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第9章 Freedom国の発展!
61話 帝国領の混乱
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Freedom国の傘下となった帝国は、30%という税金をFreedom国に支払わないといけなくなったのである。
その為、皇帝は帝国領の町の税金を引き上げたのである。この税金の引き上げには、町の人達は悲鳴を上げるのである。
『先の戦争で、宰相や公爵の見極めが甘かった為、敗戦となり勝国であるFreedom国に、賠償金を払う事となり税金を上げる!』
このような張り紙を、各町に張り出したのである。皇帝は全て、上級貴族の責任として国民に伝えたのである。
この事は、帝国領の国民にとっては寝耳に水であり、不平不満が噴出したのである。帝国民の怒りが噴出したのは無理もなく、貴族達は元々平民達に無理を強いてきていたのだ。そして、ここにきての増税だったのである。
だが、平民が貴族にたてつくわけにもいかず、過酷な労働を強いられる事になるのである。
これは、冒険者達にも影響が出てくるのである。依頼を受ける場合、ギルドを通して受けるのだが、依頼料の税金分が増加したのである。
この事が、帝国から人がいなくなる原因になるのである。そして、帝国の人々は王国領に移住する人間が増えたのである。
そして、冒険者や生産者や商人達はFreedom国に拠点を移し、メイガン商会のガンスの言った通り、経済の中心がFreedom国になってくるのである。
そして、帝国は規模を縮小し、開発村などを引き上げる結果となったのだ。帝国の規模は、この事で山口県から兵庫県の領土をドンドン縮小し、とうとう帝都が存在する、広島県程の広さに落ち着いてしまったのである。
ブリュンガスの町も又、帝国領では大きな町だったのだが、ブリュンガスの町は引き上げられてしまったのだ。民衆は王国領のガーライの町やナンペイの町等に移住し、中規模の町だったのが貿易都市のようになったのである。
まさか、ケンジはこんな事になるとは思っていなかったのだが、Freedom店のこの2店舗の売り上げがとんでもなく上がったのである。
そして、忘れてはいないであろうか。帝国領のマードン伯爵である。
「むぐぐぐ……これ以上はとてもじゃないが、税金を上げるわけにはいかない……どうしたらいいのだ!」
「旦那様!ですがこのままでは、帝都からの増税分が払えません……」
「だからと言って、民衆達にこれ以上負担は掛けられないであろう!」
マードンは帝国の中でも善政をして、自分の領地を運営していた貴族である。
「マードン様!わたくし達をお売りください‼今まで本当によくしていただけました」
「何を言っておる!お前達だけは私が絶対に養って……」
マードンに、自分を売ってくれと言ったのは、エリスの姉とその両親達である。マードンはエリスの約束を守り、エリスの家族だった者を見つけ出し養っていたのである。この事だけでも、マードンのエリスに対する愛の深さがわかるのである。
「いえ……マードン様の気持ちはいたく伝わり、今まで本当に幸せでした。私達は貴族だったので、特別奴隷として高く売れるでしょう!そのお金をお使いください……」
「だ、駄目だ!私はエリスと約束を交わし、両親や姉をよろしく頼むと言われたのだ!エリスを、幸せに出来なかった……だから、そなたたちだけでも……」
「旦那様!この奴隷達の言う事ももっともでございます!このままでは税金が払えず、旦那様まで没落してしまうかもしれないのですぞ!」
「だ、だが……本当にそれしか手はないのか?だが、エリスとの約束を……」
「それか、町の税金をもう少し引き上げるしか……」
「黙れ!町の人間達は、もう限界カツカツなんだ!これ以上はもう……」
マードンはもう、崖際寸前だったのである。税金が高くなり、町の人間に無理を言いギリギリまで上げていたのだが、帝国領から逃げ出す人間が多く、流出を止められない負の連鎖に陥っていたのである。
