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13.交渉
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アキードは、椅子に座りながらアークを指さします。
「確かに、君をもう一度ここに来させる為の罠だと言えばそうなるがね」
そして指をゆっくりとアクリルへ向けます。
「罠とは一方的な物だが、これは黄金のサメについての交渉だよ」
アークとアクリルは水槽の中でお互いに顔を見合わせました。
「少し話そう、お嬢ちゃんは水槽から出たまえ、風邪をひくぞ?」
アークが警戒しながらも水槽から出ると、アキードはタオルを差し出します。
「すまないが、着替えが無いのは勘弁してくれ」
アークはタオルを受け取りながら、アキードの態度に違和感を感じていました。
「何だか、昨日と雰囲気が違う・・・もっと偉そうな感じだった」
その言葉にアキードは、苦笑します。
「私は商人だからね、交渉相手にはこういう態度になるのものさ」
アキードはアークを椅子に座らせると、真面目な顔で問いかけます。
「確認だが、君とアクリル君は黄金のサメ、アウルム君とはどういう関係かね?」
突然な質問に、アークもアクリルも戸惑います。
アークは、タオルで髪の毛を吹きながら少し考えて答えます
「僕の事を信じてくれてるとは思うけど、友達・・・だったら良いなと思う」
アクリルも少し戸惑いながら答えます。
「まだ会ったばかりだけど・・・一緒にいると、とても安心するの」
その回答に、アキードは小さく頷きます。
「二人もそれほど長い付き合いでは無いのに、随分と仲が良いね?」
アークは、困ったように視線を泳がせながら小さくつぶやきます。
「アウルムと約束したし、アクリルさんには助けてもらったし・・・それに」
そこまで言うと、アークは首を振ります。
「何でもない、とにかく約束したからには守るのが当たり前でしょ?」
アクリルはそんなアークを見て笑顔で答えます。
「私も、アークちゃんを信じてるよ」
ちゃん付けで呼ばれた事が少し恥ずかしいのか、アークはタオルで顔を隠します。
そんな二人を見て、アキードは満足そうに頷くと小さなカードを取り出します。
「では、アーク君・・・交渉だ」
アキードの取り出したカードは不思議な模様が描かれ、淡く光っています。
「これは、アクリル君の首輪を外す鍵だよ」
それを聞いて、アークがアキードを睨みます。
「アクリルさんをどうするつもり?」
しかし、アキードはテーブルの上にカードを置くと笑顔で答えます。
「どうもしないよ、お願いを聞いてくれればすぐ解放する」
アークはカードをじっと見てから問いかけます。
「お願いって何?」
アキードは、そんなアークを面白そうに眺めながら要求を口にします。
「アウルム君・・・黄金のサメと話がしたいんだ」
アークは予想外の要求に、目を丸くします。
「アウルムと話すだけで良いの?」
アキードは、こくりと頷きます。
「ああ、それで良いよ」
アークはじっとアキードを見ていましたが、アキードの笑顔は崩れません。
了承するしかアークに選択肢はありませんでした。
「はぁ・・・分かったよ」
アキードがカードを首輪に当てると、アクリルの首輪は簡単に外れました。
「さぁ、約束は守るのが当たり前なんだろう?」
アキードの言葉にアークはしぶしぶ窓に向かいます。
「アウルム~」
暗い海の底から金色の頭が見えました。
「上手くいったのか?」
アウルムの言葉にアークは頭をかきながら答えます。
「アクリルさんは助けたけど、アキードさんが話したいことがあるんだって」
その言葉にアウルムは驚きました。
アクリルを攫ったアキードが何の用なのでしょう?
