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第7章 超級ダンジョン攻略!
17話 平穏が崩れ去る音②
しおりを挟む馬車でテンペの町に帰っている途中ケンジ達はセバスたちの事が心配でならなかった。
「ねえ・・・ケンちゃんセバスたちは大丈夫かな?」
「それは何とも言えないけど多分大丈夫だよ。」
「ご主人様!何でそう言い切れるのですか?」
「オリヴィア、それにみんなも心配しているかもしれないが聞いてくれないか?」
馭者をしているギルとプリム以外はケンジの声に耳を傾けたのである。
「大丈夫と言った理由は2つある。まずイチカとフタバ、ミキがいる事だ。あの3人は留守番しているメンバーを絶対に守ると言う使命で行動しメンバーに何か出来るとは思えない事。そして俺の家には町の結界とは違う結界が張ってあると言う事だ。」
「そっか!」
「ああ、何か悪意や家の者に何かしようとしたら弾き出されるはずだ。そして保管庫には食べ物も充分保管してあるから兵糧攻めをされても無駄だからな。」
ケンジのセリフを聞いマイたちはケンジの言い分に確かにと納得し安心するのだった。そしてそのうえでセバスたちを救出するにはどうするのかケンジ達は作戦をたてるのである。
まず町にはこのままいかない事にしてテンペの町から一番近い森の入り口で待機することが決まった。この位置なら歩いて30分もしなくて町まで行ける所にケンジは【ハウス】を取り出しでっかい屋敷を建てるのだった。
「ケンちゃん。こんなところで家を建ててどうするの?」
「ここにはこの転移マットの一つを設置しておくんだ!これでどうゆうことかわかるだろ?」
「なるほどね。」
ケンジは屋敷の敷地内に転移マットを設置して家で待っている者達を安全に連れてくることにしたのである。
この家は敷地内には結界が張っていてダンジョンでも安全に生活できる為城壁外に建てても全然平気なのである。魔物はおろか盗賊も入れないのである。
「それでケンちゃん後はどうするの?」
「みんなはここで待機だ。」
「ええええ!」
「そんなのダメです!」
「あたし達も連れて行ってください!」
当然のごとくマイはもちろんギル達にも猛反対されたのだった。当然ケンジは自分一人で町に行った方が行動しやすいので一人で行きたかったのである。
「まあまあ、俺の言う事も聞いてくれよ。」
「絶対ダメです!あたしも連れて行ってください!」
「いや主!俺がついていく!」
「まず俺の言う事を聞いてくれないか?」
マイたちはぎゃあぎゃあ言っていたがケンジが真剣な顔つきでみんなをみつめたのだった。
「わかったわよ・・・とりあえず言ってみてよ。」
「マイありがとな。まず俺は※①【インビジビリティー】で姿を消して家まで帰る事にする。この魔法はまず人間には見つからないからな。そして敷地内に入れればもうあいつ等王国の兵士たちがいたとしても手の出しようがない。それはわかるな?」
「うん。」
マイたち全員頷くしかなかったのである。ケンジの言ったことは一番安全に無用な争いを起こさず潜入できることだったからだ。
「後は俺が家の物をいっさいがっさい※②【インベントリ】に収納してこのもう片方の転移マットを家の中に設置したら安全にみんなをこの場所に転移できるという訳だ。」
「でしたらみんなその魔法を掛けてもらったらみんなで潜入可能じゃないですか?」
セイラがそういうとみんな笑顔になるのだった。だがケンジはこのインビジの魔法は術者のみの魔法なんだと説明するとみんなガクッと消沈したのだった。
「あの・・・でしたら私だけでも連れて行ってください!」
ギルが声を上げたのだった。それにみんなは不公平だと文句言うのだった。だがギルが珍しく主張するには理由があった。
「みんな聞いてくれ!俺がこう主張するには訳がある。みんなには悪いがこうゆう斥侯役は俺の役目だ!これは絶対譲れない!」
「ギル!それはそうかもしれないがみんな心配なのは変わらないんだぞ。」
「マードックそれは俺もわかっている。それにもう一つ俺には主から預かったこの指輪がある。」
