230 / 619
第6章 ケンジの新しい生産力!
53話 ギルドの意地④
しおりを挟む生産ギルドマスター、ミルファーとミルフィーは掲示板をなくなく元に戻し生産者達に素材を取ってきてくれと頭をさげるのだった。これは前代未聞の事であり今まで歴代のギルドマスター達でさえこんなことをしなかったのだ。
この行為はミルファーたちにとって屈辱そのものであり苦虫を噛みしめたような顔で頭を下げたのだった。その行為は瞬く間に生産者達に広がりギルドは取ってきた素材や鉱石、材木や秘薬など多岐にわたる生産の材料は今までより高く買い取るはめになってしまったのだ。
生産者達は今はまだダンジョンに潜ることはできないが地上の素材を持ってきても苦しいながらも生活ができるようになったのである。
これも全てケンジのおかげとおもった生産者達は町の外に採取ばかり行かず、生産者の体力を生かし町の配送業や城壁の補修工事の仕事も率先して受けるようになったのである。
そして、数日後またギルドマスターのミルファーとミルフィーの訪問があったのである。
「お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」
「今日はあなたの商品について訪問させていただきました。」
「えーっと冷蔵庫のことですか?」
「ええ・・・その冷蔵庫です。その冷蔵庫なのですがそのせいでうちの開発した保管庫が全く売れなくなってしまいまして責任を取っていただく事になりその冷蔵庫の販権をギルドに渡してもらいたい!」
「はぁあ?何を言っているかわからないんだが。」
「だから冷蔵庫のせいでうちが開発した保管庫が全く売れなくなってしまったのです。だからその責任を取っていただきたいと言っているのです。」
「ってことはだな。将来、俺の開発した冷蔵庫が古くなりギルドからもっと便利な物が出来て冷蔵庫が売れなくなったとき新商品の販権を奪ってもいい事になるのか?」
「それは認められません!ギルドは生産者をまとめ育てる為にお金が必要なのでギルドで開発したものはギルドで管理していきます。」
「言っていることがむちゃくちゃなんだが。」
「じゃあ、あんた達が売っている食器類はどうなんだ?俺から作り方を盗み他の所で売り出したことで俺の店の食器類の売り上げが著しく落ちたんだがその責任はどうしてくれるんだ?」
「それは売り上げが落ちただけですよね?保管庫は全く売れなくなってしまったのです。その責任を取ってもらいたいのです。」
「そりゃ保管庫の性能が悪すぎだからで俺のせいじゃないよ。」
「いいえ!あなたのせいです。平民の家でも使える物なんて考えるからうちが時間をかけて開発したものが売れなくなり大損害です。」
「そんな貴族やお店でしか使えないようなものを考えるから悪いんであって人々は便利のいいものを買うのは当り前だろ。」
「ぐぐぐ・・・」
「それを何を血迷ったか知らないが責任を取れとは頭おかしすぎだろ。」
ケンジはギルドがおかしくなったと思いギルドマスター二人を家から追い出してしまったのである。そしてギルドマスターを追い出して初めての冷蔵庫の販売日の日、ケンジの店では異変が起こったのだった。
「ご主人様、なんか今日はおかしいです!」
「ユエティーどうかしたのか?」
「お店の冷蔵庫の売り上げが伸びません・・・」
「は?あんだけ毎週行列ができたのにか?」
「それがお客様の中に変な質問をして購入していったお客様がいたのですが?」
「変な質問?」
「はい・・・冷蔵庫の魔石って変なものじゃないよねって・・・」
「変な物ってどうゆうことだ?」
「食料を保存する箱の中に便器と同じものを使っているのか?と聞くお客様もおられまして・・・」
「あ・・・そうゆうことか!」
「材料の神鋼魔石は同じだと説明しましたが工程は別物を使い便器の買い取り分は肥料の材料と説明をしてわかってもらって購入されていく人ばかりなのです。」
ケンジの開発した冷蔵庫は確かに心臓部と言われる所に神鋼魔石が使われていてこれは便器も同じである。
ケンジが便器の神鋼魔石を買い取っていることはみんな知っていることでその買い取った神鋼魔石が独り歩きしてしまったのである。人というのはそういったうわさには敏感であり、口に入れるものをそんな不潔な物と一緒の場所には置きたくないと言うのは当たり前なのである。
ただ、冷蔵庫の伸びが悪くなっているのは日頃ケンジがお客様である町の人々との信頼関係があるからでこれがなければまったく売れなくなっていたであろう。
ケンジの店で説明を聞いてやっぱりケンジがそんなことをするはずがないと納得して購入していってくれるのである。
中にはケンジと付き合いが少なかったり、まったくない人は説明を聞いても納得してくれず購入を諦める人も大多数いたのだ。この人間は他の町から自分の家で使う為購入を希望した人であり、ケンジの商品は基本テンペの町でしか販売はしていないが転売さえしなければ自分の家でも使えるので噂を聞きつけ遠方から買いに来る人がいるのである。
「それならやっぱりギルドで販売している保管庫を買おう。」
