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【第十五章、生徒会】

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 次の日の放課後、生徒会室に呼び出された。
 おそるおそる中に入ると、フェリシアもエリックも不在で、初日にアンナリーズのそばにいた一年次生の一人で、皇女の従者であるという生徒がレーヴの前に進み出た。
「様式科のクラリサ・ワイノットだ。殿下のお側付きを拝命している」
 黒髪のショートヘア。灰色の虹彩は、涼やかという表現がぴったりだ。ソーサラーの認証タグの腕輪を付けた彼女は、きっと学校卒業後は近衛に志願するのだろう。
 冒頭、正式にレーヴの入会が告げられたが、表情を確かめるまでもなく、そこにいる全員が、納得していないことが明らかだった。
「続けて、先輩がたを紹介させていただく」
 生徒会の構成は、フェリシアとクラリサを除いて、書記係が二人、風紀係が三人だった。本校の生徒約百五十のうち、子爵以上がたった五人ということであれば、それは特別扱いされて当然か。
 それ以外に、風紀係には補佐役が三人付く。剣術科と様式科の成績上位者だそうだ。
 クラリサが指示されていたのは、そこまでらしく、任務を終えると唐突に口を閉ざし、同時に残りの生徒たちが、一斉に不満を口にし始めた。
「殿下はどうしてこんな平民に肩入れするんだろう」
 それから彼らが語った内容を総合すると、今回の対戦を決めたのは、フェリシア自身のようだ。
 剣術の技量において、より腕の立つ補佐役から相手を選ばなかったこと一つをとっても、本気で入会の審査をするつもりがなかったのだと、新人を見る目は冷ややかだった。
 エリックは普段から生徒会をサボりがちらしく、今回、審査役に抜擢したのは彼本人への戒めもあったのではないか、というのが周囲の見解だ。
「平民にみっともなく負ければ、少しは反省すると思ってたんだろうけど、骨を折られてるんじゃあね」
 嫌味たっぷりに言われたが、反論の余地はない。アビリティが使えなければ、まだまだ勝負にならなかったのは確かだ。
 ただ、今回の対戦で、一つ、有益な知見を得ることができた。
 それは、霊石の扱いについてだ。
 具体的には、カトリアからもらったアロンダイトに、ルノアの霊石を装着する。
 今後の非常時、アビリティを使わなければならないとき、小さな革袋の隠し場所がすぐに見つかるとは限らない。そこらに放り投げて、紛失しては大ごとだ。
 だが、短剣であれば、腰から取り外すことは、人目にも不自然ではないだろうし、あとで探すのも容易い。
 元々着いていたガラスが、同じくらいの大きさだったことも、幸いだった。
 早速工作し、ヤーマが入浴しているとき、彼の机にあった簡易の検知器で試したが、効果はこれまで通りだった。
 色は変わったが、気づく人間はいないだろう。
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