「大丈夫なのか?」
アウルムの問いかけにアークも困ったように言葉を濁します。
「う~ん・・・とりあえず大丈夫かな?」
アウルムも困りましたが、とりあえずアクリルが助かったので安心しました。
「アクリルは?」
アウルムの問いかけに、アクリルを抱っこしたアキードが答えます。
「ここにいるよ、ちょっと高いけど大丈夫かね?」
アクリルは少し怖かったのですがこくりと頷くと、窓から身を躍らせます。
綺麗な放物線を描いて、着水したアクリルにアウルムが急いで向かいます。
「アクリル!」
黒い雲が風で流れて、月明かりに照らされたアクリルは出会った時と同じく
白銀の髪が月明かりにキラキラと輝いていました。
「アウルム、ありがとう」
アクリルは涙を浮かべてアウルムの頭を抱きしめます。
アウルムもアクリルの温もりを感じて心がとても温かくなりました。
そんなアウルムとアクリルを見てアークも嬉しくて涙が溢れました。
そんなアークの小さな肩に、アキードが手を置きます。
「感動の所すまないが、話は何処でするかね?」
アークは元凶の男を睨むと、アウルムへ声をかけます。
「アウルム、私の家に行こう」
アウルムはもう少しアクリルの温もりを感じていたかったのですが、
アークの事も心配なので、すぐに答えます。
「わかった、アークに何かあったら許さないからな!」
アキードは肩をすくめ、アークは笑顔で手を振りました。
「確かに、君をもう一度ここに来させる為の罠だと言えばそうなるがね」
そして指をゆっくりとアクリルへ向けます。
「罠とは一方的な物だが、これは黄金のサメについての交渉だよ」
アークとアクリルは水槽の中でお互いに顔を見合わせました。
「少し話そう、お嬢ちゃんは水槽から出たまえ、風邪をひくぞ?」
アークが警戒しながらも水槽から出ると、アキードはタオルを差し出します。
「すまないが、着替えが無いのは勘弁してくれ」
アークはタオルを受け取りながら、アキードの態度に違和感を感じていました。
「何だか、昨日と雰囲気が違う・・・もっと偉そうな感じだった」
その言葉にアキードは、苦笑します。
「私は商人だからね、交渉相手にはこういう態度になるのものさ」
アキードはアークを椅子に座らせると、真面目な顔で問いかけます。
「確認だが、君とアクリル君は黄金のサメ、アウルム君とはどういう関係かね?」
突然な質問に、アークもアクリルも戸惑います。
アークは、タオルで髪の毛を吹きながら少し考えて答えます
「僕の事を信じてくれてるとは思うけど、友達・・・だったら良いなと思う」
アクリルも少し戸惑いながら答えます。
「まだ会ったばかりだけど・・・一緒にいると、とても安心するの」
その回答に、アキードは小さく頷きます。
「二人もそれほど長い付き合いでは無いのに、随分と仲が良いね?」
アークは、困ったように視線を泳がせながら小さくつぶやきます。
「アウルムと約束したし、アクリルさんには助けてもらったし・・・それに」
そこまで言うと、アークは首を振ります。
「何でもない、とにかく約束したからには守るのが当たり前でしょ?」
アクリルはそんなアークを見て笑顔で答えます。
「私も、アークちゃんを信じてるよ」
ちゃん付けで呼ばれた事が少し恥ずかしいのか、アークはタオルで顔を隠します。
そんな二人を見て、アキードは満足そうに頷くと小さなカードを取り出します。
「では、アーク君・・・交渉だ」
アキードの取り出したカードは不思議な模様が描かれ、淡く光っています。
「これは、アクリル君の首輪を外す鍵だよ」
それを聞いて、アークがアキードを睨みます。
「アクリルさんをどうするつもり?」
しかし、アキードはテーブルの上にカードを置くと笑顔で答えます。
「どうもしないよ、お願いを聞いてくれればすぐ解放する」
アークはカードをじっと見てから問いかけます。
「お願いって何?」
アキードは、そんなアークを面白そうに眺めながら要求を口にします。
「アウルム君・・・黄金のサメと話がしたいんだ」
アークは予想外の要求に、目を丸くします。
「アウルムと話すだけで良いの?」
アキードは、こくりと頷きます。
「ああ、それで良いよ」
アークはじっとアキードを見ていましたが、アキードの笑顔は崩れません。
了承するしかアークに選択肢はありませんでした。
「はぁ・・・分かったよ」
アキードがカードを首輪に当てると、アクリルの首輪は簡単に外れました。
「さぁ、約束は守るのが当たり前なんだろう?」
アキードの言葉にアークはしぶしぶ窓に向かいます。
「アウルム~」
暗い海の底から金色の頭が見えました。
「上手くいったのか?」
アウルムの言葉にアークは頭をかきながら答えます。
「アクリルさんは助けたけど、アキードさんが話したいことがあるんだって」
その言葉にアウルムは驚きました。
アクリルを攫ったアキードが何の用なのでしょう?
「大丈夫なのか?」
アウルムの問いかけにアークも困ったように言葉を濁します。
「う~ん・・・とりあえず大丈夫かな?」
アウルムも困りましたが、とりあえずアクリルが助かったので安心しました。
「アクリルは?」
アウルムの問いかけに、アクリルを抱っこしたアキードが答えます。
「ここにいるよ、ちょっと高いけど大丈夫かね?」
アクリルは少し怖かったのですがこくりと頷くと、窓から身を躍らせます。
綺麗な放物線を描いて、着水したアクリルにアウルムが急いで向かいます。
「アクリル!」
黒い雲が風で流れて、月明かりに照らされたアクリルは出会った時と同じく
白銀の髪が月明かりにキラキラと輝いていました。
「アウルム、ありがとう」
アクリルは涙を浮かべてアウルムの頭を抱きしめます。
アウルムもアクリルの温もりを感じて心がとても温かくなりました。
そんなアウルムとアクリルを見てアークも嬉しくて涙が溢れました。
そんなアークの小さな肩に、アキードが手を置きます。
「感動の所すまないが、話は何処でするかね?」
アークは元凶の男を睨むと、アウルムへ声をかけます。
「アウルム、私の家に行こう」
アウルムはもう少しアクリルの温もりを感じていたかったのですが、
アークの事も心配なので、すぐに答えます。
「わかった、アークに何かあったら許さないからな!」
アキードは肩をすくめ、アークは笑顔で手を振りました。
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