74 / 109
第74話 イリスを怒らせたらいけません。
しおりを挟む
「おや…また来訪者ですか?やれやれ、今は来て欲しくなかったのですが。さっさと迷宮の深層へ戻っておけば良かったですねぇ。」
扉を開けた前方には銀髪の男が立っており、その横には茶髪の女性が仰向けで倒れていた。
アルカードとソフィアである。
信之はアルカードではなく、倒れている女性に魔纏の瞳を使用した。
ーーーーーーー
ソフィア・モルモリュケ
職業 探索者
種族 下級ヴァンパイア
称号 なし
Lv 27/30
HP 150
MP 72
ATK 70 (75)
DEF 40
INT 50
AGE 52
ーーーーーーー
「ソフィアという女性は、既にヴァンパイアになってしまっているな…。」
信之がソフィアの現状についてぼそりと呟く。
「ほう…今までの者達とは違うようですねぇ。相手のステータスを確認できるスキルは非常にレアです。こちら側でそんなレアな人間に出会うとは思ってもいませんでしたよ。」
「こちら側?一体なんのこと…」
こちら側とはどういう意味かを聞こうとした瞬間、信之の後ろから物凄い速度で動いた者がいた。
「女の子に強引な事をしてはいけませーーーん!」
飛び出したのはイリスであった。
イリスはアルカードでは避けられないほどの速さで迫り、鳩尾にせいけん突きを放った。
「うごぉ…。」
アルカードは吹き飛んで壁に激突する。
「がはッ…!」
「まだまだお説教はこれからだよ!」
この程度では、イリスの怒りはおさまらない。
「い、イリス、あいつに聞きたいことがあるんだけど…。」
アルカードから情報を聞き出せないまま倒されてしまうことに焦った信之は、イリスを止めようとする。
「うん!お説教が終わったらね!」
「あ…うん…。」
イリスの答えに情報の収集を諦める信之。
一方でアルカードは、今までに受けたことの無いダメージを負い、混乱していた。
「ぐっ…。な、なんなのだ…あの不気味な仮面をした者は!?私にこんなにもダメージを…。」
アルカードは立ち上がろうとすると、イリスが瞬間移動でアルカードの目の前に立つ。
「ひッ!く、くるな!!」
おかめが目の前に現れ、恐怖したアルカードは声を裏返して叫ぶ。
初めの余裕が欠片も無くなっているアルカードは、咄嗟に魔法を発動しようとするが。
「今は魔法を使わないでください!」
そう言ってイリスは爆裂拳を放つ。
凄まじい拳打の嵐がアルカードを襲う!
「ぎゃ、ぐほ、ぶべ、もうやめべ…」
「ふぅ、おとなしくなったね!」
動かなくなったアルカードを確認したイリスは、コホンと咳ばらいをして話し始めた。
「じゃあ、始めますよ!ソフィアさんに自分のものになれって言ったらしいですが、初対面じゃないんですか?初対面なのにそんなこと言っても女性は怖がっちゃうだけですからね。もっと仲良くなってからアプローチは行うものですよ。あと、個人的に自分のものになれというアプローチは、あまり格好良くないというか、ちょっとイタイ人だと思われるのでやめた方がいいと思います!それと、勝手にソフィアさんをヴァンパイアにしてはいけません!ソフィアさんは、ヴァンパイアになりたいって言っていましたか?約束もしていないのにそんなことをしたら、ソフィアさんに嫌われてしまうのでちゃんと承諾を取ってください。いきなりヴァンパイアになっちゃったらソフィアさんの親御さんもびっくりしちゃいますので…」
————イリスの説教が10分程経ったところで…。
「イリスさーん。」
「信くん、ごめんなさい。まだヴァンパイアさんへのお説教が終っていないのでもう少し待ってください。」
「あ、いや、そのヴァンパイアさんなんだが…もう死んじゃいそうだぞ。」
「え?」
信之に指摘されたイリスはヴァンパイアをよく見てみると、初めて見たときよりも体が透けていることに気付いた。
「ま、さか…こちらの世界に、こんなにも恐ろしい人間?がいるとは…。ヴラド様…もう一度あなたにお会いしたかった…。」
アルカードはそう呟くと消滅し、魔石だけが残った。
「…あれ?倒しちゃった!?まだ話は終わってなかったのに…。」
「と、とりあえず、ヴァンパイアは倒したから良しとしよう。それと、ソフィアさんはイリスが説教している間に回復魔法をかけておいた。」
「あ!ソフィアさんヴァンパイアになっちゃったんだもんね。大丈夫かな…。」
イリスはそう言ってソフィアの元へと向かう。
「…お姉ちゃん、それにしてもヴァンパイアの魔族、いろいろと気の毒だったね。」
「イリスねぇを怒らせたらいけませ~ん。」
「くぅ~ん。」
絶対にイリスを怒らせてはいけないと肝に銘じる蒼汰、奏、モルであった。
「俺の場合は、怒らせてミイラにされないように気を付けないと…。」
「信くん何か言ったー?」
「何でもありませんです!」
扉を開けた前方には銀髪の男が立っており、その横には茶髪の女性が仰向けで倒れていた。
アルカードとソフィアである。
信之はアルカードではなく、倒れている女性に魔纏の瞳を使用した。
ーーーーーーー
ソフィア・モルモリュケ
職業 探索者
種族 下級ヴァンパイア
称号 なし
Lv 27/30
HP 150
MP 72
ATK 70 (75)
DEF 40
INT 50
AGE 52
ーーーーーーー
「ソフィアという女性は、既にヴァンパイアになってしまっているな…。」
信之がソフィアの現状についてぼそりと呟く。
「ほう…今までの者達とは違うようですねぇ。相手のステータスを確認できるスキルは非常にレアです。こちら側でそんなレアな人間に出会うとは思ってもいませんでしたよ。」
