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第6章 ケンジの新しい生産力!

29話 慰謝料①

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 ツバキとハヤテを家に連れて帰り、ケンジの家の周りは騒然となっていたのである。当然見た事もないような魔物が町の中を歩き回っているからである。
 それを見た町の子供たちはすげー!だの怖いと言って泣きだす子供もいたのだった。そして慌ててセバスが家の外にまで出てきてびっくりして腰を抜かすほどだった。

「ご、ご主人様こ、これはいったい・・・」

「セバスただいま!新しく家の住人になる仲間だ!自己紹介は後でちゃんとするからまずは家の中に入ろう。」

 ケンジはまず家の倉庫の横に馬小屋を作るべく土魔法で小屋をつくりハヤテの寝床を作るのだった。

「ハヤテの寝床だけどこんな感じでいいかな?」

 寝床に藁を敷き詰め風通しの良い小屋に仕上げるとハヤテは気に入ったようでぶるるると一鳴きしたのだった。

「ツバキはこっちに来てくれ!」

「はい。」

 家の中に入りケンジはツバキにステータスを見た時人化できるのがわかっていたのでなれるかと聞いた。

「はい・・・それは家にいる間ずっとですか?」

「ん?制限があるのか?もし今のままが良いなら構わないんだが寝る場所がな・・・ベットのほうが良いんじゃないかと思ってな。」

 ツバキの説明によると人化している間は継続的にMPを消費していくので出来たらこのままがいいそうで寝床はこの家の屋根裏がいいというのだった。そこに巣を貼り寝床にしてもし侵入者があっても退治してくれると言うのだ。
 ケンジはツバキがそれでいいと言うのならOKをだしたのだった。この事が後に新たな情報を得ることになるとはケンジは思いもしなかったのである。

 ケンジはその夜みんなにツバキとハヤテを紹介しこれからみんな一緒に暮らしていくことになることいった。ツバキは基本裁縫工房のほうにいることになりハヤテは畑や中庭でいることになると伝えるのだった。

 そして、ケンジ達が帰って来てから1週間が過ぎて訪問客が現れるのだった。当然その客は生産ギルドの受付嬢と部下3名だった。

「ご主人様ギルドから訪問客がきました。」

「そっか、じゃ客室に案内してもらえるか?」

 客室に行くとそこにはギルドマスターはいなくて受付嬢と他3人だった。ケンジとマイは客室に入るとその4人は立ち上がり頭を下げるのだった。

「このたびはダンジョンから帰って疲れているのにお時間を作っていただきありがとうございます。」

「うん、そうゆうのはいいからまず席に座ってよ・・・それで何しに来たの?」

 そのケンジの言葉に4人は恐縮しながらソファーに座るのだった。

「このたびはギルマスが大変失礼な事を言い、ケンジ様に嫌な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。」
 4人はそういって深々と頭をさげるのである。ケンジは謝罪に来たのに何で当人が謝罪しに来ないんだと疑問に思うのであった。

「・・・・・」

「ギルドはケンジ様と今まで通りお付き合いをさせていただき・・・」
「何で当人のギルマスは謝罪に来ないんだ?」

 ケンジは受付嬢の言葉にかぶせ言葉を遮るのだった。その遮られたことに部下の人間は眉がぴくと動くのだった。

「言葉をさえぎって申し訳ないと思うが何であなたが謝る必要があるんだ?」

「いえ?これがギルドとして謝罪に来ているので・・・誰が来てもかわらないというか・・・」
「ギルドとしては謝罪の形を示したくこれからもケンジ様とは今まで通りのお付き合いをしたいと思っています。」

「って事は貴方がこの謝罪の責任を持つと言う事で言うんだな?」

「はい・・・ギルドマスターからはそのように聞いております。」

「ケンちゃん・・・ギルドはふざけているの?」

「まあ、マイ落ち着けって!で、ギルドは今まで通り俺にインゴットを納品してもらいたいと言うんだな?」

「はい!お願いします!」

「じゃあ、その為に俺のメリットを今すぐここで提示してもらってもいいか?」

「「「「え?」」」」

「え?じゃないよ!これからも俺にインゴットを納品してもらいたいんだろ?俺がギルマスの言葉に傷ついた慰謝料だよ。」

「それはこうして謝罪に来ていることで・・・」

「それは貴方達が決める事じゃないよ。今まで通り遺恨なく俺に納品してもらいたいんだろ?」

「だからこうして謝罪に!」

「まあ、待て!貴方はもし自分がギルドの依頼を受ける立場で言う事聞かないならこれからすべての依頼を受けさせないと言われてそれを言った本人が謝罪に来ない。これで本当に誠意ある対応と思うのかい?」

「それは・・・」

「でも、俺はそれを飲み込んでギルドの誠意ある対応として話を聞いているんだ。じゃあ、これから貴方達と今まで通り付き合うとしてあなた達ギルドに信頼を置き今まで通り納品するには納品額まあ、依頼料の色乗せして貰わないと俺は納得できないよ。」

「でしたらその相談を一旦持ち帰りたいのですが・・・」

「え?なんで?」

「何でってそんな重要な事わたし一人で決めれないからですよ。」

「いやいやいや・・・貴方はさっきギルドの全責任を負ってやってきたと言ったばかりだろ?貴方はそれだけの責任を負ってきたんだよ。ここで決めてくれ。そしたら俺はあんた達の謝罪を受け入れよう!」

