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第7章 超級ダンジョン攻略!

33話 メイガン商会

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 その日の朝ケンジはフィアナの胸に顔をうずめて熟睡して朝を迎えたのだった。そしてティアナがいつものように朝ケンジを起こしに来たのである。

「ご主人様!フィアナ朝ですよ!早く起きてください!」

 その声にフィアナは目覚めケンジと一緒に寝ていたのをティアナに見られ何とも言えない感情でいたたまれなくなりとりあえず服をよそよそと着て部屋から出ていくのだった。

「ったく・・・あたしより先にご主人様から寵愛を受けるなんて・・・」

 言葉は嫉妬めいた感じの言葉だったがティアナは朝の準備をしながら口角をあげて鼻歌を歌い嬉しそうな表情だった。

(フィアナ良かったわね。)ティアナは心の中で祝福していたのだった。

「にしても、ご主人様!いつまで寝てんですか!早く起きなさ~~~い!」

 ティアナはケンジの耳の側で大きな声を上げた。

「な、なんだ!」

 ケンジはティアナの声にびっくりして飛び起きるのだった。

「ご主人様、朝ですよ!早く朝の支度をしてください!」

「あ、ああ・・・あれ、フィアナは?」

「フィアナなら先ほどあたしに一緒に寝ているところを見られて罰が悪そうに部屋をそそくさと出て行きましたよ。にしし・・・・」

「ティアナ。そんな顔をするんじゃない!下品だぞ・・・」

「でも、他の人の奉仕と違う抱き方をしたのですか?」

「はあ?お前は何を朝から言ってんだよ。」

「だって気になるじゃないですか!システィナ達はもう慣れてるみたいですが初めてご主人様に奉仕したらみんな腰が抜けて起き上がれなかったのにフィアナは恥ずかしそうにすぐに立ち上がって部屋から出て行ったのですよ。」

「そ、それはだな・・・なんて話すと思うのか?」

「えええ!教えてくださいよ。」

「お前はホント何を言ってんだよ。そんな事赤裸々に話せる訳ないだろ!」

 ケンジはそう言って服を着て部屋を出て行ってしまった。

「ちぇ~~~!つまんないの・・・でも、テレたご主人様も可愛いかったな。」

 そのシーツにはフィアナの初めての夜の証が残っていたのをみてティアナは自分の幸せの事のようにルンルン気分でベットメイキングをしたのだった。

 そしてその日もまたお店は快調で物凄い売り上げをあげたのも言うまでもなかった。そしてケンジは気になっていた事がありギル達と共に隣町ガーライの町に来ていたのだった。
 男爵の子息ゴードンの一軒以来の訪問でケンジの用事と言うのはメイガン商会の事だった。テンペの町から撤退を表明した会長のガンスはここ、ガーライの町に移住していたのだった。


 ケンジはメイガン商会の事が心配で立ち寄ったのだった。ハヤテの脚力ならガーライの町には日帰りで来れるのでケンジは助かったと思うのだった。

「すいません!」

「いらっしゃいませ!どのような商品をお探しでしょうか?」

 受付嬢はケンジを貴族のご子息だと思い丁寧な対応をしたのだった。ここガーライの町はテンペの町と違い少し小さい町で冒険者も中級ダンジョンまでしかない為、メイガン商会を利用するほどお金を持っていないのである。つまり貴族しか利用が無い為ケンジもまた貴族だと思われていたのだった。

「いや、今日は買い物に来たんじゃありません。申し訳ないですがガンスさんと面会できますか?」

 受付嬢はガンスの名前を呼ばれてびっくりするのだった。それもそのはずでうちの商会長のガンスは今やもう貴族の中でもトップクラスの実力を持ち貴族のご子息であろうとそう簡単に呼び出すことが出来ないのである。

「あの・・・申し訳ございません。アポイントがおありでしょうか?」

 ケンジは慌てて受付嬢にカードを見せ提出するのだった。

「あ!申し訳ございません。俺はケンジと言う者です。テンペの町の時の癖でこれを見せるのを忘れてました。」

「こ、こ、これは会長の※①【カード】!」

 ケンジの見せたカードはメイガン商会を救った時に新たに貰ったカードでプレミアムカードだった。

「少々お待ちください!すぐにガンスにお聞きしてまいります。ケンジ様でよろしいですね?」

「ああ、ゆっくりでいいですよ。こちらもいきなりやってきたのですから。」

 するとすぐに会長であるガンスが店のロビーにやってくるのだった。

「坊主・・・このたびは本当にすまなかった・・・ゆるしてくれ・・・」

 ガンスはケンジに会うとすぐに頭を下げるのだった。

「ガンスさん止めてください!頭を上げてください!」

 ガンスはケンジの後ろ盾になると言っていたのに相手が王族ではどうしようもなく何もできなかったことを詫びるのだった。ガンスが成人になったばかりのような子供に頭を下げるのをみた受付嬢や従業員は目を丸くして驚くのだった。

