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第9章 Freedom国の発展!

47話 新たな商品開発⑥

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 3ヵ月後、Freedom店で女性用の下着が販売される前になると、支店でマネキンが設置されたのである。
 マネキンの前には、購入される方は事前に、トップとアンダーのサイズを測定してほしいとの、説明を張り紙にしておいたのである。
 この対処は、人前で測られるのは恥ずかしいと思う気づかいであった。それと、販売当日は混乱するのを予想し、そのメモを見せる事で、すぐにその対象商品を出すことが出来る為である。数も限りがある為、在庫が切れ次第終了とも、事前に知らせておいたのである。

「なんて、美しい下着なの……」
「ホント早く欲しいわ」
「絶対、朝一で並ぶようにしないと!」

 女性達はマネキンの前で、井戸端会議のように話していたのだった。男性達は、横目にマネキンを見て顔を真っ赤にして、買い物をしていたのである。

「なあ、あの下着をリンダさんやユエティーは着ているんだよな?」
「ああ……」
「なんか、すっごい色っぽいよな……」
「ああ……そうだな……」

 男性客も又、やらしい想像をして、顔を真っ赤にしていたのだった。


 そして、女性用の下着販売の日、朝から行列が支店の前に出来上がり、Freedom国でも移住してきた女性達が、店に殺到したのである。

 支店は、町の城壁の外に位置する為朝の6時とかに並ぶと、盗賊や魔物に襲われる危険性が増すので、朝早くから並ぶ人は居なかったのだが、Freedom国では陽が昇る前から行列が出来ていたのである。

「「ご主人様!もう行列が出来ていますよ!」」 

 毎朝、ベットメイキングをするティアナとフィアナが、ケンジに起こしに来た時に、店の外の状況を報告してきたのである。

「はぁ?それは本当なのか?」

「本当ですよ!たぶんこの状況はテンペの町で便器を売り出した時と同じかそれ以上かもしれないです」
「ん……懐かしい光景だった」

「まあ、だからと言って早く開ける事はないけどな。支店の方では町の外にあるから、町の人達を危険にあわす事はできないからな」

「「確かに……」」

 しかし、ケンジは知らなかったのである。支店の方では、町の中の城門前にすでに行列が出来ていた事を!その後景は、まさに正月元旦の西宮神宮の福男を、決めるような状況にあったのである。
 朝8時に、支店は開店されるのである。支店が開く8時になったら城門から大量の女性客が、Freedom支店に殺到することが、容易に想像が出来る状況だったのだ。

 各、町の城門を警備している衛兵達は、いったい何が起こっているのか分からなかったのである。こんな事は、町の中の店でも起こった事がなく、女性達を門の前から整理しないと、旅人達が町の中に入れない状態にあったのである。

「申し訳ない!女性の方々!もう少し城門前を開けていただきたい!」

 女性達は、バーゲンセールの扉の前に並んでいるような感じで、我先に商品をゲットする気満々で、誰も言う事を聞いてくれなかったのである。

「何言ってんのよ!店が空いたらすぐに行ける様にしているから、他の門に誘導したらいいじゃない!」
「「「そうよそうよ!」」」

 集団となった、民衆の怖さを知った衛兵達であった。衛兵達は正面玄関である城門を諦めて、旅人達に事情を説明したのだった。旅人達は、納得いかなかったが渋々他の城門へと向かったのである。



 そして、朝8時になった瞬間、城門から女性達がFreedom店に殺到したのである。ガーライ、ナンペイ、王都の城門から、Freedom店に続く街道は女性客で、埋め尽くされていたのである。

