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第1章 異世界に!

30話 依頼をドンドンやりに行こう!②

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 ケンジは、材木屋の依頼をたった40分ほどで、終わらせる事が出来、本来これは新人構成員が一人でやるとしたら1日かけてやるような仕事だったのだ。その理由は、このリアカーは物凄く重く引っ張るには、相当の力がいるのである。

 1台目は簡単にひく事が出来るかもしれないが、2台目、3台目となると疲労が蓄積し、最後は倒れてしまってもおかしくない依頼なのだ。
 そんな事だとは思わず、ケンジは余裕で一件目の依頼を終わらせ、システィナがいる所に向かった。

「システィナ!あんばいは、どうだ?」

「あ、ご主人様!どうしたのですか?」

「ああ!俺の方は終わらせてきたんで、こっちを手伝いにきたんだ」

「えぇ~~~!もう終わらせたのですか?」

「ああ!運搬作業なんて、インベントリがあれば余裕だからな」

「あ……そっか。ご主人様には、それがあったんでしたね」

「で、どうだ?どこまで終わらせた?」

「まだ、この一角の雑草しか片づけられていませんね……この庭を片づけるとしたら、※①【ガーデニング】で雑草を枯らせているのですが、やっぱりあたしだとスキルが足りないので1日仕事ですね……」

「そっか……じゃ、俺がやってみようか!」

「え?ご主人様も、ガーデニングのスキルを持っているのですか?」

「いや……持ってないよ。ガーデニングは、俺達の中じゃシスティナだけだな」

 それを聞き、システィナは自分だけの特技が見つかった気がして、嬉しくて笑顔みせ、ニッコリしたのだった。

「俺の場合は、少し違って世界地図をつかってやるものなんだ」

 そう言って、ケンジは世界地図でミッシェさん宅の庭に生えている雑草をサーチした。すると、ミッシェ宅の雑草が、地図上で赤く点灯しどこにあるか、一目瞭然となったのである。
 これに対して、ケンジは魔法の※②【テレキネシス】を唱えるのだった。すると、雑草は根っこから丸ごと抜く事が出来て、雑草がフワフワ浮いていたのだ。
 そして、ケンジの足元に雑草を移動させ、簡単に集める事ができた。この間、わずか10分で終わらせるケンジであった。

「ご主人様……なんなんですか?来たと思ったら、10分程度で依頼を終わらせるだなんて……あたしがやってた意味がないじゃありませんか!」

「まあまあ、そんなに怒るなよ。早く終わるだからいいだろ?」

「あたしの、特技が見つかったと思って嬉しかったのに、あたしの感動が……」

 役に立てたと喜んでいた、システィナはブツブツ言いながら、体育座りをして、拗ねてしまったのだった。

 ケンジは、依頼が終わった事を、ミッシェさんに伝えると、やっぱりここでも驚かれ、確認してもらうと老夫婦そろって笑顔で感謝されたのだ。

 ミッシェ達は、ケンジに感謝し早く終わったので、紅茶を淹れ労ってくれた。だが、まだ仕事があるのでゆっくりも出来ず、丁寧にお断りを入れて依頼完了書をもらうのだった。

「本当に、庭を掃除してくれてありがとねぇ。ホント助かったよ。また、暇な時にでも訪ねておくれよ」

「はい!ありがとうございます。それでは失礼します」

「お嬢ちゃんもありがとね」

「いえ……あたしは、そんなに役に立てなかったので、ご主人様のおかげですよ」

「それでもありがとう。」

 ミッシェ夫婦は、システィナにもお礼を言っていた。

 ミッシェ宅を出た、ケンジとシスティナは話しながら、ミリス宅に向かっていた。

「ご主人様は、ホントすごいですね……今日の依頼……あたし達が、やらなくてもいいんじゃないかと思ちゃいますよ……」

「まあ……今日は、どの位Fランクって大変なのか、見てみたかっただけだからな。お試しみたいなもんなんだよ」

「え……そうなんですか?」

「いきなり全開でやっても、しょうがないだろ?自分のペースを、知らないでやるのは脳筋がやればいいんだよ。俺は魔法使いなんだから、計画を立てて段取りよくやるのが魔法使いってものなんだ」