「あ、あの・・・商会長、この方はどういった方なのですか?」

「お前達もこの坊主には救われているんだぞ。」

「はあ?救われている?どういうことでしょうか?」

「前にメイガン商会が縮小するという噂があっただろ?あの時支店にインゴットを提供してくれてメイガン商会の名が大陸中に広まったきっかけがこのケンジだよ。本来ならこの町のメイガン商会は閉めていたはずなんだ。」

 この町の支店は貴族しか利用が無い為売り上げが他の所に比べて業績が悪いのだ。だが、ガンスは従業員の事を考えてギリギリまで営業を続けていて、そこにあの話が舞い込むことで縮小どころか一気に拡大したのだ。

 そればかりかケンジは時折テンペ支部だけだがインゴットを納品しておりメイガン商会はケンジのおかげでもっていると言っても過言ではなかったのだ。

「今日はガンスさんにはご迷惑をかけたので訪ねてきたのですよ。」

「迷惑だなどと思わなくていい!わし達こそ坊主の後ろ盾になれなくてすまなかった。」

 ガンスや説明を受けた従業員たちに頭を下げられるケンジは困り果てるのだった。

「こんな所じゃなんだし奥に来てくれ。」

 ケンジはガンスに奥の部屋に案内されたのだった。そして色々な情報を得るのだった。

「ガンスさん、それでテンペ支店の従業員の人達はどうなったのですか?」

「ああ、心配はいらないぞ。他の支店で元気にしているはずだ。」

 ケンジは自分の事で支店が閉鎖になったことを聞いていたためホッと安心するのだった。そしてなんでテンペの町だけ撤退した理由をガンスに聞くのだった。

「生産ギルドのギルドマスターのせいだよ。普通なら坊主が授賞式を辞退すると言った時何の助言もせず坊主を陥れようとしたかのようにその事を王家に伝えたからだ!」
「そんなことをすればどうなるのかギルドマスターなら展開を読めたはずなのにあんな事をするとは考えられん!」
「どう考えても今までのギルドに対して坊主が思い通り動かん事の腹いせでしかないとワシ等は思いようがなかったんだよ。」

「それでガンスさんはテンペの町から支店を撤退したんですか・・・」

「ああ、坊主の後ろ盾になってやると言っておきながら何もできなかったのが最大の理由だけどあのギルドの態度には我慢ならなかったんだよ。」

「やっぱりあの時授賞式は受けておいた方が正解だったのか・・・でも理由を聞いても多分俺の事だから辞退してたと思うからガンスさんのせいじゃありませんよ。」

「いや、そうじゃないんだよ。王家もそんな融通の利かない者ばかりじゃないんだよ。断るにも順序というものがあってそれをちゃんとしたらこんな大ごとにはならずに済んだんだ。なのにギルドはそれをわざとしなかったせいでこんなことになっているんだ。」

「え?そうなのですか?」

「たぶんギルドはいや・・・ギルドマスターと言った方がいいかもしれないがこの事で坊主が不敬罪で牢屋に入れられるかどんな罪になるかわからないがギルドマスターとしてはどうにかしたかったはずだ!そして最終的にギルドがケンジを助けてその恩を売り目の上のたんこぶがいなくなる状態にしてギルドのやりやすい状態にしたかっただけなんだ。」

「まあ、これはワシの想像でしかないがな・・・坊主が処刑されても前の状態に戻るだけだとでもおもったのかもしれないがな・・・」

 ケンジはギルドがそんな行動に出るとは思ってもいなかったのだ。それによりセバスやミナレスにあんな危険が迫ったと考えるとやるせない気持ちでいっぱいになるのだった。

「・・・・・」




「それにしても坊主・・・お前はこれからどうするつもりなんだ?」

 ガンスはまだケンジの詳しい情報がまわって来ていなくて王家から許され賠償金として土地を貰ったこと位しか知らなかったのだ。

「ええ、昨日からまた店を再開させました。」

「ほんとか?それは良かったなぁ!」

 ガンスはケンジの日常が戻ったことに本当に安心したようでホッと胸を撫でおろしたのだった。

 そしてケンジはこれからの事をガンスに説明しガンスはその説明に驚愕したのだ。ガンスはこの道50年以上やってきてこんな方法の商売が出来るのかと思うのだった。自分は時には盗賊や魔物に襲われ行商を続けてきた経歴がある。それでもこの商会をでかくした事は自慢でもあり誇りだったのだ。
 だがケンジのやろうとしていることはそういった危険もなく利益が出すことが出来るのである。