マードンは、この状況を打破する会議を行っていたのだが、なんの案も出なかったのである。そんな頭を抱えている時、使用人の一人が意見を言ってきたのである。
「旦那様……少しよろしいでしょうか?」
「なにか妙案でもあるのか?」
「恥を忍んで、エリス様の国に援助を求める事は出来ないでしょうか?」
「ば、馬鹿な!そんなことが出来るわけがなかろう!帝国はその国に攻め込んだのだぞ!そのせいで帝国は、その傘下に収まりこの状況なのだ!どの面を下げて援助を求めると言うのだ!」
「そうですか……やっぱりだめですよね……」
「当たり前であろう!そんな事、貴族のプライドに掛けて出来ぬ……」
会議は重苦しい沈黙で、誰も案がでなかったのである。その時、執事の人間が会議室に入ってきたのである。
「だ、旦那様!あ、あの!今、来……来客が!」
「もっと落ち着いて話せ!何を言っているかわからん!」
「あの、来客がありました。客室に通していただきました!」
「なっ!もう徴収に役人が来たのか⁉まだ期日には時間があったはずなのに!」
「ち、違います!例の国のケンジ様と名のり、エリス様も御一緒に面会にきております!」
「なんだと!」
エリスの名を聞き、マードンは勢いよく席から立ち上がったのである。そして、急いでケンジの待つ客室に向かったのである。
「エリス‼」
マードンは、客室の扉を勢いよく開けたのである。そこには夢にまで見たエリスが、ケンジとマイそして護衛であるギル達が居たのである。
「マードン様、いきなり訪問して申し訳ございません」
「ケ、ケンジ殿……このたびは、帝国が迷惑をかけて申し訳なかった……許してくれ!」
マードンは、ケンジに頭を下げたのである。
「いえ……それはもういいのですが、今帝国は、大変になっているのですよね?ストレートに言わせていただきますが、お気を悪くしないで頂きたいのですが、マードン様の領地も切羽詰まっているのではありませんか?」
「……何故、そんなことを……」
「マードン様には、エリスの事もありましたし放って置けなかったので、こうしてアポイントも取らず訪問させていただきました」
「ケンジ殿!恥を忍んでいうが、今更エリスを譲るとか言わないでくれよ……この私には、もうそんな余裕がないのだ……」
「ええ!それはわかっております」
「だったら今日は、なぜエリスまで連れて訪問に来たのだ?」
「マードン様、今日はエリスを長年探し、その家族まで探し出し養って頂いていた事の感謝をしに、その恩を返しに来たのですよ」
「はっ⁉何を言っておるのだ?」
「貴方様は、こんな事を言っては失礼かもしれませんが、帝国でも珍しい善政をしている貴族様です」
「馬鹿な……私はもうこの町の者に増税を課し迷惑をかけておる……本当に情けないと思っているよ……」
「で、ご相談なのですが、俺のFreedom支店を町の外に、設置させて頂こうかと思っているのですがいかがでしょうか?」
マードンは、ケンジの申し出に驚くのであった。ケンジの店の商品を最初食器類に目を奪われ、それだけだと思っていたのだが冷蔵庫や便器など凄い商品があり、マードンの屋敷だけには購入し設置していたのである。
これらの商品が、町の人達にも手軽に購入できる事で、王国領のように発展するのは目に見えて明らかなのだ。マードンは一瞬嬉しそうに笑顔を見せたのだが、すぐにその笑顔が消えてしまったのである。
「ケンジ殿……ありがたい申し出だが、もう遅いのだ……」
「えっ⁉もう遅いとはどういう事でしょうか?」
「なら聞かせていただくが、確かにFreedom店がこの町に進出してくれば、町は発展し王都での情報では人口増加が見込め、税金が集まるであろう!仮にこの町に支店を開いてくれて、それは何年先なのだ?それでは、後一ヵ月先の、徴収には間に合わんのだ!」
「ああ!そういう事ですか……」
ケンジは、マードンの言う事に笑みを浮かべるのである。マードンは、ケンジが笑顔を見せた事に少しムッとしたのである。
「何を笑っている!私達にはもう時間が無いのだ!」
「あ……すいません!俺は先ほどエリスの恩を返しに来たと、言ったではありませんか?」
「それはどういう事だ……」
