アホの子が女体化したら、幼馴染の親友が今まで以上に過保護になった件。

あたり、親友と学校へ行く。

　あたりの幼馴染であり親友の瀬戸せと慶次けいじはいつもの様にあたりの家に来ていた。
あたりは目の離せないアホの子なので毎日送り迎えをしているのだ。

　ピンポーン　とチャイムを鳴らしてあたりが出て来るのを待つ。
あたりはアホの子だが兄の方はしっかりしているので、ちゃんとあたりを起こして準備をさせている。
そこまで待たされる事はほぼ無い。

「ちょっと待っててー！今くちゅ！靴はいてるから！」
「･･･ん？」

　慶次は違和感を感じた。
あたりらしい返事なのだが、声の感じがいつもと違う。
元々は声変わりをしていない高めの声だったが、今の声はいつもの声より甘い感じの声だった。

　ガチャ！　と勢いよく開くドアと目に飛び込んでくるセーラー服姿で長く伸びた髪をツインテールにしているあたりの姿。
元々女顔と言うか美少女顔だったあたりのその姿は違和感が無く、むしろしっくり来る格好だった。

「お、おい！」
「学校行こう！慶次！」

　あたりはいつもの様に慶次の手を掴んで走り出す。
あたりはアホの子で中身がお子様なので意味もなく走り出したりするのである。
そして暫く駆け足で進んだ後、ちらりと慶次の事を見て驚いた。

「おお！慶次？！いつのまにか背伸びてる！！」
「いや、一日でそんな伸びる訳ないだろ？あたりが縮んだんだよ！」

　もう直ぐ150センチに届きそうだった少年あたりは、今や女体化して130センチほどになっていた。
あたり本人は慶次や周りが大きくなったと思っていた。

「お前が小さくなってるんだよ！」
「ええ？！せっかく伸びたのに？！」
「残念だったな。それよりもだな。その格好と髪はいったい？」
「うんとね、朝起きたら女の子になってたの！それだけ！」
「･･･それだけって言われてもなぁ」

　学校への道すがら、あたりは慶次に順番に話していった。
だが話し方が子供なので慶次は頭の中で整理しながら聞く。

「つまり、あたりが女の子になったのは兄さんのせいなんじゃないのか？」
「な？」
「いや、な？じゃなくて。あたりが女体化してもさほど驚いてないし、セーラー服の準備もしてたんなら、そうなる事を知ってたって事だろ？」
「なるほどー！慶次あたま良いね！！」
「いやお前がアホの子過ぎるんだ。」

　そっかー！と能天気な返事をしていたあたりだったが、突然ハッとした表情になった。
なにやら良いアイデアが浮かんだようだ。
まぁアホの子のアイデアなので常識はもちろん外れている。

「じゃあ帰ったらおちんちん付けて貰おっと！これじゃあおしっこ出来なくて困る！」
「そこなのか！？…いや、女子の仕方でやればいいだろ？」
「な？」
「いや、だから。な？じゃない！」

　そんなアホな会話をしながら中学へ向かう二人。
ちなみにあたりが慶次の手を掴んだまま歩いているので、知らない人が見たら付き合ってるように見えるのであった。