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第3章 ダンジョンへ!

9話 厄介事!②

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 ケンジ達は兵舎の一室に案内されて、団長と話していたのだった。ケンジはどうゆう経緯で襲われたのか事細かく団長に説明したのだった。

「その話は本当なのか?」

 団長は驚き信じられない感じであった。

「ええ、ダンジョンの守りをしている団長は俺達が言いなりにならなかったのが不満だったようですね。それにしても、ダンジョンの経費とゆうのはそんなに足りないものなのですか?」

「ん?どうゆうことだ?なんで、君がそんなことを気にするんだ?」

「向こうの団長にですね・・・」

 ケンジは団長に事のあらすじを説明したのだった。自分は初級ダンジョンを攻略し、スタンビートが起こる寸前だったこと、それに伴い団長は只で俺達を利用し魔物の間引きの依頼をしようとしたことを言ったのだった。

「なに!スタンビートだと!」

「ええ、これが証拠のボスモンスターの魔石です。」

 団長や兵士たちはいったい何が起こっているのか解らず、考えがショートした感じだった。

「あの団長?」

「ああ、すまない・・・ちょっと待っていてくれ!」団長と兵士数名、秘書らしき人たちが部屋から出ていくのだった。





 1時間ぐらいケンジ達は数名の兵士たちと部屋に閉じ込められるような感じで団長たちを待つのだった。

「あのケンジ殿長い時間拘束した感じになってしまって申し訳ありません。」

「いえ、事情はわかってるつもりですから気にしないでください。」

「そういっていただけると助かります。」

 すると、団長たちが急いで部屋に入ってきたのだった。

「ケンジ殿申し訳なかった!これは我々兵士団の落ち度だ。」団長は部屋に入ってきた途端、土下座する勢いで頭を下げるのだった。

「詳しくは言えないがダンジョンの担当になっていた団長が予算横領が発覚した。」

「なぜそれがわかったのですか?」

「国の財務関係の人に確認を取り毎年充分なほどの予算は降りているとのことだった。それを少ない予算だと言って、新人冒険者たちに協力と言う圧力をかけていることがある冒険者に聞くことができた。」
「その者は新人だったため兵士に逆らって行動が出来なかったらしい。」

「いま、初級ダンジョンに兵士を向かわせたところだ。ケンジ殿本当にありがとう!これで兵士の権限のプライドも守ることが出来たよ。」

「あの、それであの5人はどうなるのですか?」

「ああ、あいつらは奴隷落ちで鉱山送りだ!安心してくれ。」

「あの、よかったらあの5人に会わせていただけませんか?」

「ああ!会うぐらいならすぐ連れてくるがどうするつもりなんだ?」

「会って話したいんですよ。あの人たちは確かに悪い事をしました。けど、なにも言い訳もできずに奴隷落ちになるのはちょっとね・・・」

「だが、あいつらは我々兵士の志を地に落とそうとしたんだぞ。奴隷落ちですむなら優しいと思うぞ。本来なら引き回して打ち首だ。」

「あの人たちの家族はどうなるのですか?」

「主、あの申しにくいのですがそうやって救いの手を差し伸べるのは無用かとおもうのですが・・・」

「だってよ・・・ギル・・・あの人たちはやりたくて犯罪者になったわけじゃないんだよ。あの団長にパワハラを受けてやらないと家族が犠牲になるかもしれなかったんだぞ・・・」

「ですが、我々はあいつらに襲われたんですよ。主のおかげで被害はなく無傷でしたが・・・」

「ギル、聞いてくれ!俺はいつも言っているように理不尽な権力が嫌いだ。そして、その被害者は可哀想に思う・・・救えるなら救いたいとも思うんだ。」
「だが、だれかれも救おうとは思わないよ。」

「主は優しすぎますよ・・・」

 そうしていたら、5人は縛り上げられたままケンジの前に連れてこられるのだった。
 団長は5人に対し凄い顔で睨みつけ、「ケンジ殿がお前たちと話したいと言ってきたので、ケンジ殿の言う事に正直に答えるんだ!」
「お前たちもわかっていると思うがこの部屋で嘘はつけないからな。」

