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第9章 Freedom国の発展!

11話 久しぶりの中級ダンジョン①

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 2日後、中級ダンジョンへ行く準備が整うのだった。ケンジはそれぞれ用意したものを提出させたのである。ギル達は、個人それぞれFreedom国で、ポーションや傷薬などを用意してケンジに提出したのである。
 Freedom国では、奴隷の身分でもお金さえ支払うことが出来ればアイテムの売買は普通に出来るように、ケンジはしていたのである。

「お前達、今回の遠征は1週間だと言っていたのだが、これで本当に大丈夫なんだな?」

「主……何かまだ足りなかったのでしょうか?」

「今まで、俺は買うアイテムや数を見せていたんだが、今回は俺はつき添いと言ったんだぞ?」

「それは、どういう事なのでしょうか?」

「つまり、俺をアテにするなという事だ。お前達だけで1週間ダンジョン生活をするって事だぞ。俺はそれを見ているだけだ!本当にこれで大丈夫なんだな?」

 ギル達は、自信がなくなってきたのである。今までケンジに買い出しを頼まれ、それを買いに行くだけで意識して考えていなかったツケが、ここにきて何を買っていいのか分からなくなっていたのだ。

「どうしたんだ?冒険者の初心者でも、そういう事を考えて旅に出るんだぞ?」

「だ、大丈夫です!」

 ギル達は、考えずにお遣いをしていたが、今までと同じものを購入してきたつもりであった。

「わかった!じゃあ、それぞれ荷物をしまっていいぞ」

 ギル達は、ケンジが何も言わなかったので安心して、荷物をマジックバックに詰め込んでいったのである。

「マイも大丈夫か?」

「うん!あたしはばっちりよ!」

「そっか!じゃあ、みんなはその装備品を脱いで、こっちの装備にしてくれ!マイも、俺の作った装備は一旦返してくれ!」

「「「「「「「え⁉」」」」」」」

「えっ⁉じゃないよ。こんな装備しているから、お前達は油断するんだよ」

「でも、ケンちゃん!この装備が無いと……」

「何を言っているんだ。お前達のレベルや経験で、こんな強力な装備なくても立ちまわれなくてどうすんだ?」

「主!ですが……」

「いいから!ギル、こっちの装備も青鉱石で作った装備で、一般的に中級ダンジョンに行っている、冒険者の装備と何ら変わらない装備だ!それも、お前達よりもっと低いレベルで、頑張っている冒険者達だぞ」

「主!ちょっと待ってくれよ!」

「マードックどうした?」

「なんで、この装備を取り上げるんだよ?俺達は、この装備と共に強くなってきたんだ!それをいまさら……」

「マードック……悪いな!俺が間違っていたんだよ。お前達は、この装備と共に強くなって来たんじゃないよ。お前は、この装備に寄生してたにすぎないんだよ」

「なっ!なんだよ寄生って!」

「この装備をする事で、お前の経験を奪ってしまったんだよ……だから、いつも力押しで何とかなると思っているんだ。冒険を始めて最初に経験する、ギリギリの戦いをしていないから、スライム如きに遅れをとるんだ」

「そ、それは……」

「言っておくが、この青鉱石の装備も、普通の冒険者より良い装備なんだぞ?今までのような、マジック効果はないが、世間一般で頑張っている冒険者達は、この装備を目指して日々頑張って、貯金をして購入しているんだ」

「分かりました……」

 マードックは、自分達がどれほど恵まれていたのか、ケンジに頼り切っていた事を思い知らされたのである。本来なら、奴隷はこんな立派な装備など与えられず、一番最初の店で、樽の中に突っ込まれるような装備で戦わなくてはならないのだ。
 一般的には、そういう装備をして、主人の護衛をしているのである。マードック達は、それが当たり前になっていて、ケンジに言われて愕然としたのである。

「マイ!お前の装備はこっちだ!」

「え?あたしもなの?」

「当り前だろ!だがSSランクだったマイには、ミスリルで作っていたんだから、ギル達よりは全然上等の装備なんだぞ!」

 マイの装備は、ミスリルで作られており、テンペの町でFreedom店で販売した時、Aランク冒険者(Sになれそう)がやっとの思いで、購入した装備と同等か少し強い感じの装備だった。

「マイも、俺と再会した時は、癒し草を採取する依頼を受けていただろ?」

「うん……」

「だけど、俺の装備を手に入れて、力押しで何とかなる思って今まできたんだ」

「確かにそうかもしれないけど……」

「俺と出会う前は、もっと慎重に行動してたんじゃないか?」

 マイは、ケンジに言われて思いなおすのだった。確かに、あの頃はレベルももっと低かったが、ゴブリン5匹に遭遇しても死んでしまうと思い、森の中を歩く時、少しでも音を立てないように慎重に行動してたと思ったのだ。

 だが、今回スライムにやられた時は、この地が未開の地だというのに、慎重に歩いていたかと言われれば、そんな事はなく普通に沼地に足を入れ、無造作にドンドン狩っていっていたのだ。

「いいか?俺も悪かったと思う……だけど、この装備をしたら弱い人間も強くなってしまう。その結果、有頂天になり、基本が疎かになるんだよ」

「……」

「だが、基本をちゃんと身に着けた時、この装備をしたらお前達はもっと強くなれる!」

「じゃあ、いつになったら又、この装備できるように様になるの?」

「マイ!少なくとも、この1週間中級ダンジョンで行動できないと無理だぞ!そんな心配するには早すぎる!」

「じゃあ!ケンちゃん」

「なんだよ?」

「中級ダンジョンで1週間すごせたら、その装備かえしてよ!」

 ケンジは、マイの言葉に悪い笑みを浮かべるのだった。

「何よ、その笑みは!」

「まあ、やれるものならやって見なよ!楽しみにしているよ」

 マイは、ケンジの言葉に憤慨し、ギル達の方向を向き気合を入れたのだった。

「みんな!いいわね?ケンちゃんをぎゃふんとさせるわよ!」

「「「「「「はい!分かりました!」」」」」」

 マイ達は、円陣を組み気合を入れるのだった!ケンジは、それを見てニヤリとして思うのだった。

(今時、ぎゃふんって……)





 ケンジは、馬車でテンペの町だった場所から、近い中級ダンジョンに向かうのである。そこは、スタンピードが起こった後で、凄惨な光景になっていた。簡易村であった場所は、王国騎士が片づけていったのか、誰一人いなくなり閑散としていたのである。

 ケンジは、ここにハウスを出し、転移マットでハヤテを国に返したのだった。今回の遠征では、ツバキも同行させなかったのだ。ハヤテは帰るのは嫌がったのだが、ハヤテがいると中級ダンジョンの魔物達は逃げてしまい、訓練に
ならないのである。マイ達は、ツバキとハヤテのいないダンジョン突入に緊張していたのだ。

「なんか、ツバキとハヤテがいない、ダンジョンってひさしぶりね」

「なんか……不安だぜ」

「おいおい!何言ってんだ?普通の冒険者に、あんな強力な魔物の仲間なんていないんだぞ?」

 マイとマードックの、意見はしょうがなかったのだ。今まで、ツバキとハヤテの野生の勘は鋭く、パーティーに近づく魔物達をいち早く発見し、粘着糸で拘束したり睡眠ブレスで眠らせて、先制攻撃をまず受けなかったのである。

 その恩恵も、今回はないのだから、二人のセリフは当然と言えば当然なのである。





 そして、ケンジ達は中級ダンジョンに突入開始したのである。


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