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第6章 ケンジの新しい生産力!
11話 超級ダンジョンへ①
しおりを挟むマイはケンジが明日から超級ダンジョンに行くと言ったのでギルドへ依頼を見に行くのだった。前は朝早くから依頼が貼り出されている掲示板を見に行かなければ報酬の良い依頼はなくなっていたが、超級に行くようになってからは誰も受けることが出来ないのでどの時間に行ってもゆっくり選べるのが楽だと思っていた。
するとギルド受付嬢がマイに近寄ってくるのだった。
「マイ様、こんにちは。ランクAの掲示板を見ているって事はダンジョンに行くのですか?」
「ええ、久しぶりにケンちゃんが行くと言ったから明日から1週間の予定でいく事になったよ。」
「ほんとですか?」
「うん、だから依頼を見に来たんだよ。」
「じゃあ、ケンジ様に今回もよろしくお願いしますとお伝えください。」
「ん?ケンちゃんに?」
「あ・・・いえ、マイ様にも言っているのですよ。今は上級魔物の素材もなかなか売ってくれる冒険者はいないですから【Freedom】の皆様にはギルド一同期待していますからね。」
受付嬢は慌ててマイにもフォローをいれるのだった。マイはそんなこと気にするでもなく依頼を選び受付嬢に話しかけるのだった。
「まあ、あたしは今回依頼を受けるからこの依頼分はギルドに還元あるかもだけどケンちゃんは今回依頼は受けないみたいだよ。」
「ええええ!なんでですか?」
「なんかケンちゃん自分用の鉱石が無くなってきたって言ってたからその分補充するって言ってたからね。ギルドに売る分はまた今度とかなんとかって言ってたよ。」
「そ・・・そんなぁ・・・マイ様からもケンジ様にお願いしてもらえませんか?」
「まあ、無理じゃない?ギルドは相当ケンちゃんにやらかしているみたいだし気が向かないとケンちゃんはギルドの為には動かないよ。」
「そんなこと言わず・・・」
「こういってはどうかと思うんだけどさ。ケンちゃんをギルドの思い通り動かそうと思うんじゃなく、もっと違ったアプローチを考えたほうがいいんじゃない?」
「・・・・・・」
「まあ、それもちょっと遅いかもだけどね。」
マイが遅いと言った理由はギルドの方でも確認していたのである。なぜか分からないのだがメイガン商会がケンジの後ろ盾になると言いだしギルドに通達してきたのである。
これにより今までみたいにケンジに命令するようなことが出来なくなってしまったのである。後ろ盾になるという事は貴族のお抱えであり一介のギルド員じゃなくなってしまったのである。
「それがわかってケンジ様は今回ギルドの依頼を受けないのでしょうか?」
「今回はそこまで考えていないんじゃないのかな?ただ在庫が無くなってきたからと言ってたよ。」
「でしたらマイ様からお願いして頂けませんか?」
「ええ~~~いやだよ・・・そんなギルドのお願い聞いて来たって言ったらケンちゃんに嫌われるじゃん!」
マイは受付嬢には自分の魔物の素材だけはちゃんと売るからといって、ギルドからのお願いはスルーするのだった。マイはこの事をとりあえずはケンちゃんに報告すると言っておくがたぶん無理だと思うよ。と注釈は入れておくのだった。
「でも、あれだね・・・・受付嬢さんも大変だよね。今更ギルドがケンちゃんに下手に出ても遅いと思わないのかな?」
「それを言われると耳の痛い話です・・・」
「でも今回はメイガン商会のおかげで一時的にとはいえなんとか維持できたんでしょ?」
「ええ!さすがはメイガン商会ですよね。独自のルートを使いオリハルコンを用意したのですから。王国から表彰され上位貴族の位を頂けるのも当然ですよね。」
マイはケンちゃんのおかげでと心の中で叫んでいた。マイはそれにしてもギルドは呑気に構えているんだなあと思っていたのだった。ちょっと考えたらそのオリハルコンを誰が用意したのかすぐわかりそうなものなのに全然メイガン商会とケンジが繋がっているとギルド職員は誰一人としてわかっていなかったのだ。
「まあ、あたしからの忠告だけどギルドは早く次のオリハルコンやアダマンタイトを他の方法で用意しておいたほうが良いよ。まあ、用意するのは無理だとしても解決案を早くたてておくことをお勧めするよ。」
「いつまでもケンちゃん一人におんぶに抱っこじゃギルドもメンツが立たないんじゃないの?」
「はい・・・・」
「それじゃあね。」
受付嬢が不安そうな顔をしていたがマイは関係ないとばかりにギルドを出ていくのだった。ギルド職員はマイとの話を聞き不安になる物や又何やかんやでケンジが用意してくれるだろうと楽観視している者とでギルド中騒がしく話していたのだった。
だが、話を聞いていたギルドマスターや中央から派遣されている職員は本当に何とかしないといけないと顔を青くしていたのだった。