 この部屋にはある魔法が付加されていて嘘つけないようになっているのである。嘘をつくとその者の体が赤く光るのですぐにばれるのである。

「えーっと、ロバートさんだったっけ?」

「ああ、私達が悪かった・・・何でも聞いてくれ。知っていることなら何でも答えよう。」

「貴方たちはこのままでは鉱山送りになってしまうけど、それでいいのか?」

「それでいいのかと言われればいやに決まっている。だが、もうどうしようもない・・・」

「貴方たちの家族はどうなるとおもいます?」

「もうどうにもならない・・・」
 ケンジの言葉に5人は人目も気にせず涙を流すだけだった。

「俺からの提案なんだが俺の奴隷にならないか?そうなれば鉱山送りにならなくてもいいだろ?」

「ケンジ殿!何を言うのですか?」

「「主!」」「「「「ご主人様!」」」」

「ケンちゃん!なにをいっているのよ?」

「みんな、よく考えてくれよ。この人たちは被害者だぞ。確かに悪い事をしたのはいけないことかもしれないけどこのまま、死ぬまで鉱山で働かせられるんだ。そうなれば、この人たちは家族とももう会えなくなるんだぞ。」

「ケンジ殿、それはこいつ等の自業自得でありしょうがない事だ。」

「だけど、この人たちもあの団長の下についていなければちゃんとした兵士だったかもしれないじゃないか。上司がクソだったおかげでこの人たちはならなくてもいい犯罪奴隷になったんだぞ。」

「だが、こいつらは犯罪奴隷になったおかげとは言わないがこいつらは強制的に離婚することとなり家族は新たに結婚できるから心配はいらない。」
「ケンジ殿が気に病むことは一切無いんですぞ。」

「ホントに残された家族はすぐに新たな家庭を築けるんですか?」

「いや、すぐには無理だと思うが法律上は大丈夫だ。」

 ここで犯罪者の5人が申し訳なさそうに口を開くのだった。

「ケンジ殿・・・私達は兵士としての誇りを捨てて犯罪者に堕ちました・・・」
「貴方の温情は胸に響きましたが、貴方たちを襲った我々が貴方にそこまで甘えてしまってはいけないとおもいます・・・」
「我々の家族には悪いとは思いますがこのまま、鉱山送りを受け入れようとおもいます。」
「最後に貴方の心情を知ることが出来てよかった。」

「本当にそれでいいのか?くやしくないのか?」

「悔しくないと言えば嘘になりますが我々も団長から言われた時この話を断ることもできたけどそれを断ることができませんでした・・・兵士としてのプライド、志を自分可愛さに失ってしまったのです・・・」
「これはどうにも言い訳できません・・・だから私達はこの罪、十字架を背おって死ぬまで罪を償いたいとおもいます。」

 そういいながら、犯罪者の5人は深々と涙を流し頭を下げたのだった。そして、5人は他の兵士たちに引きずられ部屋を出ていくのだった。

「ケンジ殿、あの者たちへの温情私からも礼を言わせてほしい。」
「あの者たちも心置きなく鉱山へ送られ死ぬまで罪を償えるだろう。本当にありがとう。」

 ケンジはこれがこの世界の常識で自分ではどうしようもないのかと思い落ち込むのだった。

「ケンジ殿これはしょうがないことだから気に病むことは無いのですよ。あいつらもこうなる事も覚悟で上司の言う事を聞いたのですから。」

 ケンジは団長から報奨金をもらい、兵舎から出ていくのだった。そのあとダンジョンの守りの団長は町を引き回され打ち首になったと聞かされたのだった。

 このあと、ケンジ達はギルドに戻り、依頼の清算をするのだがミスリルの精錬をやっていなかったので残りの2個だけを清算するのだった。






2週間ぶりに戻ってきた屋敷は何も変わっていなかったが、なんかすごくなつかしく思えるのだった。




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