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3月22日と23日

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3月22日 水曜日

学級会で、僕たち5年2組から転校する4人に対して、お別れ会をやった。お別れ会は男子のコントとか、まみが毎年変わらない「消えるコイン」の隠し芸等を見せてくれた。ゆっこは何もしなかった。ただ、しじゅう、せつない表情で僕を見つめていた。僕はゆっこを直視できなかった。

3月23日 木曜日

19日以来、久々にゆっこが話しかけて来た。しかし、愛のカケラもない、全くもって挨拶程度の会話だった。しかし、僕も、それが限界だった。目も合わせることはできなかった。ゆっこの震える目線と、遠い目をしている僕のアイコンタクトは終日実現しなかった。

中井まみの元に、1組の保川がやって来ていた。保川は中井に何かお礼を言っているようだった。そしてアッコが保川にくっついた。肩を叩き、耳元で何かささやいている。そうか、あの子も、明日お別れだったな…。僕はちょっとだけ保川にも、優しくしてやれば良かった、と思った。21日には、彼女のお兄さんともちょっと話した。縁があれば…、いい仲間になれたかもしれない。惜しい存在だった。

武田が僕にお礼を言いに来た。今更良いよ。僕はようやくリラックスして話すことが出来た。木曜5時限目は、将棋クラブの日だった。今日が最後だった。荻原くんとも、武田とも試合をした。荻原くんは明らかに手加減してくれていたが、それでも負けた。武田には、勝った。僕は武田には勝ち逃げする気だった。
「次に会うときは、きっと勝つから。」武田にそう言わせた。それでいい。それでいいんだ。

将棋クラブのみんなで、その日は下校した。L街区、Q街区で、みんなそれぞれ別れて行く。Q棟に着く頃には、僕1人になった。
…これから、広島では、どうなるんだろう。今みたいに、いい友達に恵まれるのかな。
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