「こちら側?一体なんのこと…」
こちら側とはどういう意味かを聞こうとした瞬間、信之の後ろから物凄い速度で動いた者がいた。
「女の子に強引な事をしてはいけませーーーん!」
飛び出したのはイリスであった。
イリスはアルカードでは避けられないほどの速さで迫り、鳩尾にせいけん突きを放った。
「うごぉ…。」
アルカードは吹き飛んで壁に激突する。
「がはッ…!」
「まだまだお説教はこれからだよ!」
この程度では、イリスの怒りはおさまらない。
「い、イリス、あいつに聞きたいことがあるんだけど…。」
アルカードから情報を聞き出せないまま倒されてしまうことに焦った信之は、イリスを止めようとする。
「うん!お説教が終わったらね!」
「あ…うん…。」
イリスの答えに情報の収集を諦める信之。
一方でアルカードは、今までに受けたことの無いダメージを負い、混乱していた。
「ぐっ…。な、なんなのだ…あの不気味な仮面をした者は!?私にこんなにもダメージを…。」
アルカードは立ち上がろうとすると、イリスが瞬間移動でアルカードの目の前に立つ。
「ひッ!く、くるな!!」
おかめが目の前に現れ、恐怖したアルカードは声を裏返して叫ぶ。
初めの余裕が欠片も無くなっているアルカードは、咄嗟に魔法を発動しようとするが。
「今は魔法を使わないでください!」
そう言ってイリスは爆裂拳を放つ。
凄まじい拳打の嵐がアルカードを襲う!
「ぎゃ、ぐほ、ぶべ、もうやめべ…」
「ふぅ、おとなしくなったね!」
動かなくなったアルカードを確認したイリスは、コホンと咳ばらいをして話し始めた。
「じゃあ、始めますよ!ソフィアさんに自分のものになれって言ったらしいですが、初対面じゃないんですか?初対面なのにそんなこと言っても女性は怖がっちゃうだけですからね。もっと仲良くなってからアプローチは行うものですよ。あと、個人的に自分のものになれというアプローチは、あまり格好良くないというか、ちょっとイタイ人だと思われるのでやめた方がいいと思います!それと、勝手にソフィアさんをヴァンパイアにしてはいけません!ソフィアさんは、ヴァンパイアになりたいって言っていましたか?約束もしていないのにそんなことをしたら、ソフィアさんに嫌われてしまうのでちゃんと承諾を取ってください。いきなりヴァンパイアになっちゃったらソフィアさんの親御さんもびっくりしちゃいますので…」
————イリスの説教が10分程経ったところで…。
「イリスさーん。」
「信くん、ごめんなさい。まだヴァンパイアさんへのお説教が終っていないのでもう少し待ってください。」
「あ、いや、そのヴァンパイアさんなんだが…もう死んじゃいそうだぞ。」
「え?」
信之に指摘されたイリスはヴァンパイアをよく見てみると、初めて見たときよりも体が透けていることに気付いた。
「ま、さか…こちらの世界に、こんなにも恐ろしい人間?がいるとは…。ヴラド様…もう一度あなたにお会いしたかった…。」
アルカードはそう呟くと消滅し、魔石だけが残った。
「…あれ?倒しちゃった!?まだ話は終わってなかったのに…。」
「と、とりあえず、ヴァンパイアは倒したから良しとしよう。それと、ソフィアさんはイリスが説教している間に回復魔法をかけておいた。」
「あ!ソフィアさんヴァンパイアになっちゃったんだもんね。大丈夫かな…。」
イリスはそう言ってソフィアの元へと向かう。
「…お姉ちゃん、それにしてもヴァンパイアの魔族、いろいろと気の毒だったね。」
「イリスねぇを怒らせたらいけませ~ん。」
「くぅ~ん。」
絶対にイリスを怒らせてはいけないと肝に銘じる蒼汰、奏、モルであった。
「俺の場合は、怒らせてミイラにされないように気を付けないと…。」
「信くん何か言ったー?」
「何でもありませんです!」
10
お気に入りに追加
1,261
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
人気MMOの最恐クランと一緒に異世界へ転移してしまったようなので、ひっそり冒険者生活をしています
テツみン
ファンタジー
二〇八✕年、一世を風靡したフルダイブ型VRMMO『ユグドラシル』のサービス終了日。
七年ぶりにログインしたユウタは、ユグドラシルの面白さを改めて思い知る。
しかし、『時既に遅し』。サービス終了の二十四時となった。あとは強制ログアウトを待つだけ……
なのにログアウトされない! 視界も変化し、ユウタは狼狽えた。
当てもなく彷徨っていると、亜人の娘、ラミィとフィンに出会う。
そこは都市国家連合。異世界だったのだ!
彼女たちと一緒に冒険者として暮らし始めたユウタは、あるとき、ユグドラシル最恐のPKクラン、『オブト・ア・バウンズ』もこの世界に転移していたことを知る。
彼らに気づかれてはならないと、ユウタは「目立つような行動はせず、ひっそり生きていこう――」そう決意するのだが……
ゲームのアバターのまま異世界へダイブした冴えないサラリーマンが、チートPK野郎の陰に怯えながら『ひっそり』と冒険者生活を送っていた……はずなのに、いつの間にか救国の勇者として、『死ぬほど』苦労する――これは、そんな話。
*60話完結(10万文字以上)までは必ず公開します。
『お気に入り登録』、『いいね』、『感想』をお願いします!
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる