168 / 619
第5章 遂に始動!
36話 Aランクパーティー①
しおりを挟むマイがギルドで称賛の嵐を受けているときケンジは家に帰り、セバスたちに迎えられていたのだった。当然のことだがお店は平日は開いているのでケンジか帰ってくるとすぐにわかるのである。
「おかえりなさいませ。」
「ああ、今帰ったよ。食材もいっぱいといっても肉だけどな、スワンプの肉がいっぱい持って帰って来たよ。」
スワンプの肉と聞いたミナレス達は満面の笑みを浮かべるのだった。ケンジはダンジョンで手に入れてきた食材は保存箱の中に全て収めてしまい工房の方へ向かうのだった。
ギルド依頼のオリハルコンやアダマンタイトその他の鉱石をインゴットにしてしまい明日一番に依頼清算するためである。
すると工房にはリンダとマーサの元旦那が工房に入り仕事をしていたのだった。その二人とケンジは目が合った瞬間その二人はケンジの側に来て土下座するのだった。
「「主様!おかえりなさい・・・」」
「ああ!ただいま。」
「主様の言いつけを守らず工房に入ったことをお許しください!」
「ですが俺達このままじゃいけないと思いシェムの親方に謝罪し無理やり工房復帰させてもらいました。」
「「このまましごとをさせてください!」」
二人は一気にまくしたてケンジに仕事に復帰させてくれと頼むのだった。
「シェムは復帰してもいいと言ってさせてくれたんだろ?」
「「はい・・・親方はいいと言ってくれました・・・」」
「なら、いいんじゃないか?仕事に関してはシェムに一任しているからな。」
ケンジはそう言って自分の作業場に向かうのだった。二人はケンジの目が冷たく何の感情も無いことに気落ちしてしまうのだった。
「おい!お主達早く仕事に戻らぬか!」
「「はい・・・」」
「お主たち・・・主殿はどうだったのだ?」
「「何の反応もなく目がさめきっていました・・・」」
「そうか・・・今は辛いかもしれぬががんばるんじゃ!」
「「ホントに許してもらえるのですか・・・」」
「そんな許してもらえる前提で動いていたら一生許してもらえんぞ!今は一生懸命仕事をして主殿の役に立つことだけかんがえるんじゃ!」
「「はい・・・」」
ケンジは晩御飯が出来るまで工房で仕事を続けるのだった。
「ご主人様!ご飯が出来ましたので今日は終わりにしてはいかがですか?」
「ん?もうそんな時間か?」
「ええ、もう日が沈みあたりは暗くなってきましたよ。」
セバスからそう聞いてケンジは工房の火を落とし食堂の方へ向かうのだった。ケンジの作業場は一週間そのままだった為、今日使ってない場所は少し埃がつもっていたのだったが、クリーンの魔法で一瞬に綺麗になりケンジは満足げだった。
「やっぱ魔法って便利だよな・・・地球にいたときは部屋の掃除が苦手だったからな・・・」
そう独り言を呟き、懐かしく思うのだった。
ケンジは食堂に入り席に着くとぞろぞろとみんなが入ってくるのだった。みんな揃ったので食事をとり落ち着いてきたところでセバスがケンジにケンジのいなかった期間の報告してくるのだった。
セバスの報告は何の問題はなかったのだが、只一点問題が生じたらしいのだ。それはアプリコットの元部下の二人のことであった。
「あ~!なんて言ったかな?アーチェとモーリスだったっけな?」
「はい・・・その二人が又ここにきてご主人様に会わせろと・・・どういたしますか?」
するとアプリコットがケンジの側に来て土下座するのだった。
「なんだよ・・・アプリコットいきなり土下座して!」
「いえ・・・わたしの元部下がご主人様にご迷惑を掛けて申し訳ありません!」
「いいよ謝らなくて。アプリコットのせいじゃないだろ。」
「ですが・・・」
「もういいから、席についてご飯を食べろ!」
アプリコットは申し訳なさそうに席に戻るのだった。セバスの説明はまだ続きがあり、アーチェとモーリスはケンジの言った通りギルドを辞めてケンジの家に来ていたのだった。
「ご主人様どうなさるおつもりですか?」
「その二人には何と言っておいたんだ?」
「ご主人様はダンジョンに言っておられて不在だから1週間後に帰ってくると言っておきました。それで帰って来た次の日の午前中はギルドで清算をするはずだから午後3時くらいなら在宅していると伝えておきました。」
「そっか。じゃあ二人が来たら家の中に案内しておいてくれ。」
