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第75話 油断大敵ですよ、信之さん。
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——————
「う、う~ん…。」
ソフィアは意識が戻り目を開けるが、視界はぼやけていた。
目の前には何か黒いものがいる気はしたのだが、それよりも異常な倦怠感に見舞われていることに違和感を感じた。
(なんでこんなにも怠いのかしら…。確か、大迷宮の攻略に四人で向かって、それから…そうよ!ヴァンパイアに襲われたんだったわ!)
異常な倦怠感の理由がわかったと同時に視界のぼやけも治ってきた。
目の前のものが見えるようになり、視界に捉えたのは黒いローブに仮面を付けた不気味な者達であった。
「くっ…!ヴァンパイアの手先かしら!?」
ソフィアは、倦怠感を感じながらも素早く後ろに退く。
「ヴァンパイアさんならもう倒しちゃいましたよ?」
一番不気味な仮面を付けた人物が答えた。
ソフィアは、声から女性だと特定したが、今はそんなことは些事だ。
「ヴァンパイア…あのアルカードを倒したっていうの!?」
「あの銀髪のやつはアルカードっていうのか。確かにアルカードは倒したよ。」
近くにいたピエロの仮面をした人物が答えた。
声からして男だろう。
(それにしても、何か良い匂いがするわね。)
ソフィアは非常に良い匂いを感じたが、どこから匂いがするのかわからない。
その匂いは香水などの香料ではなく、お腹が空くような匂いであった。
気にはなったが、それよりも今は現状の確認である。
なにせ、あの危険なアルカードが倒されたとはいえ、目の前にいるのは仮面に黒いローブの不気味な容姿で、且つアルカードを無傷で倒せるような者達だ。
「で、あなたたちは何者なの?」
「別に何者でも無…」
「闇夜のペルソナだよ~!」
「…ちょッ…。」
ピエロが何者でも無いと言おうとしたところを白い狐の仮面が名前を言った。
組織名だろうか?
そしてその名前になぜか黒い狐の仮面をした人物は動揺している。
「闇夜のペルソナ…。聞いたことは無いわね。あなたたちの目的は何?」
「目的はモルのレベル上げと、大迷宮の観光だな。」
「モル?」
「わふっ!」
白い犬が返事をする。
(凄く可愛いわ…。あぁ、なんて綺麗な毛並み…。)
犬好きのソフィアは、モルの可愛さと毛並みの良さに見惚れる。
「どうかしたか?」
「!…何でもないわ。それよりも…きゃっ!」
モルに見惚れていたソフィアは、ピエロの仮面に声を掛けられ意識を戻す。
立ち上がろうとしたところ、眩暈がして倒れそうになる。
「おっと…。大丈夫か?」
「…ッ!」
倒れそうになったところをピエロの仮面をした男に抱きかかえられたソフィアは、抱きかかえられた恥ずかしさよりも、匂いの犯人が分かったことに意識が行った。
「さっきから良い匂いがしているのは、あなただったのね?」
「ん?良い匂い?香水なんてつけていないぞ?」
ピエロの男は自分の体のにおいを嗅ぐ仕草をする。
「いいえ、これは香水なんかじゃないわ…。」
ソフィアはピエロの仮面をした男の首元まで顔を寄せて、匂いを嗅ぎ…。
「はむ…。」
「え?」
「ななななななな!?」
ピエロの仮面をした男の血を吸ったのであった。
——————
(まさか血を吸うとは思わなかったな…。敵意が無かったから油断していた。)
倒れそうになったソフィアはわざとらしい雰囲気が無かった上に、現状こちらに敵意が無かった為、信之は完全に油断をしていたのだ。
信之はすぐに自分のステータスを確認した。
「ふむ…種族は変わっていないな。噛みつかれたからといって、特にヴァンパイア化するわけじゃないのか。」
信之は自分の状態について冷静に分析していると。
「ふむ…じゃないよ信くん!彼女である私も信くんの血を吸ったことないんだよ!?これは由々しき事態だよ!ていうか、ソフィアさんは早く離れてください!」
イリスは変装しているのにも関わらず、信之の名前を呼んでしまうほど大慌てであった。
「私も吸ったことないって…イリス、吸血プレイなんて流石に俺はごめんだぞ?」
「今そのプレイを目の前で見せられてるよ!?」
鋭い突っ込みを放つイリス。
「あ、そうだった。悪いがソフィアさん、離れてくれ。」
全く痛くなかった為、血をすすられていることを忘れていた信之はソフィアを強引に離す。
「ふわぁ…。」
信之の血を飲んだソフィアは蕩けた顔をしている。
「そ、そんなに俺の血がうまかったのか…?」
非常に綺麗な女性の蕩け顔と、口元に流れている血の恐ろしさが相まって動揺する信之。
「とてつもなく美味だったわ…。お願い、もう一度吸わせてもらえないかしら?」
「はい、ブー!!ダメー!ダメです!次は私の番だからダメですー!信くん、首出して!」
信之の血は順番待ちになっていたようだ。
しかも「首出して」と言った際のジェスチャーが、なぜか首元を手刀でスパスパ切る動作であることに恐怖する信之。
「え、出したくないです…。」
そんなイリスの頼みを本気で断る信之であった。
「う、う~ん…。」
ソフィアは意識が戻り目を開けるが、視界はぼやけていた。
目の前には何か黒いものがいる気はしたのだが、それよりも異常な倦怠感に見舞われていることに違和感を感じた。
(なんでこんなにも怠いのかしら…。確か、大迷宮の攻略に四人で向かって、それから…そうよ!ヴァンパイアに襲われたんだったわ!)
