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第5章 遂に始動!
29話 苦悩③
しおりを挟む親方二人は作業場から出ていき頭を抱えるしかなかったのである。
「シェム・・・これからどうするつもりだ?」
「どうしたものかのう・・・」
「主殿に言うわけにもいかんしどうすればいいんだ・・・」
「ダンギ・・・すまんが2人作業員を交換してくれんかのう・・・」
「それはなぜだ?」
「あの者5人・・・元妻の事が気になり仕事にならんのじゃ・・・それで仕事中に愚痴を言いやって作業が疎かになっておる・・・」
「ふむ・・・それであの5人を引き離し仕事中はそのことが関係ない部下と一緒に仕事させることにより、仕事中は仕事に専念させると言うことだな。」
「ふむ。そのとおりじゃ。交換する人選はお主に任せるからどうじゃろうか・・・」
ダンギは少し考えこみ今のところそれしかないかとばかりその案に賛成するがまず部下たちにこの事を言い説明してから結論を出していいかとシェムに言うのだった。
「やっぱむりかのう・・・」
「あいつ等はあいつ等でもうチームが出来ていて段取りもあるから無理に離したら段取りが狂い商品の質が落ちる可能性があるから説明をし納得いかせないとな。」
ダンギは仕事場に帰り部下たちに事情を話し部下たちに同意を求めるのだが、部下たち5人は不満をあらわにするのである。
「ダンギとシェムの親方!それはちょっと無理があると思いますぜ。」
「そうだ!俺達も主様には感謝し仕事を頑張っているんだ!」
「確かに奥さんの事は不憫だとは思うがそれはちょっと通らねえ話だ。」
「ここの暮らしは主様のおかげで本当に俺達には天国みたいなところだ。アイツら5人はそれ以上不満は言えないはずだ!」
「俺達は俺達で主様の役に立ちたいと思うがあいつ等の我儘はちょっとお門違いだと思うぜ。」
ダンギの部下5人の意見はもっともな意見だった。確かに部下を交換し良い商品を作ることはケンジの役に立つことが出来るが、奴隷が我儘をいうなんてもってのほかなのである。
部下の5人はシェムの部下5人に協力はするが足を引っ張られて仕事の段取りを狂わされるのは違うと主張するのだった。
「だが、このままじゃ商品の出来が・・・」
「親方!俺はその考えは違うと思いますぜ!確かに商品の出来を心配するのはわかるが、親方たちが一人で抱え込むのは違う!」
「だがどうすれば・・・」
「俺達は主様の恩に報い役に立つのが仕事だ!だがあいつら5人は主様の恩に甘えているだけなんだ。あんな暮らしをさせてもらえている事を忘れ主様の役に立っていないんだ。」
「ああ、そうだ!そんなことは許されねえ。」
「だからシェムの親方はもっと厳しく指導をしてもいいとおもう!」
「「「「そうだそうだ!」」」」
「それでどうなるんじゃ・・・根本的な解決にならんじゃろ?」
「シェムの親方それは主様の優しさに胡坐をかいているというもんだ!」
「なっ!なんじゃと!何でわしがあまえていると!」
「だってそうだろ!シェムの親方はあいつら5人をまとめなきゃなんねえ!主様にそういわれたんだろ?」
「た、たしかに・・・」
「だったら俺達の足を引っ張るような事は最後の手段だろ?それよりあいつ等の立場を明確に分からせないといけないだろ?」
ダンギの部下5人の言う通りである。部下を2名交換し不良品を少なくしても意味がないのである。それよりもシェムの部下5人に自分たちは奴隷だと自覚させ日々の生活は仕事をちゃんとして得られるものだとわからせないといけないのだ。
それをやったうえでダンギの部下たちに検品など仕事のフォローを頼むと言うのであれば賛成だとダンギの部下5人は言ったのだった。
ダンギとシェムは仕事場から二人で出ていくのだった。
「部下たちにああやって教えられるとはワシらもまだまだだな・・・」
「ああ、そうじゃな・・・わしもあいつらを教育しなおさないといけないわい・・・」
「ああ、シェム困ったことがあったら何でも協力するから言ってくれよ。絶対抱え込んだら駄目だからな。」
「ああ、分かっておるよ。よろしく頼むな。」
