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第3章 ダンジョンへ!

7話 ダンジョンの様子!②

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 ケンジ達は兵舎の一室で団長がくるまで雑談をしながら待つのだった。

「マイさん、先ほどはありがとうございました。」

「ホントあたしもケンちゃんがうつってきちゃったね。」

「マイ、ホントにギル達をかばってくれてありがとな。」

 すると、部屋の扉が開いて甲冑を装備していない人と先ほどの案内してくれた人が二人で入ってきたのだった。ケンジとマイはソファーから立ち頭を下げるのだった。ケンジは団長と思われる人物を見たときこの人物の瞳に嫌な感じを覚えたのだった。

「君達がダンジョンを攻略した人たちだね。まあ、ソファーに座ってください。要件を早く済ませましょう。それで中の様子を聞かせていただきたいのだがいいかい?」

 ケンジは中の様子を事細かく説明をするのだった。

「だいたい、25階層ぐらいだったかな?少し魔物が多い感じがしたんですよ。ただ、魔物の種類に関してはギルドで聞いていた情報と変わりありませんでした。」
「そして、目当てのミスリルを掘る為に30階層の入り口付近の崖の岩場で作業を1週間してからボス部屋へ移動したんですよ。奥に行けば行くほど魔物の数があり得ないくらいの数が湧き出すようにこちらに向かってくるのがわかりました。」

「それって、まさか・・・」

「はい、あと数日でスタンビートが起こる寸前でした。」

「なら何で報告をせず奥に突入したんだ。危険だろう!」

「数日と言ってもいつ起こるか、もしかしたら1日後か解りませんでしたので・・・」

「それにしたって、そこまでわかっていたなら報告しに戻ってくるもんだぞ。それに君達は生産職らしいじゃないか。!」

「でも、こうして攻略できるだけの力は持ってますし、報告することも考えましたが戻っている間により強力な魔物が沸いても困るだろうとおもい突入を決意しました。」

「確かに、攻略出来ている君達には感謝しなければならないな。本当にありがとう!」

「それで俺達からも聞きたいことがあるんですが、何でこんなことになるまでダンジョンを放って置いていたのですか?」

「いや・・・それはだな・・・このダンジョンは初級だろ?冒険者がある程度育つと中級に行ってしまうんだ・・・我々も積極的に魔物を間引いてはいたんだが、どうしても手が足りなくてね。」

「それはいいわけですよ。」
 ケンジの言葉に団長はムッとした表情になったが黙って聞いていた。

「ダンジョンボス何が沸いていたか言っていませんでしたね・・・」

「ん?どうゆうことだ?初級ダンジョンのボスはオーガだろ。違うのか?」

「ええ、違いますね。ゴブリンエンペラーとマザーを中心としてジェネラルナイト等上位種がと万単位のゴブリン集団だったんですよ。」

「「な!・・・」」団長と兵士はケンジの言葉に身体が止まり二の句が継げないでいたのだった。

「ゴブリンエンペラーだと!そんなバカな!しょ、証拠はあるのか?」

 ケンジは鞄からあり得ないくらいの大きいエンペラーの魔石を取り出し、団長にみせたのだった。

「なっ!こんな大きさの魔石・・・たしかにエンペラーとはわからないがこんな魔石の魔物はそうそうみたことない・・・」

「いいですか?人員が足りないなら何でギルドに依頼を出さないんですか?こんな状況になるまで放って置いたのは職務怠慢だと言われても文句言えないですよ。」

「我々も放って置きたくて放って置いたわけじゃないんだ!」ケンジの言葉に団長は逆切れしてしまったのだった。
「ここは初級ダンジョンという事もあり予算がギリギリしか降りなくてギルドに依頼も出せなかったんだ。」
「だから私達は悪くない!」