「マードン様は、エリス捜索でいくらお金をお使いになったかわかりませんが、そのお金を俺が立て替えようと言っているのです」
「なんだと⁉」
「旦那様!そのお金があれば1年間は大丈夫かと!」
「それは良かった!その間に、この町が発展さえすれば何とかなるのではありませんか?」
「本当に良いのか?」
「ただし、これでエリスの恩は返す事としてください!俺の国もまだできたばかりで、正直な事を言いますと他の国に構っている事が出来ないのが実状なのです!」
「ああ!この機会を与えてくれて感謝するが、ケンジ殿……もう一つ私の願いを聞いてくれぬか?」
「えっ……」
ケンジは露骨にいやそうな顔をするのだった。確かにエリスの事を想ってくれている人物でこれで恩を返し、すっきりしたと思ったのだが、ここにきてまだお願い事を聞いてくれと言われてしまったのである。
「そんな露骨な顔をするでない!これはエリスにとっても良い事なのだからな。ちょっと待っててくれ」
マードンは、執事にコソコソと耳打ちをすると、執事はニッコリと笑顔をみせて、客室から出て行ってしまったのだった。
すると、少ししたら部屋の扉がノックされて入ってきたのは、執事が連れてきたのは、エリスの家族であった。
「「「エリス!」」」
「お父様、お母様、お姉さま!」
エリスは、入ってきた家族に思わず駆け寄り、涙を流し抱きついたのである。エリスの家系が没落し、離れ離れになり3年ぶりの感動の再開であった。
ケンジは、マードンの心意気に感謝したのである。
「エリスに、家族と会わせてくれてありがとうございます」
「それで、願いを聞いてくれぬか?」
「えーっと、どういう願いでしょうか?」
「エリスの家族を引取ってくれぬか?私はエリスと約束をして、家族を守ると思っていたが、ケンジ殿がこうしてきてくれなかったら、エリスの家族を手放すしかなかった……」
「「「マードン様……」」」
「ですが、マードン様は最後まで諦めなかったではありませんか!」
「そうです!私達は感謝こそあれ、不満など!」
「だが、あのままでは結果的には手放していたであろう……だから、ケンジ殿こやつらを引取ってはいただけないだろうか?頼む!この通りだ……」
マードンは、ケンジに深々と頭を下げるのだった。ケンジはマイと目を見合わせ困った表情になったのである。
「あの……エリスのお父さんに聞きたいのですがいいですか?」
「我々は、奴隷なので敬語など必要ないです。何でも聞いて下さい」
「わかったよ!Freedom国に来ても、今のように特別奴隷としての暮らしは出来ないけど本当にいいのか?」
「えーっと、どういう事でしょうか?」
「つまり、Freedom国にきたら、特別奴隷みたいに箔をつける為の奴隷ではなく働いてもらうと言う事だ。当然お母さんもお姉さんも同様に、何か仕事をしてもらうけどいいのか?」
「マードン様、本当に私達をエリスのもとへ売ってくれるのですか?」
「ああ!その方がお前達もいいであろう?それに私も、エリスの陰から卒業しないといけないと思うしな。こんなとこで不安になるより、お前達はFreedom国で家族一緒に暮らせた方がいいであろう?」
そのマードンの言葉に、エリスの両親と姉は深々と頭を下げるのだった。
「ケンジ様!私達はあなたの役に立って見せます。私達を、あなたのもとへエリス共々よろしくお願いします」
「わかったよ。これからヨロシクな!」
ケンジは、マードンにエリスの家族に掛った金額と、捜索にかかった費用を支払うのだった。
これで、マードン領であるこの町の税金は引き下げる事ができ、マードンの宣伝で近々、Freedom支店が開店することが知らされるのであった。
町の人々は、税金が元に戻った事に対してマードンに深々と頭を下げ感謝されるのであった。
「領主様、町の外に店が出来ると聞いたのだがどういう事ですか?そんなところに店を建てて大丈夫なのですか?」
「ああ!大丈夫みたいだ。その店の商品は、便利な物がいっぱい売っていてみんなで利用してくれ!」
「領主様のお願いなら頑張って言う事を聞くだよ!」
「それが領主様の為になるなら、おらも頑張るだ!」
