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第7章 超級ダンジョン攻略!
13話 テンペの町に帰って・・・
しおりを挟むケンジ達は馬車でテンペの町に帰って来たばかりだったが帰還した早々町の衛兵たちに囲まれていたのだった。
「ケンジ殿このたびは本当にありがとう!あなた達はこの町の救世主だよ!」
「団長!帰って来た早々いきなりなんですか?」
「なにって・・・何を言っているのだ!ケンジ殿は超級ダンジョンのスタンピードを抑え込んだんだろ?1か月半前だったか早馬から聞いたぞ。」
「あ・・・ああ!そのことでしたか・・・」
「そのことでしたかって・・・ケンジ殿、君は凄い事をしたんだよ。」
「まあ、俺達はそんな凄い事だと思っていませんよ。それにあの時自分らはちょうど超級ダンジョンに行く予定だったし偶然その時にスタンピードが起こったにすぎませんしね。」
「ケンジ殿がそう思ってたとしてももしそのままこの町に超級ダンジョンのスタンピードが流れ込んでいたら町の結界なんか役に立たず一瞬にして滅んでいただろう・・・だからケンジ殿のやったことは凄い事なんだよ。」
「え?この町の結界ってそんなに弱い物なの?」
「いや・・・弱いってことは無いが超級ダンジョンのスタンピードにはいくらなんでも耐えられるとは思えんよ。」
「ええええ~~~!」
「主、何を驚いてんだよ。そんなの当たり前じゃないか。」
「いやいやいや・・・毎回ギルドがあんなに高額でインゴットを用意して錬成も100%成功出来ないくらい苦労して作った町の結界が超級ダンジョンのスタンピードを止められない?うそだろ?」
「おいおい!ケンジ殿本当に知らなかったのか?だからこそ我々のような衛兵も町の警護、それに城壁、町の冒険者と結界で町を守っているんだよ。」
ケンジは団長の話を聞いて申し訳ないが結界がそんな簡単に破られ超級ダンジョンにさえ満足に潜れない人間がたくさんいた所で烏合の衆で役に立たないんじゃないかと思ったが口に出すのは止めた。
「へええ!なるほどなあ。確かに何重にも守ってもらっていると安心できるものですからね。」
「まあ、そうゆうことだな!」
団長はケンジに町を守って貰えていると言われ気を良くしたようだった。その団長の様子を見ながらケンジはホントにお気軽でいいよなと呆れながらニッコリ笑ったのだった。
「それじゃ、自分達は疲れているのでこれで失礼します。」
ケンジ達はまずギルドに出向きマイの清算をすませる為にギルドに向かったのだった。
「じゃあ、ケンちゃん清算してくるからちょっと待っててね。」
「ああ、俺はギルドには用もないし馬車でみんなと待っているから。」
「うん。わかったよ。」
しばらくしたらマイがなぜか受付嬢と戻ってきたのだった。それを見てケンジはまたかよと嫌な予感しかしなかったのだ。
「ケンちゃ~~~ん・・・ごめんなさい・・・」
「ん?どうかしたのか?」
「っていうか、俺を呼んで来いと言われたのか?」
「うん・・・」
「ホントあんた達はこりないというか・・・なんというか・・・」
「ケンジ様ここでは何ですからギルドの方へ来ていただけますか?」
ケンジはこうなってはギルドは絶対ひかない事を嫌というほど経験させられたので渋々ついていったのだった。
「ギル、プリム一緒に来てくれ。後の者はここで待機よろしく。疲れているけどもう少し我慢してくれ。」
「そんな勿体ない・・・ご主人様こそ大丈夫ですか?」
「ああ、パパッと断って帰ってくるよ。」
受付嬢はそのセリフを聞き眉をしかめたが冷静を装いケンジを部屋に案内したのだった。そして案内された部屋には新しく就任したギルドマスターと幹部だと思われる人間が3名がいたのだった。
ギルドはあの一軒で上層部が一掃されギルドマスターに新しい人間に変わっておりケンジの知っている顔は誰もいなかった。
「初めまして、ケンジです。」
「噂には聞いております。私は新しくギルドマスターに就任したブロッサムです。」
そのブロッサムと名のった人物は今までの人間と変わった感じとは思えなかった。
そのブロッサムという男性は一見優しそうな笑みを浮かべ身なりは清潔で人気がありそうで頼りがいのある雰囲気を醸し出し、年齢の割にダンディーで渋い感じの男性であった。
だがケンジはブロッサムを見た瞬間いかにも自分は上司だという笑みが感じ取れたのだった。ケンジはギルドの上の連中はこんな人間ばかりなのかとケンジはうんざり
したのだった。
「それで今日は何で自分が呼び出されたのですか?ダンジョン帰りなので手短でお願いしますね。」
ケンジがそういうといきなり幹部の人間が顔を真っ赤にして大きな声で怒鳴ってきたのだった。
「貴様!ギルドマスターに対して手短とはどういう了見だ!無礼者が!」
幹部の一人が立ち上がりケンジに手を出そうとした瞬間ギルとプリムが間に立ち幹部を睨みつけたのだった。
「我が主に何をするつもりだ!」
「手を出したらわたし達があなた達を潰すわよ!」
「貴様ら!奴隷だろうが!なんだその態度‼生意気だぞ!」
「お前達はなんですぐそうマウントを取ってくるんだよ。こっちは疲れているんだから手短でお願いすると言っただけじゃないか。なんでそんな熱くなるんだよ!」
「それはお前があまりに無礼な事を言うからであろう!」
「ああ!わかったわかったじゃあ俺にはもう構わんでくれ。俺はもう帰るよ。」
ケンジは席を立とうとして部屋から出ようとするとブロッサムが声をかけてきたのだった。