「そんな・・・事わたしには決めることが出来ません・・・」

「じゃあ、あんたはどうだ?」

「いや私達は下っ端でそんな権限はありません・・・」

「一旦帰って上と相談・・・」

「帰ってもいいがそれだと俺はもうこの町にはいないかもしれないぞ。それでいいならどうぞお帰り下さい!」

 そのケンジの言葉に4人は血の気が引き真っ青になるのだった。

「ちょっとお待ちください・・・何でそんな大事な事をこの場で決めれるというのですか?」

「いやいや。じゃああなた達はそんなことも決めれないのにギルド代表とのたまったのか?それこそ本当に謝罪する気があったのか?」
「ギルド代表というなら何か提示ぐらい示すことが出来るだろ?」

「では、慰謝料として100万ドゴンをお支払いいたします。」

 ケンジはその提示額を聞いて鼻で笑ってしまったのだった。

「はっ!話にならないな・・・俺はこの町に来る前ブリュンガスの町でも同じ事を言われてやってきたんだぞ。言ってみれば2回目だ!それで慰謝料がたったの100万ドゴン?馬鹿にするのもいい加減にしろよ。」

「ですがギルドの規定での謝罪金は決まっていて・・・」

「そんな事俺に関係あるのかよ!」

「だけどこれ以上は・・・」

「じゃあ俺がこれ位ないと謝罪を受け入れないと言う程度を提示してやるよ。向こう5年間ギルドは俺の受けた依頼全て依頼料50%増しで支払う事!これならあなた達の謝罪を受け入れ今まで通りの付き合いをしてやるよ。」

「「「「なっ!」」」」
「そんな事受け入れる事なんてできるわけないでしょう!」

「そっか・・・じゃあしょうがない。決裂ということだな。君達は帰っていいよ!」

「待ってください!ケンジ様がこの町を去ったらどういう事になるか・・・」

「そんなのはギルドが何とかしたらいいよ。」

「そんなの無理ですよ!インゴットは他の町と一緒で在庫不足になり、それに便器はわたし達ではどうしようもありません・・・」

「そんな町に対して重要な人材を怒らしたのはギルドの責任だろ!安易にギルドの責任を負ってきたと言うのが間違っているよ。」

「ですが・・・そういわないとケンジ様は納得いかないかと・・・」

「あのな!うわべだけの謝罪なんてすぐばれるんだからやらないほうが良いぞ・・・高い勉強料になっただろ?」

「「「「・・・・・」」」」

「お、俺は関係ない・・・」「わしもだ・・・」「あたしもそんな事決めれない・・・」

「貴方達!」

「だけど俺達は一緒についてくるだけでいいと聞かされたんだ・・・」
「そうだそうだ!」
「あたしもそうよ!」

 部下たち3人は自分には関係ないと騒ぐだけだった。

「そんな事は他でやってくれ!見苦しいんだよ。それにお前達もギルドの責任をおってきているんだ!関係なくないよ。ここで決めた事はあんたたち4人で責任を負うんだ!」

 それを聞いた4人は下を向き顔を青くするだけで何も言えずにいるのだった。

「そうやっていつまで黙っているんだ?俺も暇じゃないんだが!」

「ケンジ様申し訳ありません・・・わたし達が間違っていました・・・いったんこの事は持ち帰らせていただきたいです・・・わたし達では本当に決めることが出来ません・・・」

「そっか。じゃあ・・・」

「ケンジ様!町から出ると言わないでください!お願いします!」

「あんたたちねえ!さっきから横で黙って聞いていればなんなのよ!自分の都合ばっかり要求してきて何様のつもりよ!」

「「「「・・・・・・」」」」

「お願いします!本当に申し訳ありません・・・わがまま言っている自覚はあります!ですが・・・我々ではそんな決定できるはずがありません・・・」

「わかった・・・自分達に誹があると認めるんだな。なら一筆ちゃんと書いて帰ることを認めよう!だが言っておくがこの事で俺はギルドというものを更に信用・信頼することはできなくなったからな。」
「今まで通りの付き合いをしてほしいなら俺がさっき言った条件より良い提示をしなければ本当に町を去ることを肝に銘じて上司に伝える事。いいな!」
「それとこの事はメイガン商会にも報告することになるから覚悟する様に!」

「そ、そんな・・・」

「いいか?よく聞いておけよ!もしギルドが変な提示してきたら俺は容赦なくこの土地だけ残し居なくなるからな。それにあのガンスさんの事だ・・・それに伴いメイガン商会もこの町から撤退するかもしれないからな。」
「その旨をちゃんとギルドマスターに報告しないと本当にどうしようもなくなるからな。」

 ギルドから来た4人はギルドにどのように報告したらいいのか分からず暗く沈んで帰っていくのだった。




 ギルドの4人が帰っていた後セバスがケンジに話しかけてくるのだった。

「ご主人様・・・本当にこの町を出ていくのですか?」

「それはギルドがどういった提示をしてくるか次第だな。だが向こう5年間全依頼料50%増し以上の慰謝料って本当にギルドは更に自分で首を絞めるんじゃないのか?」

「まあ、この屋敷や店舗は全部インベントリにしまえると思うしな。土地だけ残し権利は俺にある状態でこの町を去ったらいいさ。迷惑をかけると思うが当然セバスたちも一緒に着いてきてもらうからな。」

「それは当然でございます!我々の居場所はご主人様の側だけでございます。」

 セバスはみんなの意見を代弁しケンジについていくと息巻いていたのだった。


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