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炎帝
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「怪現、炎帝」
瞬間、火吹きの左腕の炎は消え去る。
「失敗のようだね。勘はあっても、運はないようだ!」
言って、端蔵はナイフを僕目掛け振るう。
勘違いしたまま、ナイフを振るう。
「これは!」
「失敗なんてしてない、成功したさ。だからこそ、炎は消えたように見えた」
言って、手を端蔵に近づける。
端蔵は先端が消滅したナイフを握ったまま後退する。
僕の両手は、現在一億度にも及ぶ超高温の炎に包まれている。
勿論、僕の手には熱は届かないし、周りにも危険はない。
僕の手に、触れさえしなければ。
僕の怪現、炎帝は僕の手の周りにしか存在しない。
もし周りに影響を及ぼすような術ならば、即座にこの地球ごと蒸発するだろう。
しかし、これは術。
術者である僕の調節によって、熱は両の手の手首までで、外に熱が届く範囲は一ミリもない。
触れたものはその箇所が消滅する。
熱によって、ただそれだけの現象を引き起こす術だ。
「面白い、面白いッ!」
端蔵はそう叫びながら青天霹靂を僕の頭目掛け放つ。
しかし、意味がない。
僕が掌を顔の前に構えれば、ただそれだけでどんな攻撃も消滅する。
「僕が君に触れられるか、君が僕に致命傷を与えられるか、勝負というわけだ」
端蔵は言う。
実際そうだ。
触れれば消滅するとはいえ、意識外からの攻撃には対処できない。
これはフェアな戦いだ。
「さあ、僕ら最後の殺し合いだ!」
言って、再度端蔵は駆ける。
瞬間、端蔵の姿がぶれて見える。
已己巳己か。
本体が分からないし、分身の攻撃威力は本体と変わらない。
よって、分身を放置して本体のみを叩くことは不可能だし、分身をちまちま倒していては意識外からの攻撃に対処が遅れる。
まあ、負傷覚悟でちまちま倒すしかないんだけどさ。
先ずは背後から迫るやつを一人消す。
触れた瞬間、箇所だけでなく存在自体が消えたので分身。
くるりと体を回し、地を蹴り飛翔。
直後足首に青天霹靂が貫通する。
あのまま地を歩いていれば確実に心臓に当たっていた位置だ。
急所が常に同じ場所にとどまらないように動いていてよかった。
そう思いながら真下から飛来する青天霹靂を消滅させてから、宙で体を回転させて体の向きを調整。
先程の僕から一番離れた箇所にいた者に触れるが、これも分身のようだった。
次の一人を探して後ろに少し跳んだ瞬間、頭に青天霹靂が掠る。
左側頭部が少し抉れたが、まあ骨にまで達していないので問題はない。
出血以外は、だか。
そう、この怪現のデメリットの一つは、止血が出来ないということだ。
傷口を焼いて止血などしようものなら、即座に傷口付近が消滅する。
そんなことを考えていると、腹部も一撃貫通。
激痛に耐え、歩みを止めない。
地を駆け、最後の分身に向かい、手を振るう。
そして、触れた瞬間、分身は消滅——————。
「残念、本体だよ」
そう、僕の手に触れて、残った右腕も消滅した端蔵が言う。
「ッ! じゃあ分身は!」
「もう遅い」
瞬間、視界の端で煌めく閃光。
このまま進めば心臓に直撃。
間違いなく貫通するだろう。
ああ、最後の最後にやらかした。
まあ結構端蔵を傷つけたし、あとは駆けつけた九尾苑さん達がどうにかしてくれるはずだ。
千輝が駆けつけたんだ、九尾苑さんも場所は知ってるんだろう。
どうして知ってるんだ? 僕が焼いたものの場所が分かるみたいに何かで場所を常に見られてた?
