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図書委員会14
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「武田と、幼稚園のボラは一緒の事だね。だけど、どうしてこれがバレたかな。」
「学校では、ツー君、絶対にバラさなかったよ。見事だった。でもね。私のお母さんが、あの幼稚園の久保田園長の知り合いなの。だから、私も、それから、弟の孝太も、時々お手伝いに行く。イベントにも参加しているよ。私が、エレクトーンをあの幼稚園で演奏した日があってね。その日、偶然、あなたと武田くんを見た。」
「…参ったな。ゆっこちゃんには隠し事はできないな。」
「久保田園長先生は、ツー君と武田くんと私達家族をバッティングしないようにしていたみたいだけど、私、エレクトーンの楽譜を忘れて、慌てて、幼稚園に戻ったの。そしたら、ツー君と武田くんがログハウスの近くで木を切ってた。」
…狭山市屋内スキー場を休んだ日だ。偶然、ゆっこちゃんとニアミスしていたのだ。
「ツー君と武田くんの、男同士の雰囲気に、私は声をかけるのを遠慮しちゃった。それから、ツー君の事を調べたの。久保田園長や村本先生は口を割らないけど、幼稚園の先生同士は結構良く話してて、武田くんの事もツー君の事も知った。」
ゆっこは一気にしゃべりきった。
「そうか。」
「でも、悪気ないの。私…。最初はつらかったけどね。特に私が最初にツー君の転校のことを知ってしまった時が一番つらかった。」
彼女は、そう言って、顔を背けた。夕陽が彼女の横顔を照らしていた。
「そう、つらい思いさせたね。…ごめんなさい。」
「でも、ツー君の事でやきもき出来たことが、今となってはいい思い出よ。本当、あのつらい時期に戻りたい。今はただ別れがつらいだけ。」
ゆっこは、笑いながら、また顔を背けた。何かが彼女の顔で光ったようだった。夕陽か。
「ゆっこちゃん」
「…なあに。」
「僕の秘密、まだ最後の一個残ってる。」
「え。まだ私に隠していることあるの?この期に及んで!」
「学校では、ツー君、絶対にバラさなかったよ。見事だった。でもね。私のお母さんが、あの幼稚園の久保田園長の知り合いなの。だから、私も、それから、弟の孝太も、時々お手伝いに行く。イベントにも参加しているよ。私が、エレクトーンをあの幼稚園で演奏した日があってね。その日、偶然、あなたと武田くんを見た。」
「…参ったな。ゆっこちゃんには隠し事はできないな。」
「久保田園長先生は、ツー君と武田くんと私達家族をバッティングしないようにしていたみたいだけど、私、エレクトーンの楽譜を忘れて、慌てて、幼稚園に戻ったの。そしたら、ツー君と武田くんがログハウスの近くで木を切ってた。」
…狭山市屋内スキー場を休んだ日だ。偶然、ゆっこちゃんとニアミスしていたのだ。
「ツー君と武田くんの、男同士の雰囲気に、私は声をかけるのを遠慮しちゃった。それから、ツー君の事を調べたの。久保田園長や村本先生は口を割らないけど、幼稚園の先生同士は結構良く話してて、武田くんの事もツー君の事も知った。」
ゆっこは一気にしゃべりきった。
「そうか。」
「でも、悪気ないの。私…。最初はつらかったけどね。特に私が最初にツー君の転校のことを知ってしまった時が一番つらかった。」
彼女は、そう言って、顔を背けた。夕陽が彼女の横顔を照らしていた。
「そう、つらい思いさせたね。…ごめんなさい。」
「でも、ツー君の事でやきもき出来たことが、今となってはいい思い出よ。本当、あのつらい時期に戻りたい。今はただ別れがつらいだけ。」
ゆっこは、笑いながら、また顔を背けた。何かが彼女の顔で光ったようだった。夕陽か。
「ゆっこちゃん」
「…なあに。」
「僕の秘密、まだ最後の一個残ってる。」
「え。まだ私に隠していることあるの?この期に及んで!」
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