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図書委員会8
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冬休み直前の、最後の図書委員会の日、津山・中井・満川3人の思いがぶつかり合った。でも、予想をくつがえして、最後に残ったのは満川だった。まみとのやり取りの最中に、カウンターに置きっぱなしだった図書室の鍵を、彼女が奪ってしまった。僕に帳簿をつける権利と、図書室の戸締りの義務は無くなってしまっている。
「そうか…。満川さんのお父さんお母さんから聞いたのか…。」
「ごめんなさい。でも、本当に偶然聞いちゃっただけなのよ。」
「…うん、わかった。いいよ。本当の事だし。」僕は気を取り直し、満川に向き合った。「僕、今日出席って書いといてね。」
「うん。津山くんは今日は出席で。」「じゃよろしく」と言って帰ろうとした。
「待って。…いつ、転校するの?」
「…いずれわかるよ。」
「まさか、2学期の終わりじゃないよね!?」
「そりゃそうだ。」
「3学期?」
「うん。3月の終業式。3月24日に。」
「どこへ引っ越すの?」
「…満川さん、もう外は真っ暗だよ。いずれ機会が来たら話すから。今日は帰ろう。」
「…うん、津山くん、ありがとう。」
満川はそそくさと片付けを始めた。流石に僕も暗い中、彼女1人に任せて帰るわけにいかなかった。僕たちはおし黙ったまま、黙々と片付けた。満川が帳簿をつけたのを確認し、鍵閉めまで付き合ってあげた。「じゃ、また明日」僕は満川を置いて、下駄箱へ向かった。
もう、冬至が近い。下駄箱から見える通学路は真っ暗闇だった。さすがにこれはまずかった。僕はどうあれ、女子の満川を一人で帰すわけには行かなくなってしまった。ちょっと迷ったが、結局下駄箱で満川を待っている事にした。しかし、満川は、出てこなかった。図書委員会の主は私とばかりに、いつまで図書室にいるんだ?
「津山くん、まだいたの?」
「満川さんを待ってたんだ。夜道が心配だから。」
「津山くん、私、お母さんに迎えに来てもらって、そのまま習い事に行くから。…ごめんね。でもありがとう。」
僕は彼女が出てこなかった訳がわかった。お母さんを公衆電話で呼んでいたのだ。テレホンカードを彼女はいつも持っていたのを思い出した。
「ははは。じゃ習い事頑張って。」
僕は、そのまま帰ろうとした。しかし、しばらくして満川が追っかけて来た。僕のランドセルをつかんだ。
「お母さん、津山くんならきっとうちの車に乗せてくれるはずだから。もうちょっと待ってて。」
いや、寒いからもう帰るよ。満川のお母さんと会うと、何となく面倒なことになりそうだった。まずは弟君を助けた美談の真偽を古河に確認してからだった。でも満川は僕のランドセルを離してくれなかった。私のこと待ってたんでしょう。だから夜道の女の子の一人歩きは危ないからだって。そう揉み合っているうちに、バランスを崩して、こけた。僕が彼女の下敷きになった。彼女のニットスカートの股間が僕の目の前にあった。
「きゃ」
「や、ごめん。」
「エッチぃどこ見てんのよ」
落ち着いている満川もふつうの女の子と同じ反応を見せたことに、なんかびっくりしたが、慌てて彼女がスカートを整えている。
逃げるにはいいタイミングだった。「じゃ満川さん、お母さんによろしく。」また明日ー。
「そうか…。満川さんのお父さんお母さんから聞いたのか…。」
「ごめんなさい。でも、本当に偶然聞いちゃっただけなのよ。」
「…うん、わかった。いいよ。本当の事だし。」僕は気を取り直し、満川に向き合った。「僕、今日出席って書いといてね。」
「うん。津山くんは今日は出席で。」「じゃよろしく」と言って帰ろうとした。
「待って。…いつ、転校するの?」
「…いずれわかるよ。」
「まさか、2学期の終わりじゃないよね!?」
「そりゃそうだ。」
「3学期?」
「うん。3月の終業式。3月24日に。」
「どこへ引っ越すの?」
「…満川さん、もう外は真っ暗だよ。いずれ機会が来たら話すから。今日は帰ろう。」
「…うん、津山くん、ありがとう。」
満川はそそくさと片付けを始めた。流石に僕も暗い中、彼女1人に任せて帰るわけにいかなかった。僕たちはおし黙ったまま、黙々と片付けた。満川が帳簿をつけたのを確認し、鍵閉めまで付き合ってあげた。「じゃ、また明日」僕は満川を置いて、下駄箱へ向かった。
もう、冬至が近い。下駄箱から見える通学路は真っ暗闇だった。さすがにこれはまずかった。僕はどうあれ、女子の満川を一人で帰すわけには行かなくなってしまった。ちょっと迷ったが、結局下駄箱で満川を待っている事にした。しかし、満川は、出てこなかった。図書委員会の主は私とばかりに、いつまで図書室にいるんだ?
「津山くん、まだいたの?」
「満川さんを待ってたんだ。夜道が心配だから。」
「津山くん、私、お母さんに迎えに来てもらって、そのまま習い事に行くから。…ごめんね。でもありがとう。」
僕は彼女が出てこなかった訳がわかった。お母さんを公衆電話で呼んでいたのだ。テレホンカードを彼女はいつも持っていたのを思い出した。
「ははは。じゃ習い事頑張って。」
僕は、そのまま帰ろうとした。しかし、しばらくして満川が追っかけて来た。僕のランドセルをつかんだ。
「お母さん、津山くんならきっとうちの車に乗せてくれるはずだから。もうちょっと待ってて。」
いや、寒いからもう帰るよ。満川のお母さんと会うと、何となく面倒なことになりそうだった。まずは弟君を助けた美談の真偽を古河に確認してからだった。でも満川は僕のランドセルを離してくれなかった。私のこと待ってたんでしょう。だから夜道の女の子の一人歩きは危ないからだって。そう揉み合っているうちに、バランスを崩して、こけた。僕が彼女の下敷きになった。彼女のニットスカートの股間が僕の目の前にあった。
「きゃ」
「や、ごめん。」
「エッチぃどこ見てんのよ」
落ち着いている満川もふつうの女の子と同じ反応を見せたことに、なんかびっくりしたが、慌てて彼女がスカートを整えている。
逃げるにはいいタイミングだった。「じゃ満川さん、お母さんによろしく。」また明日ー。
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