「承知いたしました。」
すると今度はマイが話しかけてくるのだった。
「ケンちゃん、帰って来た時あたし一人でギルドに行ってきたんだけどね・・・」
「ああ、どうだった?依頼清算の条件でも変わったのか?」
「いや・・・そんなことがあったら問題だよ!ちがうのよ。この依頼成功したことによりあたしランクがSになったんだ。」
周りにいたシスティナたちが一斉に驚き声を上げるのだった。マイは今までBランクケンジと同じランクだったのだがAランクを飛ばしSランクに昇格したのだった。
これはもう超一流の冒険者であり冒険者全体の上位1%に入る実力の持ち主なのだ。
「へええ!それはすごいな!おめでとう。」
周りにいたセバスたちも笑顔で拍手するのだった。ケンジはミナレスに明日はマイの昇格祝いにご馳走をよろしく頼むというのだった。
そして、次の日ケンジはプリムとギルを連れて生産ギルドに朝から行き清算をすませるのであった。
受付嬢はケンジにオリハルコンの納品を凄くお礼を言うのである。それほどまでにもう在庫が無くなっていたのだった。これで魔道ギルドにオリハルコンを持っていき錬成が出来ると喜んでいたのである。
すると、様変わりしたギルド内はケンジの事をよく知らない冒険者も増えていたらしくケンジに気軽に声をかけてくる冒険者がいたのだった。
「おい!お前!お前ってマイマールのパーティーの者か?」
ケンジはいきなり知らない人からお前呼ばわりされてムッとしたが冒険者とは礼儀がなっていない人間の方が多い為、我慢をして振り向くのであった。
「ああ!そうだがお前はだれだ?」
振り向くとそこには立派な剣を持った剣士とそのパーティーであろう2人の男性と3人の女性計6人パーティーが立っていたのだった。
「ああ!俺達は最近この町に来た【流星】というAランクパーティーだ。」
「それで何か用か?」
「昨日マイマールがこのギルドでSランクになったのは知っているか?」
「ああ。昨日聞いたよ。」
「そっかじゃあ!話は早いかもな。」
「ん?何を言っているんだ?」
「あんた、生産者なんだろ?アンタのとこにマイマールがいるのは勿体ないと思わないか?」
「だから何を言っている?」
「だから生産者の護衛にマイマールのような優秀な冒険者は勿体ないと思わないかと言っている!」
「いや!全然思わないが。」
「いや勿体ないだろ!マイマールのようなドラゴンスレイヤーの二つ名を持つような優秀な冒険者は俺達のようなパーティーで活躍するのがふさわしいとおもわないか?」
「何を言っているかよくわからんがマイは他のパーティーにいく事はないよ。俺達と一緒に行動するに決まっているからな。」
「いやいやいや・・・マイマールのようなSランクの冒険者なら生産者の護衛より俺達のパーティーに入った方が活躍できるに決まっている。」
「で、お前たちは何が目的なわけ?」
「ここまで言って分からないのか?お前にマイマールは勿体ないからマイマールを俺達のパーティーに譲れと言っているんだよ。」
ケンジはあまりのバカバカしさと自分勝手な言い分に笑いが込み上げてきたのだった。
「はは・・・呆れて物も言えないな・・・」
「何笑ってんだ!馬鹿にしていると痛い目を見るぞ!」
周りを見ると冒険者達は下を向き関わりにならないようにしていたのである。このパーティーはAランクといったがSランクに届くぐらい実力があったのだ。それ故に他の者は逆らうことが出来ないでいるのだった。
ただ、この町にいる古参のパーティーの冒険者や生産者はこの【流星】を見てニヤニヤしているのだった。
(あいつらおわったな・・・まさかケンジにまでちょっかい出すなんてよ・・・)
(まあ、これであいつ等の運命は決まったようなもんだ。)
(ああ、暇つぶしに見て楽しもうぜ。)
「まあ、今なら聞かなかったことにしてやるからそのままどっかに行け!」
「なんだと!俺達を愚弄するのか!」
「そんな意気込んだところで俺には勝てんからやめとけ!それにマイ程の冒険者がお前達のパーティーに行く方ががもったいないよ!」
「なんだと!俺達は上級ダンジョンを拠点に活動しているパーティーなんだ!俺達の方がマイマールを活躍できる場に連れていけるんだ。お前達は生産者なんだからBランク位の護衛を雇った方がつり合いが取れるだろうが!」
