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第7章 超級ダンジョン攻略!

7話 到着!

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 超級ダンジョンは騒然として怒号が飛び交っていたのである。

「お前達しっかりしろ!ここを死ぬ気で守り通すぞ!」

 団長は部下たちを勇気づける為必死で大声を出し前衛に立って、ダークミノター(ミノタウルスの上位種)牛の亜人種に立ち向かっていたのだった。唯一の救いはこの魔物達がいっぺんに這い出してこない事だった。
 それでもランクAと称するダークミノターは兵士たちにとって悪夢のような強さだったのである。そしてその魔物を何とか討伐しても次から次へと這い出して来るのである。

「隊長!もう持ちません!」
「ぎゃああああ!」
「ぐほっ!」
 
 ダークミノターの一撃は重く疲れ切った兵士たちが犠牲になるのだった。

「く、くっそおおお~~~!」

「第2兵団と交代だ!」

「「「おおおお!」」」

 団長の掛け声で第1兵団と第2兵団が素早く入れ替わったのだった。そして次には第3兵団が待ち構える事となっていたのだった。第3兵団は第1兵団を担ぎ奥に引きずり休ませるのだった。

「大丈夫か!」
「休憩だゆっくり休め!」

 第1兵団の兵士は声にならない声を上げすまないと言っていた。

「くっそおおお・・・・いつまで這い出して来るんだ!もう30匹は倒しているのに・・・」

 そしてとうとう第2兵団もまた疲れてきて犠牲者が出始めるのだった。

「第3兵団に交代だ!」

「おおおお!」

 第3兵団が前に出ようとした時、後方から光の矢が高速で飛んできてダークミノターの頭が消し飛んだのだった。

「なっ、なにっ?」

 団長が驚き何が起こったのか分からなかったのだ。

「団長さ~~~~ん!兵士たちを引かせてください!」

 団長は声がする方に顔を向けるのだった!そこには遠くの方から尋常じゃないスピードでやってくる馬車があり唯一の希望と言えるケンジの姿があったのだ。

「ケ、ケンジ殿!」
 
 団長は涙が出るほどうれしかったのである。これで何とかなると確信が持てたのだった。そしてダークミノターが倒れるとまたダンジョンから一匹這い出してきたのである。ハヤテのおかげで早馬の兵士と別れてから1時間も経たない時間でケンジは超級ダンジョンの簡易村に着いたのだった。

 ダークミノターが這い出した瞬間、マイが飛び出し天の叢雲を一閃振りぬくのだった。するとダークミノターは一撃で真っ二つになり倒れてしまったのだった。

「な、なにいい~~~~!」

 団長は大声を上げたのだった。自分達は一匹倒すのに何回ソードを叩き斬ったのか分からないのにマイはあのランクAの魔物を立った一振りで叩ききってしまったのである。
 ケンジ達のパーティーは強いと聞いていたが実際目の当たりにすると団長は言葉を失いただただマイやマードック達の戦闘を呆気にとられ開いた口が塞がらないだけであった。

 マイたちにとったらダークミノタは雑魚モンスターであり、ダンジョンから這い出てきたところからただの一撃でドンドン切り捨てている感じだった。マードックが2刀流でマイと切り捨てている最中システィナ達はハヤテを馬車から外し潜る準備をしていたのだった。

「団長大丈夫ですか?」

「へ?」

 ケンジは団長の肩を揺らし覚醒させるのだった。

「あ、ああ・・・ケンジ殿いったいなぜここに?」

「しっかりしてください!今日の朝俺はダンジョンに潜ろうとこちらに向かっていたんですよ。そしたら早馬がテンペの町に向かっていたみたいで途中兵士さんにここの状況を聞いて急いできたんです。」

「え?テンペの町に早馬?」

「ええ。何でも早馬の任務で王国に向かったらしいのですがその任務に就いていた隊長さんが独断で俺に報せるようにと一人だけ向かわせたそうですよ。」

「あいつめ!粋な事を!だがそのおかげで我々は助かったみたいだな・・・」

「まあ、本当に運がよかったと思いますよ。俺の仲間たちの防具が完成して今日偶然俺達がこのダンジョンに来ようと決めたんですからね。」

「それは本当か?じゃあ装備が出来てなかったら・・・」

「はい。当然ですが俺の到着はもっと遅くなってたでしょうね。」

「我々は本当に偶然助かっただけだったのか・・・」

「それにしても何でスタンピードの発見が遅れたのですか?」

「ああ・・・それなんだが魔物が強くなっていたのは知っているよな?」

「ええ、それは当然ですよ。そのおかげで他の町も資材がそろわなくて大変になっているのですからね。」

「だから我々も努力してなるべく深くまで潜る様にしてたのだが魔物が強すぎて5階層がやっとだったのだ・・・」

「なるほど・・・だから発見がどうしても浅い階層までわからなかったんですね。」

「ああ・・・・情けない事だがそうゆうことだ・・・」

 すると、ダンジョンの入り口付近で戦闘をしていたマードックが大きな声でケンジに話しかけてきた。

「お~い!主。ミノタウルスが進行がおさまったみたいだぞ!」

 ケンジと団長がその声に反応しダンジョンの入り口に目を向けるとそこにはミノタウルスの死体の山が出来ていたのだった。

「な・・・・なん・・・だあ!その死体の山は!」

 ダークミノターはダンジョンから這い出た所をマードックとマイに一撃で殺されたことにより傷も少なく上等な素材を残し全部死んでいたのだった。ダンジョン内で死んでいたら死体は吸収されドロップアイテムを残すだけだったのだが這い出た所を殺されたのもだから死体が全部残っていたのだった。

 ケンジは一撃で殺されているダークミノターの死体を全部マジックバックに入れるふりをしてインベントリに収納してしまったのだ。

 後の死体の破損が激しいのは兵士たちが何回も剣で殴っているのがわかりそれらの死体は兵士が討伐したものでケンジに所有権は無かったのでそれ等は残していたのだった。

「ケンジ殿本当にありがとう!お主が来てくれたおかげで犠牲は出たがスタンピードを防ぐことが出来たよ。」

 団長や隊長、兵士たちはケンジを囲んで笑顔で礼をしたのだった。

「それじゃすいませんが王国とテンペの町に早馬を出してください。」

「そうだったな!おい、何人か編成して第3兵団の中から選び出して送ってくれ。」

「はっ!」

 兵士たちは団長の指示に従いテキパキ行動に移るのだった。そしてケンジは団長にダンジョンに潜る許可を得て手続きを行ってもらうのだった。

「ケンジ殿今回は本当に助かった。ありがとう!」

「いえいえ、もうお礼はいいですよ。どうせ潜るつもりで今日はここに来たのですから。」

「そっか・・・ほんとうによかった。で、今回も5階層で採掘をするのか?あんなことがあったしダンジョンの中はどうなっているか分からんから気を付けて潜ってくれよ。」

「いえ、今回は採掘をしに来たんじゃないんですよ。」

「はっ?じゃあ・・・なんでここにきたんだ?」

「今回はこのダンジョンを攻略しにきたんですよ。」

「な・・・・なんだと!?」

 団長が目を見開きケンジを睨みつけるのだった。

「だから、ダンジョンを・・・」

「それは止めるんだ!いくら強いと言ってもそれは無謀だ!」

 団長はこの辺りで唯一超級に潜れるパーティーであるケンジを止めようとしたのだった。それも仕方のない事で今回の様にスタンピードが起きた場合止めることが出来るのはケンジしかいないからだ。
 ここで無理をしてダンジョンで全滅してしまってはこの先どうしようもない事が起きた場合誰にも対処できなくなるからである。

「ケンジ殿それは本当にやめてくれ!君達が死んでしまったら人類の希望がいなくなってしまう!頼む!思いとどまってくれないか?」

「いやいやいや・・・それだとせっかく目標にしてきたことが無駄になるしこの日の為に準備してきたことが無駄になるじゃないか。」

「それはわかるが君達が死んでしまうほうが大事だ!」

「そんなこと言っても俺達は潜るよ。団長さんの気持ちは嬉しいが俺達はこの日のためにみんな頑張ってレベルを上げて来たんだからな。」

「そ・・・」

「それに俺達が潜ると言ったら止める事も出来ないんでしょ?」

「ああ・・・冒険者の自由で死んでしまってもきみ達の責任だ・・・」

「だったら俺達を気持ちよく潜らせてくれよ。もし危ないと判断したら引き返してくるからさ。俺達だってまだ死にたくないのは同じですよ。」

「本当に危ないと思ったら無茶をしないと誓えるか?」

「ああ!それが最優先事項で俺達は今までこのダンジョンに潜って来たからな。今更言われなくとも誓えるよ。」

 団長は目をつむり少し考えてわかったと一言呟いたのだった。

 


 そしてケンジ達は団長の許しを得てダンジョンに潜る期間を3か月と報告し、ギルを先頭にシスティナ、プリム、マードック、セイラ、オリヴィアケンジ、マイそして殿にツバキとハヤテの順番で超級ダンジョンに潜入していくのだった。


 そして、今は団長も思いもしない事が起き、ケンジは偉業を成し遂げることになる。


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