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第94話 あ、あれは…キング!?
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ゴートデビルを倒した信之達は、再度四階層を確認する。
「枯れ木に、乾いた土地…。三階層とは打って変わって死んだ大地という感じか。」
「あんまり長くいると気分も落ち込んじゃいそう…。」
イリスは不快そうな表情をしながら呟く。
どうやらこの雰囲気が苦手のようだ。
「さっきの山羊の悪魔もかなり強かったし、慎重に進んだ方がいいわね。」
「…僕もそう思います。」
「火山マップなら、ピッケルで太古のかたま…」
「ゴホンッ!!確かにここはあまり雰囲気も良くないし、ある程度探索したら気が滅入る前に現実の世界に戻った方が良さそうだな。それにソフィアの言う通り慎重に進んでいこう。」
奏が何かを言おうとしたところを遮る信之。
「うんうん!まずは経験値が美味しいメタル系のモンスターを探さなきゃね!」
「…前回がメタルクイーンだったので、今度こそはキングが出るかもしれませんね…。」
経験値に期待するイリスと、名前の方で期待をする蒼汰。
「蒼汰、期待するだけ無駄だぞ。あいつらは絶対に期待を裏切ってくる。俺はわかっているんだ…。」
「…信之兄さん、毎回期待して裏切られた結果、期待することをやめてしまったのですね…。」
信之は、今までの経験から期待するなと言いながら遠い目をする。
そんな信之を見て、過度な期待はしないように心がけようと思った蒼汰であった。
「蒼汰、蟲を出して辺りを警戒・探索することはできるか?」
「…はい、できます。」
「よし、なら蟲を放ってくれ。」
いつもは信之やイリスが探知魔法を使っているが、蒼汰の蟲がどれだけの精度があるか確かめておこうと考えた信之は、蒼汰に蟲を放つよう指示する。
蒼汰は、空気と魔力の揺らぎに敏感な蟲を大量に召喚して辺りに散らす。
「ひっ…。」
「…?」
蟲を召喚した蒼汰は、何か悲鳴のような声を聞き取った。
その方向を見るとソフィアが蒼汰から距離を取っていた。
「ソ、ソフィアさん?」
蒼汰が近づこうとすると、ソフィアは蒼汰から離れる。
「近づかないで!」
「…ぐはッ!」
ソフィアの本気の拒否に精神的にダメージを負う蒼汰。
「ご、ごめんなさい蒼汰。でも、まだ蒼汰の近くに蟲が飛び交っているから…。」
「…あ、すみません。すぐに離れるように命令します。」
ソフィアに言われ、蒼汰は周りを飛び交っている蟲に命令を出すと、蟲は蒼汰やソフィアから遠ざかる。
「ふぅ…。急に離れたりしてごめんなさいね、蒼汰。蟲もいないし、もう平気よ。」
「…よかった。すみません、目の前で蟲を出してしまって。」
自分が嫌われたのではないかと不安に思っていた蒼汰は、ソフィアが蟲が嫌なだけで離れただけだとわかり安堵する。
「蟲を出すときは言ってね?突然召喚するから驚いてしまったわよ…。もう少しでコレを使うところだったわ。」
ソフィアは赤と緑のスプレー缶を取り出した。
それは現実世界でハエを殺す、あの殺虫スプレーであった。
「…また、ハエですか…。蠅王、あなたは本当に嫌われ者ですね…。」
蠅王の腕輪をさすりながら悲しい気持ちになった蒼汰であったが、蟲の探知に反応があり、すぐに気持ちを切り替えた。
「…信之兄さん、あっちの方向にモンスターの反応があると蟲が教えてくれました。」
「わかった。蟲を通してどのようなモンスターか確認することはできるか?」
「…集中すればできますね、やってみます。」
蒼汰は目を閉じて、蟲が見ている光景を確認する。
「…丸い球体に鈍色で頭には…王冠!?」
「な、なんだとッ!期待を裏切られ続けていたが、とうとう本物が出てきたのか!?」