「それらしいこと言っているかもしれんがが俺にはお前等がマイに寄生しようと言っているようにしか聞こえないんだけどな!」
「なんだと!俺達がマイマールに寄生するだと・・・」
「ああ!自分たちの実力もわからずいい気になって何でも自分の思い通りになると思っている馬鹿どもが!」
「きさまぁ~~~~!」
そう言って【流星】のパーティーのリーダーはケンジの胸ぐらを掴もうとしてきたがギルとプリムが【流星】のパーティーリーダーの間に入り込みケンジを守ったのだった。
【流星】のリーダーは苦虫をかんだ表情でギルとプリムを睨むのだった。
「ほうう・・・剣を抜かなかったのは褒めてやるよ!」
「当たり前だ!ギルド内で武器を抜いたらどんなランクの人間でさえ処罰ものだからな!それよりさっきの言葉を取り消せ!」
「なんで取り消さなきゃならんのだ?その通りだろうが!」
「マイマールはSランク冒険者なんだ俺達と一緒のパーティーの方が活躍できるから引き抜きしたいんだ!」
「やめとけ!どうせ上級ダンジョンが辛くなってきて都合よくマイをパーティーに引き抜き甘い汁を吸おうと考えているんだろ!」
「そんなわけあるか!お前こそマイマールを独占し甘い汁を吸ってんじゃないのか!」
「「主(ご主人様)はそんな人じゃない(ありません)!」」
「奴隷は引っ込んでろ!」
【流星】のリーダーは奴隷が出しゃばったことに対して腹を立ててプリム頬を殴りつきとばすのだった。プリムはいきなり頬を殴られ吹き飛んでしまい、受付のカウンターに腰を打ち付けてしまいその場でうずくまり動けなくなってしまったのである。
「お前何するんだ!」
ケンジとギルはすぐさまプリムに駆け寄りケンジはヒールを唱えてプリムの怪我を治すのだった。
「ご主人様申し訳ありません・・・」
「プリムが謝る必要はない!あいつが悪いんだからな。」
「おいお前いきなりなにをするんだ!プリムに謝れ!」
「うるさい!奴隷がしゃしゃり出るからいけないんだ!」
「お前はマイマールを俺のパーティーに移籍させたら何も問題なく話がすむんだ!それともその奴隷のように痛い目を見ないとわからないのか?」
【流星】のパーティーリーダーはケンジを見てニヤニヤ勝ち誇ったような笑みを浮かべるのだった。
3
お気に入りに追加
2,450
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです
矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。
それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。
本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。
しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。
『シャロンと申します、お姉様』
彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。
家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。
自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。
『……今更見つかるなんて……』
ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。
これ以上、傷つくのは嫌だから……。
けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。
――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。
◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです(_ _)
※感想欄のネタバレ配慮はありません。
※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっておりますm(_ _;)m
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる