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7章 姫のお茶会編

閑話 ジャージ神

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今日も今日とてイソイソとVRマウントを付けVRMMORPGをプレイする。
もう10日は家から出ていない。

引きこもり?いやいや、俺は引きこもり何かじゃない。
ただゲームが三度の飯より好きなだけのゲーマーだ。
ちょっと20歳の時に運良く宝くじに当たり遊んで暮らせるようになっただけのゲーマーだ。ふふん、羨ましいだろう!

そんな俺を今夢中にさせているものはVRMMORPG【WORLD・TREEHAARPワールド・ツリーハープ】だ。
正直このゲームは凄すぎる!
今のVR技術の中で飛び抜けている。VRの他作品はまだまだ黎明期の粋を出ないのに、このWTはまるで本当に異世界へ行っているような体験を出来るのだ。

剣と魔法の世界[ファイブ]にて冒険者、商人、薬師など様々な職業に就いて、本当に異世界で生きているかのような体験ができる。
NPCもリアルで、本当の人間のように接してくれるのだ。

更にこのゲームの特徴として、プレイ中の行動をAIが記憶してログアウト中もプレイヤーがやっていたことを継続して続けてくれたりする。
そうなると放置ゲーかと思われるけど、ゲームのシステムで1ヶ月間の放置、または頻繁にAI操作に頼るとアバターが自我を持ってNPCになってしまうというのがあるのだ。これは斬新なシステムだった。BOTと呼ばれる自動操縦でアイテム集めや経験値稼ぎのAIが弾いてくれるので快適にプレイ出来る。
事情があって長期間放置しなくてはならない場合は、全員が初期装備として持っている[異世界離脱石]というアイテムを使えば良いのだ。
それを使うとアバターがファイブから居なくなるのでAI操作も無い、というわけだ。

そして俺がこのゲームを好きな理由は「プレイヤーは勇者でも英雄でもない只の一般人」というところだ。
強力なプレイヤーが世界を蹂躙するのではなく、一人の住人として異世界を生きるのだ。



そんな俺はファイブでは冒険者をやっている。
[双剣のヴァイス]と呼ばれるBランク冒険者だ。
Bランクまで上げるのに1年掛かった。いや、これでも早い方なんだぜ?
発売初日から1年半、毎日やって1年でBランク。
Aランクには王都まで行って王都のギルマスに認められなきゃならねぇ。
王都まで馬車で3週間だぜ?馬車嫌いなんだよな・・・尻が痛いんだよ。
ん?ゲームなのに痛みがあるのかだって?あるんだよ!
ちなみに馬車酔もあるぞ!だから馬車移動はAI操作がオススメだ。
ログインした瞬間に尻が痛くなるけどな!
VRマウントにそんな機能無いのに不思議だよな。

まぁAランクは暫くお預けだ、今日からゲーム内イベントが開催されるんだとさ。ゲーム発売から1年半で初めてのゲーム内イベントだぜ?参加するしかないだろ!

*

イベント内容の通知が来た。というか通知機能とかあったんだな。
UIすら無いからそんな機能無いと思っていたぜ。

[プレイヤー諸君。私はこの異世界ファイブの神である。今からイベントを開催する。発売当初から遊んでくれている諸君らには実に簡単なイベントかもしれないが豪華賞品を用意しているので是非参加して欲しい。]

へぇ、神からのイベントっていう設定なんだな。
豪華賞品はぜひともゲットしたいな!何かわかんねーけど!

[ではイベント内容を発表する。”世界樹にたどり着くこと”だ。簡単だろう?期限は今から24時間だ。頑張ってくれたまえ!]

なっ!?全然簡単じゃねーよ!!
世界樹って言ったら世界三大難所と言われている場所じゃねーか!!

むぅ・・・一応、世界樹の入り口である神獣の森へ行く転移石は家宝として保管している。あれを使えば何とか辿り着けると思う。でもなぁ・・・あれを使って手に入る賞品がショボかったら笑えねーよ・・・

うーん・・・でも神獣の森転移石は高く売れるけどこのイベントの為に手に入ったとも考えられる。俺は宝くじを当てたラッキーボーイ(ボーイと言う年でもない)だ!これは運命のめぐり合わせ!そうに違い無い!