マイはギルドから帰りさっそくさっきあったことをケンジに報告していたのだった。
「ケンちゃんさっきギルドに行ってきたんだけどね。」
「ん?何かあったというより俺に鉱石の依頼を受けてくれと言ってきたんだろ?」
「さすがケンちゃん!その通りだよ!」
「で、マイはなんて言ってきたんだ?」
「うん。今回はケンちゃん自分の分の在庫が無いから採掘しに行くって言っておいたよ。だけど、ギルドも相当切羽詰まっているみたいで何とかお願い出来ないかって・・・」
「あたしはそんなこと勝手に決めたら嫌われるかもしれないから無理って言っておいた。もしお願いするなら自分で言ってくれと言っておいたよ。」
「そっか・・・」
「うん?ケンちゃんなんか暗いけどどうかした?」
「いや・・・大丈夫だ。ただギルドの事を想うとそんな交渉しづらいだろうなとおもってな。」
「ん?なんで?」
「そりゃ、メイガン商会、今や上級貴族が俺の後ろ盾になるって通達してわざわざギルドに言っているんだ今までと勝手が違ってくるよ。」
「そっかあ!上級貴族のお抱えに命令して働かせると問題になってくるよね。」
「まあ、ガンスさんは勝手にそっちでやってくれというスタンスを取っているだろうが、ギルドからそれを聞くのはちょっと勇気がいるだろうな。」
「まあ、でもケンちゃんに取ったらありがたいよね。」
「そうだな!いちいち呼び出される事もないだろうしな。」
ケンジとマイはそんなこと言い笑いながら話していたのだった。するとそこにセイラが入って来てケンジに忠告を入れてくるのだった。
「ご主人!ちょっといいですか?」
「なにかあったのか?」
「ええ・・・今教会でお祈りしていたのですが女神様から啓示がおりまして今回のダンジョン行き危険があるらしいです。」
「なに?!それってどういうことだ?」
「いえ・・・わたしの力ではそれしか解りませんでした・・・」
「わかった!だが今週はもう俺も教会でお祈りしてしまってティアさんとは会えないからな・・・」
ケンジはずっと前に中々クローティアと忙しくて会話しなかった時に拗ねられてしまいそれ以降、光の日に教会へ必ずお祈りに行っていたのだった。その際にクローティアが個人的にケンジを神界に呼び出すのは神聖力を膨大に使う為、クローティアの負担にならないように1週間に1度と決めていたのだった。
「ご主人どうしますか?」
「わかった今回のダンジョンは・・・」
「ちょっと待ってよ!あたし依頼受けちゃったんだから!」
マイはケンジがダンジョンに行かないというのかと思い胸ぐらを掴みケンジを揺すったのだった。
「待て待て!行かないって言ってないだろ。いつもより慎重に行動しようと言おうとしたんだよ。」
その言葉を聞きマイは違約金を払わないで済むと思いホッとため息をつくのだった。
その日の晩御飯時にケンジはセイラの言っていたことをみんなに話すのだった。
「ご主人様今回はおやめください!」
その話を聞いたとき真っ先に言葉を発したのは留守番組のセバスやミナレス達であった。
「気を付けて行ってくるから大丈夫だよ。」
「ですが、セイラが言ってたというより女神様からの啓示ですよね?神が危ないと言っているという事は相当な事なんじゃ・・・」
「危険と言っているんであって今回やめろと啓示してないから大丈夫だよ。」
「それにもし俺達が全滅したとしてもセバスたちは店を閉めてこの家で一生不自由なく暮らせていけるお金は保存箱に入れてある。」
「それに奴隷商には俺が死んだらお前達留守番組はみんな奴隷から解放されて自由の身になる様に委任状を出してあるし。」
「「そんなこと言わないでください!」」
「もしご主人様に何かあったら解放された後みんなで後を追うくらいご主人様が居ないといけないんです!」
セバスやミナレスはもちろんの事、他の人間もまた大きな声を出しそんなことがあったら自分達は生きていけないと大声で泣き出す者までいた。
「もしだよ!もし!俺もそう簡単に死にたくはないからな。」
奴隷のあつかいは前にも書いたが主人が死んで奴隷だけ生きている場合、廃棄奴隷となり奴隷紋が隷属の首輪に戻るのである。
その際に他人が見つけて「買う」と言い奴隷が承諾したら仮契約を結ぶ事ができるのだが、主人が奴隷商に行き本契約を結ぶときに自分が死んだとき奴隷が生き残った場合のことを決めて置けるのである。
ケンジは自分の資産をみんなに平等に分け奴隷からの解放を委任状にしたためてあるのである。
これによりケンジが亡くなってしまった場合。セバスたち留守番をしている者たちの奴隷紋は隷属の首輪に戻り首輪は只の首輪になって誰でも自由に外せるようになるである。
ただし首輪を外したときには首に奴隷だった証がついていて、この入れ墨のようなあざが消えるには十数年かかると言われているのである。