異常な倦怠感の理由がわかったと同時に視界のぼやけも治ってきた。
目の前のものが見えるようになり、視界に捉えたのは黒いローブに仮面を付けた不気味な者達であった。
「くっ…!ヴァンパイアの手先かしら!?」
ソフィアは、倦怠感を感じながらも素早く後ろに退く。
「ヴァンパイアさんならもう倒しちゃいましたよ?」
一番不気味な仮面を付けた人物が答えた。
ソフィアは、声から女性だと特定したが、今はそんなことは些事だ。
「ヴァンパイア…あのアルカードを倒したっていうの!?」
「あの銀髪のやつはアルカードっていうのか。確かにアルカードは倒したよ。」
近くにいたピエロの仮面をした人物が答えた。
声からして男だろう。
(それにしても、何か良い匂いがするわね。)
ソフィアは非常に良い匂いを感じたが、どこから匂いがするのかわからない。
その匂いは香水などの香料ではなく、お腹が空くような匂いであった。
気にはなったが、それよりも今は現状の確認である。
なにせ、あの危険なアルカードが倒されたとはいえ、目の前にいるのは仮面に黒いローブの不気味な容姿で、且つアルカードを無傷で倒せるような者達だ。
「で、あなたたちは何者なの?」
「別に何者でも無…」
「闇夜のペルソナだよ~!」
「…ちょッ…。」
ピエロが何者でも無いと言おうとしたところを白い狐の仮面が名前を言った。
組織名だろうか?
そしてその名前になぜか黒い狐の仮面をした人物は動揺している。
「闇夜のペルソナ…。聞いたことは無いわね。あなたたちの目的は何?」
「目的はモルのレベル上げと、大迷宮の観光だな。」
「モル?」
「わふっ!」
白い犬が返事をする。
(凄く可愛いわ…。あぁ、なんて綺麗な毛並み…。)
犬好きのソフィアは、モルの可愛さと毛並みの良さに見惚れる。
「どうかしたか?」
「!…何でもないわ。それよりも…きゃっ!」
モルに見惚れていたソフィアは、ピエロの仮面に声を掛けられ意識を戻す。
立ち上がろうとしたところ、眩暈がして倒れそうになる。
「おっと…。大丈夫か?」
「…ッ!」
倒れそうになったところをピエロの仮面をした男に抱きかかえられたソフィアは、抱きかかえられた恥ずかしさよりも、匂いの犯人が分かったことに意識が行った。
「さっきから良い匂いがしているのは、あなただったのね?」
「ん?良い匂い?香水なんてつけていないぞ?」
ピエロの男は自分の体のにおいを嗅ぐ仕草をする。
「いいえ、これは香水なんかじゃないわ…。」
ソフィアはピエロの仮面をした男の首元まで顔を寄せて、匂いを嗅ぎ…。
「はむ…。」
「え?」
「ななななななな!?」
ピエロの仮面をした男の血を吸ったのであった。
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(まさか血を吸うとは思わなかったな…。敵意が無かったから油断していた。)
倒れそうになったソフィアはわざとらしい雰囲気が無かった上に、現状こちらに敵意が無かった為、信之は完全に油断をしていたのだ。
信之はすぐに自分のステータスを確認した。
「ふむ…種族は変わっていないな。噛みつかれたからといって、特にヴァンパイア化するわけじゃないのか。」
信之は自分の状態について冷静に分析していると。
「ふむ…じゃないよ信くん!彼女である私も信くんの血を吸ったことないんだよ!?これは由々しき事態だよ!ていうか、ソフィアさんは早く離れてください!」
イリスは変装しているのにも関わらず、信之の名前を呼んでしまうほど大慌てであった。
「私も吸ったことないって…イリス、吸血プレイなんて流石に俺はごめんだぞ?」
「今そのプレイを目の前で見せられてるよ!?」
鋭い突っ込みを放つイリス。
「あ、そうだった。悪いがソフィアさん、離れてくれ。」
全く痛くなかった為、血をすすられていることを忘れていた信之はソフィアを強引に離す。
「ふわぁ…。」
信之の血を飲んだソフィアは蕩けた顔をしている。
「そ、そんなに俺の血がうまかったのか…?」
非常に綺麗な女性の蕩け顔と、口元に流れている血の恐ろしさが相まって動揺する信之。
「とてつもなく美味だったわ…。お願い、もう一度吸わせてもらえないかしら?」
「はい、ブー!!ダメー!ダメです!次は私の番だからダメですー!信くん、首出して!」
信之の血は順番待ちになっていたようだ。
しかも「首出して」と言った際のジェスチャーが、なぜか首元を手刀でスパスパ切る動作であることに恐怖する信之。
「え、出したくないです…。」
そんなイリスの頼みを本気で断る信之であった。
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