「そ・・・そんな魔道具が本当にあるのか?」

「ええ・・・これもまた超級ダンジョンでしか手に入らないモノだと思います。それで俺はいろいろ考えていたのですが、次は王都に【Freedam】の支店を置くつもりなのですがその後次々支店が建つと思います。その支店はメイガン商会のあるグランパス王国の町にしようとおもい今日は伺ったのですよ。」

 ガンスは驚き腰を抜かすのだった。ケンジの店が来たとなればその街は絶対発展するのは間違いなく人口が増えメイガン商会もその恩恵を受ける事が出来るのである。
 それを聞いたガンスはもちろん部屋にいた秘書の女性も顔がほころぶのである。この女性はテンペの町でもガンスの元にいた女性でケンジとは顔見知りである。

「ケンジ様!本当にありがとうございます!」

 これでメイガン商会はイズモ大陸でも不動の地位となりますと秘書の女性は興奮してケンジにお礼を言ってくるのだった。
 秘書の女性も頭の回転が速くケンジの店が町にできた後の事に勘づきメイガン商会がどういう事になるのか想像ができたようだった。

「まあ、そんな慌てないでよ。この転移マットはまだこれから取りに行かないと数が無いんだ。まずはその報告だけだよ。」

「だけど・・・坊主、本当にいいのか?」

「いいのかとは?」

「ワシらは一回坊主を見捨てたみたいに傍観したんだ。そんなワシらをまた信頼してくれるのか?」

「何言ってんですか!俺はガンスさんから色んな事を助けられて今ここにいるんですよ。」

「だが、ワシらは坊主に助けてもらってばかりだ・・・これじゃ後ろ盾になっている感じがしないし不安だけが膨れていく感じでな・・・」

「今回はガンスさんより立場が上の王家だったじゃないですか!しょうがないことですよ。俺はそんなこと気にしてませんよ。」

「そっか・・・そういって貰えてホッとしたよ・・・」

「俺はこれからもガンスさんと仲のいい関係でいたいんですよ。それに助けてもらってばかりと言いましたが俺が最初のガンスさんと知り合った頃、ブリュンガスの町で色んなことを助けてくれたじゃないですか。」





 ガンスはブリュンガスの町での事を思い出していた。そのころは息子にメイガン商会を譲り行商に戻ったばかりの頃でまさか今こんな状態になるなんて思ってもいなかった頃だ。

 自分としてはケンジがこんなすごい人物になるとは思っていなくて貴族の馬車に引かれた子供を助けて見返りを求めなかったケンジを気に入りマスターカードを渡しただけであったのだ。

 ガンスはそのころを思い出しケンジの手を強く握り頭をつけて感謝の意を表すしか出来なかったのである。


 ガンスは運がよかっただけとは言わないが今の商会を大きくし支店をいくつも建てることが出来た。だが心配だったのは息子のメイガンの事だった。
 今のご時世、魔物が強くなり商品の輸送や買取、売り上げが本当に厳しい状況でそんなことを息子に後を継いでもらい心配でしょうがなかったのである。
 だが、ケンジの計画がうまくいけば商会は波に乗り息子のメイガンの心配はなくなる。自分はいつでも死んでもいいとさえ思えるのだった。

 ケンジはガンスに言いたいことを報告し家に帰ることを伝えたのだった。帰り際、ガンスとメイガン商会の従業員一同にものすごい感謝をされ店から見送られ退店したのだった。



 そしてケンジはガンスと別れテンペの町へと帰っていくのだった。


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 この話で出てきたアイテム

※①【メイガン商会マスターカード】
 メイガン商会会長のカード。ケンジの貰ったのはガンスの家族と同等の
カードでこれを見せた場合メイガン商会で一番上の上司が相手をし
対応をしてくれる。また、買い物をした場合70%OFFで買い物ができる
お得なカード。
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