そんな情報や思考が頭に流れ込んだ一瞬。
まあ僕の予想通りというか、予想以上の合流速度というか、見知った顔が視界に映る。
「荒木寺さ——————」
名前を呼ぶ僕の声は突如として青天霹靂と僕の間に現れた壁によって遮られる。
これは、荒木寺さんの術だ。
手合わせのときに幾度となく見た、荒木寺さんの術だ。
この壁では完全に青天霹靂の威力を殺すことは不可能だが、ほんの少し、速度の軽減は出来る。
一秒にも満たない僅かな時間差。
その隙に僕は青天霹靂が飛び出る位置を予測、手を添えて、壁の消滅と同時に青天霹靂も消滅。
そして、最後の一手。
本体である端蔵に向けてもう片方の手で触れなければならないのだ。
「これで、終わりだああああああ!」
そう叫び、端蔵に向かい手を繰り出す。
僕の手は端蔵の胸に触れ、そして貫く。
「ああ、勝ちたかったな」
その言葉を最後に、端蔵は死んで、僕は勝ったのだ。
この戦いは、幕を下ろしたのだのだ。
瞬間、火吹きの左腕の炎は消え去る。
「失敗のようだね。勘はあっても、運はないようだ!」
言って、端蔵はナイフを僕目掛け振るう。
勘違いしたまま、ナイフを振るう。
「これは!」
「失敗なんてしてない、成功したさ。だからこそ、炎は消えたように見えた」
言って、手を端蔵に近づける。
端蔵は先端が消滅したナイフを握ったまま後退する。
僕の両手は、現在一億度にも及ぶ超高温の炎に包まれている。
勿論、僕の手には熱は届かないし、周りにも危険はない。
僕の手に、触れさえしなければ。
僕の怪現、炎帝は僕の手の周りにしか存在しない。
もし周りに影響を及ぼすような術ならば、即座にこの地球ごと蒸発するだろう。
しかし、これは術。
術者である僕の調節によって、熱は両の手の手首までで、外に熱が届く範囲は一ミリもない。
触れたものはその箇所が消滅する。
熱によって、ただそれだけの現象を引き起こす術だ。
「面白い、面白いッ!」
端蔵はそう叫びながら青天霹靂を僕の頭目掛け放つ。
しかし、意味がない。
僕が掌を顔の前に構えれば、ただそれだけでどんな攻撃も消滅する。
「僕が君に触れられるか、君が僕に致命傷を与えられるか、勝負というわけだ」
端蔵は言う。
実際そうだ。
触れれば消滅するとはいえ、意識外からの攻撃には対処できない。
これはフェアな戦いだ。
「さあ、僕ら最後の殺し合いだ!」
言って、再度端蔵は駆ける。
瞬間、端蔵の姿がぶれて見える。
已己巳己か。
本体が分からないし、分身の攻撃威力は本体と変わらない。
よって、分身を放置して本体のみを叩くことは不可能だし、分身をちまちま倒していては意識外からの攻撃に対処が遅れる。
まあ、負傷覚悟でちまちま倒すしかないんだけどさ。
先ずは背後から迫るやつを一人消す。
触れた瞬間、箇所だけでなく存在自体が消えたので分身。
くるりと体を回し、地を蹴り飛翔。
直後足首に青天霹靂が貫通する。
あのまま地を歩いていれば確実に心臓に当たっていた位置だ。
急所が常に同じ場所にとどまらないように動いていてよかった。
そう思いながら真下から飛来する青天霹靂を消滅させてから、宙で体を回転させて体の向きを調整。
先程の僕から一番離れた箇所にいた者に触れるが、これも分身のようだった。
次の一人を探して後ろに少し跳んだ瞬間、頭に青天霹靂が掠る。
左側頭部が少し抉れたが、まあ骨にまで達していないので問題はない。
出血以外は、だか。
そう、この怪現のデメリットの一つは、止血が出来ないということだ。
傷口を焼いて止血などしようものなら、即座に傷口付近が消滅する。
そんなことを考えていると、腹部も一撃貫通。
激痛に耐え、歩みを止めない。
地を駆け、最後の分身に向かい、手を振るう。
そして、触れた瞬間、分身は消滅——————。
「残念、本体だよ」
そう、僕の手に触れて、残った右腕も消滅した端蔵が言う。
「ッ! じゃあ分身は!」
「もう遅い」
瞬間、視界の端で煌めく閃光。
このまま進めば心臓に直撃。
間違いなく貫通するだろう。
ああ、最後の最後にやらかした。
まあ結構端蔵を傷つけたし、あとは駆けつけた九尾苑さん達がどうにかしてくれるはずだ。
千輝が駆けつけたんだ、九尾苑さんも場所は知ってるんだろう。
どうして知ってるんだ? 僕が焼いたものの場所が分かるみたいに何かで場所を常に見られてた?
そんな情報や思考が頭に流れ込んだ一瞬。
まあ僕の予想通りというか、予想以上の合流速度というか、見知った顔が視界に映る。
「荒木寺さ——————」
名前を呼ぶ僕の声は突如として青天霹靂と僕の間に現れた壁によって遮られる。
これは、荒木寺さんの術だ。
手合わせのときに幾度となく見た、荒木寺さんの術だ。
この壁では完全に青天霹靂の威力を殺すことは不可能だが、ほんの少し、速度の軽減は出来る。
一秒にも満たない僅かな時間差。
その隙に僕は青天霹靂が飛び出る位置を予測、手を添えて、壁の消滅と同時に青天霹靂も消滅。
そして、最後の一手。
本体である端蔵に向けてもう片方の手で触れなければならないのだ。
「これで、終わりだああああああ!」
そう叫び、端蔵に向かい手を繰り出す。
僕の手は端蔵の胸に触れ、そして貫く。
「ああ、勝ちたかったな」
その言葉を最後に、端蔵は死んで、僕は勝ったのだ。
この戦いは、幕を下ろしたのだのだ。
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