異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします！

第５章 遂に始動！

６話 貴族②

　リューガ男爵はケンジの店【Ｆｒｅｅｄｏｍ】から逃げ帰ってくるのであった。

　リューガ男爵はこの町で好き勝手やってきた貴族であるだけに自分に反抗する平民がゆるされなかったのである。

「おい！ムッシュ！あいつ等呼べ！そしてわしの恐ろしさを思い知らせてやるのだ。」

　最初にケンジの店に足を運んだ執事がニヤリと笑い部屋から出ていくのだった。

　そしてリューガ男爵の呼び寄せた数名の男たちが男爵の屋敷の中で執事から指示を出されていたのだった。

「でな、・・・あの店には・・・じ・・・の奴隷が・・・」

「ふむふむ・・・」

「だが注意しないといけないのは・・・あいつと・・・こいつ・・・」

「だからな、こいつらは夕飯を買いに奴隷だけで出歩くらしいんだ・・・
そこをねらうんだ。いいな！」

「で、いつまで監禁してればいいんだ？」

「それは、あいつ等の商品を手に入れるまでだ！そのあとはどのように扱ってもかまわないぞ。」

　男たちはどのように扱ってもいいと聞き歓声を上げるのである。






　そして、リューガ男爵がケンジの前に現れなくなって１週間が経ったある日ケンジ達の悪夢である数日が幕を開けるのである。その日はムーアとムースが買い出しに行く番であった。
　家の管理をする担当の者はギル達と違ってレベルが低いので戦闘など当然できないのであるが町の中で生活する分には強くなくても暮らしていけるのである。
　そしてムーア、ムースが買い出しに出て数時間が経ったころ、セバスが２人が帰ってこない事に気づくのだった。

「なあ、ミナレス。ムーアとムースはまだ帰ってきてないのか？」

「え？まだ帰ってないのですか？いつもならとっくに戻っててもおかしくないんですけどね・・・」

　二人はそんな話をしながら呑気にしていたのだった。

「ったく・・・あの二人は久しぶりに外に出たから羽を伸ばしているのか？」

「まあまあ、あの二人もここに来たばかりだし少しは大目に見てあげてもいいじゃないですか。」

「まあ、そうかもしれないが・・・一応もう５時だしご主人様に報告だけはしておこう・・・」





　セバスは工房にいるケンジにムーアとムースが帰ってきていない事報告しに行くのだった。

「ご主人様ちょっとよろしいですか？」

「ああ、だいぶん仕上がって来たし今日はもう上がる・・・ん？セバスどうした？」

　明日は土の日なので少し早いが区切りのいいところで今日は終わろうと指示を出していたところだった。

「いえ、そんな大事ではないのですがムーアとムースがまだ帰ってこないのです。どうしたらいいでしょうか？」

「もうすぐ５時なのに帰ってないのか？」

「ええ、食材を買い出しに行きたいと言うので任せたのですが、どこで羽を伸ばしているのやら・・・」

「おい！それってホントに羽を伸ばしているだけなのか？」
　ケンジは嫌な予感で胸騒ぎがしているのであった。ケンジはなにか嫌な感じがしてシェムにちゃんと炉の後始末をしておいてくれといい、セバスにギル達護衛メンバーに二人を探すように伝えてくれといい、自分は急いで街中にムーアとムースを探しに行くのであった。

　セバスはケンジの青ざめた顔をみて、まさかと思いギル達に先ほどの事を伝えに走るのだった。
　セバスもまた自分は何でこんな呑気になってしまったのか自己嫌悪に陥りミナレス達には屋敷の中の事を任せて街中に消えていくのだった。





　夕方の街中をケンジはムーアとムースの名前を呼び探していたのだった。

「ムーア～～～～！ムース～～～～！」

　ケンジは大きな声を出して二人を探し食材を売っているエリアにやってくるのだった。

「お！ケン坊じゃねぇかどうしたんだ？そんな大きな声を出して。」

「あ！おっちゃん良い所に！ムーアとムースが帰ってこないんだよ。二人を見なかった？」

「ああ、見たぞ。」

「え？どこでみたんだ？」

「見たと言うか２時か２時半ぐらいだったかな・・・うちの店に野菜を買いに来て、そのまま違うものを買いに市場に買い出しに来てたのを見たんだけどまだ帰ってこないのか？」

「ああ・・・まだ帰ってきてないんだよ・・・」

　すると八百屋の親父さんは周りの人たちに声をかけて回ってくれたら何やら不安なうわさが出てくるのだった。

　３時半ごろ肉屋の奥さんが二人にオークの肉を売ったのを最後にこの場所では二人を見かけた人は居なかったのだが、奥さんが言うには二人が店を出て行った時に二人の後をつけて歩く男の姿が気になったのだがその時間は忙しくてすぐに仕事に戻ったそうなのだ。

　ケンジはその話を聞きしまったと言う顔をして二人が帰っていった方向に走って向かうのだった。




　すると後方からギルとシスティナの声が聞こえてケンジは振り向くのだった。

「主！二人は見つかりましたか？」

「いや・・・やられた・・・二人は攫われた可能性がでてきた・・・」

「「なんですって！」」

　ケンジは肉屋の奥さんの話をギル達に話したのだった。

「くっそお！いったい誰の仕業なんだ！」

「ギル。そんなわかりきったことを・・・」

「え？主はわかるのですか？」

「そんなのリューガ男爵しかいないだろう！」

「「あ・・・」」

　ギルとシスティナはそれを聞き貴族街に走って向かおうとしたのだった。

「おい！どこに行くつもりだ！」

「どこって男爵の屋敷ですよ！」

「ちょっとまて！証拠もないのにいっても追い返されるだけだしお前達だけで言っても叩き斬られることはないか・・・だが証拠をつかむか二人を救出しないとどうしようもないだろ。一旦家に帰るぞ。」

「え？いえにもどるのですか？」
「ご、ご主人様は二人が心配じゃないのですか！」

　システィナの言葉にケンジはシスティナ胸ぐらを掴まれ、システィナは生きた心地がしない程ケンジににらまれるのだった。システィナは言ってはいけない事を言ったと瞬時に反応するのだった。

「心配じゃない？それは本気で言ってんのか！」

「すいませんでした！」システィナはケンジの目を見て瞬時に土下座をしたのだった。

　それを見たケンジはシスティナに対して手を握り「本気で心配じゃないとおもったのか？」と聞き直したのである。

「いえ・・・あたしの勘違いです・・・ご主人様がムーアとムースの事が心配しないわけありません・・・」
　システィナはケンジの目がものすごく怖かったのである。顔は自分の事を怯えさせないように笑顔なんだが目が全然笑っていないのである。

「次、そんなこと言ったらシスティナでもゆるさないからな・・・」



　ケンジは後ろを向き自分の家に帰っていくのだった。システィナはケンジの逆鱗の一つに触れてしまって恐怖に打ち震えてしまい腰が抜けてしまっていたのだった。
　ギルもまた止めようと思ったのだが近づこうとして足を動かそうとしたのだが、蛇ににらまれた蛙のように全然身動きが出来なかったのである。

「シ、システィナ・・・大丈夫だったか・・・」

「あれで大丈夫なわけないじゃない・・・寿命が２０００年縮んだと思ったわよ・・・」

「リューガ男爵も馬鹿な事を・・・眠れるドラゴンを起こしてしまったようだ・・・」

　ケンジの後ろ姿を見てギルはリューガ男爵の未来はなくなったと思うのだった。





　ケンジは屋敷に帰って来た時、表に探しに行っていた者達も帰ってくるのだった。万が一の為、他の者は複数で行動していたみたいで二人ペアで探していたみたいだった。


「ケンちゃん聞いたわよ！そっちはどうだった？」

「とりあえず、みんな帰ってきたら大広間で話すよ。」

　ケンジは怒りの矛先をどこに向けたらいいのかわからず、黙って大広間に向かうのだった。その雰囲気に誰もが話しかけることが出来ずにいた。
　その雰囲気は町を破壊してもおかしくない魔力が貯まっていっているようでマイはケンジを見ていて凄く不安になる。

「ケ、ケンちゃん・・・外で何があったの？・・・」

「ああ・・・それも今はどうしようもないから相手の出方を待つしかない・・・」

「相手の出方？ひょっとしてムーアとムースは攫われたの？」

「ああ・・・その可能性がでてきた。それもみんなが帰ってきたら改めて説明するよ。」

　そして一時間後最後にセバスが帰ってきて大広間に全員が帰って来たのだった。そして重苦しい時間が過ぎていくだけであった。