蒼汰の情報に興奮を隠せない信之。
「それは間違いなくキングなのか!?」
「…姿かたちは間違いなくキングですね。とうとう出てきたんですね。」
「ここにきて本物を出してくるとは…。よし、みんな急いでキングのところに向かうぞ!」
「はーい!」
「なんだかよくわからないけど、信が興奮しているという事はかなり経験値がもらえるモンスターという事かしら?」
「行ってみよ~!」
「わふぅ!」
信之達はキングだと思われるモンスターの元へと向かった。
「おぉ…これこそ探し求めていたキング!」
「これは本物だね!」
目の前のスライムは信之が想像していた通りのモンスターであった。
「ぷよぷよしてるわね。メタルクイーンとかは形状がいびつで液体のような姿だったけれど、今回はまるで違うわね。」
「さわりた~い!」
「くぅ…。やっと、悲願のキングに会うことが…うぅう…。」
「な、何で泣いているのよ。ちょっと気持ち悪いわよ…。」
探し求めていたキングに会うことが出来て涙を流している信之。
その姿を見てドン引きするソフィア。
そんな状況の中、奏はふとイリスを見ると、かなり動揺していることに気付く。
「イリスねぇ、どうしたの~?」
「ん?イリス、どうした?」
信之もイリスが動揺していることに気付き、声をかける。
「あ、えと、その…鑑定であのスライムを確認したんだけど…信くんは見ない方がいいよ!」
「ん?鑑定?そういえばまだキングの事を確認していなかったが…ちょっとまて、イリス。嘘だろ?」
鑑定していなかったことに気付いた信之は、イリスの言葉にまさかと思いながらも鑑定を使用する。
ーーーーーーー
(名)
ミミックスライム
(概要)
対象が期待する人物・モンスターと全く同じ姿になることが出来るスライム。
本当のキングじゃなくて残念だったね!
ねぇ、今どんな気持ち?
ーーーーーーー
「きえええぇええええい!!!」
信之は死刻を取り出して、絶空をミミックスライムに向けて放つ。
明らかにオーバーキルのダメージを受けて消滅するミミックスライムを見ながら鑑定の内容を作った人物は絶対に殴ると心に決めた信之であった。
「枯れ木に、乾いた土地…。三階層とは打って変わって死んだ大地という感じか。」
「あんまり長くいると気分も落ち込んじゃいそう…。」
イリスは不快そうな表情をしながら呟く。
どうやらこの雰囲気が苦手のようだ。
「さっきの山羊の悪魔もかなり強かったし、慎重に進んだ方がいいわね。」
「…僕もそう思います。」
「火山マップなら、ピッケルで太古のかたま…」
「ゴホンッ!!確かにここはあまり雰囲気も良くないし、ある程度探索したら気が滅入る前に現実の世界に戻った方が良さそうだな。それにソフィアの言う通り慎重に進んでいこう。」
奏が何かを言おうとしたところを遮る信之。
「うんうん!まずは経験値が美味しいメタル系のモンスターを探さなきゃね!」
「…前回がメタルクイーンだったので、今度こそはキングが出るかもしれませんね…。」
経験値に期待するイリスと、名前の方で期待をする蒼汰。
「蒼汰、期待するだけ無駄だぞ。あいつらは絶対に期待を裏切ってくる。俺はわかっているんだ…。」
「…信之兄さん、毎回期待して裏切られた結果、期待することをやめてしまったのですね…。」
信之は、今までの経験から期待するなと言いながら遠い目をする。
そんな信之を見て、過度な期待はしないように心がけようと思った蒼汰であった。
「蒼汰、蟲を出して辺りを警戒・探索することはできるか?」
「…はい、できます。」
「よし、なら蟲を放ってくれ。」
いつもは信之やイリスが探知魔法を使っているが、蒼汰の蟲がどれだけの精度があるか確かめておこうと考えた信之は、蒼汰に蟲を放つよう指示する。
蒼汰は、空気と魔力の揺らぎに敏感な蟲を大量に召喚して辺りに散らす。
「ひっ…。」
「…?」