「やっぱりちょっと不潔なものに食料を保管は・・・」
「俺の所も食堂をやっているから食中毒は困るからやめておくよ・・・」
そんな事を言って帰っていく人もいっぱいいたのだった。完全に風評被害である。
「ご主人様どうしましょう・・・」
「どうしましょうと言われても・・・どうしようか・・・」
「・・・・」
「俺も店舗に出て説明を手伝うよ。誠心誠意対応するしかないと思う。」
ケンジにとってこれは誤算であった。まさかこんな方法で窮地に立たされるとは思ってもいなかったのだ。ケンジにはもうこのうわさの出どころが分かっていた。
その日ケンジは1日中店舗でお客様の対応に四苦八苦していたのだ。そして、ケンジの店の外ではいやらしい笑みを浮かべてた数人の男たちの姿も確認していたのだった。
「ご主人様ご苦労様でした。」
「ああ・・・売り出してから今日初めて冷蔵庫が売れ残ったよ・・・」
「本当ですか?」
ケンジはセバスに返事をしながら鍛冶工房に入りダンギとシェムに明日から冷蔵庫の生産を抑えてくれと指示を出すのだった。
「主殿!どうゆう事じゃ?」
「そうだ。まだまだ普及していないだろ?」
「今日は冷蔵庫が売れ残ったんだよ・・・」
「はああ?どうゆうことじゃ?」
「そんなのおかしいだろ?」
「まあ、食事時にもう一回みんなに説明するが町中に変な噂が蔓延したみたいでな・・・その噂のせいで売れなくなったんだよ。」
「「なんだそれは!」」
「まあ、とにかく今日はもう上がってくれ。」
ケンジは相当ショックだったみたいで鍛冶工房からトボトボと出て行ってしまったのである。
食事時みんながそろっていたがケンジだけまだ部屋にいたのだった。そこにセバスが食事が出来たとケンジを呼びに来たのだった。
「ご主人様大丈夫ですか?食事の準備が出来ております。」
ケンジは考え事をしていて時間が経っていることに気づかなかったのだ。そして慌ててセバスに謝るのだった。
「大丈夫でございますか?」
「すまなかったな。考え事をしていて時間を立つのを忘れていたよ。」
「あまり気にしないようにしてください。」
ケンジとセバスは食堂に入るとマイたち全員がケンジの側に駆け寄るのだった。
「ケンちゃん大丈夫?」
「ああ、マイそれにみんな心配かけたようで悪かったな。」
「ホント心配したよ。ケンちゃん部屋から出てこないんだから・・・」
「ちょっと考え事をしてたら時間が経つのを忘れてたよ。取り敢えず食事にしようか。」
みんなはケンジが食事にしようと言ったことでケンジに食欲がある事がわかり少し安心するのだった。その日の食事はみんなケンジが気になり食べた気がしなかったのである。当然会話も弾まずなんかお通夜のような感じであったのは言うまでもなかった。
「みんなどうした?元気がないぞ。」
「ケンちゃん・・・それはしょうがないよ。」
「ああ・・・そうだな。みんな悪いなこんな頼りない主人で・・・」
「「「「そんなことありません!」」」」
「「「「そうです!いつもご主人様に元気をもらってます!」」」」
一同みんな席から立ち上がり大声を上げるのだった。
「まあ、みんな座ってくれ。今回の事は俺の不手際だ。まさかあいつ等がこんなところをついてくるとは思わなかったよ。」
「ケンちゃんあいつ等ってどうゆうことよ?」
「おいおい・・・今回の事で得するところは生産ギルドしかいないじゃないか!噂を流したのは生産ギルドだよ。」
「「「「なっ!」」」」
「それはほんとうですか?」
「ああ、俺が店でお客の対応をしているときにニヤニヤ笑っている男たち数人を店の外で確認しているしな。」
「ケンちゃん、確認って?」
「ああ、その男たちを鑑定したら職業欄に生産ギルド職員ってでてたよ。俺の鑑定スキルには変装はしても無駄だからな。」
「くっそおお~~~!あいつら俺達の主にいちいちちょっかい出してきやがって俺が乗り込んで潰してやろうか!」
「まあ、マードック待て!そんな事をしても何の解決にもならん!」
「主・・・なんか良い案でもあるのかよ?」
「今は何にも思いつかん・・・」
ケンジの言葉にみんな芸人張りのリアクションでイスから滑り落ちるのだった。
「なんだよ!主・・・いつもみたいにいい案があると思ったじゃねえか・・・」
ケンジにとってこんなことは初めてであって解決策が思い浮かばなかったのだった。
1
お気に入りに追加
2,450
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。
本条蒼依
ファンタジー
主人公である小野田博俊(おのだひろとし)は女神ミーレヌのせいで死んでしまい、
異世界であるミストラルに転移してもらう。
そこには研磨という職業は無く、博俊は研磨でお店を開き、魔法と掛け合わせて
楽しく儲けて生活する物語。
研磨で新しい効果を生み出し、時には笑い時には悲しみありの長編小説。に、
したいとおもいます(*^-^*)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる