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第9章 Freedom国の発展!

36話 交渉

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 ここ王都では、Freedom国の書簡の内容が、あまりに不敬な内容に混乱していたのである。

 その内容は、Freedom国に亡命?したランスロット達をケンジの奴隷と認め、ムシュダルクも一緒にFreedom国の住人と認めろというものであった。
 それも、王国側がFreedom国に諜報部隊を送り込んだペナルティーとして、無償で認めろという物である。
その条件を認めなければ、王国と国営孤児院との関係を暴露すると脅してきたのである。

 つまり、何千年も続いた由緒あるグランパス王国が、出来たばかりである小国のFreedom国の言いなりにならなければならないのである。こんな屈辱は、王国にとって到底受け入れられないことであるのだ。

「侯爵!お主に命じる!Freedom国のケンジに王国の恐ろしさを分からせるのだ!そして、お前に交渉役を命じる!」

「はっ!」

「もし、ケンジが反論するなら、闇ギルドを使え!わかったな!」

「重々承知いたしました!」

 グランパス王は、ケンジの行動に怒りで震え怒鳴りつけたのである。今回で不敬は2度目であり、グランパス王はFreedom国を支配下にしようと考えたのである。


 侯爵は、王都支店からFreedom国に訪問したのである。




「今回は、面会に応じてくださりありがとうございます」

「いえ、わざわざご足労申し訳ありません。それで、今回はどのようなご用件でしょうか?」

「ご用件ではありません!」

「はっ?」

「今回の書簡の事でございます!あれでは王国の立場がございません!ムシュダルク公とランスロット達14番隊の返還要請に答えていただきたい!」

「申し訳ないが、Freedom国はそれに応じるつもりはない!」

「なっ!」
「無礼でござろう‼」
「不敬罪だ!」

 侯爵の部下達が、ケンジに対し大声を上げたのである。

「不敬とはどういう事だ?俺ははっきりと、王国に対し意見を述べたにすぎないんだけどな!」

「貴様は平民であろうが!侯爵様と言えば、上級貴族なんだぞ!」

「おいおい!何を言っているんだ!俺は確かに平民だが、この国の王とも言える!言ってみたら上級貴族より上の立場である王族だぞ?不敬も何もないだろ?」

「お主が、勝手に言っているだけではないか!我々はそんなの認めた訳ではない!」

「いやいや……俺は、この土地を王国から譲り受け、まあ譲り受けたと言うより……厄介な土地を押し付けられて、この国を作ったんだぞ!王国が開拓できなかった土地を譲り受けたんだ!」

「そ、それは……」

「って事は、王国からちゃんと認知されているって事じゃないか!」

「「「……」」」

「えーっと、侯爵さん!今回の事で、ランスロット達は廃棄奴隷になっていた所を俺が拾ったんだ!ランスロット達はルールに乗っ取り、俺の奴隷となったんだ。あいつ等の主人である俺が、返還要請に応じないと言っているのだから、引き下がってくれ!」

「むぐぐぐ……なら、ムシュダルク公はどうなんだ!」

「ムシュダルクさんの家族は貴族を返上し、王国とはもう何も関係はない!それに、自らこの国に移住をしている。返還要請も何もないじゃないか!」

 ケンジは、王国側の意見は全部退け、自分の要望を言ってのけたのである。

「それに、俺は何もタダでと言っている訳じゃない!」

「何を言っておる!お主の言う事を、王国に無条件で聞けと言っておるではないか!」

「いやいや……言う事を聞けとは言ったが、王国と孤児院の関係は目をつむると言っているだろ?」

「そ、それは……卑怯であろう!脅しに使うだなんて……」

「卑怯も何も……王国がやった事だろ?やった事の責任は持たなきゃいけないだろ?これを国民が、きいたらどうなるのか……言わずともわかるだろ?」

「むぐぐぐ……後悔する事になるぞ……」

「いやいや……忠告しておくが何かした場合、後悔する事になるのは王国側だから、Freedom国の言う事を、大人しく聞いておいた方が身の為だよ」

「「「「なっ⁉」」」」
「何と無礼な!」
「不敬である!」
「後悔するのはそっちである!」

「何かと言えば不敬って!馬鹿の一つ覚えじゃあるまいし!」

 ケンジは、貴族の言う事を呆れ果て、両手を広げて呆れたポーズをするのだった。それを見た、交渉人である侯爵達は顔を真っ赤にして、Freedom国から帰っていたのだった。



「ったく……ケンちゃんたらホント悪趣味だよね」

「って言うか……貴族って、ホントプライドだけの役立たずだよな……」

「ご主人様……私には、ご主人様があの貴族様を、わざと怒らせているようにしか見えませんでしたよ」

「セバス、そんなの当り前だろ!わざと怒らせた方が早く終わるからな!」

「それでは、交渉はうまくいかないかと……」

「いやいや……今回は向こうが俺に頼み事をしにきてたんだぞ!下手に出るのはグランパス王国側だよ。まあ、どんな条件を出してきても返還要請には応じないけどな!あはははははは!」