蟲を召喚した蒼汰は、何か悲鳴のような声を聞き取った。
その方向を見るとソフィアが蒼汰から距離を取っていた。
「ソ、ソフィアさん?」
蒼汰が近づこうとすると、ソフィアは蒼汰から離れる。
「近づかないで!」
「…ぐはッ!」
ソフィアの本気の拒否に精神的にダメージを負う蒼汰。
「ご、ごめんなさい蒼汰。でも、まだ蒼汰の近くに蟲が飛び交っているから…。」
「…あ、すみません。すぐに離れるように命令します。」
ソフィアに言われ、蒼汰は周りを飛び交っている蟲に命令を出すと、蟲は蒼汰やソフィアから遠ざかる。
「ふぅ…。急に離れたりしてごめんなさいね、蒼汰。蟲もいないし、もう平気よ。」
「…よかった。すみません、目の前で蟲を出してしまって。」
自分が嫌われたのではないかと不安に思っていた蒼汰は、ソフィアが蟲が嫌なだけで離れただけだとわかり安堵する。
「蟲を出すときは言ってね?突然召喚するから驚いてしまったわよ…。もう少しでコレを使うところだったわ。」
ソフィアは赤と緑のスプレー缶を取り出した。
それは現実世界でハエを殺す、あの殺虫スプレーであった。
「…また、ハエですか…。蠅王、あなたは本当に嫌われ者ですね…。」
蠅王の腕輪をさすりながら悲しい気持ちになった蒼汰であったが、蟲の探知に反応があり、すぐに気持ちを切り替えた。
「…信之兄さん、あっちの方向にモンスターの反応があると蟲が教えてくれました。」
「わかった。蟲を通してどのようなモンスターか確認することはできるか?」
「…集中すればできますね、やってみます。」
蒼汰は目を閉じて、蟲が見ている光景を確認する。
「…丸い球体に鈍色で頭には…王冠!?」
「な、なんだとッ!期待を裏切られ続けていたが、とうとう本物が出てきたのか!?」
蒼汰の情報に興奮を隠せない信之。
「それは間違いなくキングなのか!?」
「…姿かたちは間違いなくキングですね。とうとう出てきたんですね。」
「ここにきて本物を出してくるとは…。よし、みんな急いでキングのところに向かうぞ!」
「はーい!」
「なんだかよくわからないけど、信が興奮しているという事はかなり経験値がもらえるモンスターという事かしら?」
「行ってみよ~!」
「わふぅ!」
信之達はキングだと思われるモンスターの元へと向かった。
「おぉ…これこそ探し求めていたキング!」
「これは本物だね!」
目の前のスライムは信之が想像していた通りのモンスターであった。
「ぷよぷよしてるわね。メタルクイーンとかは形状がいびつで液体のような姿だったけれど、今回はまるで違うわね。」
「さわりた~い!」
「くぅ…。やっと、悲願のキングに会うことが…うぅう…。」
「な、何で泣いているのよ。ちょっと気持ち悪いわよ…。」
探し求めていたキングに会うことが出来て涙を流している信之。
その姿を見てドン引きするソフィア。
そんな状況の中、奏はふとイリスを見ると、かなり動揺していることに気付く。
「イリスねぇ、どうしたの~?」
「ん?イリス、どうした?」
信之もイリスが動揺していることに気付き、声をかける。
「あ、えと、その…鑑定であのスライムを確認したんだけど…信くんは見ない方がいいよ!」
「ん?鑑定?そういえばまだキングの事を確認していなかったが…ちょっとまて、イリス。嘘だろ?」
鑑定していなかったことに気付いた信之は、イリスの言葉にまさかと思いながらも鑑定を使用する。
ーーーーーーー
(名)
ミミックスライム
(概要)
対象が期待する人物・モンスターと全く同じ姿になることが出来るスライム。
本当のキングじゃなくて残念だったね!
ねぇ、今どんな気持ち?
ーーーーーーー
「きえええぇええええい!!!」
信之は死刻を取り出して、絶空をミミックスライムに向けて放つ。
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