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鷹ちゃん

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 高村鷹は生後数時間で 鷹 というイカつ目の名前に決まった。誰から見ても丸顔で可愛いのに鷹?と首をかしげられる事も度々あったと言う。
 田舎で同居だから母ちゃんも何も言えなかったらしいが、意外な事にピッタリだと何故か思ったらしい。

 俺はハイハイするようになる前、地滑りをじいちゃんに教えたという。
 寝てたはずが急に聞いた事もない声量で泣き出して、じいちゃん以外の人が触るともっと泣くし。じいちゃんに抱っこされるとすぐに泣き止んだけど、どこかに行こうとしてる。どこに行きたいのかじいちゃんがあやしながら探し果てるとそこが山小屋だった。そこで若い頃の父ちゃんも働いてたんだけど、あまりにも泣くからこっちに来いってなって、それでも泣き止まないし、作業してる人を掴もうとしてるのか盛んに手を伸ばすから皆んなで休憩する事にした直後、落石があって山小屋が潰れたんだそうだ。休憩してた場所にも砂煙が飛んできてそれでまた泣いたけど、その泣き方の違いが余計に怖かったらしい。普段は「ふにゃー」って弱々しく泣くのになって。
 それから、仕事に行かせないようにしたり、漁協に遊びに行ったら「あの岩のところはダメだよ。」など行った事も聞いた事もないはずの事を言ってたそうだ。
 学生時代もたまに電話してきてはそんな事言ってただろ?と言われても覚えてない。旭は、「何回もあったろ?大会の日に俺の手急に繋ぐからなんか?と思ったら暴走した原付が転がって来たし。何で覚えてないんだ?」とまで言われる。俺にしたら朝ごはんに納豆が出た日を覚えてるかと聞かれてるようなもんだから覚えてない。旭のは何となく覚えてるけど。手繋いだのが恥ずかしくて。でもガキの頃みたいでちょっとだけ楽しかったな。

 そんかだから家に出入りする人にも漁協の人にも可愛がられて育った。育てたのは理解がある人のおかげだ。父ちゃんが言う通り普通なら怖いし近寄らせないと思うからな。でも裕次郎と旭は友達だし豊さんは嫌になる程イジられたけど、助けてくれてる。中学に上がってからは女の子みたいな顔だから狙われるのが何回かあった。それを守ってくれてたのは分かってる。そうじゃないとほぼ毎日稽古に顔出してくれないよな。高校なんて片道30分もかかるのにさ。大人はカッコよくてズルいと思ってた。だから本当はゴリラだ何だって言ってるけど、カッコイイの代表はずっと豊さんだった。カーターと出会うまでは。

 こんな言動だから知ってる人には巫女だ何だって言われてしまってたんだろうな。
 
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