町の人達と言うより、マードンが治める町はまだ村が少し大きくなり、村の印象が大きかったのである。だが、町の人達はマードンを慕い、笑顔を見せマードンの役に立とうとしていたのである。
その為、皇帝は帝国領の町の税金を引き上げたのである。この税金の引き上げには、町の人達は悲鳴を上げるのである。
『先の戦争で、宰相や公爵の見極めが甘かった為、敗戦となり勝国であるFreedom国に、賠償金を払う事となり税金を上げる!』
このような張り紙を、各町に張り出したのである。皇帝は全て、上級貴族の責任として国民に伝えたのである。
この事は、帝国領の国民にとっては寝耳に水であり、不平不満が噴出したのである。帝国民の怒りが噴出したのは無理もなく、貴族達は元々平民達に無理を強いてきていたのだ。そして、ここにきての増税だったのである。
だが、平民が貴族にたてつくわけにもいかず、過酷な労働を強いられる事になるのである。
これは、冒険者達にも影響が出てくるのである。依頼を受ける場合、ギルドを通して受けるのだが、依頼料の税金分が増加したのである。
この事が、帝国から人がいなくなる原因になるのである。そして、帝国の人々は王国領に移住する人間が増えたのである。
そして、冒険者や生産者や商人達はFreedom国に拠点を移し、メイガン商会のガンスの言った通り、経済の中心がFreedom国になってくるのである。
そして、帝国は規模を縮小し、開発村などを引き上げる結果となったのだ。帝国の規模は、この事で山口県から兵庫県の領土をドンドン縮小し、とうとう帝都が存在する、広島県程の広さに落ち着いてしまったのである。
ブリュンガスの町も又、帝国領では大きな町だったのだが、ブリュンガスの町は引き上げられてしまったのだ。民衆は王国領のガーライの町やナンペイの町等に移住し、中規模の町だったのが貿易都市のようになったのである。
まさか、ケンジはこんな事になるとは思っていなかったのだが、Freedom店のこの2店舗の売り上げがとんでもなく上がったのである。
そして、忘れてはいないであろうか。帝国領のマードン伯爵である。
「むぐぐぐ……これ以上はとてもじゃないが、税金を上げるわけにはいかない……どうしたらいいのだ!」
「旦那様!ですがこのままでは、帝都からの増税分が払えません……」
「だからと言って、民衆達にこれ以上負担は掛けられないであろう!」
マードンは帝国の中でも善政をして、自分の領地を運営していた貴族である。
「マードン様!わたくし達をお売りください‼今まで本当によくしていただけました」
「何を言っておる!お前達だけは私が絶対に養って……」
マードンに、自分を売ってくれと言ったのは、エリスの姉とその両親達である。マードンはエリスの約束を守り、エリスの家族だった者を見つけ出し養っていたのである。この事だけでも、マードンのエリスに対する愛の深さがわかるのである。
「いえ……マードン様の気持ちはいたく伝わり、今まで本当に幸せでした。私達は貴族だったので、特別奴隷として高く売れるでしょう!そのお金をお使いください……」
「だ、駄目だ!私はエリスと約束を交わし、両親や姉をよろしく頼むと言われたのだ!エリスを、幸せに出来なかった……だから、そなたたちだけでも……」
「旦那様!この奴隷達の言う事ももっともでございます!このままでは税金が払えず、旦那様まで没落してしまうかもしれないのですぞ!」
「だ、だが……本当にそれしか手はないのか?だが、エリスとの約束を……」
「それか、町の税金をもう少し引き上げるしか……」
「黙れ!町の人間達は、もう限界カツカツなんだ!これ以上はもう……」
マードンはもう、崖際寸前だったのである。税金が高くなり、町の人間に無理を言いギリギリまで上げていたのだが、帝国領から逃げ出す人間が多く、流出を止められない負の連鎖に陥っていたのである。
マードンは、この状況を打破する会議を行っていたのだが、なんの案も出なかったのである。そんな頭を抱えている時、使用人の一人が意見を言ってきたのである。
「旦那様……少しよろしいでしょうか?」
「なにか妙案でもあるのか?」
「恥を忍んで、エリス様の国に援助を求める事は出来ないでしょうか?」