 ケンジは団長の言葉に何を言っているんだと呆れながら聞くしかなかったのだった。その言葉にケンジは何を言っても話にならないだろうと思い席を立つのだった。

「みんな、ダンジョンの様子も伝えたし町へ帰ろうか!」

「君達ちょっと待ってくれ!まだ話は終わってないんだ。」

 ケンジはこの団長の言葉に兵士の顔を見ると顔を背けられ、嫌な予感がするのだった。

「ダンジョンの中の様子を報告するだけといいましたよね?」

「ああ、それとお願いを聞いてほしいんだ。」

「お願い?」

「ああ、君達は生産職の人たちなんだろ?ってことはこれからこのダンジョンに素材を取りに来るってことだ。」

 ケンジは団長が何を言いたいのが解らなかったが黙って最後まで言う事を聞いていた。

「それがなにか?」

「だからな、来た時でいいから素材を取りに来たついででいいんだが魔物を30階層まで間引いてくれないだろうか?」

 ケンジは団長が何を言っているのかわからなかったのだった。

「えーっと、それは俺達に魔物の討伐の指名依頼をしてくれるという事で解釈してよろしいのですか?」

「いや、そうではない!君達は生産者なんだろ?だからここに来たついででいいから、魔物を間引いてほしいんだ。攻略した君達なら安心して任せられるからな。」

 団長は自分勝手な事をケンジ達に押し付けてきたのだった。

「団長さん!そんな話が通る訳ないでしょ!これは立派な依頼事になる案件ですよ。」

「いやいや、そうじゃない!君達がここに来た時だけでいいんだ。そのついでに君たちを襲ってきた魔物を間引いてくれたらいいんだ。依頼はこの魔物を討伐してくれとか目的があるだろ?今私が言っているのは、あくまでもついでだよ。ついで。」
「私達は少ない予算でダンジョンの安全が守ることが出来るし、貴様たちは魔物の素材を売ればお金が手に入れれる協力し合える仲になるじゃないか。」

「そんなお願いが通ると本当に思っているなら随分と頭の中がお花畑だな貴方は!あなたの部下が気の毒だよ!」

「なんだと!お前は私を誰だと思っている!馬鹿にするな!」

「だったら、馬鹿にされるようなことを堂々と公言するな!」
「みんな帰るぞ!」

 ケンジの言葉にマイやギル達は団長をや兵士を睨みながら部屋の外に出ようとしたのだった。

「おい!貴様!このまま帰ったらこれからこのダンジョンには入れないようにするからな!そうなったら困るのは貴様だ!生産者が中級ダンジョンにいけるとも思わないしな!」

「そんな事できるもんならやってみろよ!」
「次スタンビートが起こった時、困るのはお前たちなんだぞ!このことは当然ギルドにも報告させてもらう!」
 
「だからそうならないように協力を募っているんじゃないか!私は町の人を守るために少ない予算で色々考えているんだ!」
「貴様も町の住民なら黙って言う事を聞いていればいいんだ!」

「何が少ない予算で考えているんだ!どうせ自分より上の立場の人間に何も言えない小心者なんだろ!そして、自分より立場の弱い人間にたいして怒鳴って言う事を聞かせるだけのくせして威張るな!」

「むぐぐ・・・お前のようなガキに私の苦労がわかってたまるか~~~!」

「ああ!わからないね!予算が足りなければ立場の弱い人間に圧力をかけるんじゃなく、予算をブン捕ってってくるぐらい頭を働かせろよ!」

「お前に言われないでもがんばっておるわ!」

「こいつと話していても平行線だけだ!みんなかえろう。」

「主、もうここにはこれなくなりそうなんですがよろしいのですか?」
 ギルはケンジに耳打ちをするのだった。それを見た団長はニヤリと笑みを浮かべるのだった。

「そこの奴隷、自分の主を説得したほうが良いぞ。初級ダンジョンはここにしかないからな。他の町まで行くなら別だけどな。」

「ああ、無能の団長!俺らはこれからは中級ダンジョンに変えることにするから心配はいらない。そんなことを言っても無駄だよ。」

「むぐぐ・・・生産者が中級にいけるわけないだろ!強がるのもいい加減にしろ!強がらずお前は初級ダンジョンに通ってたらいいんだ!」

 ケンジはもう話にならないとみて黙って部屋の扉を開けて兵舎を出ていくのだった。

 ケンジが出て行った部屋の中では団長がもう2度とここへくるな~!と怒鳴っていたのが聞こえていたのだった。




 ダンジョンの簡易村を出てギルがケンジに話しかけてきたのだった。

「主、本当によろしかったのですか?」

「ギル、あたしはケンちゃんの行動は正しかったとおもうよ。」

「ですが、マイさんこれで初級ダンジョンにいけなくなったのですよ。」

「ギル、俺達の実力はすでに、中級ダンジョンを攻略できるほどに強いんだ。今更、初級に行く必要はない。」

「え!中級を攻略できるんですか?」

「ああ、ゴブリンエンペラーをみんなで倒せるんだぞ。当り前だろう。」

 ギル達みんなは暗い顔をしていたが、団長の威圧で考えが纏まらなかったがケンジの言う通り自分らはエンペラーを倒して生還したのを思い出すだった。

「それにね、ギル。ケンちゃんは確かに生産ギルドで魔物の討伐依頼がないけど、あたしは冒険者ギルドで討伐依頼を報酬なしで受けることは絶対にないよ。」
「そんな事をしたらあたしの冒険者としてのプライドが許さないし冒険者はなめられたら終わりになるのよ!」

「そうゆうことだ。俺も生産者だがそんなあいつらの言う通りにするつもりはないし、なめられるのはいやだしな。」

 そういいながら周りに人がいないのを確認しケンジは馬車をインベントリから出し、魔法で魔法生物を召還し町へ帰るのだった。



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