」　

「俺は、あんた達を絶対に許さないと言ったんだ！」

「そ、そんな……」

「俺は、ギルドの存在は町には必要度と思っている！じゃないと町の人達が迷惑を被るからな。だけど、ギルドにはあんた達のような人間が必要だとは思わない！」

「馬鹿な事を！ワシ達がいなくなればギルドが崩壊するぞ！」

「そう思っているのはあんた達だけだよ！」

「無礼な！」
「その言い方はあんまりである！」
「謝罪しないか！」

　ギルド幹部は、ケンジの言い方に憤慨し文句を言うのだった

「いいか！俺はこれから聖教国領に支店を建てていく！そうなった時、あんた達ギルド総本部がどうなるのか？そして、今のその強気の言葉がいつまで続くのか、本当に楽しみだよ！当然Ｆｒｅｅｄｏｍ国に、今のギルドは介入させない！」

「そんな事になればギルドは……部下達の言葉はちょっとした行き違いで……お願いします……この通りです！」

　ホーメインは、ケンジに頭を下げ土下座を繰り返すのだった。

「いくら頭を下げたからと言ってもう遅いよ！誰に戦争を吹っ掛けたのかその身で思い知るがいいよ！暴力でない力がどんなものか、思い知らせてやるから覚悟しろ！」

　ケンジは、ホーメインに対しそう言い切ったのである。ホーメインが、ケンジの目を見た時背筋の凍る思いをして言葉が出なかったのである。

「さてと、もういいかな？俺も忙しい身なんだ！帰ってくれるかな？」

「ちょっと待ってください‼お願いします！我々、ギルドを助けてください。このままでは、大陸中にあるギルド職員達は路頭に迷ってしまいます」

「だから？」

「このままでは、暮らしができず奴隷に堕ちる者も……」

「俺には関係の無いことだ！それに、奴隷に堕ちるって事は、責任を取らなきゃいけないあんた達ギルドの上司達だろ？下で一生懸命働いている者達は関係ないじゃないか？」

「そ、そんな……」

「さあ！本当に帰ってくれないか？何時間粘っても、俺はあんた達を徹底的に叩き潰すだけだよ」

「……何で、あんたはギルドを目の敵に！」

「ほほう！面白い事を言うじゃないか！この戦争で、あんた達は俺達に何をしたのか忘れたのか？」

「それは悪かった！だがそうじゃない！あんたはずっと前から、ギルドに牙を向き、何かと反発をしていたじゃないか！そんなギルド構成員は、煙たがられて当然であろう！」

「あんた達に、説明をしてわかろうとする気があるとは思えないけどな！」

「ケンジ！あんたはいつもそうやってはぐらかし、我々を馬鹿にするんだ！テンペの町で、何人のギルドマスターを陥れたと思っているんだ！」

「ほほう！いきなり元気になったな！まあ、そんなに言うなら説明というか……その説明に答えてやるよ！あれは陥れたと言うより自滅したようなもんだろ！」

「何を言うか！インゴットの値段をつり上げ、自分達が苦も無くインゴットを用意する事で、イニシアティブをとりギルドを追い詰めたではないか！」

「じゃあ、ギルドはそういった事を今までやったことは無いと言うのか？それに言っておくが、俺はギルドからちょっかいを掛けられたから、そのペナルティーを課しただけだ」

「むぐぐぐ！」

「今回、ギルド本部を追い詰める理由は俺の家族を殺し、わざわざ素材を抜き取り、その亡骸だけを俺に返還した事だ！」

　ケンジは、ギルドを追い詰める理由を、ホーメインに怒りをあらわにして訴えかけるように怒鳴ったのだった。

「いいか？さっきどうやったら許してもらえると聞いたが、そんな条件などない！分かったならこの地からとっとと失せろ！」

「そっ！」

「もし仮に、ギルドが許されるとしたら、お前達がギルドのトップを退き、今の体制が変わった時だ！」

　そういって、ケンジはホーメインと幹部連中を追い返してしまったのである。

　ケンジの本気に、何も言えなくなったホーメイン達は肩を落とし、Ｆｒｅｅｄｏｍを後にしたのだった。




　ケンジは、ギルドを負い返したが、キキョウの事を考えると全然スカッとしなかったのである。

「ご主人様……これからどうするつもりですか？」

「セバス……今回はホント、目覚めが悪い復讐になりそうだよ。宣戦布告したけど全然気が晴れそうにないな……」

「ご主人様、今日はお休みになった方がよろしいのでは？」

「いや、多分この気持ちのイライラは、キキョウが生き返らないと収まらないだろうな」

「本当に、生き物の蘇生なんてできるのですか？」

「殺されてすぐになら、蘇生も可能だったんだけどな……それも今じゃ、不可能だから別の方法を見つけないな」

「そんな方法があるのですか？」

「まあ、俺に任せろ！」

　ケンジは、そう言って錬金工房に篭るのだった。