このあざを見たら誰でもこの人間は一度奴隷に堕ちた人間として認識し普通平民たちはこの奴隷だった人間を避けるようになるのである。なぜ避けるようになるのかは奴隷に堕ちた人間は不吉とされ付き合ったりすると自分も不幸がおとずれるとされているのである。そうゆう事は全くのデマであるがこういったことは人間の悪い所で誰かが言ったことが風評被害として伝わっているのである。
そういう理由もあり元奴隷だった人間たちは職業を探そうとしても雇ってくれることは無く生活苦に陥るのである。
そうならないようにケンジは自分が居なくなってもセバスたちが安心して暮らしていけるようにしていたのだった。まあ、ケンジの日頃の行いにより奴隷紋があったとしてもセバスたちは町の人たちに邪険にはされず暮らせていけるように配慮はされていたのであるが。
「セバスやミナレスが俺を慕ってくれるのはわかるしありがたいよ。でもだからと言ってこれからずっとダンジョンに潜らないことはありえない事だと思わないか?」
「それは・・・・」
「だろ?今回はインゴットが足りなくなってきたから上級ダンジョンでも構わないが神鋼魔石が足りなくなってきたら絶対超級ダンジョンに潜らないといけないんだぞ?」
「それはわかっていますが・・・」
「それに実を言うと俺もこのまま放っておくほうが嫌な予感がして気にはなっていたんだよ。」
「「「「どうゆうことですか?」」」」
「ここの所ずっと生産をしていて超級は久しぶりにいく事になるがこれ以上間を開けるともっと厄介な事になりそうって事だよ。」
「今イズモでは魔物が強くなり超級に潜れるのは本当にこの辺りでは俺達だけだ。ってことはだ、超級のダンジョンはいつ魔物が溢れかえってもおかしくはないだろ?」
「はい・・・・」
「スタンビートも大きく分けて二つあるんだが、弱めの魔物つまりゴブリンやオークのように大量に繁殖するものともう一つドラゴンのように強い魔物が単体で暴れまわるものがあるんだよ。」
「もしダンジョンからそんな災害級の魔物が出てきたらどうなるとおもう?弱い魔物の大繁殖なら俺達が余裕で何とかなるかもしれないがドラゴンなんて本当にどうしようもなくなるぞ。だから今のうちに潜っておいて魔物を間引きするのは必要だと思うんだ。」
「「でも、だからってご主人様が率先していかなくても!」」
「ティアナ、フィアナこれは誰がやらなきゃとか言っている物じゃないんだぞ。やれる奴がやらないといけない事なんだ!」
「「でも・・・」」
「いいか。俺はギルドからインゴットを納品してくれと言われたが渋々最低限しか納品してない。なぜだかわかるか?」
「「いえ・・・・」」
「それはだなオリハルコンを納品できる人間は他にもいてそいつらと協力して皆で切磋琢磨していきたいからなんだ。俺だけがいつもその責任を押し付けられないようにしたいんだよ。」
「だが、今回の超級ダンジョンの魔物の間引きは冒険者にも頑張ってもらいたいが、もはや次元の違う話で他の者が超級には潜れないと判断したため潜れる奴の仕事なんだ。」
「まあそれにしたって俺にとっては鉱物の採掘のついでなんだけどな。」
「でも主よう・・・その論理から行くとオリハルコンの納品も主しかできないという事になり主がやらないといけないんじゃないか?町の結界の事もあるしな。」
「マードック良い所に気が付いたな。でもオリハルコンは少量だが地上でも掘れるだろ?俺が絶対にやらないといけないことはないんだよ。」
「それにギルドがちゃんと生産者と冒険者を育てていたら初級ぐらいは潜れるだろ?そしたらこんなに不足状態にはなっていないって事なんだよ。」
「なるほどなあ!たしかに冒険者がレベルさえちゃんと上げれる環境にしてたら初級ダンジョンの5階層ぐらい護衛できるもんな。」
「そうゆうことだ。だが超級ダンジョンとなると上級職+お前達のような装備が必要だからな。だからこれは俺達がやらないといけないということだ。」
セバスたちはこの説明を聞いてもやっぱり納得がいかないようでケンジに無言の抵抗を示すのだった。
「じゃあセバスたちはこのままダンジョンの状態を放って置くのが得策だというんだな?」
「そうはいっておりません・・・」
「だったらそんな顔をするな。絶対無理はしないから!ちゃんと帰ってくると約束するよ!」
留守番組は黙って下を向いたままで、この時にはもうダリアさえもケンジを信頼していてダンジョンに行ってほしくないと思っていたのである。そしてケンジは根気よくみんなを説得していてついにセバスが観念するのだった。
「もしこのまま放っておいてドラゴンなんかが出てきたらこの町は一瞬にして崩壊するがそれでもいいのか?」
「わかりました!わかりましたよ・・・私達はご主人様を信じてお待ちしています。だから決して死んだら駄目ですよ。」
やっとケンジはセバスたちを説得することが出来て、風呂に入り部屋でゆっくりすることが出来るのであった。
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