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第9章 Freedom国の発展!

2話 街道①

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 Freedom国は、旅人や行商人を安全に旅ができるように、街道をつなげる工事を始めたのだ。

 大工職人の見習い達は、まず伐採というスキルを上げる事で、素材の材木を得るのである。その時、伐採というスキルを伸ばしていくのだが、稀に戦士の才能を開花する人物もいるのだ。
 その時に、生えるスキルが斧術と戦術が同時に伸びていく人間もいるのである。こういった人物は、大抵大工職人にはならず、木こりとして生活するのである。森に入っても戦闘能力がある分、魔物に襲われても返り討ちにして、レベルが上がり生き残れるからだ。
 最大の理由は、斧術と戦術が生えたおかげで、斧を使うとダメージが乗る為、通常より早く樹を切り倒す事が出来るのである。

 ケンジに買われた、奴隷の中にもこういった人物が何人か出てきて、伐採を張り切ってやっていたのである。

「よーっし!木が倒れるぞぉ~~~~!」

 メキメキメキ!ド~~~~ン‼

 凄まじい音と共に木が倒れるのである。切り倒された樹は馬鹿でかいリアカーに積まれて、馬でFreedom国に運ばれるのだ。そして、ケンジの作った乾燥倉庫に保管され乾燥して、家の材料として使われるのだ。

 そして、その場に残った者達で切り株を掘り起こし、完全に除去しないと数ヶ月後に元に戻らないようにしないといけないのだ。

 その時、魔物が木を切り倒した音につられて、襲ってきたのである。その魔物はブラッドオーガであった。

「みんな、避難しろ!こいつはBランクの魔物だ」

 ランスロット達は、生産者を庇う様に隊形を取り、なんとか討伐をしたのであった。

「なんだ!ここは……普通の森のようだが、やはり未開の場所だけあって、普通に高ランクのブラッドオーガが襲ってきやがる……」

「団長!本当に我々だけで街道を守れるのでしょうか?」

「何を言っているんだ!出来るんでしょうか?じゃなくやらなきゃいけないんだ!」

「申し訳ありません!自分が悪かったです!」

「うん!分かってくれたらいいんだ」




「ギルスレイン!解体を頼めるか?」

「分かりました!」

 ランスロットは、平民なのでギルに解体を、普通に頼むのだった。だが、ギルが奴隷だからと言って、横暴になる事は絶対ないのだ。Freedom国では、みんなが楽しく自由に暮らせる国を目指していたからである。

 ギルはさっそくブラッドオーガを解体し始めたのだった。その手さばきは芸術の域に達しており、魔石を採取する時はギリギリの境を見極め、ナイフを滑らすように切り取っていくのだ。

「ギルスレイン!お前は本当にすごいな!俺達にも教えてもらいたいぐらいだよ」

「私は、主と一緒にずっとやって来ただけで、特別な事はしていませんよ」

「ケンジ殿と、一緒にやって来ただけと言っても、実際は君が何回も苦労をして、解体を繰り返した結果、スキルが伸びたんだろ?やっぱり君が凄いんだよ!」

「ありがとうございます」

 ギルは、奴隷になって初めてケンジ以外の人から、褒められてなんかむずかゆくてテレてしまった。

 戦闘が終わった後、切り株の除去に一日かかってしまったのである。切り株の除去に、10人がかりでやらないといけない程、大変な作業なのだ。そして、50人近くでやったのだが、今日一日で5本切り倒すのが、やっとであった。




 その日の晩、ケンジはギルに、街道の工事の事を聞いたのだ。

「ギル?ちょっといいか」

「えーっと、街道の事でしょうか?」

「そうだ。今日一日でどれくらい進んだのかと気になってな……」

「5本です……」

「はっ?5本ってどういう事だよ?何十メートル進んだんだ?」

「主じゃないんですから、そんな一日で何十メートルも進む訳ないですよ。今日一日で、5本の木を除去できたんですよ」

「ちょっと待て……普通というのがよくわからんのだが、普通森を切り開くのはそんなスピードなのか?」

「そ、そうですね……」

「ギル、もう少し詳しく作業工程を教えてくれないか?俺はその辺がよく分からないのだが、木を切り倒すだけなんだろ?」

「いえ……森を切り開くという事業は、普通……国を挙げてやるような大事業なのです」

「だが、伐採のスキルを持っている人間がいれば、もっと早く切り倒せるものなんだろ?」

「切り倒すだけなら、確かにもっと早いのですが、切り倒した後が大変なのです。森を切り開くには、切り株も全て掘り起こし、その後残った根も腐らせないといけないのです」

「はっ?どういう事だ?」

「そうしないと、この世界では数か月後には、森は復活してしまうからです。そうならないように、切り開くには、地中に残った根っこも、ガーデニングのスキルを持った人間が腐らせないと、次の木に取り掛かれないのですよ」