 ケンジは、グランパス王国がFreedom国の言う事を聞くのが当然とばかり、大声で笑っていたのであった。

 はらわたが煮えくり返り、顔を真っ赤にしてFreedom国を出た侯爵達は、その足で王都の闇ギルドに足を運んだのである。
 そこは、暗いバーのようなカウンターで、カウンター内に2、3人のバーテンダーのような人間と、周りには5人ほどの怪しい人物がいたのである。

「これはこれは!侯爵様、お久しぶりでございます!今日はどのようなご用件で?」

 侯爵達は、王都のスラム街の一角に足を運んで地下施設にいたのである。その場所は、スラム街の中でも一番危険な場所であり、普通の平民が足を踏み入れれば、二度と帰る事は出来なく誘拐され、人身売買として奴隷商人に売られるのである。
 もし、抵抗すれば少ないお金を強奪され殺されるのは、当たり前というような危険な場所である。

 そんな場所に、王都の闇ギルドは拠点を構えていたのである。

「ああ!今日は、久しぶりに暗殺をお願いしたい人物がいての……報酬金はいつもの10倍を支払う!」

「ほう!それはそれは!侯爵様に歯向かい、それもいつもの10倍の値段を支払うほど、恨みを買うとはどんな愚か者なのです?」

 闇ギルドの受付にいる、アサシンの一人がニヤリを笑うのだった。その理由は、侯爵家が支払う金額は、普通でも高額のお金で、絶対に成功しろと言うほどの人物なのである。それよりも、10倍の値段を支払うという程のどんな大物なのか、報酬額だけでも想像が出来るのである。

「うむ!今回は絶対に成功して欲しい!その為にもいつもの10倍の値段を支払うのだ!よろしく頼むぞ!」

「で、ターゲットはどこのだれで?」

「お主達は知っておると思うが、Freedom国にいるケンジという人物じゃ!それと、その国にいるムシュダルクと元王国騎士団14番隊の連中だ!」

 その話を聞いていた、受付にいるアサシン達はFreedomという単語を聞いて、眉をしかめるのだった。そして、ケンジという名前を聞き、目をつむり話を最後まで聞いていたのだった。

「侯爵様!」

「なんだ?お前達なら余裕であろう!」

「今回の仕事内容だが、報酬額があまりに少なすぎる!いつもの10倍となれば、10億ドゴンの仕事だ!」

「何が少ないのだ!10億だぞ!」

「あのケンジを、ターゲットにすると言うなら桁が違う!」

「なんじゃと!100億出せと言うのか?それはあまりに!」

「いいや……」

 カウンターの中にいる、バーテンダーのアサシンは首を横に振り、信じれない値段を言ってきたのである。

「あのケンジと、周りにいる者達なら50兆ドゴンだ!」

「なっ⁉そんな値段……儂を馬鹿にしているのか‼」

「いいえ……馬鹿になどしていません!」

 バーテンダーは真剣な目つきをして、侯爵を見つめたのである。

「だが、50兆など……国家予算より高額ではないか!」

「それほどの相手ですよ。ケンジと言う人物は!本来なら100兆と言いたいが、あんたとは今までの付き合いがあるから、その値段を言ったんだ!」

「ば、馬鹿な!それでは最初から、この依頼は断ると言っているようなものではないか!」

「ああ!そう言っているんだよ!悪い事は言わん!あのケンジは放って置くのがベストだ!奴に、何を言われたか知らんが、手を出すのはお勧めできねえ!」

「なんだと!お主達は、あのケンジから逃げるつもりなのか⁉闇ギルドは、いつからそんな臆病者の集団となったのだ!」

 侯爵が臆病と言った時、首筋に光るモノが当てられたのである。

「侯爵!それ以上言わない方が身の為だぜ!俺達のプライドは繊細だからよ!」

 首筋に獲物を当てられた侯爵は、額から一筋の汗が頬をつたわり、生きた心地がしなかったのである。

「わ、悪かった……儂の失言であった……」

 侯爵が、臆病者と言ったことを謝罪したら、アサシンは侯爵の首から獲物を離したのである。

「だが……あのケンジに50兆などと!」

「いいから、俺達からのアドバイスだ!あいつは放って置くんだ!俺達は、奴と奴の身の回りにいる者達だけは絶対ターゲットにはしない!」

「それでは、国王のプライドが!」

「いいか?最終警告だ!俺達はあいつには手を出す事は絶対しない!お前達が勝手に行動した場合、俺達の預かり知らない事で、俺達闇ギルドは王国領から完全撤退するから、そのつもりで行動するんだな!」

 侯爵は、目の前で起こっている事が理解できなかったのである。金さえ積めば、どんな依頼も受けそのターゲットは、99%以上の確率で世の中から抹消されるはずである。
 だが、闇ギルドのギルドマスターは、ケンジだけは絶対手を出すなと言い、王国が手を出した場合、王国領から闇ギルドが撤退すると言い張るのである。
 つまり、闇ギルドはケンジを恐れ、手を出したくないと言って、逃亡の道を即決したのである。

「この商談は決裂した!ここにはケンジに関する依頼は、二度と持ってこないでくれ。いいな?」

 侯爵は、闇ギルドに依頼を断られ、追い出されてしまったのである。


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