「お客様!きちんと列をおつくりください‼そこ、はみ出さないでください!」

 今回は、ガードマンのようにギルやマードックはもちろんの事、ロイ達やランスロット達元騎士団達も、街道沿いを警備したのである。

 店の中は、予想通り大混雑していたのである。

「いらっしゃいませ!下着の柄はこの3種類からお選びください」

「ではこれら1種類ずつ3着くださる?」

「申し訳ございません……おひとりさま2着まででお願いします……」

「えぇ~~~~~!そんなのないですわ!」

「申し訳ございません!張り紙にもあった様に、たくさんのお客様が来られます。できるだけ、たくさんのお客様に買っていただきたいのです」

「わ、分かったわよ……じゃあ、この2種類を1セットづつお願いしますわ」

「ご理解ありがとうございます。それで、サイズの方は?」

「じゃあ、これで」

 女性客は、メモを従業員に見せてそれに合うカップ数の商品を、女性客に手渡し商品を売っていくのであった。



「えええ!何で売ってくれないのよ!」

「お客様のサイズが、わからない事にはお売りできないのですよ……事前に、お知らせしておいたので申し訳ございません……」

 このように、何も読まない人も続出したのである。だが、ここで服を脱がせる訳もいかず、説得するのが苦労したのである。




「それでは、申し訳ないですが少しよろしいですか?」

「ご主人様!どうしてこんなところに?」

「ちょっと、貴方が責任者なの?この奴隷が下着を売ってくれないのよ!こんな生意気な奴隷、ちゃんと教育しなさいよ!」

「いえ……それは、サイズがわからない事には……」

「お客様、申し訳ございません……当店の、このたびの下着には個人それぞれにあうサイズの下着があるのですよ。支店の張り紙にも、そう書いてあったと思うのですが、ちゃんと読まれましたか?」

「それは読んだけど、そんな重要な事なの?」

「それは当たり前ですよ!もしサイズの違ったものをお売りしたら、貴方のような美しい女性のプロポーションが崩れる事になりますが、よろしいのですか?」

 女性客は、ケンジに美しい女性と言われて、悪くない気分となったのである。

「だったら、どうしたらいいのよ」

「張り紙にあったように、自分では測定して貰うしかないかと……」

「何とかならないの?」

「では、申し訳ないですが……ここで、測る事になりますがよろしいですか?」

「わかったわよ!早く測って下さる?」

「え⁉本当によろしいのですか?」

「サイズが、わからないからしょうがないじゃない!」

 女性客は、その場で両手を上げるのだった。ケンジ達は、呆然としてしまうのだった。

「お客様……服を脱いでもらわないと、サイズが測れません」

「はっ⁉こんなところで、服なんか脱げるわけないじゃない!」

「だから、よろしいのですかとお聞きしたんですよ……サイズが、わからない事にはお売りできないのです」

「だったら……」

「サイズが、合わなかったら返品しようとしても、うちは受け付けないですよ」

「なんでよ!」

「反対に考えてください。返品した商品を、又売り出したらどうなると思いますか?」

 周りにいた女性客たちは、ヒソヒソと耳打ちをしだしたのである。

「ちょっと……誰かが使った下着を買うのはいやよね……」
「わたしなら、絶対買うのは嫌だし、それがわかったら店にクレームをいれるわ」

「そういうことです……それに、この商品の新素材はうちの仲間が、時間をかけて製作したもので、普通の下着よりかは、高価なものとなっています」

「……」

「返品されると、うちとしても大打撃となり困りますので、ご理解のほどよろしくお願いします」

 女性客は、ケンジの丁寧な説明に納得し、今回の販売時の購入は諦めて帰るしかなかったのである。

「わ、わかったわよ!次回の販売時には、ちゃんと測定して買いに来るわ!」

「又の、お越しをお待ちしております!」

 女性客は、自分のやった行動に恥ずかしくなり、足早に帰っていったのである。
 そして、販売員達は商品を手渡す時に、サイズがきつくなった時は、無理をせず成長したサイズを買い直すようにと、一言言って販売していたのだった。

 そして、開店してから2時間も経たず、ツバキの下着は売り切れてしまったのだった。その報告を受けた、外で警備をしているギル達は、列に並んでいる女性客達に大声で伝えたのだった。

「申し訳ございません!今回の下着販売は全部売り切れました!」

「「「「「ええええええ~~~~~!」」」」」

「又のお越しをお待ちしています!申し訳ありませんでした!」

 中には、ぐずっていた女性もいたが、在庫が無ければどうしようもないのである。最後は落胆して、城門へと引き返すしかなかったのである。



 後日談だが、この日にツバキの下着を買えた女性客の家では、夫が妻の下着姿を見た事により、夜の営みが行なわれて、同じ時期の子供が爆発的に増えた事は、言うまでもなかったのである。

 ケンジの売り出す商品は、本当に王国の人口が爆発的に増加させていくのであった。


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