「なっ‼」

「そういう訳で、今の人数だと1日5本が精一杯なのですよ」

「ってことは……」

「はい……街道が繋がる事を考えると、数十年単位の年月がかかるかと思います。ですが反対に、その場所を森にするには、便利で苗木を植えるだけで数か月後には、立派な大木になるので楽なんですよ」

「俺の考えが甘かったのか……」

「主、落ち込まないでください!本来この森を切り開く行為は、国が莫大な費用を掛けてするような事なんですよ」

 ケンジは頭を抱えて、考え込んでしまったのである。

「わかった……ギル達は、そのまま進めてくれるか?俺は、何かいい案があるかどうか考えてみるよ」

「分かりました……」

「あ!でも、俺の役に立ちたいからって無理は絶対したら駄目だぞ!いいな?」

「あ……はい、わかりました」

 ギルは、完全に出鼻をくじかれてしまったのである。ケンジはこういう時、必ずと言ってギル達は、無理をすると読んで釘を刺したのだった。

 次に日の朝、ケンジはセバスとムシュダルクに、自分も森に出向く準備をする旨を伝えたのである。

「今日は一日、鍛冶工房に篭りアイテムを製作し、明日から2ヶ月間、俺も森の切り開きに参加する事にするから、こっちの方は頼む!」

「ちょ、ちょっとケンジ様!いきなり何を言っているのですか!」
「そうですよ!ご主人様はそんな事をせず、下の者に任せておいたらいいんですよ」

「いや……そうじゃないんだ。俺は、森の切り開きがあんなに大変だと知らなかったんだよ」

「だからと言って、ご主人様がそんな事をする必要は……」
「そうですよ!ケンジ様には国の事をやって貰わないと!」

「待ってくれ!この国の流通は、最優先で進めないといけない事業だ!」

 ケンジは、今この国の場所を簡単に絵で描いて、地球で言う米原市を指し、そして街道がどの位置を通っているのかを、東海道53次の道のり書いたのだった。
 ケンジは、琵琶湖沿いに森を切り開こうとして、当初南の方向を指したのだが、それだと山岳にぶち当たる為、南西に方向習性をしたのだった、その距離だいたい30km。
 それだと、いつまでたっても街道はつながらず、町の流通が始まらないのだ。ケンジにとってそれは重大な問題であり、町の人達をいつまでも配給をして、養わないといけなくなるのだ。それならば、ここは自分が手伝って工事を早めたほうが良いのである。

「分かりました……ご主人様が言いだすと曲げないのはよくわかっております。で、期日はいつまでですか?」
「お、おい!セバス、本当にそれでいいのか?」
「まあ、ご主人様は言いだしたら絶対に引かないですからね……それに、出来ない事は絶対おっしゃりません!」

「さすが、セバス!俺の事をよくわかっているじゃないか!」

「ただし!絶対無茶だけは止めてくださいよ!」

「ああ、分かっているって!とりあえず期日は2か月!それでだいたいの道筋は出来ると思う!」

「「ま、まさか⁉そんなに早く街道が出来る訳……」」

 ムシュダルクとセバスは、ケンジの言う期日は、早くて1年というと思っていたのに、2か月で街道を繋げると言ったのである。

「ケンジ様……いくらなんでもそれはあまりにも大言壮語しすぎじゃ!」

「まあ、見てなって!俺に考えがあるから任せろって!」

「セバス!お前も何とか言ったらどうなんだ」
「まあ、ムシュダルク様……ここはご主人様に任せるしかありませんよ。それに、多分大丈夫かと思いますよ」

 ムシュダルクは、ケンジの言う事がもし本当になったら、今までの常識が覆ると思い、またセバスの落ち着きが、何とも不気味であった。





 ケンジは、二人にそのように伝え、鍛冶工房に篭り、いくつものかぎ爪のようなものを製作したのである。

「主殿……それは何じゃ?」

 不思議そうな顔をして、シェムがケンジに聞いてきたのだった。

「これはな、森を切り開くための秘密道具だよ」

「どうやって使うんじゃ?」

「大木を切り倒したら、切り株が残るだろ?」

「そりゃそうじゃな……」

「それを根っこから除去しないと、切り開くことはできないと聞いたんだよ」

「なんじゃ?主殿は、森を切り開くやり方を知らなかったのか?」

「まあ、恥ずかしながら昨日、ギルに聞いて初めて知ったんだ」

「じゃが、そのカギ爪で切り株がどうにかなるとは思えんのだが……大丈夫なのか?」

「ああ!多分大丈夫だと思うぞ!」

「どうやるつもりじゃ?」

「それはな!」

 ケンジとシェムは、内緒話の様に小さな声で話し合い、シェムが時折大きな声を出し驚いたり、感心したりしていたのだった。


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