ギルはケンジから昔貰ったインビジビリティーリングを見せるのだった。
「これがあれば主と一緒で姿を消して何かあった時、安全に主のサポートができるからだ!」
そういうとギルはケンジに向き直し頭を下げて自分も連れて行ってくださいと頼むのだった。
「わかったよ。じゃあギルと二人で行ってくるからみんなは待機していてくれ。」
「わかったわよ。」
ケンジがとりあえず一人でいく事を阻止できたメンバーは渋々納得した形となった。そしてケンジはギルと一緒にテンペの町の近くまで行き草むらで姿を消したのであった。
「ギルお前が先行してくれ!俺は※③【世界地図】でお前をサーチしているから姿が見えなくても一緒に行動できるから。」
「あ、はい!わかりました。」
ギルもまた3次職になり聞き耳や気配察知のスキルを持っていたので問題なくケンジと一緒に行動できたのだがケンジのサーチ能力の方が高いのでケンジの言う通り先行したのだった。本来なら門番の兵士にギルドカードを見せてから町に入るのだが姿を消していたケンジ達には関係なかったのである。
そしてケンジ達は町の中に入ると兵士たちの数が異様に多い事がわかる。ケンジ達は並びながら小さな声でしゃべるのだった。
「ギル・・・これっていったい・・・」
「いつでも主が帰って来てもいいよう厳重体制を取っているのですね・・・」
そしてケンジ達が家の前に来たときそれは驚くような光景だったのである。ケンジの家の周りには重々しいプレートメイルを着込んだ兵士というより騎士たちが取り囲んでいたのだった。
そして店には販売停止の張り紙が張られて誰も立ち入れなくなっていたのだった。ギルは思わず大きな声が出そうになったのだが慌てて両手で口をふさぐのだった。
「ん?お前何か言ったか?」
「いや、何も言ってないぞ?」
「そっか・・・ここの主はいつ帰ってくるのかな?もう包囲して2か月経つぞ。」
「そうだよな・・・・中にいる奴隷は誰も応じようとしないし、かといって突入も出来ないしいったいどうなってんだ?」
「ダンジョンの方で警戒している奴らからも連絡ないしな・・・」
「おい!そこ!何無駄口をしゃべっているのだ!中からあいつ等が脱出しないようにしっかり見張ってろ!」
「ハッ!すいませんでした!異常はありません!」
ケンジとギルは騎士たちの話を聞きセバスたちが無事であることがわかりホッと胸をなでおろすのだった。
「じゃ、ギル行くぞ。」
「はい!」
ケンジはセバスたちが無事なのを確認し家のほうに歩いて入ろうとして騎士が並んでいる隙間をぬけて家に近づき家の敷地まであと1mの所でまさかの出来事が起こったのだ。
「主危ない!」
そう大きな声を発したギルが後方から飛んできた一本の矢を武器で薙ぎ払ったのである。するとギルは攻撃を仕掛けた事となり姿がスッと現れたのである。
ケンジは何が起こったのかと後方を見てみると家の屋根の上から弓を構えたエルフの姿があったのである。エルフの騎士が屋根の上からケンジとギルの行動がまるわかりで家に近づく不審者をエルフは見逃さなかったのである。
ケンジもまさかヒューマン部隊にエルフがいたとは思わなかったのだ。このインビジビリティーの魔法は目の見えない魔物やアンデットには効果が無い。そして今回の様にエルフやドワーフの様に※④【インフラビジョン】という魔眼を持った種族にも効果が無いのである。
その異変に気づいた騎士たちがケンジを取り囲むのだった。
「貴様!何者だ!この家は今立ち入り禁止だ!」
さすが王国の騎士だけあって異変が起こってからの体勢が早くあっという間にケンジとギルを取り囲んでしまったのだった。
「ギル助かったよ。まさかエルフがいるとは思わなかった・・・」
「いえ、私が着いてきた理由が出来て良かったと言うものですよ。」
ケンジとギルに焦った様子はなく、無用な争いが無ければそれが一番だと思っていただけであり今更王国の騎士団がケンジ達に戦いを挑んだ所で相手にはならず、ケンジからすれば騎士団など蟻の大群としかおもわなかったのである。