「確かにそうですね」

 ケンジ達は、笑いながら話してミリス宅に着いた。ギルスレインとプリムは汗だくになり、ミリス宅に借りたスコップで溝掃除を頑張っていたのだった。

「ギルスレイン、プリム!掃除の状況はどうだ?」

「あれ?主どうしたんですか?システィナまで?」

「ああ、もう2つとも終わらせてきたよ」

 ギルスレインとプリムは、大きな声を出して驚くのだった。 

「どうやったら、こんな時間で2つの依頼が終わるのですか⁉」

「まあ、俺には色々便利な魔法があるからな!2人共知ってるだろ?」

 ケンジは、涼しい顔をして笑っていた。プリムはシスティナに訳を聞いていたが、システィナは役に立つつもりで頑張っていただけに、落ち込んでいて何も言いたくない様子だった。

「さあ!この依頼もさっさと片づけて、昼からはゆっくりしよう」

 ケンジは気合を入れて、溝にたまったヘドロをインベントリに一気に収納していくのだった。

 ケンジは、溝に張り付いた苔は水魔法の※③【ウォーター】を使い、魔力を最小にし、普通は手のひらから発動するものなのだが、ケンジは指先に魔力を集中させて、ホースをつまんだイメージをするのだった。その結果、苔や汚れが気持ちいいぐらい除去する事に成功するのだった。

 ケンジは、凄い勢いで水を出し、高圧洗浄機のように苔や溝の隙間から出た、植物の根を剥ぎ取っていき、また昆虫や小さい生き物を吹き飛ばして、ヘドロや水、ゴミ等だけをインベントリに収納していったのだ。

 ミリス宅は、とても広い屋敷なので、溝掃除は4人で頑張ってやったのだが、2時間もかかってしまったのだ。
 ケンジは、ウォーターの魔法を使い続けて、MPが半分以上も使ってしまったが、レベルが高い事もあり、普通に行動出来ていたのだった。普通の魔法使いなら、MP枯渇で気を失い、依頼どころじゃなかったに違いないのだ。

 ケンジは、ギルスレインにヘドロの始末は、ミリス宅の庭の畑に撒く様にと指示を受けていて、全部撒くと大変な事になるので、適当な量を撒いておく事にした。

「なあ……ギルスレイン。庭の畑ってどこなのか案内してくれ」

「こっちですよ。今は、まだ何も植えてないそうなので、適当に土を入れてくれたらいいそうです」

 ケンジは、溝にあったヘドロをインベントリから出し、畑に撒く事にした。畑にヘドロを撒いたのだが、匂いがものすごい事になり、ケンジ達は匂いに我慢ならなくなって、その場所から逃げて避難をしたのだった。
 これはまずいと思い、ケンジは土魔法の※④【アースクエイク】を畑に唱えて、ヘドロと元々あった畑の土を耕したのだった。

「本当に主の魔法は便利いいし、どんな事にも対応できるんですね。本当に凄いですよ」

「まあ、無駄にレベルは高いし、全属性適正あるからな。ティアさんには感謝だよ」

「又、ご主人様は!外では、ティアさんだなんて言ったら駄目です」

「あ、ごめんごめん……つい癖でな……よしっ!これで全部終わりだ」

 ケンジは、溝掃除が全部終わったと、家の中にいたメイドさんに伝えたが、やっぱりすぐには信じてもらえないでいた。それで、ケンジは確認してもらい、メイドさんに屋敷の外を見てもらったのだ。
 メイドさんは目を大きく開きビックリしていたが、ケンジに声を掛けられ正気に戻り、ミリスを呼びに行くのであった。ミリスも、これで雨が降っても心配いらないと感謝してくれた。