「ば、馬鹿な!そんなことが出来るわけがなかろう!帝国はその国に攻め込んだのだぞ!そのせいで帝国は、その傘下に収まりこの状況なのだ!どの面を下げて援助を求めると言うのだ!」
「そうですか……やっぱりだめですよね……」
「当たり前であろう!そんな事、貴族のプライドに掛けて出来ぬ……」
会議は重苦しい沈黙で、誰も案がでなかったのである。その時、執事の人間が会議室に入ってきたのである。
「だ、旦那様!あ、あの!今、来……来客が!」
「もっと落ち着いて話せ!何を言っているかわからん!」
「あの、来客がありました。客室に通していただきました!」
「なっ!もう徴収に役人が来たのか⁉まだ期日には時間があったはずなのに!」
「ち、違います!例の国のケンジ様と名のり、エリス様も御一緒に面会にきております!」
「なんだと!」
エリスの名を聞き、マードンは勢いよく席から立ち上がったのである。そして、急いでケンジの待つ客室に向かったのである。
「エリス‼」
マードンは、客室の扉を勢いよく開けたのである。そこには夢にまで見たエリスが、ケンジとマイそして護衛であるギル達が居たのである。
「マードン様、いきなり訪問して申し訳ございません」
「ケ、ケンジ殿……このたびは、帝国が迷惑をかけて申し訳なかった……許してくれ!」
マードンは、ケンジに頭を下げたのである。
「いえ……それはもういいのですが、今帝国は、大変になっているのですよね?ストレートに言わせていただきますが、お気を悪くしないで頂きたいのですが、マードン様の領地も切羽詰まっているのではありませんか?」
「……何故、そんなことを……」
「マードン様には、エリスの事もありましたし放って置けなかったので、こうしてアポイントも取らず訪問させていただきました」
「ケンジ殿!恥を忍んでいうが、今更エリスを譲るとか言わないでくれよ……この私には、もうそんな余裕がないのだ……」
「ええ!それはわかっております」
「だったら今日は、なぜエリスまで連れて訪問に来たのだ?」
「マードン様、今日はエリスを長年探し、その家族まで探し出し養って頂いていた事の感謝をしに、その恩を返しに来たのですよ」
「はっ⁉何を言っておるのだ?」
「貴方様は、こんな事を言っては失礼かもしれませんが、帝国でも珍しい善政をしている貴族様です」
「馬鹿な……私はもうこの町の者に増税を課し迷惑をかけておる……本当に情けないと思っているよ……」
「で、ご相談なのですが、俺のFreedom支店を町の外に、設置させて頂こうかと思っているのですがいかがでしょうか?」
マードンは、ケンジの申し出に驚くのであった。ケンジの店の商品を最初食器類に目を奪われ、それだけだと思っていたのだが冷蔵庫や便器など凄い商品があり、マードンの屋敷だけには購入し設置していたのである。
これらの商品が、町の人達にも手軽に購入できる事で、王国領のように発展するのは目に見えて明らかなのだ。マードンは一瞬嬉しそうに笑顔を見せたのだが、すぐにその笑顔が消えてしまったのである。
「ケンジ殿……ありがたい申し出だが、もう遅いのだ……」
「えっ⁉もう遅いとはどういう事でしょうか?」
「なら聞かせていただくが、確かにFreedom店がこの町に進出してくれば、町は発展し王都での情報では人口増加が見込め、税金が集まるであろう!仮にこの町に支店を開いてくれて、それは何年先なのだ?それでは、後一ヵ月先の、徴収には間に合わんのだ!」
「ああ!そういう事ですか……」
ケンジは、マードンの言う事に笑みを浮かべるのである。マードンは、ケンジが笑顔を見せた事に少しムッとしたのである。
「何を笑っている!私達にはもう時間が無いのだ!」
「あ……すいません!俺は先ほどエリスの恩を返しに来たと、言ったではありませんか?」
「それはどういう事だ……」
「マードン様は、エリス捜索でいくらお金をお使いになったかわかりませんが、そのお金を俺が立て替えようと言っているのです」
「なんだと⁉」
「旦那様!そのお金があれば1年間は大丈夫かと!」
「それは良かった!その間に、この町が発展さえすれば何とかなるのではありませんか?」
「本当に良いのか?」
「ただし、これでエリスの恩は返す事としてください!俺の国もまだできたばかりで、正直な事を言いますと他の国に構っている事が出来ないのが実状なのです!」
「ああ!この機会を与えてくれて感謝するが、ケンジ殿……もう一つ私の願いを聞いてくれぬか?」
「えっ……」
ケンジは露骨にいやそうな顔をするのだった。確かにエリスの事を想ってくれている人物でこれで恩を返し、すっきりしたと思ったのだが、ここにきてまだお願い事を聞いてくれと言われてしまったのである。
「そんな露骨な顔をするでない!これはエリスにとっても良い事なのだからな。ちょっと待っててくれ」
マードンは、執事にコソコソと耳打ちをすると、執事はニッコリと笑顔をみせて、客室から出て行ってしまったのだった。
すると、少ししたら部屋の扉がノックされて入ってきたのは、執事が連れてきたのは、エリスの家族であった。
「「「エリス!」」」
「お父様、お母様、お姉さま!」
エリスは、入ってきた家族に思わず駆け寄り、涙を流し抱きついたのである。エリスの家系が没落し、離れ離れになり3年ぶりの感動の再開であった。
ケンジは、マードンの心意気に感謝したのである。
「エリスに、家族と会わせてくれてありがとうございます」
「それで、願いを聞いてくれぬか?」
「えーっと、どういう願いでしょうか?」
「エリスの家族を引取ってくれぬか?私はエリスと約束をして、家族を守ると思っていたが、ケンジ殿がこうしてきてくれなかったら、エリスの家族を手放すしかなかった……」
「「「マードン様……」」」
「ですが、マードン様は最後まで諦めなかったではありませんか!」
「そうです!私達は感謝こそあれ、不満など!」
「だが、あのままでは結果的には手放していたであろう……だから、ケンジ殿こやつらを引取ってはいただけないだろうか?頼む!この通りだ……」
マードンは、ケンジに深々と頭を下げるのだった。ケンジはマイと目を見合わせ困った表情になったのである。
「あの……エリスのお父さんに聞きたいのですがいいですか?」
「我々は、奴隷なので敬語など必要ないです。何でも聞いて下さい」
「わかったよ!Freedom国に来ても、今のように特別奴隷としての暮らしは出来ないけど本当にいいのか?」
「えーっと、どういう事でしょうか?」
「つまり、Freedom国にきたら、特別奴隷みたいに箔をつける為の奴隷ではなく働いてもらうと言う事だ。当然お母さんもお姉さんも同様に、何か仕事をしてもらうけどいいのか?」
「マードン様、本当に私達をエリスのもとへ売ってくれるのですか?」
「ああ!その方がお前達もいいであろう?それに私も、エリスの陰から卒業しないといけないと思うしな。こんなとこで不安になるより、お前達はFreedom国で家族一緒に暮らせた方がいいであろう?」
そのマードンの言葉に、エリスの両親と姉は深々と頭を下げるのだった。
「ケンジ様!私達はあなたの役に立って見せます。私達を、あなたのもとへエリス共々よろしくお願いします」
「わかったよ。これからヨロシクな!」
ケンジは、マードンにエリスの家族に掛った金額と、捜索にかかった費用を支払うのだった。
これで、マードン領であるこの町の税金は引き下げる事ができ、マードンの宣伝で近々、Freedom支店が開店することが知らされるのであった。
町の人々は、税金が元に戻った事に対してマードンに深々と頭を下げ感謝されるのであった。
「領主様、町の外に店が出来ると聞いたのだがどういう事ですか?そんなところに店を建てて大丈夫なのですか?」
「ああ!大丈夫みたいだ。その店の商品は、便利な物がいっぱい売っていてみんなで利用してくれ!」
「領主様のお願いなら頑張って言う事を聞くだよ!」
「それが領主様の為になるなら、おらも頑張るだ!」
町の人達と言うより、マードンが治める町はまだ村が少し大きくなり、村の印象が大きかったのである。だが、町の人達はマードンを慕い、笑顔を見せマードンの役に立とうとしていたのである。
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