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第1章 異世界に!

26話 ギルドの依頼をこなしに行こう!④

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 ケンジは、思い出したようにギルスレイン達に、宿屋に帰るのもうちょっと待ってと行って寄り道をした。

「みんな、ちょっと寄るとこあるから、もうちょっとご飯待ってくれるか?」

「どこにいくのですか?」

「冒険者ギルドに行くの忘れていた」

「「「あ・・・」」」

 3人もまた忘れていたようだった。

 ケンジは、冒険者ギルドの前に来て、またこのギルドに来ないといけないのかと思い、門の前でため息をついた。

 しかし、ここでこうしてても時間だけが過ぎてもしょうがないので、気合を入れてギルドの中に入っていったのだった。受付を見ると、この間受付をしてくれたお姉さんが、ケンジを見て気づいてくれてたのだ。そして、ケンジの側に駆け寄ってきてくれたのだ。

「来ていただけて良かったです。あのまま帰ってしまって、名前も分からずまた来てくれるか不安でした」

「あ……そういえばそうでしたね……俺は、ケンジといいます。遅くなってしまってすいません」

「わたくしの方こそ、遅くなりましたがミーシャと申します。いえいえ、悪いのはこちらの方ですから謝らないでください。このたびは本当に申し訳ございませんでした」

「それで申し訳ないのですが、謝罪金を渡したいので奥の部屋に来ていただけますか?」

 ケンジは、やっぱり奥の部屋に行かないといけないのかとため息をついた。

「あの、やっぱりギルドマスターに会わないといけないのですか?出来たら、会わず受付で金を受け取って帰りたいんだが……」

「やっぱり、会いたくないですよね……気持ちはわかるのですが会っていただけませんか?」

 ケンジは、下手に出られると断りづらい性格をしているので、嫌々ながらもミーシャについていく事にした。美人にお願いされると断りづらいよね。とケンジは思うのだった。

 ミーシャと奥の部屋の前に着き、ミーシャがノックを3回すると部屋の中から声がした。

「入れ!」

「ああ、君か。ミーシャ、君は下がっていいぞ」

「はい。それでは失礼します」

「ああ、君もそこのソファーにかけてくれ」

 ケンジ達は、見た事もないくらい6人は余裕で座れるくらいの大きなフカフカなソファーに腰を掛けた。ギルスレイン達は、ソファーには座らずケンジの後ろに立ったのだ。

「このたびは、ギルド構成員が迷惑をかけてすまなかったな」

「いえいえ、それであの冒険者はどうなりましたか?」

「ふむ、あの者は普段から素行が悪かったからな。当然奴隷落ちになった。今は、鉱山に送られているんじゃないかな」

「そうですか……」

「それで、これが君への見舞金だが、ボッカは力はそこそこあるが素行が悪いので、そんなにお金にならなくて悪んだが、これで我慢してくれないか?」

 ギルドマスターは、布袋を出してきて中を確認してくれと言ってきた。中を見ると、白金貨1枚と金貨5枚が入っていた。ケンジは、Cランクの冒険者って奴隷落ちすると、150万ドゴンにしかならないのかとため息が出てしまった。

 それを見たギルドマスターは、眉をひそめて渋い顔をしたのだった。

「その金額じゃ不満なのか?」

「いや……そうじゃなくて、不快に思ったなら謝ります。申し訳ありません」

「じゃあ……なんなんだ?」

「いやね・・・・・・仮にも、ボッカてCランクの冒険者だったんでしょ?Cランクって中級者だと思うのですが、奴隷落ちしたらこんなものなんだなぁって思っちゃって……俺も、しっかり生きていかなくちゃって思っただけなんです」

「なるほど!そういうことだったのか。わしにも、誤解があったようだな謝るよ。すまなかった!」
 
 ギルドマスターは、ケンジが丁寧な言葉遣いをしてたのを見て、礼儀のわきまえた若者だと分かり、深々と頭を下げた。

 ケンジは、これを見てギルドマスターも、頭を下げるときは素直に頭を下げれる人なんだなぁと思い、少しだけギルドマスターを見直すのだった。

「それじゃ、俺達はこれで失礼します」

「あ……ちょっと待ってくれ!」

「うん、まだなにか?」

「君は、ギルドには所属しないのかね?この間は、登録せずに帰ってしまったと聞いたんだが、これから登録してくれるのか?」

 ケンジは、なるほどと思い、ここはきっぱり自分の意思を伝えた方が良いと判断をして、ギルドマスターの誘いには乗らなかった。

「いえ、俺たちは冒険者ギルドには所属はしないです。」

「なんでだ?ボッカを、難なく倒せるのにもったいないとおもうのだが……君なら、冒険者で活躍できると思うぞ」

 ギルドマスターは、Cランクのボッカが居なくなったので、ボッカ以上の実力のあるケンジが、冒険者ギルドに所属してくれるものとばかり思っていたのだ。

「いえ、俺はあれから生産ギルドに所属したので、これからは生産者として生きていくつもりです」

 それを聞きたギルドマスターは、ボッカ以上の実力があるのに勿体ないと、ケンジをなんとか冒険者にしようと説得したのだ。

「え?君が生産者?冗談だろ……城門の兵士からも情報が来ているが、ゴブリンを大量に討伐しているのも聞いているし、君みたいな実力者が生産者は勿体ないだろ。今からでも考えを改めないか?」
 
「もう、生産ギルドで登録したし、今日も依頼をこなして、生産も面白いと思っているので無理です」

「じゃあ、掛け持ちってのはどうだ?」
 
 ケンジは、掛け持ちと言う言葉を聞き、冗談じゃないと思ったのだった。ケンジは地球で言えば、まだ高校生なのに2つのギルドを掛け持ちをして、仕事ばかりしたくないと思ったのだ。
 そんな事に時間を使うなら、前世で出来なかった楽しい事を謳歌したいと思っていたのだ。

「俺は、この町に来てまだ3日目だし、そんな掛け持ちできるほど、器用ではないし余裕もないです。今回は、ご縁が無かったと思い諦めてください」

 ケンジの、毅然とした態度で、ギルドマスターは諦めるしかなかった。あの時、もっと寄り添った態度をしてればと、ギルドマスターは後悔したがもう遅かったのである。

「それでは、今度こそ失礼します」

 部屋を出る時、ギルドマスターは後悔して下を向いて、項垂れた様子だった。

「わしは、何であの時……」

 ケンジは、ギルマスの声が聞こえたが聞こえないふりをして、部屋を出るのだった。ギルドを出る時、ミーシャさんがこちらにきて見送ってくれて、もう一度ギルド勧誘をしてくれた。

「やっぱり、冒険者ギルドには無理ですか?」

 ケンジは、その誘いを丁寧にお断りをしたのだった。

「申し訳ないですが……俺はもう、生産者ギルドで登録をすませたんで、これからは生産者で行こうと思ってます」

「生産ギルドですか?そうですか……」

 それを聞き、これ以上ケンジ達を引き留めるのは無理だと思い、ミーシャ見送ってくれた。




 ケンジは、ギルドを出て宿屋とは、違う方向に向かって歩き出した。

「ご主人様。どこに行くのですか?宿屋はこっちですよ」

「ああ、悪いな……もう一か所、寄りたい所があるんだ」

 3人は、お腹減って倒れそうだったが、自分達の主人の言う事が絶対なので、嫌な顔一つせずケンジの後について行くのだった。

「みんな……腹減ってるのに悪いな。次が最後だから」

「「「いえ、謝らないでください」」」

「私達が、生きていられるのは主のおかげなんですから」

「お腹減っても、1日ぐらい我慢できますし」

「お腹減って我慢できなかったら、その辺に生えてる草が食べれますし安心ですよ」

「いやいや……そこまで我慢しろなんて言わないし!この仮証明書を返すだけだし、これも返すの忘れてたんだよ」

「ああ、なるほど!」

 そんな会話をしながら、城門の兵舎の窓口で仮証明書を返す手続きをして、問題なく仮証明書を返して宿屋に戻る事ができたのだ。
 宿屋に着いたら、マリアさんが帰ってくるのが遅いと心配してくれて、ケンジの姿を見ると安心してくれたのだった。

「ケンジさんおかえりなさい。帰ってくるのが、遅かったんで心配したんですよ」

「遅くなってごめんなさい。やる事が立て込んで遅くなっちゃいました。明日からは、もうちょっと早く帰ってきますよ」

「はい。そうしてくださいね」

 そんな話を話してたら、奥から女将さんがそんなとこで立ってないで、早く中で休んでもらいなと、大きな声が聞こえてきた。

「あっ、ケンジさんごめんなさいね。どうぞ中へ」

「うん。お腹すいたからそのまま食堂へいくよ」

「はい!わかりました。今日のお勧めは、コッケの照焼きかウルフのステーキのどちらかになりますよ」

「みんなはどれにする?」

「「「私達は、主(ご主人様)から頂けるものなら何でもいいし、不満はないです。」」」

「そういうのはいいから。自分の食べたい物を頼みなよ」

 まだ、遠慮があるというか、自分の立場に慣れてないのかなかなか決まらないので、ケンジはコッケとウルフのAセットとBセットを2個づつ注文し、別にバッファーとコッケの肉串を4本づつ注文した。

 マリアさんに、バッファーとは何って聞くと、大きな角を持った草原にいる動物で美味しく、みんなに人気がある草食動物なのだそうだ。話を聞くと、地球でいう牛なのかな?バッファローなのか?とケンジは思った。
 そして、コッケとはたぶん鶏だろうと想像がつき、食べたらまさしく鶏だった。

 AセットもBセットも、メインのおかずが違うだけで、黒パン、サラダ、スープがついてて、ボリュームたっぷりでみんなお腹いっぱいになる事ができた。
 Aセット8ドゴン、Bセット10ドゴン。コッケとバッファーの肉串は1つ2ドゴン、合計52ドゴンで安く、とってもお腹いっぱいになり、ギルスレイン達はニコニコ顔だった。


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