 ここのところ溝掃除が進まなくて、雨が少し降っただけで水があふれて困っていたそうで、本当に助かったらしいのだ。

「ホント、こんな早く作業を終わらせたのに、こんな綺麗にしてくださってありがとうございました」

「いえいえ。これも仕事ですので!」

 ケンジ達は、依頼達成書を貰い、今日の依頼3件を昼までに片づけてしまったのだ。そして、夕方まで時間があるので、買い物に行こうと、3人に言ったのだった。

「主、買い物は良いのですが、こんなドロドロでは行った先で、迷惑がかかるのでは?」

「だいじょうぶだよ」

「ご主人様、この先にある井戸に行くのですね?」

「そんな事しなくてもいいよ」

 ケンジは、自分達に※⑤【クリーン】の魔法をかけるのだった。すると、さっきまでドロドロだったのが、嘘のように綺麗になってさっぱりしたのだ。

 ケンジは、今日の仕事はお終いと言って、買い物をしてゆっくりくつろぐのであった。



 その頃、生産ギルドではパニックに陥っていたのである。日頃、Fランクの依頼が、大量に依頼される事はないのだが、ケンジ達の仕事ぶりが、ミッシェやミリスから噂になり、ケンジ達が仕事をしているのを眺めていた人達からも、期待の新人という噂が拡がっていたのだった。

 そして、工場の方からは材木屋から噂になり、Fランクの依頼が殺到していたのだった。
 パニックになってた理由は、ケンジ様は所属したばかりの新人だと、説明に追われていたからだった。皆が皆、信じられない事にケンジに指名依頼をしていたのだ。

 あんなに綺麗で早く仕事をしてくれるなら、多少高くお金を払ってでもやってもらおうと思う人間達が依頼を出した為、Fランクの依頼が集中したのだった。

*-----*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきたスキル、魔法一覧

※①【ガーデニング】
 色んな植物をうまく育てることが出来るスキルで、スキルの値が10
上がるたび1日短縮させることが出来る。
 グランドマスター(100.00)になれば、最高品質の花が咲き
植物から取れる素材が色んな材料にすることができる。
 
 スキル値
10  黄色の花   黄色の花びらが取れ、毒消しの効果がある。
20  オレンジの花 オレンジの花びらが取れ、20分間
           STRが1.5倍になる
40  白の花    白の花びらが取れ、クリアランス(パラライズ
           スリープ)が治す事ができる花びら。
80  青の花    青の花の根っこが取れ、レリーズ(石化)を
           治すことが出来る根
100 緑のサボテン 緑の棘が取れ、ピュリファイ(異常状態)が治す
           事が出来る棘 その他いろいろ。 

※②【テレキネシス】
無属性魔法    3階位
消費MP    35
詠唱速度    4.5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    レベル×10秒
効果対象    レベル×1(任意に設定可)
効果範囲    半径1m×レベル
必要秘薬    虹パール5個
備考
魔法をかけた対象を操る魔法。命令とか指示をする魔法ではなく
掛けた対象を浮かせたり、停止させたり行動を阻害させるだけである。
かけた対象が物である場合、片づけたり移動させる為の魔法である。
魔法使い職業レベル30魔法スキル50.00以上で使用可能

※③【ウォーター】
水属性魔法      1階位
消費MP       1
詠唱速度       0.75秒
効果時間       瞬間
効果対象       なし
効果範囲       なし
必要秘薬       なし
備考
 この魔法は生活魔法と言われる魔法で誰でも使うことが出来て
スペルブック、秘薬が無くとも術者に水属性の適性があればいいのである。
つまり、MP消費のみで使う事が出来る便利な魔法である。
 職業レベルなし魔法スキル5.00で失敗なしで使う事が可能。

※④【アースクエイク】
土属性魔法   8階位
消費MP    56
詠唱速度    10秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    範囲全部
効果範囲    レベル×1平方m(任意に広さを設定可)
必要秘薬    紫水晶・マンドラゴラの根・アビスの葉 各3個
備考
本来、他国が攻めてきたとき範囲魔法として地震を起こし、大量虐殺
する魔法なのだ。
大魔道士職業レベル100、魔法スキル120.00で使用可能

※⑤【クリーン】
光属性魔法   1階位
消費MP    5
詠唱速度    1秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    1つの対象
効果範囲    10cm四方×レベルの範囲(任意に調整可能)
必要秘薬    なし
備考欄
 この魔法は生活魔法と言われる魔法で誰でも使うことが出来て
スペルブック、秘薬が無くとも術者に光属性の適性があればいいのである。
つまり、MP消費のみで使う事が出来る便利な魔法である。
 職業レベルなし魔法スキル5.00で失敗なしで使う事が可能。


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