騎士団に囲まれているにもかかわらずケンジとギルは笑っていたのである。それを見た騎士団長のアーサーはまさかと思うのだった。
「こいつらはこの家の主ケンジだ!皆の者気を抜くな捕らえるのだ!」
アーサーがそう叫ぶと部下の騎士団たちはまさかこいつらが?という顔をしたが遠くの方で町の人たちが騒ぎに気づきケンジが帰って来たことに歓声があがるのだった。
「おおお!ケン坊が帰ってきているぞ!」
「ほんとだわ!ケンジさん頑張って!」
「おおお!ホントだ。坊主が帰ってきている!」
町の人たちはFreedomの店が販売禁止という無茶な事をした王国の騎士団に腹を立てていたのだった。もともとケンジは町の人間とか冒険者、生産者の平民たちとは仲良くしていたのでこんな横暴な事をして不満が溜まっていたのである。
「ケンジがんばれ!」
「お兄ちゃん頑張って!王国の騎士団なんかやっつけちゃえ!」
子供たちの声援も聞こえてくるほどであった。
「な、なんてやつらだ!」
「王国の騎士団より国王を馬鹿にした犯罪者の応援をするなんて!貴様たちだまれ!それ以上言うと不敬罪で逮捕するぞ!」
アーサーがそう怒鳴ると町の人たちは恐れをなして部屋の中に入ってしまったのだ。
部屋の中からは町の人たちの大きな声が響いたのだった。
「俺達はケン坊を信じているぞぉ~~~!」
その声を聞いたケンジとギルは涙が出そうになったが今の現状をどうにかして家の敷地に入ろうと思っていたのだった。
すると店舗の2階の窓が開くのだった。
「あああ!ご主人様だぁ!」
「みんなぁ~~~!ご主人様が帰ってきてくれたよ!」
窓を開けたのはサーシャとティアナ、フィアナだった。
「お前達あの窓を狙うんだ!」
アーサーは屋根にいたエルフの騎士にとんでもない指示を出したのだ。エルフたちは窓の中を狙って矢を放ったのだった。
「やめろぉ~~~~!」
ケンジは大きな声を出し叫んだのだった!だが、それはもう遅く無数の矢が窓目掛けて放たれたのだった。だが、矢は敷地内に届くや否や見えない壁に阻まれ全て地面に落ちてしまったのだ。
それを見たケンジはアーサーを睨みつけるのだった。
*-----*-----*-----*-----*
この話で出てきた魔法とスキル。
※①【インビジビリティー】
光属性魔法 2階位
消費MP 10
詠唱速度 2秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間 レベル×1分
効果対象 術者のみ
効果範囲 なし
必要秘薬 ケサランパサラン2個
備考欄
魔法を唱えると唱えた人間を透明化する。
光の屈折反射をなしにすることで透明になる。
故に目の見えない魔物や熱や音に反応するアンデット
または、インフラビジョンを持つ種族には効果なし。
インフラビジョンとはエルフなどが持つ魔眼の一種で
熱を感知する眼の事を言う。地球で言うならサーモグラフィーの
様に見えるのである。
魔法使い職業レベル30と魔法スキル40以上で使う事が可能
※②【インベントリ】
ガイアースではケンジしか持っていない
レアスキルで収納BOXの上位版である。
生物以外なら何でも収納可能で上限がない。
又、種類ごとに分別もでき、時間経過もなく
食べ物は悪くならない。
※③【世界地図】
ケンジしか所持者がいないレアスキル。
世界中の地図が見れて拡大縮小も思いのままで、町の中、ダンジョンの中にも
使える便利の良いスキル。
この地図にサーチの魔法を併用して使う事が可能で薬草や魔物を
見つけることも可能である。
※④【インフラビジョン】
インフラビジョンとはエルフやドワーフ、小人族
などが持つ魔眼の一種で熱を感知する眼の事を言う。
地球で言うならサーモグラフィーの様に見えるのである。
そしてこのインフラヴィジョンの弱点はいきなり
明るい光をあてられると目の前が真っ赤になり
少しの間、目は使い物にならなくなる。
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