シェムは自分の作業場に戻り仕事に取り掛かるのだった。仕事に戻ると部下たち2人はシェムのもとに来てケンジの事を尋ねるのだった。
「なあ、シェムの親方どうなった?」
「ん?どうなったってなにがじゃ?」
「いや、主様に元妻達を売ってもらう様に言ってきてくれたんだろ?」
「ばっ・・・馬鹿な事言ってんじゃない!そんな事言えるわけなかろう!」
「じゃあ、何でさっき出て行ったんだ?ダンギの親方と相談してたんじゃ・・・」
「お前たちは何を甘えておるんじゃ!お前たちはちゃんと仕事をして主様の役に立たないといけないんじゃぞ。」
「それはわかっているけどよ・・・気になって仕事ができないと!」
「そこじゃよ!」
「なにがだ?」
「もしほかの主にお前たちは買われたとしたらそんな事言えるのか?」
「そ、それは・・・」
「絶対そんなことは言えまい!その考え方は優しいケンジ様だから言う事を聞いてくれると思う甘えじゃ!主殿に失礼であろう。」
「だけどこのままじゃ気になって仕事がはかどらねえ・・・不良品もいっぱいでてきたらどうすんだよ・・・」
「だったら出てこないように努力し頑張るのが普通じゃ。主殿に甘えるなどもっての他じゃ!」
「「・・・・」」
そう言われて5人のうち3人は納得し反省したようだった。この3人はシェムが作業場から出て行った時5人で話し合っていたのだが自分たちは妻の側にいられるだけで満足だと言ったのを思い出しなにをこれ以上ケンジに甘えているんだと思い直したのだった。
「「「親方!俺らが間違ってました・・・」」」
「今回の事は親方にも迷惑を掛けて本当にすいませんでした。」
そういって頭を下げるのだった。
「お主ら3人はわかってくれたようじゃの。後の二人はどうじゃ?」
シェムの目が二人に刺さるのだった。二人の男奴隷は周りの状況に渋々頷くしかなかったのだった。
「「はい・・・努力します・・・」」
「みんな今は本当につらいかもしれないが俺達は主の役に立ってなんぼなんじゃぞ。そこを忘れず頑張ればいいんじゃ。いいな!」
「「「ハイ!」」」「「はい・・・」」
シェムは二人の返事に不安を持ったがとりあえず返事をしたので良しとするのであった。だがこの事が部下たちの段取りが狂うことにより足並みがそろわず不良品が増える結果になるのだった。
ケンジはその状況をすでに読んでおりシェムとダンギを客室に呼び出すのだった。
「「主殿スマン!ワシらの監督のやり方が甘いせいだ・・・」」
「まあ、俺はお前達二人を責めるつもりはないよ。だが、不良品が多すぎるのはちょっとな・・・」
「主殿・・・不良品はワシらの班から出た物ばかりじゃ・・・ダンギは関係ない。」
「何を言っておるんだ?同じ商品作っているんだからそんなのは関係ない!」
「うん!そうだな!」
「主殿!」
「シェム!まあ聞け。なぜ、お前たちは俺にそうなっている原因を相談しないんだ?」
「「そんなこと主殿に聞かせれるわけなかろう!」」
「奴隷たちが元妻の事が気になって仕事に身が入らないことをか?」
「「なぜそのこと」」
二人はそう言いかけて口を両手でふさぐのだった。
「だから俺は二人のせいだと言っているんだぞ。そういう時は俺に相談するのが正解だ!いいな?」
「「だがワシらは主殿に部下5人のことを・・・」」
「うん。任せたよ!ただそれは仕事に関してだ。だがシェムの下についている5人、いや2人だな!」
「なっ・・・なぜ?二人が問題だと・・・」
「2人は俺の奴隷だ奴隷としての教育は俺がやらないといけないんだ。シェムが抱え込む事じゃないよ。」
ケンジはニッコリ笑いダンギとシェムに説明するのだった。その笑いはなんとも怖いものでダンギとシェムは背筋が凍り冷や汗がでるのだった。ケンジはダンギとシェムに問題の二人を連れてくるように伝え仕事場に戻らせるのだった。
ダンギとシェムはケンジの笑顔に震え部下二人はどうなるのか不安に思うのだが、もう遅い事に二人の肩をポンと叩きケンジが呼んでいると静かに伝えるのだった。
二人は親方がケンジが呼んでいると言われ自分たちの望みを叶えてくれるものとばかり思い意気揚々としてケンジの待つ部屋に行くのであった。
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