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第7章 超級ダンジョン攻略!

52話 超級ダンジョン⑥

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 ケンジは、この結果に一人ホッとしていたのだった。実際の所マードック達が自信を取り戻せるのかと言ったら、5分5分だったとケンジは思っていたのである。

 ケンジが、自分の部屋で一息ついていたら、マイが部屋に入ってくるのだった。

「ねえ、ケンちゃん・・・上手くいってよかったね。」

「なんだよ・・・入ってきていきなり・・・」

「今回の件、上手くいったから良かったけど、普通はあんな上手くいかないよ。」

「ああ、ホント、今回は俺が助かったよ。」

「もし、上手くいかなかったらどうするつもりだったのよ!」

 マイは、ケンジの計画に少しイラついた様子で、言葉がきつくなってしまったのだ。マイもまた、マードック達を心配していた為、ケンジの強引な計画に疑問を持ってしまったのだ。

「上手くいかなかったら?そうなった時は、さっきも言った通り5階層ぐらいで長時間にわたり、自信をつけさせるつもりだったよ。」
「まあ、10階層以上は潜るつもりはなくなったけどな。」

「もし、マードック達が悪化していたら?」

「そんなことは無いだろうが、そうなったらしょうがない。店の方を担当してもらっていたよ。」

「え?使い道のなくなったからって奴隷商人に売ったりは?」

「なっ!そんな事するわけないだろうが・・・あいつらは俺がこの世界に来てから、ずっと一緒に生活してきた仲間だぞ!」

「そっか・・・それならよかったわ。」

「マイ・・・なんかあったのか?俺がそんな薄情な事する訳ないだろ?」

「なにかあったじゃないわよ!ケンちゃんのやり方が強引すぎるのよ。」

「強引すぎる?」

「ケンちゃん!本当に何もわかっていないのね・・・この世界の常識をもっともつべきよ!」

「どういうことだよ!」

「いい?ケンちゃんは、この世界に来ていきなり3次職になっていたじゃない!これは、クローティア様からのチートで常識じゃないって事よ!」
「今回、マードック達はケンちゃんの常識を押し付けられたって、あたしは言ってんのよ。」

「どういうことだ?」

「いい?ケンちゃんは、マードック達に3次職にいきなりなった訳じゃないって言ったわよね?だから自信を持つべきだって!この世界に、たった4年で3次職になれた人間がどこにいるっていうのよ!」
「あたしは、マードック達にケンちゃんのサポートと言う事で、マードック達には言い聞かせたのよ。」
「あたしはケンちゃんに合わせて、マードック達には貴方達の実力だと言ってフォローしたけど、普通に考えたら、3次職になる期間からいってもいきなりなったと思って、普通は混乱しちゃうって言ってんの!」

「あ・・・・そういうことか・・・」

「なのに、ケンちゃんてばマードック達にあんな強引な手を使って、マードック達がつぶれたらどう責任を取るつもりなのよ!」

「・・・・」

「あたしの見立てでは、今回上手くいく確立は50%ってとこよね?もし、上手くいかなかったら、役に立たなくなった奴隷は廃棄され、奴隷商人に売っちゃうんじゃないかと、ハラハラしたんだからね。」

「馬鹿な!そんな事するわけないだろ!」

「言っておくけど、役に立たなくなった奴隷を手元に置くような主人は普通いないよ。これもこの世界の常識!」

「この世界の常識だとしても、なんで俺がそんなことするんだよ!」

「いい?マードック達はそうなるのを恐れて、今回頑張って自信を取り戻したのよ。ケンちゃんがそんな事しないって言っても、世界の常識で捨てられるかもしれないと思ってしまうのが奴隷の立場なのよ!」
「ケンちゃんはもっともらしい事を言っていても、今回に関してはあたしから見たら、りっぱなパワハラだわ!」

「パワハラ・・・・」

「いい?ケンちゃんは、この世界の常識をもっと勉強すべきだわ!その上で自分の事を主張しないと、この先とんでもない事が起こってもおかしくないわよ!」

 ケンジはマイに、怒られ自分がどれほど、マードック達にプレッシャーを与えていたのかを教えられたのだった。

「マイ・・・」

「なによ!」

「俺・・・・が悪かったよ・・・」

「謝る相手が違うでしょ!あたしに謝ってどうすんのよ!」
「ケンちゃん、もっとしっかりしなさいよ!あんたは大黒柱なんだよ!もっと、この世界の事勉強してそのうえで自分の事を主張しなさい!」

「はい・・・・」

 いつの間にか、マイはケンジの前に仁王立ちして、ケンジは正座して怒られていたのだった。この光景を見るとやっぱり女性は強く、ケンジの横にいる女性だというのがわかるのだった。

「今度は、俺が自信を無くしそうだ・・・」

 ケンジはボソッとつぶやき、ガクッと肩を落としてしまっていたのだった。

「でも、マイ?お前はギル達に結構きつい口調で俺と同じように攻めてたよな?お前は良くてなんで俺はダメなんだよ。ちょっと納得いかないんだが・・・」

 確かに、ケンジの言う事ももっともである。マイも又、同じようにケンジの言う事に賛同し、ギル達にはっぱをかけていたからである。
 だが、マイにはマイの考えがあったのである。ケンジが、ああいった行動をしているのに、相方のマイが違う事を言うと反対に下の者は混乱するからである。

「じゃあ、ケンちゃんはあたしがあの地点で、ケンちゃんの事を否定し、あたしの意見をケンちゃんの奴隷にしろというの?」

「そ、それは・・・」

「ケンちゃんは、この世界の事をちゃんと知るべきよ!それと、ケンちゃんはもう組織の長と言ってもいい存在なのよ!」

「はぁ?何言ってんだよ!俺はみんなを家族だと思っているが、部下だとは思っていないよ!」

「なに、言ってんのよ!町の兵士や騎士団にケンちゃんはなんて言ったか覚えてないの?」

「はぁ?俺はそんな事!」

「何?自分で行った事忘れたの?」

「なんていったんだよ?」

「俺は王国から去るんじゃない!離脱したんだ!グランパス王国から土地を貰い、言ってみたら独自国家だ!と言ったじゃない!」

「あ・・・いや・・・でもそれは言葉のあやで・・・」

「ええ、そうね!それは王国に対して有利に運ぶための事なのはわかるよ。でも、周りから見たらケンちゃんは、大人数の奴隷達を抱え国の世話に頼らない、組織の長!言ってみたらギルドと同じ立場なのよ。」

「ケンちゃん・・・わかってるの?そのことをちゃんと自覚してしないと、とんでもないことになるのよ?ケンちゃんこそ、ちゃんと自覚しないといけないんだよ。」

 ケンジは、マイに言われて初めて重大な事に気づくのだった。





 これこそがマイが女神クローティアに言われた事だったのである。

 マイが時間をさかのぼり転生できて、ケンジに会う事ができたのだが、普通に転生していればマイは、110年という年月が経ってからケンジに再開するはずだったのだ。
 110年経った後では、ケンジに会う事は難しいとクローティアに言われていたのである。その時にはケンジはある組織の長となり面会するには至難の業で、地球で例えるなら一般市民が大統領に会うくらい難しいと忠告されたのである。

 ケンジは王国から離脱し、独自の国家を作る事となるのが、この段階で決定していたのである。マイはクローティアにケンジは組織のリーダーだと聞いていたので、ファミリーを作りその組織で活躍するモノだと思っていたが、ここ最近のケンジの行動で、個人ギルドじゃないと確信を持っていたのだ。

「俺が組織のリーダーだと・・・」

「何か反論あるの?」

「いや・・・マイに言われるまでそんなこと思ってもいなかったよ・・・」

「ったく・・・ケンちゃんは、肝心なとこで抜けているんだから、ケンちゃんこそちゃんと自覚しなさいよね。」

「ああ、悪かったよ・・・明日、マードック達にも謝罪しないとな・・・たしかに3次職はそんな簡単になれるものじゃなかったよ・・・」

 その夜は、マイに思いっきり怒られ、就寝するのだった。

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