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第7章 超級ダンジョン攻略!
16話 平穏が崩れ去る音①
しおりを挟むグランパス国王がケンジが辞退したことにどうしても納得しなくて早急に自分の前に連れて来いという指示を出したのだ。ただこのとき国王はどうしても納得がいかず怒りを抑えることができずに部下に指示を出してしまったのである。
ただ、ケンジの辞退の理由が聞きたかった国王は普通に指示を出したつもりだったのだが口調が少しばかり荒げてしまったのである。
「飛龍衛兵部隊、騎士団長を呼べ!」
「ハッ!ただいま呼んでまいります!」
「国王!何か御用でしょうか?」
すぐさま騎士団長が国王の元までやってきたのだ。その男はグランパス王国の騎士団をまとめ上げている第一部隊の騎士団長を務めている男である。
その男の名はアーサーといい屈強な身体つきをし百戦錬磨の聖騎士で上級職である。部下たちからは信頼を得て悪は絶対許さない性格をしているのである。
「今回授与式を辞退したケンジと言う男を我のもとにすぐ連れてくるのだ!」
「ハッ!」
このとき国王の苛立ちが感じ取れたアーサーは国王に忖度してしまったのである。国王はグランパス王国を救ってくれた救世主であるケンジを自分のプライドにかけてでも報奨を与えたかっただけなのだが、国王はケンジにそのプライドを圧し折られたことにより言葉がきつくなってしまっただけであった。
そして勘違いしたままアーサーはケンジを逮捕しにテンペの町に出立してしまったのである。
そしてそんなことになっているとは思わないケンジ達は3か月間みっちり修業していたのだった。最後ダンジョン中ボスである50階層にまで降りて修業の成果をみて修業を終わりにしようとすることに決めたのだ。
「主!とうとうこの時が来たんだな。」
「ああ。そうだな、マードック。今回はお前達だけでも充分戦えるはずだ。がんばってくれよ。」
「ああ!任せておいてくれ。」
「マードックあんたそんなこと言って調子に乗らないの!」
「姉貴ぃ~~~何でいつもそうやってやる気をそぐ言い方ばかりすんだよ・・・」
「あんたは少し抑えた方がいいのよ!突っ走ってばかりなんだから!脳筋は周りの事考えなきゃ仲間がピンチになるわよ!」
「そんなああ~~~」
もう通例となったオリヴィアとマードックの姉弟の漫才にケンジ達はひと時の平穏を味わっていた。そして、ケンジ達はその日はゆっくり休み次の日に50階層の中ボスにリベンジをすることにのだ。
「いいか、今回俺は後方でみんなを見ているだけにするからみんな気合入れろよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「でも、ケンちゃんそんなこと言ってもホントにピンチになったらまた助けてくれるんでしょ?」
「まあ、本当にピンチだったらな。でもそんな期待はしないようにお前達でなんとかしろよ!いつかはこのダンジョンを攻略するんだからな。」
「わかってるってば・・・」
ケンジは50階層の中ボス部屋に入る手前で強化魔法を唱えれるだけ全部掛けたのだった。
「な、な、なんだこれは!主!これは凄いな!」
「これが3次職の強化魔法だよ。これならあの悪魔族にも勝てる気がするだろ。」
「ケンちゃんこれならいけるよ!」
「ああ!でも油断はするんじゃないぞ!」
そしてマードックはボス部屋の扉を開け突入したのだった!そこには忘れもしない紅蓮の炎を纏ったファイヤーデーモンの姿があった。
「また、貴様たちか!今度は前のようにはいかぬぞ!」
ファイヤーデーモンは最初から最終形態になり宙に浮かんだのだった。そして、いきなりファイヤーブレスを吐き出したのだ。
そのブレスをシスティナは物ともせずシールドで薙ぎ払い炎の球を消滅させてしまったのだ。その瞬間プリムは羽ばたきすかさず【ライトニング】を打ち込んだのだった。
プリムの武器は雷をまとい神速の突きを繰り出した。それとともにでかい音が部屋中に鳴り響く!
ドォオオオオ~~~~~ン!
「ぐわあああああああああああああああああ!」
その攻撃にファイヤーデーモンは悶絶して麻痺をして大きな音と共に地面に墜落したのだった。その墜落したのを見たマードックとマイは笑顔にもならずすかさず攻撃を繰り出すのがった。
マードックは神速のごとく手数はもう誰にも見えなかった。剣劇の音だけがズバババババババババと連続で鳴り響きファイヤーデーモンは声にならない叫び声をあげた。
「ぐううううううう・・・・や、やめて・・・くれ・・・」
そして、マイは居合い抜きの構えからただの一閃振りぬいたのだった。するとファイヤーデーモンは炎の球体にもかかわらず炎が斜めに真っ二つになり、炎の塊は光の渦に消えてしまいドロップアイテムがその場に残っただけだった。
マードックが部屋に入ってからかかった時間は2分と30秒でファイヤーデーモンを討伐してしまったのだった。前回はプリムが死にかけたというのに今回はオーバーキルだと言う事が実感できるほどの戦闘であった。
「みんなよくやったな!修業の成果がきっちり出た内容だったな。」
前衛職のマイ、システィナ、プリム、マードックは自分達が何をやったのかただ茫然とドロップアイテムを見つめていたのだ。ケンジがよくやったと声をかけるまで自分達が討伐した事が信じれなかったのだ。それほどまでに圧倒的な力で叩きのめしたのだった。
後衛職も一体何が起こったのか解らなかったのだ。ただ何もせず最初に強化魔法を掛けただけでオリヴィアに至っては何もせず戦闘が終わったのである。ギルは宝箱が出たので自分の仕事をたんたんとこなすのだった。
「主・・・・なんだこの変な気持ちは・・・俺達まだ全然本気じゃないぞ。」
「そうよ・・・ちょっと力入れただけなのにファイヤーボールが消滅しちゃったよ・・・・」
「わたしも前の経験で跳び上がってすぐスキルを使っただけなのに・・・」
「ケンちゃん!あたしなんてただ居合い抜きしただけで立花極心流を使った
わけじゃないよ。」
「ああ!わかっているよ。だけどその力がお前達の手に入れた3次職の力の一部だよ。その力を持って分かったと思うが世界をどうかできる力だから今留守番をしている仲間たちを守るために使ってくれよ。」
「いや、この力は第一に主の為に使う。」
「ああ、マードックありがとな。そういってくれて嬉しいよ。」
そういうとギルが声をかけてきた。虹色の宝箱だと言うのに3次職の力のおかげが簡単に罠を解除してしまったのだ。
「主!解除できました。」
「え?もうか?」
「ええ!私も3次職になったおかげで簡単に解除できましたよ。」
ケンジはこれでこのダンジョンも攻略できると確信を持てたのだった。そして中を見てみるとまた同じ転移マットだったのだ。ここに来るまで40階層の中ボスも討伐したのだがここでもまたハウスが手に入っていてケンジはハウスと転移マットを2組づつ手に入れていたのだった。
「ケンちゃん・・・こんなに同じもんばっかいらないよね・・・」
「いやこれはこれで使い勝手はいいかもしれないぞ?」
「え?そうなの?」
「ああ。このハウスと転移マットがいっぱいあればひょっとしたら革命が起きるかもしれないな。」
ケンジはそう言ってニヤニヤしだすのだった。それを見たマイたちはケンジが又悪いこと考えているとドン引きしていたのは言うまでもない。
そしてケンジ達は今回やることはやったと思い取り敢えず家に帰ろうと思いみんなで地上への魔法陣にのり地上に帰って来た。そこに現れたのは魔法陣を包囲しているダンジョンを守っている兵士達の姿だった。
ケンジが現れたのを見た瞬間周りに警笛が鳴り響くのだった。
「な、なんだぁ~~~!」
「みんな周りを固めろ!絶対に逃すんじゃないぞ!」
「おい!俺の主に何ようだ!」
「マードックちょっと待つんだ。」
その言葉にマードックは警戒を解いた。だがケンジの後ろにいたマイたちは怪訝そうな顔をして警戒態勢をとっていた。
「え~。団長さんはいるか?何かあったのか?」
「ケンジ殿いったい何をやったのだ?お主に逮捕命令が出ている。おとなしくしてもらおうか!」