「ケンジ君だったね。今帰ると後悔することになるよ。いいのかい?」
「ここに来たことがもうすでに後悔しているよ。本当にギルドマスターなら部下の教育をちゃんとした方が身のためだぞ。」
ケンジはギルとシスティナを奴隷とののしった幹部を睨みつけ部屋から出ようと扉に手をかけたのだった。
「ケンジ君、本当に待ちなさい!」
ギルドマスターはケンジを本当に止めようとして急いで席を立ちケンジの手を引っ張ったのだった。
「ちょっと離してくださいよ!」
「部下のやったことは謝罪するだから待ちなさい!」
「貴方に謝罪されるいわれはないよ。貴方にはああいう輩を教育してくれたら俺は何も言わないよ。」
「おい!お前も早く謝罪しろ!この馬鹿者が‼」
幹部の男はギルドマスターがまさかケンジに言う事を聞くとは思っていなくて目をぱちくりして呆然としていた。
それを見たブロサッムは慌てて幹部の頭を押さえつけて謝罪したのだ。
「ケンジ君これで取り敢えず許してくれ!この男には後で私がしっかりお灸をすえるからこの通りだ!」
ブロサッムは男の頭を押さえ自らもまた頭を下げたのだった。
「わかりました!話を聞くだけですよ。」
ケンジは渋々席に座り直したのだった。そしてブロサッムからとんでもない話が飛び出すのだった。
「ケンジ君とりあえず席に戻ってくれてありがとう!」
「それで話というのは?」
ブロサッムは笑顔で話はじめその内容はケンジが王国首都に呼び出されているとギルドに連絡が入ったのだと言うのだ。
そしてケンジをテンペの町だけでなく王国全土を超級スタンピードから救ってくれたことを表彰したいらしいのである。だから早急にグランパス王国の城に出向く様にとのことだった。
「主!凄い事ですよ!これは!」
「本当です!こんなことがあるなんて!」
「奴隷どもは黙っておれ!会話にはいるな。」
ギルとプリムはケンジが王国から表彰されると聞いて嬉しくなり会話に入ってしまったのだった。そのことが気に入らない幹部はまたギル達を怒鳴りつけたのだった。
それにケンジは眉をひそめたのだった。それを見たブロッサムは幹部を睨みつけ抑えたのだった。ギルドマスターであるブロサッムは自分が就任した直後生産ギルド所属の生産職の一人が王国に表彰されることとなり鼻が高いのである。
「で、ケンジ君いつ王国に向けて出立できる?わたし達としてもできるだけ早いほうが良いとは思うのだが。」
「それ辞退します。」
ケンジのセリフにこの部屋にいる人間すべて目が点になったのだった。
「はっ?今なんと・・・言ったのだ?」
「俺は表彰されたくてスタンピードを止めたわけじゃないんで辞退すると言ったんですよ。」
「き、貴様ぁ~~~!何を言っておるのだ!王国から表彰される事は物凄い事なんだぞ!」
「お前はいっかい黙らんか!」
「しかし、ギルドマスター・・・」
「ケンジ君いいかい・・・よく聞いてくれ。王国から表彰されると言う事は栄誉でありみんなの憧れであり誰もがそう簡単に受けれる物じゃないんだよ。」
「国王から直々に表彰される事はものすごい名声が手に入るんだ。」
「そうですよ!ご主人様!」
「平民である主が国王から表彰など普通はあり得ない事なんですよ!」
「ギル、プリムそんなことは俺だって知っているよ。」
「「だったら!」」
「いいからだまれ!」
「ブロッサムさん・・・俺はさっきも言った通りそんな称号には興味が無いんですよ。」
「だが、こんな栄誉はまずあたえられないぞ!いいのか?」
「はい。俺はそんなと言っては失礼かもしれませんが興味が本当にないのですよ。」
「貴様!大人しく聞いておれば王国の受賞に興味がないだと!」
「おい!いいかげんにしろ!お前は黙ってろと言ったではないか!部屋から追い出すぞ!」
「ですがギルドマスターこやつは・・・」
それでも反論するこの幹部はとうとう部屋から追い出されてしまったのだ。
「ケンジ君すまなかった・・・一つ聞きたいのだがいいかい?」
「ええ、どうぞ。」
「何で受賞を断る?たぶんこの受賞を受ければ報奨金は王国から出る事になり貴族の位も与えられ栄誉と財産それに領主にもなれると思うぞ。」
「たしかにそれらは魅力の一つでしょうがそれ以外のものも一緒に貰う事になるのでそれがいらないのですよ。」
「それ以外の事か・・・確かにそれらの事は気にならない程の財産が手に入りもうギルドでせこせこ依頼を受ける事もしなくてもいいんだぞ。」
「俺は貴族や王族のしがらみなんかいらないんですよ。誰にも縛られず自由にこいつ等、ギル達と楽しく日々の生活ができたら充分なんですよ。」
ブロッサムは少し考えたがすぐにケンジを見て納得したようにこたえるのである。
「そうか・・・わかったよ。ギルドの方から王国に辞退すると連絡をしておく。この件に関してはもうギルドはあずかり知らないことにする。」
「はい!ありがとうございます。」
「じゃあ、帰ってくれて構わないよ。」
ブロッサムはケンジにそういい仕事に戻っていったのだった。ケンジもそれを聞き安心して馬車で待っているマイたちの所に戻るのだった。
ブロッサムはケンジが外に出ていく様子をギルドマスターの部屋の窓から見て独り言を呟くのだった。
「さて、ケンジ君ギルドの協力もなしにこれからの事どうするのか楽しみだよ。お手並み拝見といこうか。」
ブロッサムは部屋のカーテンを閉め仕事をし始めたのだった。
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