*

テンションだけで来てしまったけど、マジ後悔。
売れば5000万メルもするアイテムをポンと使ってしまった・・・

使っちゃったもんは仕方ない賞品をゲットすることだけを考えよう!そうしよう!

神獣の森は名前の通りフェンリルが普通に居る。フェンリルはSSSランクの魔物だ。Bランクなんか瞬殺だ。まぁ死んでもアバターの復活に1日ログイン出来なくなるペナルティが有るだけで俺が本当に死ぬわけじゃ無いんだけどな。

隠密スキル鍛えていて良かったぜ!
アサシンプレイ安定だからな。隠密を必殺必中というクリティカルスキルをひたすら鍛えたからな。SSSランクの魔物ならスルー推奨だ。

スイスイ神獣の森を突き進み漸く世界樹にたどり着いた。
イベント開始から12時間が経っていた。
もう何人かクリアした奴が居るかもしれないと思ったが他の人の気配は無い。
神獣の森では遥か後方から数人冒険者の気配はしていたので俺が一番乗りかもしれないな。

「[おめでとう!君が優勝者だ!何でも・・・とは行かないがある程度の願いを一つだけ叶えてあげよう。]」

ゲームの通知と同じタイミングで同じ内容の言葉を発したのは世界樹に腰掛けるジャージ姿のおっぱいの大きい幼女だった。

「えーと、あんたが神さまって事か?」

「そうだよ。」

ジャージ神は立ち上がりこちらに近寄ってきた。

「賞品は願いを叶えてくれる・・・か。そうだな・・・チート能力とかは駄目か?」

「漠然としているね。」

具体的に言えってことか。

「経験値1億倍・・・とか?」

「それはオススメしないよ。あっという間にレベルカンストして終わりだからね。強く成りたいのならば、強奪系とかだね。」

ジャージ神は豊満なおっぱいを腕組みで強調して教えてくれた。
思わず凝視してしまう。

「神さまが強奪スキルとか勧めて良いのか?」

「強奪スキルにもデメリットはあるからね。例えば失敗すると逆にスキルを相手に与えてしまう、とかね。強奪する時にダイスを振ってゾロ目を出さなきゃ失敗。レアスキルほどダイスの数は増える。」

「なんじゃそりゃ?!完全に地雷スキルじゃねーか!!」

そんなのよっぽど運が良くなけりゃすぐにスキルがなくなっちまうぞ?!

「でも君、運いいでしょ?宝くじも当たったし、子供の頃から当たり付きのお菓子は100%当たってたでしょ?強奪は君みたいに運がいい人にはピッタリなスキルだよ。」

背筋が冷えた。
なんで俺のこと知ってるんだ?
え?怖いんですけど?

「ありゃ?怖がらせちゃったね。ごめんごめん。ほら私神さまだから、そのくらい簡単にわかっちゃうんだよ。」

「それはゲームの設定で、現実の俺をなんで知ってるんだ?」

「んん?おかしいな?ちゃんとゲームの説明書に[異世界へ行って遊べる]って書いといたのになぁ。」

え?もしかして此処って現実の異世界なのか?
だとしたらこのゲームのリアルさが納得出来るな・・・

「もしかしてですけど・・・ここってゲームじゃなくて現実なんですか?」

思わず敬語になってしまった。

「そうだよ。ちゃんとそう言って宣伝して発売したはずなんだけど周知してなかった?」

「いやいや、そんなのゲームのキャッチコピーとしか思えませんって!」

ちょっと抜けてるなこのロリ巨乳神。

「そっか、まぁいいや。良いことを教えてくれた君には私の加護をおまけで付けてあげよう。経験値アップとスキル取得難易度低下を内包してるよ。後、地球の生活に飽きてファイブに移住したくなったら、この世界樹に触れて私を呼べば移住させてあげるよ。」

「加護!やった!・・・移住か。移住はしてみたいけど向こうで結構貯金残ってるので未練があるんです。」

「んー、ファイブの通貨に換金もしてあげるよ?持って来たい物があれば持ってきても良いし。」

そんなことも出来るのか!俺は即決で異世界移住を決めた。

*

俺はファイブで冒険者をやっている。
[双剣のヴァイス]と呼ばれるSSSランクの冒険者だ。
最近では俺を[幸運の女神に会った男]と呼ぶやつもいる。
知ってるか?幸運の女神はジャージを着ているんだぜ?
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