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2.遠海の孤独なマーメイド

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遠い遠い海の果てに一人のマーメイドがいました。

そのマーメイドはとても可愛らしい姿をしていました。
白銀の髪に青く輝く瞳、やわらかな肌と水色の鱗はキラキラと輝きます。
そして、他のマーメイドよりずっと歌が上手でした。
けれど、他のマーメイドよりずっと怯えていました。

昔は、沢山の仲間と美しいサンゴ礁の海で暮らしていました。
マーメイドは、美しくて、優しくて、仲間のいる海が好きでした。

けれど、美しい海は突然の大嵐に襲われました。
大嵐はサンゴ礁を破壊し、美しい海は傷つきました。
マーメイドは、嵐の海で、溺れていた人間を助けました。
マーメイドは、傷ついても、優しくて、仲間のいる海が好きでした。

けれど、マーメイドは美しい姿と歌声を狙われ、人間に襲われました。
「捕まえれば高く売れるぞ!」
マーメイドは、助けた事を後悔し、酷く怖がるようになりました。
マーメイドは、優しさを失いましたが、仲間のいる海が好きでした。

けれど、マーメイドが人間を助けたので、他の魔物に襲われました。
「人間の味方をする、裏切り者だ!」
マーメイドは、仲間たちに迷惑をかけたくないので、遠い海へ去りました。
マーメイドは、仲間のいる海を失いました。

今は、ひとりで静かな海で暮らしています。
遠い海の果ては静かなので、大嵐も起きません。
人間も来ない遠い海なので、美しい姿も声も狙われません。
仲間のいない孤独な海でも、歌を歌えば落ち着きました。

マーメイドは人間に捕まる悪夢に怯えて、眠れぬ夜を過ごしました。
そんなマーメイドを見て、海の神様は可哀想に思いました。

「あの哀れなマーメイドの少女に、少しだけ贈り物を与えよう」

マーメイドは、海の神様から贈り物を貰いました。

それは金色に輝く、三日月の髪飾りでした。
この髪飾りを付けていると、あの恐ろしい悪夢を見なくなりました。

そして、金色の飴玉が入ったポーチを貰いました。
甘くて少し酸味のある飴玉を食べると、不安で凍った心が温かくなりました。

「マーメイドの少女よ、旅に出なさい、新しい仲間と出会えるだろう」
マーメイドはその言葉を聞いて、昔の仲間のいる海を思い出しました。

マーメイドは、海の神様にお礼を言いました。
「ありがとうございます、海の神様」

そんなマーメイドに、海の神様は一つだけ忠告しました。
「マーメイドの少女よ、お前は人魚だが、同じ種族だけが仲間では無いぞ」

マーメイドは考えましたが、この言葉の意味が分かりませんでした。
けれども、海の神様が言う事なので気を付けるようにしました。
「はい、分かりました」

最後に、海の神様はマーメイドに名前をくれました。
「お前は、"アクリル"と名付けよう」

海の神様と別れたアクリルは、仲間を探して希望を胸に泳ぎ出しました。
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