団長は首をクイッと合図を送ると部下の兵士たちがケンジの周りを取り囲むのだった。それを見たマードックやシスティナがいち早くケンジとの間に入り込みそれを阻止するのだった。
「貴様たち奴隷の分際で!」
「何言ってんのよ!ご主人様を逮捕なんかさせないわ!」
「そうだ!主は町を救ったんだぞ!何で逮捕なんか!」
すると後方からさらにレベルの上がったツバキが新しいスキルスパイダーネットを繰り出したのだ。兵士たちに粘着糸を投網のように広げて一網打尽にした。その様子は小さな小魚が網に絡みぴちぴちはねているような映像にしか見えなかったのだ。
「わたしのご主人様に何をするつもり?」
「ぶるるるるる!」
そこにハヤテも登場し辺りにマヒブレスをまき散らすのだった。ハヤテもまたレベルが上がり睡眠ブレスだけじゃなくマヒブレスを使えるようになったのである。これにより簡易村にいた兵士は全て麻痺や粘着糸に絡まった兵士だけになってしまったのである。
「団長これで落ち着きましたか?いきなりとらえようとするなんていったい何があったのですか?」
団長はやはりケンジを捕らえることは不可能かとガクッと項垂れた。
「我々もなんだかわからんのだ・・・2か月半前に騎士団長から報告がありなにがなんだか・・・ケンジ殿には世話になってるし本当はこんな真似したくはなかったのだが上からの命令では逆らう事はできなくて・・・・すまなかった・・・」
「ケンちゃん・・・ダンジョンに潜るくらいの頃ってひょっとして・・・」
「マイマール殿なにか心当たりがあるのか?」
「ええ・・・実はケンちゃんスタンピードの功績の授与式辞退したのよ。」
「なっ!?」
周りにいた団長をふくめて兵士たちすべてがそれが全員だと納得したようだった。
「ケンジ殿なぜそのような事を・・・それで国王は貴方を逮捕せよと・・・」
「いや何でってこんな大事になるなんて思わないし辞退したのなら放って置いてもいいじゃないか・・・」
「ケンジ殿それは間違ってますぞ。たぶん国王はプライドを傷つけられたんだと・・・・それで逮捕せよと騎士団長に・・・」
「はあぁ~~~やっぱ王族も貴族もめんどくせえ・・・」
「なんと!ケンジ殿あなたはなんてことを言うのだ!」
「団長・・・俺は自由にこいつらと楽しく生きていきたいだけなんだよ。授与なんて受けたら自由じゃなくなるだろ?それが嫌で今回の事は辞退したんだよ。」
「だからって我らの主君に対しその言い分は不敬であろう!」
「あんたらの言い分はわかるが俺は王族だとか貴族のしがらみの言いなりになるつもりはないよ。」
その言葉と共にケンジは何かを決意した用で団長を睨みつけるのだった。
「あんたらには世話になったから殺さずこのままにしておく!自力で脱出したらいよ。この状態なら戦って返り討ちになったとして処分もないだろうしな。」
そしてケンジは団長と兵士をそのままにして簡易村まるごと結界を張り3日は出れないようにしたのだった。
この処置はツバキの粘着糸ハヤテのブレスで動けない時に地上の魔物が侵入してきた場合兵士たちに危険がある為だ。そして、ケンジが簡易村を抜け出したことを外に知られない為の時間稼ぎの為でもあった。
「みんなテンペの町に帰るぞ。セバスたちが心配だひょっとしたら町の衛兵に捕まっているかもしれない!」
「それはどうゆうことですか?」
「ギルわからないのか?ここで待ち伏せしてたんだ。当然家の方も包囲されていてもおかしくないだろ!」
「「「「あ・・・」」」」
「おいおい・・・お前達もかよ・・・」
「でしたら急がないと!」
ケンジはすぐに馬車を出しハヤテをつなぎ止めハヤテにケンジは話かけるのだった。
「ハヤテ。ダンジョンから出たばかりだが急いでテンペの町まで頼むな。」
「ぶるるるるる!」
ケンジはハヤテの首筋を優しく擦りハヤテは任せろと言った感じで一鳴きして猛スピードでテンペの町に向かったのだった。
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